第12章 初期化爆弾の恐怖(後編)
セラ
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
いつもの調子で神器を手中に間合いを詰めるべく動き出した所、何分前だったか戦闘に用いたギガスが端っこできちんと収納されているのが垣間見える。無論ギガスを使わない手はない。これもパルテナ様の助力が実を結んでいるからこそ私達は今もこうしてギガスに乗り込み魔物浄化に中たれる、有り難いことこの上ない。
「ピット、セラよ。そなた等も食事を摂るじゃろう?」
「セラちゃんの料理は宇宙一だからね。なんでもモリモリいただきますとも」
『ありがとう。私も何でも食べるかなぁ』
「それ等はすべて自然の恵みじゃ。それがこともあろうに、自然軍にあらがう血肉となろうとは、無情よのう」
『えーっと……』
「いや、僕達が食べてるの自然軍じゃないから」
ギガスで戦闘中。自然軍から派遣された魔物を順調に浄化していると、不意にナチュレちゃんが私達二人に話を振って来た。内容は食事についてだ。唐突だなあと思うも、彼女の言い分も一理ある。確かに新鮮で美味しい野菜を仕入れ、料理の材料に使用するのは必須だ。彼女はそれが言いたいのだろう。けれどピット君は予想斜め上の返答をする。ナチュレちゃんの思惑が全くと言って良い程ピット君に伝達されてなくて、余りの可笑しさに笑ってしまった。見るからに息ピッタリだ。相性は絶対に良好の筈なのに、互いに認めそうもない。所属が違うと周囲も賛成しないだろうし、パルテナ様は過保護にもピット君を守りそうだ。大いに想像出来る。普段の私生活に於いても私を過剰に心配する傾向にあるからだ。ピット君にだって同等の扱いをするだろう。これではまるで何処かの人間が書き記したとされる“ロミオとジュリエット”の物語ではないか。
『ピット君、大丈夫!私が応援してあげるから!!』
「うん、ありがとう。……えっ?何を?」
ピット君に応援する姿勢を見せたが、何が何だか分からない様子。魔物を浄化する真っ只中であったが、彼は思わず足を止めた。恍けているのかはたまた気付いていないのか定かではないが、もしも気付いていないのならばこちらが旨を伝えて気付かせるよりも自ら気付くのが得策と考える。右手の人差し指を唇の前に持って行き、笑みを浮かべるとピット君は首を傾げながら顔全体を赤く染めていた。もしかしたら自身の本当の気持ちに気づいたのかもしれない。だとするならば腕の見せ所。これから張り切って二人をくっ付けてみせましょう!妨害は凄まじそうだが。
その前に、今日の夕食メニューは新鮮トマトソースが掛けられたスパゲッティにしようと思う。
「この先から中心部に向かえます」
「まかせてください!!パルテナ親衛隊長ピット!」
『パルテナ親衛副隊長セラ!』
「『初期化爆弾の脅威を消し去ります!』」
出現する魔物を全て浄化し終え、ギガスで移動出来ると気が付いた二人は一本道を黒い鉄機で移動する。一本の道程なのにも関わらず、浮遊する魔物は脇から攻撃しようと行動に出て来る……これもまた戦法らしい。一本の道程から円形の広場に出ると魔物の襲撃に遭遇。だが今は百人馬力のギガスが私達の味方。恐れるものは何もない。思い切り腕を振り払い打撃を加え、状況に合わせ間合いを取り連続射撃を加える。やっぱり楽しい。ギガスのお陰で戦闘時間が短縮出来ていると思う。いつもならば二人ががりでも時間がかかる場合があるが、もう既に全浄化だ。何と言う迅速さ。お見事。
「ここは心臓部へと直結しています。準備はいいですか?」
パルテナ様の声が両耳に届き、ピット君と顔を合わせ力強く首を縦に頷いた。エレベーターが私達を心臓部へと繋がる道迄運んでくれる。数分前はエレベーターが心臓部へと私達を運んでくれないものかと思ったがナチュレちゃんも暗黙の了解で理解しているらしい。じゃなかったら、こんな仕掛けを要塞に施したりはしなかっただろう。そんな考えを脳裏に過ぎらせながら、辿り着いた扉の前に天使二人は立ち尽くす。この扉を抜けると、ボスとの戦闘が幕を開ける。だが要塞を落とせば誰もが助かり、喜びで満ち溢れる未来が訪れるであろう。そう信じて、私達は扉を潜った。
「ここを攻略すれば要塞を落とせるはず」
「よし、あと一息だ!!」
『頑張らなくちゃね!!』
「そうはさせるか。ガード兵、出でよ!!」
扉を潜った私達の視界に入った光景は、只異様であった。咲き乱れる花から種の様な物質が垂れており、その周囲をバリアで守っている。パルテナ様が言っていた心臓部は間違いなくあの種の様な物質だろう。あの種を攻撃すればダメージは蓄積され、制裁を加えられる筈。どの様に攻撃すれば良いのか未だ掴めていないが取り敢えず行動に移すのみとピット君も私も散り散りに動き始めたのだけれど、安易に攻略させてくれる訳もなくナチュレちゃんは大声で何者かを召喚した。名はガード兵と言う。ガード兵と呼称された者達は、突如心臓部前に姿を現し必要かどうかは何とも言えないが格好良くポーズを決めたりして天使二人の前に立ち塞がった。
