第12章 初期化爆弾の恐怖(前編)
セラ
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太陽の光が私達を照らし、空を青々としている。こんなにも天気が良いと言うのに、任務中なのが玉に瑕。残念な気持ちを引き摺りながら、二軍の戦い合う姿を見つめている。時に蔓延る魔物等を浄化しては、漁夫の利状態を貫く私達。正々堂々と戦う身としては、傍観者の挙げ句横から奪取する如何にもな状況。良いのかなあって考えてしまうけれど、隣で戦うピット君は然程気にしていないみたいだ。能天気と言うか何というか。口には決して出さないが、羨ましいと思う。
「倒すべきターゲットはなんでしょうか?」
私がそんな思いに駆られているとは露知らず、隣で飛行する彼はパルテナ様に今回の任務内容を問い掛けている。
「自然王ナチュレの初期化爆弾がこのあたりに落とされようとしています」
『それらしきものは見えないね』
「えっ?!ど、どこですか?」
「まだ分からないのですが……。」
「冥府軍はともかく人間の街も滅んでしまいます。早く見つけなければ……!」
聞けば、出陣時にも少々話したと思うが別の初期化爆弾が既に完成しており、ナチュレちゃんは何処に投下しようか思案している所であった。無論、あんな悍ましい光景を二度と見ないで済む様に全力を尽くさなければならない。それは人間達と街を守り通す意味にも繋がって来る。初期化爆弾をどうにかするのが今回の任務と言えるだろう。しかし、未だ初期化爆弾の存在を認知していないらしい。投下されようとしているみたいだが、パルテナ様でさえ情報を掴めていない。一刻も早く見つけて対処しなければ。雲海の中をスピード上昇させながら、直進に飛行して行く。
雲海を抜けて、真っ青な空がまたしても顔を出し視界が開ける。初期化爆弾を発見するのに絶好の場面だ。恐らく私達よりもパルテナ様が真っ先に見つけてしまうとは思うが、その場に留まりキョロキョロ見渡してみる。
「見つけた!飛ばしますよ!!」
だがやっぱり見つからない。ガクンと肩を落としていると、パルテナ様が問題の標的を発見したのか、ピット君の飛行速度が一気に加速し、初期化爆弾へ直行する。そのスピードに置いて行かれない様風に乗せて飛行速度を加速させて行く。
「了解です!やってやります!あの凄まじい威力!どこにも落とさせません!!」
『必ず人々を守り通してみせます!!』
気合い充分。飛行速度を加速させ、ルート脱線を避けるべく気を配りながら一直線に初期化爆弾へ距離を狭めて行く。自然軍は冥府軍と只今絶賛交戦中。私達が初期化爆弾を狙っているとは夢にも思わないだろう。何せ冥府軍相手に手を焼いており、気が散っているのかこちら側には目もくれない。逆に好都合であるが、このまま事無きを得るとも思わず緊張感を走らせながら一刻も早く問題の標的へ向かおうと更に加速されるのだが………
「あっ!そなたらはなにをしておるのじゃ!!みなのもの!であえであえ!あのガガンボを落とすのじゃ!!」
「『ガ、ガガンボ?!』」
然う然ううまく行くものではない。冥府軍に気を取られている今ならば或いは……と思ったのだが、なかなか物事はうまく運んでくれず有って良い事が自然軍に初期化爆弾投下を未然に防ぐべく実行に移しているのを勘付かれてしまう。加速させ、懸命に距離を狭めているが、そのお陰で自然軍の奇襲に合う私達。勿論そんな妨害で屈服するパルテナ軍ではない。止まらぬ猛攻撃を物ともせず、神器で次々と浄化して行く。加速している状況を大いに利用しているからか動きも鮮やかだ。自画自讃と言われてしまうと否定出来ないが、少なくともパルテナ軍はどこの軍にも引けを取らない。それは胸を張って言える、事実だ。
「言われてしまいましたね」
『ひどーい!ナチュレちゃん!』
「なんの!虫の魂、百までって言いますよ!!」
「んー。ちょっと違うんじゃないんでしょうか」
妙に胸の中がほわっと温かくなっていると、ナチュレちゃんが私達にガガンボ呼ばわりする。心外だ。“ガガンボ”とはつまり大きい蚊を意味する。幾ら自然軍が企てた計略を打ち砕く目の上のタンコブだったとしても、言われたくない名称である。『蚊じゃなくて天使だもん!』ぷくうと両頬を膨らませながら、不服だと言わんばかりに魔物浄化に勤しむ。いつもより攻撃が荒っぽいのは仕方がないだろう。行動に思い切り出てしまう。パルテナ様は私達それぞれの反応を見ては苦笑いを浮かべた気がした。
