第11章 自然王ナチュレ(後編)
セラ
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何時間…嫌、何分間こうして寝そべっていたのだろう。そもそも私はどうしてしまったのだろう。頭を打ってしまったのか記憶が曖昧だけれど、思い出せる限り思い返してみる。私、セラは何しに此処へ来たんだっけ。お散歩?おつかい?いいえ、どちらも違う。私は親衛副隊長としてミッションを達成すべく、ピット君と共に戦いに身を投じていたのだった。では何故、戦っていた天使が寝そべっていたのか。確か…魔物浄化に勤しんでいたら、空中から突如隕石の様な光が降って来て…衝撃波を喰らってしまった私達はくるくるくると落下。それから何分か気絶……していたのだと思う。恐らく今のが大まかな流れ。あらすじを立てるとしたらこんな感じだろう。私は何とか無事であったが、ピット君はどうなってしまったのか。少しでも現時点での状況を飲み込もうと閉じていた両瞼を徐々に開きながら視界から情報を伝達させるべくありとあらゆる景色を見つめているがぼんやりと映るだけで意味を成さない。こうしている間にも人々は虐げられている。そう思うとずっと寝そべっている訳には行かない。うつ伏せで倒れていた状態であったけれど、力を込めむくりと起き上がり周辺を見渡す。ぼんやりと映るだけに留まっていた視界は次第に回復し、木々の生い茂る様が飛び込んで来る。
『(此処が“初期化爆弾”の中か)』
そんな考えを過ぎらせながら、落下した際に吹き飛ばされた自身の神器を拾いに行こうとした刹那、数分前の私と同様うつ伏せで倒れているピット君の姿があった。
『!!ピット君!!』
大慌てでピット君に駆け寄る。何度も何度も呼び掛けるが応答がない。まさか衝撃波のダメージで深手を負ってしまった……?ダメージを受けた様に見えなかったのは、私だけだったのか。余りの状況に言葉を失う。だけれど身体は勝手に動き、いつの間にかピット君の後頭部を両膝で支える体勢を取っていた。要は膝枕である。名前を呼んだり、色々試してみたけれどぴくりともしない彼。考えたくないけれど、もしかして……彼はもう……この世には………
『嘘でしょ?ピット君……嘘だと言ってよ……。ピットくぅぅぅん!!』
まさか、こんな結末が待ち構えていたなんて……私自身現実を受け止められない。只管彼の名を呼び、両手で顔を覆っては悲しみを乗り越えんとする。
大丈夫。ピット君が守ろうとした世界を今度は私が精一杯守るよ。だから安らかに………
「ううッ……。」
「よかった。無事のようですね」
『やだ!私ったら!早とちりなんだから〜!!』
「いてッ!!」
うんともすんとも言ってくれないピット君に、最早手遅れなのかとあれやこれや思いを胸中に過らせる。今も昔も身を投げ捨て戦って来たピット君に敬意を表し、両手を胸の前に組み祈りを捧げる……コンマ3秒。だが、生命を絶たれたと思われたピット君が身じろぎ、唸り声を上げた。言わずもがな生きている。勝手な迄に早とちりをしてしまった私は、途端に羞恥が舞い降りて来て条件反射で立ち上がってしまった。その反動でピット君の後頭部は地面と激突。衝撃波に寄るダメージがなかったのは大いに結構だが、私の羞恥ダメージは割と喰らっている。後頭部を手で摩りながら戦闘態勢に入ったピット君を横に両頬をほんのり赤らめていた。
「セラは大丈夫ですか?怪我等してませんか?」
『はい!何ともないです!』
「それは良かった。ピットと共に頼みますね」
『はい!任せて下さい!』
パルテナ様と会話を交わし、木の幹が張り巡る入り口に立ち尽くす私達。神器を強く握り締めゆっくりと中に入って行く。外壁と呼称すれば良いのか、蔓や木の幹が無数に張り巡り爆心地を囲って狭い印象を受けたが、いざ中に入って行くと意外にだだっ広い。歩行スペース、走行スペースは充分にある。但し、棘の樹が生えている箇所にはダメージを受けるだろうから注意しなくてはならないがそれ以外はトラップもなさそうだし進行するに苦戦しなさそうだ。
「パルテナ軍親衛隊長、ピット。親衛副隊長、セラ。剛力のロッカ相手にどこまで粘れるか見ものじゃの」
「負けてたまるかッ!!」
『負けないんだから!!』
