第12章 初期化爆弾の恐怖(後編)
セラ
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「セラの気持ちは良く分かった。じゃが、そなたの力にも興味があるし必ず自然軍に引き入れてやろうぞ!!」
『?!』
「ナチュレ。貴女はセラの力をご存知なのですか?」
「そうなのか?!ナチュレ!!」
「その力が強力なのは一目見て分かったぞよ。それぐらいかのう。じゃが、その力がセラを守っておるのやも知れぬ」
『……えっ?』
「その力諸共セラを頂く!覚悟しておくのじゃ!!セラ!!」
彼女の言葉に対し、呆気に取られた。まさか力について勘付かれていたとは言葉を失う。自然軍が活発化してから一度も会話に浮上していなかった。単純に考えていたのかもしれないけれど本気でばれていないと思っていた、だからこそ敢えて口外しなかったのだ。切り札は隠し持つからこそ意義があるのだと思う。切り札と呼称するのは危ういものだが、わざわざこちらの情報を開示する必要はない。だがその配慮も意味を成さなかったみたいだ。一つ疑問なのだがハデスはこちらの力に気付いているのだろうか。今迄一度も彼の口からそんな話題は出て来なかった。私を冥府軍に引き入れると豪語していた際も力については触れず“面白いから”と言う理由だけで緊迫感を与えたのだ。その辺り、メデューサとも相違する。メデューサの場合は割と露骨であった。彼女も彼女なりの理由があったと弁明しなければならないが。力欲しさに群がる種族から私を守る……きちんとした、確かな理由。今だから言うが、彼女は私を守ろうと必死になってくれていた。彼女が人間を憎む理由の一つでもあったのだ。それでも私は人々を守る為に今でも立ち上がって戦う。人々の優しさも同時に知っているからだ。この力は未だ私の中に居続けているが、必ずこの力が離れてくれると信じている。
「セラちゃん……」
『ピット君』
「……何?」
『私は戦うよ。皆を守る為に……君の隣で』
「うん、分かってる。そんな君を僕は変わらず守るよ」
「(どうやら……心配はいらなかったみたいですね)」
ナチュレちゃんのお陰で、自分の気持ちを再確認出来た気がする。変わらずパルテナ軍親衛副隊長として戦い続ける……大切な事実。笑んでは真っ直ぐ前を見据え歩み始める。不安がない訳ではない。力の件もそうだ、問題は山積みであるが一つ一つ乗り越えて行こうと思う。何より隣にはピット君とパルテナ様が居てくれている。エンジェランドに帰還すればイカロス達が待ってくれている……これ以上恵まれた環境等有りはしない。私が誇りに思うたった一つの要因なのかもしれない、そう考えると胸の奥がぽうっと温かくなるのを感じた。
「ええい!天使ふたりに何をてこずっておるのじゃ!!この要塞が落とされたら初期化爆弾が作れないぞよ!!」
「その為に攻めているのです。自然の女神よ、覚悟なさい」
ナチュレちゃんからの叱責が聞こえたと同時に、妨害が凄まじくなる。自然軍の本気とも取れる手厚い攻撃が私達を待ち構えていた。無論ぎりぎりの所迄引き付けて素早く躱したが、これで攻撃が終わりではない。恐らく今から攻撃のオンパレードが続くのだろう。だが、こちらとて只受け流すだけに留まらない。攻撃を二倍も三倍も返礼するのが筋と言うもの。ピット君は……既に行動へ移されており、多方面から受けそうになる攻撃を回避し上斜め方向に射撃していた。何とも手が早い。私も彼に習って、神器で魔物を薙ぎ払うとしよう。敵から放たれる攻撃を跳躍力で躱し、魔物の頭上から思い切り薙ぎ払っていた。立ち塞がる魔物等全てを浄化し終えた私達は、何処からともなく現れたエレベーターに乗り込みそこから上昇して行く。もうそろそろ心臓部に辿り着いても良いと思うのだが……なかなか難儀している。
「うッ。目がくらむ」
『あれ。外に出ちゃった』
上昇するエレベーターに身を委ねながら、この移動装置は何処迄進んで行くのだろう?等と考えていると、装置は役割を終わらせたのか地面に嵌まるとそのまま同化し動かなくなってしまった。ピット君と共に前を見据えて再び歩き始める。移動装置から真っ直ぐ伸びている一本の道。この道が心臓部へと直結しているのかと思いきやそうではなく、外へと続く道程だった。このまま心臓部へと移動さえすれば、時間短縮になるのだがそう簡単に事は運ばせてくれないらしい。何だか溜め息。妙な悲しみが胸中を過るが気にしない様にして外へ出た。暗い場所から明るい光が射す場所へ移動した性か、両眼が慣れずフラッシュが発せられた感覚に陥り条件反射で両眼を思い切り瞑る。戦場には有るまじき行為だ。何せ一瞬の隙が命取りになる場合もある、それ等を踏まえると攻撃を仕掛けられなくて良かったと思う。漸く両眼が光に慣れてきた所で再戦開始のコングが何処かで鳴り響いた気がした。
