第12章 初期化爆弾の恐怖(後編)
セラ
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「お見事です。セラ」
『えっへん!』
「太陽仮面〜!」
自身がパルテナ様に称賛されている真横で、太陽仮面の浄化を惜しむ悲痛な叫びが聞こえて来た気がするがきっと気の性だろう。
次なる道が開かれ、堂々と建っている建造物から中に入る。円形の地面が、移動装置の役割を担っており中心に乗り込んだ私達はそのまま下降して行く。経路は間違っていない筈だから、下へ向かうのが正解だ。
「ここは要塞の下の方ですね」
「やっぱり天然素材なのか……?」
『だとしたら凄いね』
移動装置は私達を乗せて下降し、地面にカチッと嵌ったかと思えば道上に成り得る。要塞の下の方へ辿り着いた天使二人は、道上を踏みしめ一歩一歩歩く。冥府軍と交戦中であっても侵入者は決して許さない。多方面からの攻撃が激しい。真っ直ぐ指し示されている道を迷わず突き進みながら初期化爆弾に関する情報が展開される。
「ここで初期化爆弾を育てているようですね。あたかも樹になる果実のように」
「よく分かっておるではないか」
初期化爆弾が生成される過程はやはり通常の爆弾生成とは異なり爆薬を使用しないのか。樹から爆弾を実らせるとは自然王ならではの発想と言える。爆弾の威力と言い、悍ましさと言い、禁断の果実と称しても差し支えない。知恵の実よりもよっぽど危険な代物だ。辺り一面を砂上にするのではなく、植物化する悪辣さ。不快故に眉間に皺が寄る。冗談じゃない。
「熟れた実をボトリと落としてそこら一帯ともども腐らせるワケだね?」
「腐る と言う言い方は正しくなかろう」
「でも、あながち外れてもいないでしょ?」
「腐ったものは微生物によって分解され、自然に還元するからの。これも摂理というものじゃ!!」
自信たっぷりに言い放っちゃっておりますが、理解は全く進まない。眉間に皺を寄せてナチュレちゃんとハデスの話に耳を傾けながら如何にも広い道上へと足を踏み入れる。途端、何処から湧いて出たのか突如目の前に魔物の集団が集結する。これで何度目?と問い掛けたい所だが敢えて黙っておく。聞くだけ野暮な気がするから。兎に角何処からともなく出現した魔物等相手に構え、打撃攻撃を繰り返す。ゲーム用語を借用するならば、“連続コンボ”である。三方向に道が分かれており、私達は一番右側の道を進行したいのだがうまく事は運んでくれず右側の道前には魔物等が犇めき行く手を塞いでいた。察するに魔物等がこちらが進行したい方向を勘付いたみたいなのだ。いらぬ観察力である。下手したら、指示を出したのはナチュレちゃんで魔物等は彼女の言葉に従っただけかもしれない。こちらも引けを取らないが参謀もなかなか優れているみたいだ。犇めいている魔物等を浄化しないと次には進めない。単純計算を即座に行い、ピット君と絶妙なコンビネーションで次々と浄化する。さぞパルテナ様は満悦な表情を浮かべているだろう。見えないから飽く迄勘だが。
右側の道が開け、真っ直ぐ突き進む。侵入者を惑わす算段なのか、道は複雑化している。ピット君に至っては道は一つに繋がっていると考えているのか迷いなくサクサクと歩行を進め、時に神器を駆使し道を阻もうと目論み動く魔物等を除外しているのが窺える。誰がどう見てもスタイリッシュだ。出来れば、私も見習いたい。
「ものども!侵入者を殲滅せよ!!」
少しは迷っても良いようなものだが、そんな気配は見せていない。このぐらいではへこたれないと言う訳なのか。伊達に戦い慣れていない。上記の考えが思考回路を巡る中、ナチュレちゃんの指示が空中に飛び交い“ものども”と呼称された異形の敵が姿を現す。続々と姿を現した者の中にはカブトムシに近しい敵も居る。
「このカブトムシのような敵は……?!」
「アメフォンじゃな。冬虫夏草の一種じゃな」
『冬虫夏草って異国では薬にもなるって言うあの……?』
「セラちゃん、詳しいね」
『うん。前に図鑑で見たの』
「甲殻部分に攻撃は効かないようです。背後に回りこむと良いでしょう」
「余計なことを言うでない!!」
アメフォンと名乗っているカブトムシに近しい敵は、異国で薬の材料にもなっている冬虫夏草の一種らしく甲殻部分を突き出し私達目掛けて突進して来る。自由自在に動き回っているが、体内に菌類を育成させていると思うと神秘的なのだろうが少々気味が悪い。パルテナ様のアドバイスに従い、背後に回った所を目玉の様な部分にすかさず射撃を打ちダメージを蓄積させ浄化に繋げる。戦闘の今この瞬間、菌の意思だけで動いているのだろうか。既に浄化してはいるが、考察すればする程身の毛が立ってしまう。深く考えるとそれこそ負けな気がするのでこの話題とはさよならするが胸中で言えるとしたら虫でなくて良かった……この一言に尽きる。
