第13章 月の静寂(前編)
セラ
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『当たったら危ないじゃない!!』
「前言撤回!イケてないです!!」
「攻めますよ!」
パルテナ様の言葉にピット君と顔を見合わせ首を縦に頷き、飛行スピードを上昇させて行く。ビーム光線をひらひら躱しながら月の神殿へと距離を狭める。そんな最中、味方の魔物が迂闊にもビーム光線を浴びてしまい浄化されてしまう始末。こちらの手間は省けてしまうから良いものの、ちょこっとばかり反則なのでは?と考えてしまう。無論こちらに落ち度は全くない。あるとするならば、月の神殿を操作しているであろうアロン側に問題点が上げられる。心中に留めた意見を口にする気は毛頭ないが、もう少し魔物に対し慈しみの心を示すべきだと思う。ビーム光線をひらひら躱すのを止めずに距離を狭めて居た私達は漸く月の神殿付近迄接近し、精巧に造られているのを目の当たりにする。
「だいぶ近づいてきました!」
『こう見ると本当お月さま』
「近づけるだけ近づいて攻撃から逃れましょう」
人工物とは思えない程精巧に造られているのを見つめ、あっと驚かされる。外観が月に酷似しているのならば中の造りはどうなっているのだろう。俄然興味が湧いている。確かめるには月の神殿に侵入して攻略しアロンを討伐しなければならない。前回行なったミッションは、人々へ危害を加えるべく開発されていた“初期化爆弾”を生成する要塞が存在し、攻略すれば人々の危機は一旦遠退くと知っていたから全力を尽くしたがアロンは未だ人々を傷付けていない。いずれ脅威となる存在だからこそ今の内に討伐しておこうと言うパルテナ様の思惑なのだろうが私から言わせてもらえば乗り気な訳ではない。いずれ人々に危害を加えるつもりならば容赦はしないがその傾向は見られない、自然と神器を治めたくなる。だが月の神殿内構造を知りたいならば、どうあっても攻略しなければならない。何方付かずな感情に支配され、戸惑ってしまう。
「しかし、少し気になります」
「なにがですか?」
『?』
「アロンはこんなに守りを固めてなにと戦うつもりだったのでしょう」
『言われてみれば……そうですね』
「おたわむれを。あなたがたのような、侵略者とですよ」
「『!』」
然れど、攻撃の手は決して止めない。魔物等から射撃攻撃を受けそうになるが飛行ルートが脱線しない様に注意を払いながら回避し、すかさず浄化する。月の神殿へと接近して行くにつれ攻撃の一手一手が強力と化す。近付けさせまいとする意思が伝達されるのが分かる。魔物等の攻撃に応戦してはパルテナ様からの応答に耳を傾けていると、こちら側の会話に入り込んで来る聞き覚えのない声が耳を掠めた。
「貴方が自然軍幹部 静寂のアロンですね?」
「お初にお目にかかります パルテナ様。ピット様そしてセラ様。その武勇はナチュレ様よりうかがっております」
「あ、そ、そりゃどうも」
『どうもありがとう……?』
パルテナ様が名を呼ぶ……アロンと。とうとう張本人の登場である。いずれボスとして私達の目の前に立ちはだかるであろう存在。だが、何処か品の良い立ち振る舞いで参謀役職に就いていそうなイメージがくっついてきそうだ。飽く迄個人的な印象が脳内を駆け巡るが、自然軍の中でも一番頭が切れそうであり、そんな印象を与えるアロンがこちら側に接触を試みている。会話の流れからして、今迄のボスとは相違するが油断は禁物だ。どんな罠が張り巡らされているか分かったものじゃない。
「しかし、この“月の神殿”を攻撃されるのはその、困ってしまいます。ここはひとつ、お引き取りいただくわけには参りませんか?」「地上から自然軍を引いてくだされば。もしくは私達と同盟を結び 冥府軍と対峙するのであれば考えますが?」
パルテナ様とアロンの言葉攻防戦は続く。アロンも負けていないが、パルテナ様だって引けを取らない。他の神様や幹部に対して対等以上に渡り合って来た。言葉巧みなスキルはお手のものだ。パルテナ様の提案は最もだと言える。もしもパルテナ軍と自然軍が同盟を結んだら、誰も近寄れない最強さが約束され、冥府軍も目じゃないだろう。今後冥府軍がどう動くか知れないが、悪い話ではない。多分。
「それはわたくしごときが判断できることではございません。すべてはナチュレ様のおぼしめし。なにとぞご了承を」
「なんでそんな“じいや”の様な口調なんだ……。悪いヤツならもっと「ウガー!!」とか「グォー!!」とか言うことあるでしょう?」
だが提案は却下されてしまう。やはりアロンの一存では提携を組める訳ではないのかと肩を落とす。正直な心境、ナチュレちゃんとはもっと仲良くなりたい。ピット君とナチュレちゃんが恋仲になるチャンスがグンっと上がるってものだ。私は未だに諦めてはいない。必ずや二人をラブラブにしてやるんだからっ!!と声を大にして叫びたいが此処はぐっと我慢をして目の前に立ち塞がる敵を浄化して見せる。パルテナ様辺りに打ち明けてみようとも思ったが、猛反対されそうな気がするのでそれは止めておいた。