『?!』
「ナチュレ。貴女はセラの力をご存知なのですか?」
「そうなのか?!ナチュレ!!」
「その力が強力なのは一目見て分かったぞよ。それぐらいかのう。じゃが、その力がセラを守っておるのやも知れぬ」
『……えっ?』
「その力諸共セラを頂く!覚悟しておくのじゃ!!セラ!!」
彼女の言葉に対し、呆気に取られた。まさか力について勘付かれていたとは言葉を失う。自然軍が活発化してから一度も会話に浮上していなかった。単純に考えていたのかもしれないけれど本気でばれていないと思っていた、だからこそ敢えて口外しなかったのだ。切り札は隠し持つからこそ意義があるのだと思う。切り札と呼称するのは危ういものだが、わざわざこちらの情報を開示する必要はない。だがその配慮も意味を成さなかったみたいだ。一つ疑問なのだがハデスはこちらの力に気付いているのだろうか。今迄一度も彼の口からそんな話題は出て来なかった。私を冥府軍に引き入れると豪語していた際も力については触れず“面白いから”と言う理由だけで緊迫感を与えたのだ。その辺り、メデューサとも相違する。メデューサの場合は割と露骨であった。彼女も彼女なりの理由があったと弁明しなければならないが。力欲しさに群がる種族から私を守る……きちんとした、確かな理由。今だから言うが、彼女は私を守ろうと必死になってくれていた。彼女が人間を憎む理由の一つでもあったのだ。それでも私は人々を守る為に今でも立ち上がって戦う。人々の優しさも同時に知っているからだ。この力は未だ私の中に居続けているが、必ずこの力が離れてくれると信じている。
「セラちゃん……」
『ピット君』
「……何?」
『私は戦うよ。皆を守る為に……君の隣で』
「うん、分かってる。そんな君を僕は変わらず守るよ」
「(どうやら……心配はいらなかったみたいですね)」
ナチュレちゃんのお陰で、自分の気持ちを再確認出来た気がする。変わらずパルテナ軍親衛副隊長として戦い続ける……大切な事実。笑んでは真っ直ぐ前を見据え歩み始める。不安がない訳ではない。力の件もそうだ、問題は山積みであるが一つ一つ乗り越えて行こうと思う。何より隣にはピット君とパルテナ様が居てくれている。エンジェランドに帰還すればイカロス達が待ってくれている……これ以上恵まれた環境等有りはしない。私が誇りに思うたった一つの要因なのかもしれない、そう考えると胸の奥がぽうっと温かくなるのを感じた。
「ええい!天使ふたりに何をてこずっておるのじゃ!!この要塞が落とされたら初期化爆弾が作れないぞよ!!」
「その為に攻めているのです。自然の女神よ、覚悟なさい」
ナチュレちゃんからの叱責が聞こえたと同時に、妨害が凄まじくなる。自然軍の本気とも取れる手厚い攻撃が私達を待ち構えていた。無論ぎりぎりの所迄引き付けて素早く躱したが、これで攻撃が終わりではない。恐らく今から攻撃のオンパレードが続くのだろう。だが、こちらとて只受け流すだけに留まらない。攻撃を二倍も三倍も返礼するのが筋と言うもの。ピット君は……既に行動へ移されており、多方面から受けそうになる攻撃を回避し上斜め方向に射撃していた。何とも手が早い。私も彼に習って、神器で魔物を薙ぎ払うとしよう。敵から放たれる攻撃を跳躍力で躱し、魔物の頭上から思い切り薙ぎ払っていた。立ち塞がる魔物等全てを浄化し終えた私達は、何処からともなく現れたエレベーターに乗り込みそこから上昇して行く。もうそろそろ心臓部に辿り着いても良いと思うのだが……なかなか難儀している。
「うッ。目がくらむ」
『あれ。外に出ちゃった』
上昇するエレベーターに身を委ねながら、この移動装置は何処迄進んで行くのだろう?等と考えていると、装置は役割を終わらせたのか地面に嵌まるとそのまま同化し動かなくなってしまった。ピット君と共に前を見据えて再び歩き始める。移動装置から真っ直ぐ伸びている一本の道。この道が心臓部へと直結しているのかと思いきやそうではなく、外へと続く道程だった。このまま心臓部へと移動さえすれば、時間短縮になるのだがそう簡単に事は運ばせてくれないらしい。何だか溜め息。妙な悲しみが胸中を過るが気にしない様にして外へ出た。暗い場所から明るい光が射す場所へ移動した性か、両眼が慣れずフラッシュが発せられた感覚に陥り条件反射で両眼を思い切り瞑る。戦場には有るまじき行為だ。何せ一瞬の隙が命取りになる場合もある、それ等を踏まえると攻撃を仕掛けられなくて良かったと思う。漸く両眼が光に慣れてきた所で再戦開始のコングが何処かで鳴り響いた気がした。