『えっへん!』
「太陽仮面〜!」
自身がパルテナ様に称賛されている真横で、太陽仮面の浄化を惜しむ悲痛な叫びが聞こえて来た気がするがきっと気の性だろう。
次なる道が開かれ、堂々と建っている建造物から中に入る。円形の地面が、移動装置の役割を担っており中心に乗り込んだ私達はそのまま下降して行く。経路は間違っていない筈だから、下へ向かうのが正解だ。
「ここは要塞の下の方ですね」
「やっぱり天然素材なのか……?」
『だとしたら凄いね』
移動装置は私達を乗せて下降し、地面にカチッと嵌ったかと思えば道上に成り得る。要塞の下の方へ辿り着いた天使二人は、道上を踏みしめ一歩一歩歩く。冥府軍と交戦中であっても侵入者は決して許さない。多方面からの攻撃が激しい。真っ直ぐ指し示されている道を迷わず突き進みながら初期化爆弾に関する情報が展開される。
「ここで初期化爆弾を育てているようですね。あたかも樹になる果実のように」
「よく分かっておるではないか」
初期化爆弾が生成される過程はやはり通常の爆弾生成とは異なり爆薬を使用しないのか。樹から爆弾を実らせるとは自然王ならではの発想と言える。爆弾の威力と言い、悍ましさと言い、禁断の果実と称しても差し支えない。知恵の実よりもよっぽど危険な代物だ。辺り一面を砂上にするのではなく、植物化する悪辣さ。不快故に眉間に皺が寄る。冗談じゃない。
「熟れた実をボトリと落としてそこら一帯ともども腐らせるワケだね?」
「腐る と言う言い方は正しくなかろう」
「でも、あながち外れてもいないでしょ?」
「腐ったものは微生物によって分解され、自然に還元するからの。これも摂理というものじゃ!!」
自信たっぷりに言い放っちゃっておりますが、理解は全く進まない。眉間に皺を寄せてナチュレちゃんとハデスの話に耳を傾けながら如何にも広い道上へと足を踏み入れる。途端、何処から湧いて出たのか突如目の前に魔物の集団が集結する。これで何度目?と問い掛けたい所だが敢えて黙っておく。聞くだけ野暮な気がするから。兎に角何処からともなく出現した魔物等相手に構え、打撃攻撃を繰り返す。ゲーム用語を借用するならば、“連続コンボ”である。三方向に道が分かれており、私達は一番右側の道を進行したいのだがうまく事は運んでくれず右側の道前には魔物等が犇めき行く手を塞いでいた。察するに魔物等がこちらが進行したい方向を勘付いたみたいなのだ。いらぬ観察力である。下手したら、指示を出したのはナチュレちゃんで魔物等は彼女の言葉に従っただけかもしれない。こちらも引けを取らないが参謀もなかなか優れているみたいだ。犇めいている魔物等を浄化しないと次には進めない。単純計算を即座に行い、ピット君と絶妙なコンビネーションで次々と浄化する。さぞパルテナ様は満悦な表情を浮かべているだろう。見えないから飽く迄勘だが。
右側の道が開け、真っ直ぐ突き進む。侵入者を惑わす算段なのか、道は複雑化している。ピット君に至っては道は一つに繋がっていると考えているのか迷いなくサクサクと歩行を進め、時に神器を駆使し道を阻もうと目論み動く魔物等を除外しているのが窺える。誰がどう見てもスタイリッシュだ。出来れば、私も見習いたい。
「ものども!侵入者を殲滅せよ!!」
少しは迷っても良いようなものだが、そんな気配は見せていない。このぐらいではへこたれないと言う訳なのか。伊達に戦い慣れていない。上記の考えが思考回路を巡る中、ナチュレちゃんの指示が空中に飛び交い“ものども”と呼称された異形の敵が姿を現す。続々と姿を現した者の中にはカブトムシに近しい敵も居る。
「このカブトムシのような敵は……?!」
「アメフォンじゃな。冬虫夏草の一種じゃな」
『冬虫夏草って異国では薬にもなるって言うあの……?』
「セラちゃん、詳しいね」
『うん。前に図鑑で見たの』
「甲殻部分に攻撃は効かないようです。背後に回りこむと良いでしょう」
「余計なことを言うでない!!」
アメフォンと名乗っているカブトムシに近しい敵は、異国で薬の材料にもなっている冬虫夏草の一種らしく甲殻部分を突き出し私達目掛けて突進して来る。自由自在に動き回っているが、体内に菌類を育成させていると思うと神秘的なのだろうが少々気味が悪い。パルテナ様のアドバイスに従い、背後に回った所を目玉の様な部分にすかさず射撃を打ちダメージを蓄積させ浄化に繋げる。戦闘の今この瞬間、菌の意思だけで動いているのだろうか。既に浄化してはいるが、考察すればする程身の毛が立ってしまう。深く考えるとそれこそ負けな気がするのでこの話題とはさよならするが胸中で言えるとしたら虫でなくて良かった……この一言に尽きる。