第13章 月の静寂(前編)
セラ
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「あ、声マネは十八番でございますよ?披露いたしましょうか?」
「いいって!」
何分掴めない人物だなあと苦笑いを浮かべ、真っ直ぐ前方を向く。外面を通過し、核付近に接近しては内面クレーターに沿って飛行する。提携を組めなかったパルテナ軍と自然軍は言わずもがな対立するのを余儀無くされる。自然軍がパルテナ軍の味方となれば鬼に金棒であっただろう。ナチュレちゃんが改心してくれる筈がないからまだまだ道程は遠い。打って変わって今度は溜め息。偶然にも私が百面相を繰り返しているのを見ていたらしく、ピット君は隣で眉間に皺を寄せて首を傾げていた。
内面クレーターに沿って神殿の核裏側飛行中。後ろの方角に何かが引き起こったのだろう。
「ピット!セラ!後ろ!!」
パルテナ様が突如声を上げた。
「え……うわがぁっ!」
『き、きゃあああっ!』
間一髪躱せたが、万が一躱せなければ恐ろしい事態となっていただろう。そう考えると背筋を凍らせ、冷や汗をがたらり。核から放たれるビーム光線攻撃が一度きりで終了する展開等存在せず、こちらを塵と化す算段なのか考えたくはないが猛攻撃が続く。必死に攻撃を喰らうまいとし回避に専念しているけれど分が悪い。
「月の神殿の猛攻です。回廊から侵入します。耐えて!!」
パルテナ様の声が両耳に届き、不安げな表情を浮かべつつ静かに首を縦に頷く。相も変わらず、攻撃の手は鳴り止まない。相当侵入させたくないのだろう。その意思は嫌でも伝わり、何だか苦笑い。誰もが抱く防衛本能だと思う。ビーム光線を背後で受けているがぎりぎりの所で躱し、ダメージを受けずに済んでいるがいつまで持つか分からない。パルテナ様の支持と機転の効かせての飛行ルート変更に寄り、月の神殿回廊へと方向を変え進行して行く。彼女の声トーンから察するにもう既に月の神殿の造りを熟知している模様。恐らく何処から侵入するのかも見当がついているだろう。だとすれば、ピット君に付いて行き未だに放たれているビーム光線を回避して行ければ一難は去ってくれるに違いない。
「こんなところにも敵が!!」
『うじゃうじゃ居るね!』
「月の神殿は、見ての通り強固な要塞となっています。ここを制圧すれば、自然軍の勢いも収まるでしょう」
「『なんとかしてみせます!』」
回廊へ徐々に距離を狭めている中、今回のミッションに対する思惑を聞く。どうやら予想は外れてしまったらしい。てっきり脅威となる存在を今の内に討伐しておこうだとか考えているものだと想像していたからか妙に拍子抜けしてしまう。安直な考えだったと内心反省しながら、真横を擦り抜けていく魔物を浄化する。先程迄分が悪かったが、パルテナ様は明らかに私達へ向けて微笑んでいらっしゃる……何故ならば“勝利”と言う名の二文字を確かに掲げているからだ。その二文字は確実のものへと変化する。隣で戦うピット君を横目に前方を向き時に神器を揮う。もう少しで回廊へ入り込むとパルテナ様がこっそり教えてくれた。
「ん……?攻撃が薄くなりましたね」
『でも、まだ何か居る気がする……』
「警戒して。敵の気配はまだあります」
行く手を阻む魔物等が突如姿を消した。あんなに猛攻撃を受けていたのも関わらず、今は手薄。適わないと白旗を挙げているのかと思いきやそうではなく、何者かが存在している気配を察知する。只、姿は何も映らない。
「うわ!」
『きゃ!』
「自然軍の潜伏兵、フラージでございます。お気に召しましたか?」
「お気に召しませんね!」
「わたくし、こういうの好きでございますけどね」
「性格が知れるよ!」
「おほめにあずかりまして」
「ほめてないから!」
『び、びっくりしたあ……』
回廊へと無事に入り込むのに成功した。その瞬間、突如目の前に緑色で一つ目の魔物が出現。不意を衝かれ、思わず声を上げてしまう。一つ目で緑色をしており、両刃を構えているその魔物の名はフラージ。気配を消し、接近してきた所へ攻撃を見舞う特性を持っているらしい。急に目の前へ現れるものだから、反応が遅れてしまったが刃を振り下ろす前に回避し、反撃。何体も浮遊していたフラージは二人で協力して全浄化できたが気配を消して接近するのは止めて欲しい。お化けの類でさえ気味が悪いのだからこの敵はそれ以上だ。なのにアロンは好ましく思っているらしい。こういう戦法が好きなのだったら、今回のミッションで敵対する場合姿を消して背後から接近してはダメージを喰らわせようと試みるかも知れない。充分有り得る。今回も苦戦を強いられそうだと苦笑いを浮かべ、回廊を飛行して行く。ピット君とアロンが色々ごちゃごちゃ会話しているのを聞き流しては溜め息を吐いていた。
