第12章 初期化爆弾の恐怖(後編)
セラ
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『(……何かガード兵、キメキメね……)』
散り散りに散っている天使二人との距離を詰め、ダメージを喰らわせようと目論み右腕を振り上げるガード兵。無論、振り下ろす僅かな数秒足らずの間隔で回避に成功。くるっと廻り込んだ所を思い切り打撃攻撃を加えれば、ガード兵は衝撃に耐え兼ねず軽々と吹き飛ばされて行った。何とも良い飛びっぷりである。だが、ガード兵に気を取られている場合ではなかった。恐らくそれが狙いなのだと思うが、心臓部へと意識を向けさせない算段でガード兵が頻りに攻撃を仕掛けて来るのが際立っている。これではいつ迄経っても攻略出来ない。何か手を打たなければ。パルテナ様も今、突破口を見つけようとしている筈。必死に模索しながら、パルテナ様の助言を待ちつつ、攻撃の手を休めないガード兵に向かう。
「くそう。戦士を連れてくれば良かったか」
「ごめんね おじょうちゃん。その選りぬき、いま冥府軍と戦ってるわ」
「なかなかのもんじゃろう?」
「……強いね。おしっこもらしちゃいそう」
ハデスとナチュレちゃんがそんな会話を展開しているのが遠巻きから聞こえて来た。ガード兵が負けてたまるかと散漫に右腕から様々な弾を繰り出しているのが窺え、慌てて回避行動を取ったがあと数センチ遅ければダメージを受けている所であった。思わず冷や汗。そして、明らかに要塞の心臓部に接近させない様に守備を固めている。今は妨害が凄まじい。言葉を話さずとも、どうすれば敵を袋小路にするか考えている模様。単なる脳なしと言う訳ではないらしい。ガード兵だけではない、心臓部さえも攻撃を受けまいと必死に守備している。今はまだ二進も三進も行かない状況ではあるが必ず何処かに突破口がある筈。弱点が分かれば、流れは一気にこちらへ味方してくれる。完全無欠の存在等何処を探しても居ないのだから。
相も変わらず攻撃の手は鳴り止まない。レーザーを発射するガード兵を見、どの方向へ伸びるか瞬時に考察し逆方向へと華麗に躱して見せる。余りの華麗さに高得点が欲しい程だ。あとは心臓部への反撃方法が分かれば良いのだが……パルテナ様からの応答はない。
『(ガード兵を一掃出来れば良いのだけど……)』
バテない程度に何か妙案はないか、心臓部を視界に入れては反撃方法を考え倦ねている。付け入る隙を突き、尚且つガード兵を一掃する方法は何かないだろうか。そんな考えを過らせては回避に専念していたのだがふ……っと周囲を見渡せば私に攻撃の魔の手が及んでいないと気付いた。“何か妙案はないだろうか。”思考回路を回転させていたからか理由は定かではないが、私側にも当然次から次へと攻撃を加えられているとばかり思い込んでいた。拍子抜けしてしまい、きょとん顔。どういう風の吹きまわしなのか自身には全く想像だに出来ない。
『あれ……?』
首を傾げ、射撃を止めてしまう。ピット君にばかり風当たりが厳しいのだ。何故かは分からない。ナチュレちゃんも私を狙っている傾向があるから、私達の耳に届かぬ様に小声で傷つけるな等と指示しているのかと思っていた理由だが、その傍らで“何をしておるのじゃ!”と叱責の声さえ聞こえて来る。察するに、彼女の指示ではないらしい。一体何が起こっているのか。両足の動きさえ停止してしまう折、目の前に突如花束が差し出された。贈り主は無論ガード兵。何と……その場で戦闘していたガード兵がゴソゴソと花束を所持し私に向けて次々と差し出してくるのだ。これには流石の私も対応に困る。言葉を話さずとも嬉々としている様子が伝達されどうすれば得策かと頭を捻っている、だがいまいち効果は得られない。『ど、どうしよう』
「ぬおおっ!何、セラに惚れとるのじゃ!気持ちは分かるが、シャキッとせい!!」
「セラちゃんは誰からも愛されてるねぇ」
『……ピット君。どうしよう』
ーー波動ビーム!!!!
