第12章 初期化爆弾の恐怖(後編)
セラ
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今回の荒技で強引に着地体勢を取ったピット君は、その反動で地面と仲良しこよしを強いられる。いつものパターンであるならば瞬時に目を覚まし、神器を手中にそそくさと戦闘態勢に入るのが決まってなのだが、荒技が相当効いているのか未だに彼は目を覚まさない。反射で苦笑いを浮かべながら、ピット君を起こす作業にいそいそと取り掛かる。正直、私一人で初期化爆弾要塞を攻略しても良いのだけれど事情を知らない彼はきっと慌ててしまうだろう。余りにも心配して色んな場所を捜索し始めるかもしれない。彼ならば充分有り得る。少々心配性な彼の為を思うと何だか忍びないので、此処は正当に二人で攻略しよう。
そんな考えに至りながら、ピット君を揺さぶり起こすと彼は身じろぎながらゆっくりと目を覚ました。両目をしぱしぱさせて、周囲を見渡し神器を手中に何事もなかったかの如く立ち上がる。完璧に戦闘態勢だ。急に勇ましくなるピット君の横顔を見つめ、自身もすくりと立ち上がり確と前方を向く。初期化爆弾要塞を攻略し、二度と初期化爆弾を製造出来ぬ様に私達が食い止めなければならない。その思いを胸中に宿し、私達は風が吹き抜ける中粛清に歩き始めた。
「たったふたりでノコノコと。いい度胸じゃ。ものどもであえ!丁重にもてなしてやるのじゃ!」
ナチュレちゃんの威勢の良い声が両耳に届く。その声と言葉が、自然軍に属する魔物等への号令であったのか、形状が四角い路上に足を踏み入れた途端魔物等が私達を取り囲みいかせまいと行く手を阻んで来た。右往左往に歩き、攻撃を回避し瞬く間に浄化してみる。彼女にとっては目に入れても痛くない程愛でているだろうそれ。量産している魔物であり、普段のナチュレちゃんからは想像出来ないが意外な一面と言った具合で魔物等をナデナデしているかもしれない。人ではなく、自然の女神であるが見た目で判断してはいけないとは良く言ったものだ。そう考えると、何だか顔が綻んでしまう。私もこの任務が終わったらイカロス達をナデナデしてあげよう。
「この敵は……!」
「その名も“コロコロ爆弾”じゃ」
『そのままなんだね』
戦闘時にも関わらずつい顔が綻んでしまい、慌てて両手で両頬をぱしぱし叩き表情を真剣なものへと戻す。背中合わせに戦っていたからかピット君に表情を見られなかったのが唯一の救いだ。表情を元に戻した所で戦闘に焦点を合わせ、神器で魔物等を次々に浄化して見せる…華麗な動きを混じえて。誰がどう見ても順調だと言える。けれど、華麗に浄化している天使の前に今の場面に似つかわしくない魔物が登場し、若干拍子抜け。“コロコロ爆弾”と如何にも名が体を表している。と言うのも一つ目でギョロ目、導火線に火が点いており、コロコロと称するだけあって車輪が付いている。意思があるかは不明。導火線に火が点いているのを見ると、勿論タイムリミットがある。導火線が爆弾へと到達してしまったら、爆発に巻き込まれダメージを受けてしまうかもしれない。
「ストレートな名前ですがさっくり浄化しちゃいましょう。爆風にだけは気をつけて」
パルテナ様からのアドバイスに二人で顔を見合わせ首を縦に頷くと、私達は四方八方に散り遠方から狙いを定め射撃を加える。爆発に巻き込まれない様に目にも留まらぬ速さで浄化するか或いは爆発が引き起こるのを待って安全な位置で自滅してくれるのを待つか…どちらかの選択肢を選ばなくてはならないのだが……どうやら答えは既に決定していたみたいだ。先に浄化するか、勝手に浄化されるのを待つか。ピット君は以前にも話したと思うが血気盛んなお年頃なので当然勝手に浄化されるのを待っているそんな器ではない。先手必勝と言わんばかりに話題のコロコロ爆弾を含め次々と魔物を浄化し、次に進むべき道を勝手に切り開いていた。一秒でも早く初期化爆弾要塞を墜したいのだろう。人々に今も尚危機が迫っているから。その全てを取り除いてあげたいのだろう。時間短縮と言えば聞こえは良いが、性急と言われてしまえばそれ迄だ。気持ちは痛い程伝わって来るのだけれど、何故だか分からないが急に溜め息を吐きたくなってしまった。
溜め息を吐きつつ、歩行を進めていると数メートル前方に見覚えのあるビジュアルの乗り物が私達二人に乗って貰うのを待ってくれているかの如く粛々と存在しているのが見えた。そう、ギガスだ。
「この先、ギガスを送っておきました」
「神の力で動く鉄機か。こざかしい」
「乗り込めばジャンプで段差を越えられますよ」