回廊の半分迄来ただろうか?前方に如何にも触れてしまえばダメージを受けてしまいそうなレーザートラップが仕掛けられているのを視界に入れる。ゴールは未だ辿り着かない。
「いいって!」
何分掴めない人物だなあと苦笑いを浮かべ、真っ直ぐ前方を向く。外面を通過し、核付近に接近しては内面クレーターに沿って飛行する。提携を組めなかったパルテナ軍と自然軍は言わずもがな対立するのを余儀無くされる。自然軍がパルテナ軍の味方となれば鬼に金棒であっただろう。ナチュレちゃんが改心してくれる筈がないからまだまだ道程は遠い。打って変わって今度は溜め息。偶然にも私が百面相を繰り返しているのを見ていたらしく、ピット君は隣で眉間に皺を寄せて首を傾げていた。
内面クレーターに沿って神殿の核裏側飛行中。後ろの方角に何かが引き起こったのだろう。
「ピット!セラ!後ろ!!」
パルテナ様が突如声を上げた。
「え……うわがぁっ!」
『き、きゃあああっ!』
間一髪躱せたが、万が一躱せなければ恐ろしい事態となっていただろう。そう考えると背筋を凍らせ、冷や汗をがたらり。核から放たれるビーム光線攻撃が一度きりで終了する展開等存在せず、こちらを塵と化す算段なのか考えたくはないが猛攻撃が続く。必死に攻撃を喰らうまいとし回避に専念しているけれど分が悪い。
「月の神殿の猛攻です。回廊から侵入します。耐えて!!」
パルテナ様の声が両耳に届き、不安げな表情を浮かべつつ静かに首を縦に頷く。相も変わらず、攻撃の手は鳴り止まない。相当侵入させたくないのだろう。その意思は嫌でも伝わり、何だか苦笑い。誰もが抱く防衛本能だと思う。ビーム光線を背後で受けているがぎりぎりの所で躱し、ダメージを受けずに済んでいるがいつまで持つか分からない。パルテナ様の支持と機転の効かせての飛行ルート変更に寄り、月の神殿回廊へと方向を変え進行して行く。彼女の声トーンから察するにもう既に月の神殿の造りを熟知している模様。恐らく何処から侵入するのかも見当がついているだろう。だとすれば、ピット君に付いて行き未だに放たれているビーム光線を回避して行ければ一難は去ってくれるに違いない。
「こんなところにも敵が!!」
『うじゃうじゃ居るね!』
「月の神殿は、見ての通り強固な要塞となっています。ここを制圧すれば、自然軍の勢いも収まるでしょう」
「『なんとかしてみせます!』」
回廊へ徐々に距離を狭めている中、今回のミッションに対する思惑を聞く。どうやら予想は外れてしまったらしい。てっきり脅威となる存在を今の内に討伐しておこうだとか考えているものだと想像していたからか妙に拍子抜けしてしまう。安直な考えだったと内心反省しながら、真横を擦り抜けていく魔物を浄化する。先程迄分が悪かったが、パルテナ様は明らかに私達へ向けて微笑んでいらっしゃる……何故ならば“勝利”と言う名の二文字を確かに掲げているからだ。その二文字は確実のものへと変化する。隣で戦うピット君を横目に前方を向き時に神器を揮う。もう少しで回廊へ入り込むとパルテナ様がこっそり教えてくれた。
「ん……?攻撃が薄くなりましたね」
『でも、まだ何か居る気がする……』
「警戒して。敵の気配はまだあります」
行く手を阻む魔物等が突如姿を消した。あんなに猛攻撃を受けていたのも関わらず、今は手薄。適わないと白旗を挙げているのかと思いきやそうではなく、何者かが存在している気配を察知する。只、姿は何も映らない。
「うわ!」
『きゃ!』
「自然軍の潜伏兵、フラージでございます。お気に召しましたか?」
「お気に召しませんね!」
「わたくし、こういうの好きでございますけどね」
「性格が知れるよ!」
「おほめにあずかりまして」
「ほめてないから!」
『び、びっくりしたあ……』
回廊へと無事に入り込むのに成功した。その瞬間、突如目の前に緑色で一つ目の魔物が出現。不意を衝かれ、思わず声を上げてしまう。一つ目で緑色をしており、両刃を構えているその魔物の名はフラージ。気配を消し、接近してきた所へ攻撃を見舞う特性を持っているらしい。急に目の前へ現れるものだから、反応が遅れてしまったが刃を振り下ろす前に回避し、反撃。何体も浮遊していたフラージは二人で協力して全浄化できたが気配を消して接近するのは止めて欲しい。お化けの類でさえ気味が悪いのだからこの敵はそれ以上だ。なのにアロンは好ましく思っているらしい。こういう戦法が好きなのだったら、今回のミッションで敵対する場合姿を消して背後から接近してはダメージを喰らわせようと試みるかも知れない。充分有り得る。今回も苦戦を強いられそうだと苦笑いを浮かべ、回廊を飛行して行く。ピット君とアロンが色々ごちゃごちゃ会話しているのを聞き流しては溜め息を吐いていた。
回廊の半分迄来ただろうか?前方に如何にも触れてしまえばダメージを受けてしまいそうなレーザートラップが仕掛けられているのを視界に入れる。ゴールは未だ辿り着かない。