……僅か数秒であった。技名が聞こえたと思えば目の前に差し出されていた色とりどりの花束は無残にも散ってしまう。綺麗に咲き誇っていた花片は宙に舞い、彩りを見せた。波動ビームの威力と修羅の如く形相を纏うピット君が心臓部へガード兵を吹き飛ばしているのが瞳孔に映る。何が起こったのかはたまた理解が追い付かなかったが、綺麗な花片が虚しくも散ってしまった事実だけが胸に留まった。
「あのシールドが……!」
「ピット、セラ、周囲のガード兵をジェネレーターにふっとばしてみなさい。強い誘爆で、シールドが外れるはずです」
『(あれ。さっきのやり取り、なかった事にされてる……)』
絶妙なタイミングと間合いで波動ビームが繰り出されていたのに、全て無視され触れずに終了してしまう。誰が見ても震え上がると思うピット君の形相も通常に戻り、パルテナ様からの助言を大いに活用し、動いている。色々と質問したい事柄があるがまたはぐらかされてしまうだろう。以前にも似た様な出来事があった気もするが、良く覚えていないので思い出すのは止めておいた。兎に角、私もピット君と共にパルテナ様の助言を活かしガード兵を心臓部改めジェネレーターへぶつけて行こうと思う。それには渾身の一撃が必要だ。
散り散りに散っている天使二人との距離を詰め、ダメージを喰らわせようと目論み右腕を振り上げるガード兵。無論、振り下ろす僅かな数秒足らずの間隔で回避に成功。くるっと廻り込んだ所を思い切り打撃攻撃を加えれば、ガード兵は衝撃に耐え兼ねず軽々と吹き飛ばされて行った。何とも良い飛びっぷりである。だが、ガード兵に気を取られている場合ではなかった。恐らくそれが狙いなのだと思うが、心臓部へと意識を向けさせない算段でガード兵が頻りに攻撃を仕掛けて来るのが際立っている。これではいつ迄経っても攻略出来ない。何か手を打たなければ。パルテナ様も今、突破口を見つけようとしている筈。必死に模索しながら、パルテナ様の助言を待ちつつ、攻撃の手を休めないガード兵に向かう。
「くそう。戦士を連れてくれば良かったか」
「ごめんね おじょうちゃん。その選りぬき、いま冥府軍と戦ってるわ」
「なかなかのもんじゃろう?」
「……強いね。おしっこもらしちゃいそう」
ハデスとナチュレちゃんがそんな会話を展開しているのが遠巻きから聞こえて来た。ガード兵が負けてたまるかと散漫に右腕から様々な弾を繰り出しているのが窺え、慌てて回避行動を取ったがあと数センチ遅ければダメージを受けている所であった。思わず冷や汗。そして、明らかに要塞の心臓部に接近させない様に守備を固めている。今は妨害が凄まじい。言葉を話さずとも、どうすれば敵を袋小路にするか考えている模様。単なる脳なしと言う訳ではないらしい。ガード兵だけではない、心臓部さえも攻撃を受けまいと必死に守備している。今はまだ二進も三進も行かない状況ではあるが必ず何処かに突破口がある筈。弱点が分かれば、流れは一気にこちらへ味方してくれる。完全無欠の存在等何処を探しても居ないのだから。
相も変わらず攻撃の手は鳴り止まない。レーザーを発射するガード兵を見、どの方向へ伸びるか瞬時に考察し逆方向へと華麗に躱して見せる。余りの華麗さに高得点が欲しい程だ。あとは心臓部への反撃方法が分かれば良いのだが……パルテナ様からの応答はない。
『(ガード兵を一掃出来れば良いのだけど……)』
バテない程度に何か妙案はないか、心臓部を視界に入れては反撃方法を考え倦ねている。付け入る隙を突き、尚且つガード兵を一掃する方法は何かないだろうか。そんな考えを過らせては回避に専念していたのだがふ……っと周囲を見渡せば私に攻撃の魔の手が及んでいないと気付いた。“何か妙案はないだろうか。”思考回路を回転させていたからか理由は定かではないが、私側にも当然次から次へと攻撃を加えられているとばかり思い込んでいた。拍子抜けしてしまい、きょとん顔。どういう風の吹きまわしなのか自身には全く想像だに出来ない。
『あれ……?』
首を傾げ、射撃を止めてしまう。ピット君にばかり風当たりが厳しいのだ。何故かは分からない。ナチュレちゃんも私を狙っている傾向があるから、私達の耳に届かぬ様に小声で傷つけるな等と指示しているのかと思っていた理由だが、その傍らで“何をしておるのじゃ!”と叱責の声さえ聞こえて来る。察するに、彼女の指示ではないらしい。一体何が起こっているのか。両足の動きさえ停止してしまう折、目の前に突如花束が差し出された。贈り主は無論ガード兵。何と……その場で戦闘していたガード兵がゴソゴソと花束を所持し私に向けて次々と差し出してくるのだ。これには流石の私も対応に困る。言葉を話さずとも嬉々としている様子が伝達されどうすれば得策かと頭を捻っている、だがいまいち効果は得られない。『ど、どうしよう』
「ぬおおっ!何、セラに惚れとるのじゃ!気持ちは分かるが、シャキッとせい!!」
「セラちゃんは誰からも愛されてるねぇ」
『……ピット君。どうしよう』
ーー波動ビーム!!!!
……僅か数秒であった。技名が聞こえたと思えば目の前に差し出されていた色とりどりの花束は無残にも散ってしまう。綺麗に咲き誇っていた花片は宙に舞い、彩りを見せた。波動ビームの威力と修羅の如く形相を纏うピット君が心臓部へガード兵を吹き飛ばしているのが瞳孔に映る。何が起こったのかはたまた理解が追い付かなかったが、綺麗な花片が虚しくも散ってしまった事実だけが胸に留まった。
「あのシールドが……!」
「ピット、セラ、周囲のガード兵をジェネレーターにふっとばしてみなさい。強い誘爆で、シールドが外れるはずです」
『(あれ。さっきのやり取り、なかった事にされてる……)』
絶妙なタイミングと間合いで波動ビームが繰り出されていたのに、全て無視され触れずに終了してしまう。誰が見ても震え上がると思うピット君の形相も通常に戻り、パルテナ様からの助言を大いに活用し、動いている。色々と質問したい事柄があるがまたはぐらかされてしまうだろう。以前にも似た様な出来事があった気もするが、良く覚えていないので思い出すのは止めておいた。兎に角、私もピット君と共にパルテナ様の助言を活かしガード兵を心臓部改めジェネレーターへぶつけて行こうと思う。それには渾身の一撃が必要だ。