「うーん、うちの軍はピットとセラに頼り切りなのが弱点ですね。パルテナブートキャンプでも開いてイカロスを鍛えまくろうかしら」
『何その面白そうな感じ!(でも続かなさそう…)』
「いや、続かないと思いますよ……。もって三日ですかね」
『凄く興味はそそられるんだけどね』
トラップはないみたいだが、例の如く魔物達が出現し攻撃を仕掛けて来る。しかも今回は、冥府軍が相手ではないから初見の敵がうようよしており、浄化する際魔物の特性を考慮に入れて神器を揮わなければならない。色々と面倒である。まぁ、挑戦の申し込みをしておきながら今更後に引けないのは当然なのだがそう感じ取ってしまうのは愛嬌と言うことで。
『(此処が“初期化爆弾”の中か)』
そんな考えを過ぎらせながら、落下した際に吹き飛ばされた自身の神器を拾いに行こうとした刹那、数分前の私と同様うつ伏せで倒れているピット君の姿があった。
『!!ピット君!!』
大慌てでピット君に駆け寄る。何度も何度も呼び掛けるが応答がない。まさか衝撃波のダメージで深手を負ってしまった……?ダメージを受けた様に見えなかったのは、私だけだったのか。余りの状況に言葉を失う。だけれど身体は勝手に動き、いつの間にかピット君の後頭部を両膝で支える体勢を取っていた。要は膝枕である。名前を呼んだり、色々試してみたけれどぴくりともしない彼。考えたくないけれど、もしかして……彼はもう……この世には………
『嘘でしょ?ピット君……嘘だと言ってよ……。ピットくぅぅぅん!!』
まさか、こんな結末が待ち構えていたなんて……私自身現実を受け止められない。只管彼の名を呼び、両手で顔を覆っては悲しみを乗り越えんとする。
大丈夫。ピット君が守ろうとした世界を今度は私が精一杯守るよ。だから安らかに………
「ううッ……。」
「よかった。無事のようですね」
『やだ!私ったら!早とちりなんだから〜!!』
「いてッ!!」
うんともすんとも言ってくれないピット君に、最早手遅れなのかとあれやこれや思いを胸中に過らせる。今も昔も身を投げ捨て戦って来たピット君に敬意を表し、両手を胸の前に組み祈りを捧げる……コンマ3秒。だが、生命を絶たれたと思われたピット君が身じろぎ、唸り声を上げた。言わずもがな生きている。勝手な迄に早とちりをしてしまった私は、途端に羞恥が舞い降りて来て条件反射で立ち上がってしまった。その反動でピット君の後頭部は地面と激突。衝撃波に寄るダメージがなかったのは大いに結構だが、私の羞恥ダメージは割と喰らっている。後頭部を手で摩りながら戦闘態勢に入ったピット君を横に両頬をほんのり赤らめていた。
「セラは大丈夫ですか?怪我等してませんか?」
『はい!何ともないです!』
「それは良かった。ピットと共に頼みますね」
『はい!任せて下さい!』
パルテナ様と会話を交わし、木の幹が張り巡る入り口に立ち尽くす私達。神器を強く握り締めゆっくりと中に入って行く。外壁と呼称すれば良いのか、蔓や木の幹が無数に張り巡り爆心地を囲って狭い印象を受けたが、いざ中に入って行くと意外にだだっ広い。歩行スペース、走行スペースは充分にある。但し、棘の樹が生えている箇所にはダメージを受けるだろうから注意しなくてはならないがそれ以外はトラップもなさそうだし進行するに苦戦しなさそうだ。
「パルテナ軍親衛隊長、ピット。親衛副隊長、セラ。剛力のロッカ相手にどこまで粘れるか見ものじゃの」
「負けてたまるかッ!!」
『負けないんだから!!』
「うーん、うちの軍はピットとセラに頼り切りなのが弱点ですね。パルテナブートキャンプでも開いてイカロスを鍛えまくろうかしら」
『何その面白そうな感じ!(でも続かなさそう…)』
「いや、続かないと思いますよ……。もって三日ですかね」
『凄く興味はそそられるんだけどね』
トラップはないみたいだが、例の如く魔物達が出現し攻撃を仕掛けて来る。しかも今回は、冥府軍が相手ではないから初見の敵がうようよしており、浄化する際魔物の特性を考慮に入れて神器を揮わなければならない。色々と面倒である。まぁ、挑戦の申し込みをしておきながら今更後に引けないのは当然なのだがそう感じ取ってしまうのは愛嬌と言うことで。
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