パルテナ様が機転を利かせてくれたお陰で、数メートル先で折りたたまれていた二機のギガスにそれぞれ乗り込み多大なるパワーを大いに戦闘へ活用している。移動速度は決して高速ではないが、その分重みのある攻撃を敵側へお見舞い出来るし、ジャンプした際に引き起こる衝撃波で浄化出来る場合もあるのだ。勿論道上に段差があればあの胴体で飛び越えるのも可能。
そんな考えに至りながら、ピット君を揺さぶり起こすと彼は身じろぎながらゆっくりと目を覚ました。両目をしぱしぱさせて、周囲を見渡し神器を手中に何事もなかったかの如く立ち上がる。完璧に戦闘態勢だ。急に勇ましくなるピット君の横顔を見つめ、自身もすくりと立ち上がり確と前方を向く。初期化爆弾要塞を攻略し、二度と初期化爆弾を製造出来ぬ様に私達が食い止めなければならない。その思いを胸中に宿し、私達は風が吹き抜ける中粛清に歩き始めた。
「たったふたりでノコノコと。いい度胸じゃ。ものどもであえ!丁重にもてなしてやるのじゃ!」
ナチュレちゃんの威勢の良い声が両耳に届く。その声と言葉が、自然軍に属する魔物等への号令であったのか、形状が四角い路上に足を踏み入れた途端魔物等が私達を取り囲みいかせまいと行く手を阻んで来た。右往左往に歩き、攻撃を回避し瞬く間に浄化してみる。彼女にとっては目に入れても痛くない程愛でているだろうそれ。量産している魔物であり、普段のナチュレちゃんからは想像出来ないが意外な一面と言った具合で魔物等をナデナデしているかもしれない。人ではなく、自然の女神であるが見た目で判断してはいけないとは良く言ったものだ。そう考えると、何だか顔が綻んでしまう。私もこの任務が終わったらイカロス達をナデナデしてあげよう。
「この敵は……!」
「その名も“コロコロ爆弾”じゃ」
『そのままなんだね』
戦闘時にも関わらずつい顔が綻んでしまい、慌てて両手で両頬をぱしぱし叩き表情を真剣なものへと戻す。背中合わせに戦っていたからかピット君に表情を見られなかったのが唯一の救いだ。表情を元に戻した所で戦闘に焦点を合わせ、神器で魔物等を次々に浄化して見せる…華麗な動きを混じえて。誰がどう見ても順調だと言える。けれど、華麗に浄化している天使の前に今の場面に似つかわしくない魔物が登場し、若干拍子抜け。“コロコロ爆弾”と如何にも名が体を表している。と言うのも一つ目でギョロ目、導火線に火が点いており、コロコロと称するだけあって車輪が付いている。意思があるかは不明。導火線に火が点いているのを見ると、勿論タイムリミットがある。導火線が爆弾へと到達してしまったら、爆発に巻き込まれダメージを受けてしまうかもしれない。
「ストレートな名前ですがさっくり浄化しちゃいましょう。爆風にだけは気をつけて」
パルテナ様からのアドバイスに二人で顔を見合わせ首を縦に頷くと、私達は四方八方に散り遠方から狙いを定め射撃を加える。爆発に巻き込まれない様に目にも留まらぬ速さで浄化するか或いは爆発が引き起こるのを待って安全な位置で自滅してくれるのを待つか…どちらかの選択肢を選ばなくてはならないのだが……どうやら答えは既に決定していたみたいだ。先に浄化するか、勝手に浄化されるのを待つか。ピット君は以前にも話したと思うが血気盛んなお年頃なので当然勝手に浄化されるのを待っているそんな器ではない。先手必勝と言わんばかりに話題のコロコロ爆弾を含め次々と魔物を浄化し、次に進むべき道を勝手に切り開いていた。一秒でも早く初期化爆弾要塞を墜したいのだろう。人々に今も尚危機が迫っているから。その全てを取り除いてあげたいのだろう。時間短縮と言えば聞こえは良いが、性急と言われてしまえばそれ迄だ。気持ちは痛い程伝わって来るのだけれど、何故だか分からないが急に溜め息を吐きたくなってしまった。
溜め息を吐きつつ、歩行を進めていると数メートル前方に見覚えのあるビジュアルの乗り物が私達二人に乗って貰うのを待ってくれているかの如く粛々と存在しているのが見えた。そう、ギガスだ。
「この先、ギガスを送っておきました」
「神の力で動く鉄機か。こざかしい」
「乗り込めばジャンプで段差を越えられますよ」
パルテナ様が機転を利かせてくれたお陰で、数メートル先で折りたたまれていた二機のギガスにそれぞれ乗り込み多大なるパワーを大いに戦闘へ活用している。移動速度は決して高速ではないが、その分重みのある攻撃を敵側へお見舞い出来るし、ジャンプした際に引き起こる衝撃波で浄化出来る場合もあるのだ。勿論道上に段差があればあの胴体で飛び越えるのも可能。
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