「前言撤回!イケてないです!!」
「攻めますよ!」
パルテナ様の言葉にピット君と顔を見合わせ首を縦に頷き、飛行スピードを上昇させて行く。ビーム光線をひらひら躱しながら月の神殿へと距離を狭める。そんな最中、味方の魔物が迂闊にもビーム光線を浴びてしまい浄化されてしまう始末。こちらの手間は省けてしまうから良いものの、ちょこっとばかり反則なのでは?と考えてしまう。無論こちらに落ち度は全くない。あるとするならば、月の神殿を操作しているであろうアロン側に問題点が上げられる。心中に留めた意見を口にする気は毛頭ないが、もう少し魔物に対し慈しみの心を示すべきだと思う。ビーム光線をひらひら躱すのを止めずに距離を狭めて居た私達は漸く月の神殿付近迄接近し、精巧に造られているのを目の当たりにする。
「だいぶ近づいてきました!」
『こう見ると本当お月さま』
「近づけるだけ近づいて攻撃から逃れましょう」
人工物とは思えない程精巧に造られているのを見つめ、あっと驚かされる。外観が月に酷似しているのならば中の造りはどうなっているのだろう。俄然興味が湧いている。確かめるには月の神殿に侵入して攻略しアロンを討伐しなければならない。前回行なったミッションは、人々へ危害を加えるべく開発されていた“初期化爆弾”を生成する要塞が存在し、攻略すれば人々の危機は一旦遠退くと知っていたから全力を尽くしたがアロンは未だ人々を傷付けていない。いずれ脅威となる存在だからこそ今の内に討伐しておこうと言うパルテナ様の思惑なのだろうが私から言わせてもらえば乗り気な訳ではない。いずれ人々に危害を加えるつもりならば容赦はしないがその傾向は見られない、自然と神器を治めたくなる。だが月の神殿内構造を知りたいならば、どうあっても攻略しなければならない。何方付かずな感情に支配され、戸惑ってしまう。
「しかし、少し気になります」
「なにがですか?」
『?』
「アロンはこんなに守りを固めてなにと戦うつもりだったのでしょう」
『言われてみれば……そうですね』
「おたわむれを。あなたがたのような、侵略者とですよ」
「『!』」
然れど、攻撃の手は決して止めない。魔物等から射撃攻撃を受けそうになるが飛行ルートが脱線しない様に注意を払いながら回避し、すかさず浄化する。月の神殿へと接近して行くにつれ攻撃の一手一手が強力と化す。近付けさせまいとする意思が伝達されるのが分かる。魔物等の攻撃に応戦してはパルテナ様からの応答に耳を傾けていると、こちら側の会話に入り込んで来る聞き覚えのない声が耳を掠めた。
「貴方が自然軍幹部 静寂のアロンですね?」
「お初にお目にかかります パルテナ様。ピット様そしてセラ様。その武勇はナチュレ様よりうかがっております」
「あ、そ、そりゃどうも」
『どうもありがとう……?』
パルテナ様が名を呼ぶ……アロンと。とうとう張本人の登場である。いずれボスとして私達の目の前に立ちはだかるであろう存在。だが、何処か品の良い立ち振る舞いで参謀役職に就いていそうなイメージがくっついてきそうだ。飽く迄個人的な印象が脳内を駆け巡るが、自然軍の中でも一番頭が切れそうであり、そんな印象を与えるアロンがこちら側に接触を試みている。会話の流れからして、今迄のボスとは相違するが油断は禁物だ。どんな罠が張り巡らされているか分かったものじゃない。
「しかし、この“月の神殿”を攻撃されるのはその、困ってしまいます。ここはひとつ、お引き取りいただくわけには参りませんか?」「地上から自然軍を引いてくだされば。もしくは私達と同盟を結び 冥府軍と対峙するのであれば考えますが?」
パルテナ様とアロンの言葉攻防戦は続く。アロンも負けていないが、パルテナ様だって引けを取らない。他の神様や幹部に対して対等以上に渡り合って来た。言葉巧みなスキルはお手のものだ。パルテナ様の提案は最もだと言える。もしもパルテナ軍と自然軍が同盟を結んだら、誰も近寄れない最強さが約束され、冥府軍も目じゃないだろう。今後冥府軍がどう動くか知れないが、悪い話ではない。多分。
「それはわたくしごときが判断できることではございません。すべてはナチュレ様のおぼしめし。なにとぞご了承を」
「なんでそんな“じいや”の様な口調なんだ……。悪いヤツならもっと「ウガー!!」とか「グォー!!」とか言うことあるでしょう?」
だが提案は却下されてしまう。やはりアロンの一存では提携を組める訳ではないのかと肩を落とす。正直な心境、ナチュレちゃんとはもっと仲良くなりたい。ピット君とナチュレちゃんが恋仲になるチャンスがグンっと上がるってものだ。私は未だに諦めてはいない。必ずや二人をラブラブにしてやるんだからっ!!と声を大にして叫びたいが此処はぐっと我慢をして目の前に立ち塞がる敵を浄化して見せる。パルテナ様辺りに打ち明けてみようとも思ったが、猛反対されそうな気がするのでそれは止めておいた。