第12章 初期化爆弾の恐怖(前編)
セラ
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前回の戦いに於いて、自然王ナチュレちゃんが率いる“自然軍”が活発な動向を見せ付けるべくデモンストレーションを掛けて来た。己の欲望を満たす為、地上界に住まう人間達が同族同士戦争を引き起こし武器と武器を搗ち合わせ戦闘を交える姿に憤りを感じあろう事か“初期化爆弾”を投下。地上界はたまた人間達に仇をなし、混沌を招いてしまう。張本人は粛清のつもりであったと思うが人間達に害を与え、干渉した時点でパルテナ軍と交戦する運命は必然的に決定していた。パルテナ様は冷静沈着な態度でナチュレちゃんに挑戦を申し込み、快く了承した彼女は戦士“剛力のロッカ”を送り込む。苦戦を強いられもしたが私達は討伐に成功。このまま自然軍の勢力も衰えるかと思いきや、それは見込み違いで次に投下する初期化爆弾は既に完成しており、人間達が住まう地上界がまたもや脅かされている。作戦を練るべく、帰還したがパルテナ様の思考にはもうチェック・メイトする切り札が詰まっているのかいつもの如くゲートから出陣する様に命じて来た。
「ピット」
『セラ』
「『出ます!』」
神器を手中に助走をつけゲートから勢い良く飛び立った。ピット君はパルテナ様からの恩恵である飛翔の奇跡を羽翼に宿し、スイスイと飛行する。私は…と言うと、隣の彼がショックを受ける為口を閉じておくが自力で飛行出来てしまうので時折吹き抜ける風に身を委ね、偶然にも同じ方角に向かっている鳥達と戯れてみる。やはり飛行して戦地に赴くのは気分が良いものだ。雲の間を突き進むと、真っ青な空がひょっこりと顔を出す。今日は気持ちが良い程天気は晴れの模様だ。
「冥府軍と自然軍が交戦しているようです」
「(セラちゃんが鳥達と戯れている姿も可愛い……はっ!!)冥府神ハデスと自然王ナチュレが対立しているということですか?(集中しろ!僕!)」
「当り前じゃ!」
「ナチュレ!」
『あっ!ナチュレちゃん!やっほー!』
「セラではないか。相変わらず麗しいのう。はっ!そうじゃない!生命をないがしろにする意味では人間以上に凶悪なやつらじゃ!」
「おっとぉ。おことばだね おじょうちゃん。このハデスさんがいるからこそ死せる者の安寧は保たれるのだよ?」
戦闘に鳥達を巻き込む訳には行かないので、なるべく遠くへ逃避する様に囁きサヨナラを告げる。危機的状況を理解したのか鳥達は方向転換し、飛行ルートを変更させて居た。ほっと胸を撫で下ろし、神器を構える。鳥達に向き合っていたから余り会話に入っていなかったけれど、心なしかピット君の両頬が赤い気もする。何故赤いのか私には良く分からない。思わず首を傾げてしまった。そんな中ではあるものの、浮遊する冥府軍、自然軍の魔物達を神器を使って立ち処に浄化。自然軍は頷けるが、何故冥府軍が戦っているのだろう?しかも自然軍と対立し、互いの軍同士の魔物等が捨て身覚悟で絶賛交戦中なのだ。前回は一切冥府軍は関与していない。否一切……と言う訳ではなかった。そもそも“願いのタネ”を餌に人間達に戦争をする様に嗾けたのは何を隠そうハデスであった。自然軍が活発な動向を見せたのも駄法螺に惑わされた者達へ怒りを募らせたからだ。裏で糸を引いていたのは明らかにハデス。もしかしたら、前回のパルテナ軍と自然軍が戦い合っていたのを影で見つめながらほくそ笑んでいたかもしれない。飽く迄自身の手は下さずに混沌を招く……“願いのタネ”の一件と言い、まるで傍観者の様な立ち振る舞いだ。これには私でも虫酸が走る。
「セラちゃん?久々の再会なのに挨拶もなしなの?おじさん、泣いちゃうなぁ」
『むーん。ハデスなんて知らないもん!』
「セラちゃんったら。どんな時でも可愛いんだから(益々惚れちゃいそうだよ!)」