心外な一言のお陰で、話が脱線しそうになるが私達は現在進行形で投下されている初期化爆弾をどうにかするべく未だ奮闘中なのであった。空中で勢いを付け、落下中の爆弾目掛けて飛行している天使二人。白い雲のトンネルを突っ切り、青い空が窺え、更に上昇する。然すれば、初期化爆弾の落下ポイントに到達。天使二人が何とか出来る大きさではないものが私達の真横を通過し、そのまま地上に向かって只落ちて行く。
「倒すべきターゲットはなんでしょうか?」
私がそんな思いに駆られているとは露知らず、隣で飛行する彼はパルテナ様に今回の任務内容を問い掛けている。
「自然王ナチュレの初期化爆弾がこのあたりに落とされようとしています」
『それらしきものは見えないね』
「えっ?!ど、どこですか?」
「まだ分からないのですが……。」
「冥府軍はともかく人間の街も滅んでしまいます。早く見つけなければ……!」
聞けば、出陣時にも少々話したと思うが別の初期化爆弾が既に完成しており、ナチュレちゃんは何処に投下しようか思案している所であった。無論、あんな悍ましい光景を二度と見ないで済む様に全力を尽くさなければならない。それは人間達と街を守り通す意味にも繋がって来る。初期化爆弾をどうにかするのが今回の任務と言えるだろう。しかし、未だ初期化爆弾の存在を認知していないらしい。投下されようとしているみたいだが、パルテナ様でさえ情報を掴めていない。一刻も早く見つけて対処しなければ。雲海の中をスピード上昇させながら、直進に飛行して行く。
雲海を抜けて、真っ青な空がまたしても顔を出し視界が開ける。初期化爆弾を発見するのに絶好の場面だ。恐らく私達よりもパルテナ様が真っ先に見つけてしまうとは思うが、その場に留まりキョロキョロ見渡してみる。
「見つけた!飛ばしますよ!!」
だがやっぱり見つからない。ガクンと肩を落としていると、パルテナ様が問題の標的を発見したのか、ピット君の飛行速度が一気に加速し、初期化爆弾へ直行する。そのスピードに置いて行かれない様風に乗せて飛行速度を加速させて行く。
「了解です!やってやります!あの凄まじい威力!どこにも落とさせません!!」
『必ず人々を守り通してみせます!!』
気合い充分。飛行速度を加速させ、ルート脱線を避けるべく気を配りながら一直線に初期化爆弾へ距離を狭めて行く。自然軍は冥府軍と只今絶賛交戦中。私達が初期化爆弾を狙っているとは夢にも思わないだろう。何せ冥府軍相手に手を焼いており、気が散っているのかこちら側には目もくれない。逆に好都合であるが、このまま事無きを得るとも思わず緊張感を走らせながら一刻も早く問題の標的へ向かおうと更に加速されるのだが………
「あっ!そなたらはなにをしておるのじゃ!!みなのもの!であえであえ!あのガガンボを落とすのじゃ!!」
「『ガ、ガガンボ?!』」
然う然ううまく行くものではない。冥府軍に気を取られている今ならば或いは……と思ったのだが、なかなか物事はうまく運んでくれず有って良い事が自然軍に初期化爆弾投下を未然に防ぐべく実行に移しているのを勘付かれてしまう。加速させ、懸命に距離を狭めているが、そのお陰で自然軍の奇襲に合う私達。勿論そんな妨害で屈服するパルテナ軍ではない。止まらぬ猛攻撃を物ともせず、神器で次々と浄化して行く。加速している状況を大いに利用しているからか動きも鮮やかだ。自画自讃と言われてしまうと否定出来ないが、少なくともパルテナ軍はどこの軍にも引けを取らない。それは胸を張って言える、事実だ。
「言われてしまいましたね」
『ひどーい!ナチュレちゃん!』
「なんの!虫の魂、百までって言いますよ!!」
「んー。ちょっと違うんじゃないんでしょうか」
妙に胸の中がほわっと温かくなっていると、ナチュレちゃんが私達にガガンボ呼ばわりする。心外だ。“ガガンボ”とはつまり大きい蚊を意味する。幾ら自然軍が企てた計略を打ち砕く目の上のタンコブだったとしても、言われたくない名称である。『蚊じゃなくて天使だもん!』ぷくうと両頬を膨らませながら、不服だと言わんばかりに魔物浄化に勤しむ。いつもより攻撃が荒っぽいのは仕方がないだろう。行動に思い切り出てしまう。パルテナ様は私達それぞれの反応を見ては苦笑いを浮かべた気がした。
心外な一言のお陰で、話が脱線しそうになるが私達は現在進行形で投下されている初期化爆弾をどうにかするべく未だ奮闘中なのであった。空中で勢いを付け、落下中の爆弾目掛けて飛行している天使二人。白い雲のトンネルを突っ切り、青い空が窺え、更に上昇する。然すれば、初期化爆弾の落下ポイントに到達。天使二人が何とか出来る大きさではないものが私達の真横を通過し、そのまま地上に向かって只落ちて行く。