「ピット、セラよ。そなた等も食事を摂るじゃろう?」
「セラちゃんの料理は宇宙一だからね。なんでもモリモリいただきますとも」
『ありがとう。私も何でも食べるかなぁ』
「それ等はすべて自然の恵みじゃ。それがこともあろうに、自然軍にあらがう血肉となろうとは、無情よのう」
『えーっと……』
「いや、僕達が食べてるの自然軍じゃないから」
ギガスで戦闘中。自然軍から派遣された魔物を順調に浄化していると、不意にナチュレちゃんが私達二人に話を振って来た。内容は食事についてだ。唐突だなあと思うも、彼女の言い分も一理ある。確かに新鮮で美味しい野菜を仕入れ、料理の材料に使用するのは必須だ。彼女はそれが言いたいのだろう。けれどピット君は予想斜め上の返答をする。ナチュレちゃんの思惑が全くと言って良い程ピット君に伝達されてなくて、余りの可笑しさに笑ってしまった。見るからに息ピッタリだ。相性は絶対に良好の筈なのに、互いに認めそうもない。所属が違うと周囲も賛成しないだろうし、パルテナ様は過保護にもピット君を守りそうだ。大いに想像出来る。普段の私生活に於いても私を過剰に心配する傾向にあるからだ。ピット君にだって同等の扱いをするだろう。これではまるで何処かの人間が書き記したとされる“ロミオとジュリエット”の物語ではないか。
『ピット君、大丈夫!私が応援してあげるから!!』
「うん、ありがとう。……えっ?何を?」
ピット君に応援する姿勢を見せたが、何が何だか分からない様子。魔物を浄化する真っ只中であったが、彼は思わず足を止めた。恍けているのかはたまた気付いていないのか定かではないが、もしも気付いていないのならばこちらが旨を伝えて気付かせるよりも自ら気付くのが得策と考える。右手の人差し指を唇の前に持って行き、笑みを浮かべるとピット君は首を傾げながら顔全体を赤く染めていた。もしかしたら自身の本当の気持ちに気づいたのかもしれない。だとするならば腕の見せ所。これから張り切って二人をくっ付けてみせましょう!妨害は凄まじそうだが。
その前に、今日の夕食メニューは新鮮トマトソースが掛けられたスパゲッティにしようと思う。
「この先から中心部に向かえます」
「まかせてください!!パルテナ親衛隊長ピット!」
『パルテナ親衛副隊長セラ!』
「『初期化爆弾の脅威を消し去ります!』」
出現する魔物を全て浄化し終え、ギガスで移動出来ると気が付いた二人は一本道を黒い鉄機で移動する。一本の道程なのにも関わらず、浮遊する魔物は脇から攻撃しようと行動に出て来る……これもまた戦法らしい。一本の道程から円形の広場に出ると魔物の襲撃に遭遇。だが今は百人馬力のギガスが私達の味方。恐れるものは何もない。思い切り腕を振り払い打撃を加え、状況に合わせ間合いを取り連続射撃を加える。やっぱり楽しい。ギガスのお陰で戦闘時間が短縮出来ていると思う。いつもならば二人ががりでも時間がかかる場合があるが、もう既に全浄化だ。何と言う迅速さ。お見事。
「ここは心臓部へと直結しています。準備はいいですか?」
パルテナ様の声が両耳に届き、ピット君と顔を合わせ力強く首を縦に頷いた。エレベーターが私達を心臓部へと繋がる道迄運んでくれる。数分前はエレベーターが心臓部へと私達を運んでくれないものかと思ったがナチュレちゃんも暗黙の了解で理解しているらしい。じゃなかったら、こんな仕掛けを要塞に施したりはしなかっただろう。そんな考えを脳裏に過ぎらせながら、辿り着いた扉の前に天使二人は立ち尽くす。この扉を抜けると、ボスとの戦闘が幕を開ける。だが要塞を落とせば誰もが助かり、喜びで満ち溢れる未来が訪れるであろう。そう信じて、私達は扉を潜った。
「ここを攻略すれば要塞を落とせるはず」
「よし、あと一息だ!!」
『頑張らなくちゃね!!』
「そうはさせるか。ガード兵、出でよ!!」
扉を潜った私達の視界に入った光景は、只異様であった。咲き乱れる花から種の様な物質が垂れており、その周囲をバリアで守っている。パルテナ様が言っていた心臓部は間違いなくあの種の様な物質だろう。あの種を攻撃すればダメージは蓄積され、制裁を加えられる筈。どの様に攻撃すれば良いのか未だ掴めていないが取り敢えず行動に移すのみとピット君も私も散り散りに動き始めたのだけれど、安易に攻略させてくれる訳もなくナチュレちゃんは大声で何者かを召喚した。名はガード兵と言う。ガード兵と呼称された者達は、突如心臓部前に姿を現し必要かどうかは何とも言えないが格好良くポーズを決めたりして天使二人の前に立ち塞がった。