二軍が交戦中。二軍にとってパルテナ軍は余り戦闘の対象に入っていないのか、いつもの様に攻撃を仕掛けられていない。眼中にないみたいだ。互いの軍を潰し合うので精一杯なのか、必要以上に接近されたりせず拍子抜けしている所だ。苦笑いを浮かべながら飛行していると、水辺らしき岩石が空中で浮遊しておりある種異様な景色が視界に入り込み、あっと驚いてしまう。目を奪われる美しさ、本心を言えばこのまま堪能していたかった所だけれどピット君の羽翼に宿る“飛翔の奇跡”は誰もがご存知の通り五分間だけその効力を持続させる奇跡。五分を過ぎてしまえば彼の羽翼は焼け落ちてしまう。そうなってしまっては元も子もない。自身の本心を直隠し、水辺らしき岩山を越え軌道は徐々に変更され上昇して行く。
「ピット、セラ、これはある意味チャンスです。この混乱を利用しましょう」
「ピット」
『セラ』
「『出ます!』」
神器を手中に助走をつけゲートから勢い良く飛び立った。ピット君はパルテナ様からの恩恵である飛翔の奇跡を羽翼に宿し、スイスイと飛行する。私は…と言うと、隣の彼がショックを受ける為口を閉じておくが自力で飛行出来てしまうので時折吹き抜ける風に身を委ね、偶然にも同じ方角に向かっている鳥達と戯れてみる。やはり飛行して戦地に赴くのは気分が良いものだ。雲の間を突き進むと、真っ青な空がひょっこりと顔を出す。今日は気持ちが良い程天気は晴れの模様だ。
「冥府軍と自然軍が交戦しているようです」
「(セラちゃんが鳥達と戯れている姿も可愛い……はっ!!)冥府神ハデスと自然王ナチュレが対立しているということですか?(集中しろ!僕!)」
「当り前じゃ!」
「ナチュレ!」
『あっ!ナチュレちゃん!やっほー!』
「セラではないか。相変わらず麗しいのう。はっ!そうじゃない!生命をないがしろにする意味では人間以上に凶悪なやつらじゃ!」
「おっとぉ。おことばだね おじょうちゃん。このハデスさんがいるからこそ死せる者の安寧は保たれるのだよ?」
戦闘に鳥達を巻き込む訳には行かないので、なるべく遠くへ逃避する様に囁きサヨナラを告げる。危機的状況を理解したのか鳥達は方向転換し、飛行ルートを変更させて居た。ほっと胸を撫で下ろし、神器を構える。鳥達に向き合っていたから余り会話に入っていなかったけれど、心なしかピット君の両頬が赤い気もする。何故赤いのか私には良く分からない。思わず首を傾げてしまった。そんな中ではあるものの、浮遊する冥府軍、自然軍の魔物達を神器を使って立ち処に浄化。自然軍は頷けるが、何故冥府軍が戦っているのだろう?しかも自然軍と対立し、互いの軍同士の魔物等が捨て身覚悟で絶賛交戦中なのだ。前回は一切冥府軍は関与していない。否一切……と言う訳ではなかった。そもそも“願いのタネ”を餌に人間達に戦争をする様に嗾けたのは何を隠そうハデスであった。自然軍が活発な動向を見せたのも駄法螺に惑わされた者達へ怒りを募らせたからだ。裏で糸を引いていたのは明らかにハデス。もしかしたら、前回のパルテナ軍と自然軍が戦い合っていたのを影で見つめながらほくそ笑んでいたかもしれない。飽く迄自身の手は下さずに混沌を招く……“願いのタネ”の一件と言い、まるで傍観者の様な立ち振る舞いだ。これには私でも虫酸が走る。
「セラちゃん?久々の再会なのに挨拶もなしなの?おじさん、泣いちゃうなぁ」
『むーん。ハデスなんて知らないもん!』
「セラちゃんったら。どんな時でも可愛いんだから(益々惚れちゃいそうだよ!)」
二軍が交戦中。二軍にとってパルテナ軍は余り戦闘の対象に入っていないのか、いつもの様に攻撃を仕掛けられていない。眼中にないみたいだ。互いの軍を潰し合うので精一杯なのか、必要以上に接近されたりせず拍子抜けしている所だ。苦笑いを浮かべながら飛行していると、水辺らしき岩石が空中で浮遊しておりある種異様な景色が視界に入り込み、あっと驚いてしまう。目を奪われる美しさ、本心を言えばこのまま堪能していたかった所だけれどピット君の羽翼に宿る“飛翔の奇跡”は誰もがご存知の通り五分間だけその効力を持続させる奇跡。五分を過ぎてしまえば彼の羽翼は焼け落ちてしまう。そうなってしまっては元も子もない。自身の本心を直隠し、水辺らしき岩山を越え軌道は徐々に変更され上昇して行く。
「ピット、セラ、これはある意味チャンスです。この混乱を利用しましょう」
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