第11章 自然王ナチュレ(前編)
セラ
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「貴女は……自然王ナチュレ!!ピット、セラ、様子を見てきなさい」
「『は、はい!!』」
パルテナ様は“自然王ナチュレ”と確かに名を呼んだ。パルテナ様の命に寄り、爆心地に接近すべく飛行スピードを上昇させる。乱雲が立ち込めている見るからに悍ましい状態。接近している最中、明らかに冥府の魔物と相違する魔物達が私とピット君の行く手を邪魔立てしようと目論んでいるのかそれ等が攻撃となって表れている。もしかして“自然王ナチュレ”が差し向けている魔物達だろうか。
「そなたが女神パルテナか。ご活躍のようじゃな」
「貴女がナチュレですね。緑や自然、大地を司る神」
徐々に接近している中でパルテナ様と会話を繰り広げている自然王。“自然王”だと名乗るぐらいだから、王族の人間で勝手に同族嫌悪しているのかと思いきやそうではなく、彼女もれっきとした神様らしいのだ。見かけで判断してはいけないと良くパルテナ様に言われていたけれど、正しくこの事を言うのだなと思わず苦笑いを浮かべてしまう。
「ふん。知っておったか。わらわも有名になったものじゃの」
「何故こんな酷いことを!!」
「人間は欲望に忠実で自らのことばかり考えておる。根も葉もないウワサ話で互いに殺し合える。生けるものの筋が通らんじゃろう。だから“初期化爆弾”で自然に還してやるのじゃ!!」
『そんな……』
向かって来る魔物等を浄化しつつ、目的地に接近して行く私とピット君。徐々に接近して行く度、どんどん悍ましさが増して行く。パルテナ様と自然王の会話が繰り広げられているのを聞いていると、最もらしい自然王の理由が空中に飛び交う。正直な心境を述べると、自然王の言い分も通らない訳ではない。人々に危害を加えて良い筈がないけれど、悲しみが悲しみを生む戦争が強制的に終わってくれて内心ホッとしているのも事実だ。天使が抱いて良い感情ではない。頭では分かっている。でも複雑な感情に支配されてしまうのも仕方がなくて、神器を揮ってはその感情を払拭させようとしていた。
「では、その人間を駆逐する貴女も摂理に反することになりませんか?」
「ほぉ、そのクチが言うか。そなたらは冥府の魔物を散々手に掛けておるが、これはよいのかの?」
「それは……。」
「浄化と言ってほしいですね。天に地上に仇なすものたちなのですから」
『(パルテナ様、流石だわ……)』
今回の戦いも何だか考えさせられてしまう。
パルテナ様も自然王も、右といえば左で一歩も引けを取らない。毅然とした態度で他の神様にもしっかり応対しているパルテナ様は本当に尊敬する。話を聞いているだけで自身の気持ちが揺らいでしまいそうになるのに、彼女は一切そんな様子はない。パルテナ様が方向を示して下さるから私もピット君も真っ直ぐ突っ走って行けるのだと改めて感服する。複雑な感情に支配されたりもするし、答えを見出だせない時だってある。現に先程も迷いが生じ、流されていた。だが、パルテナ様のお言葉を耳に留めているとうじうじ悩んでいても仕方がないのでは?と不思議にも思ってしまう。恐るべし、パルテナ様である。神器を揮って魔物等を浄化しつつ、進行していると木々と木々の枝が張り巡らされている状況を目撃する。ある種異様な光景だ。
「中に入りますよ、ピット セラ。」
張り巡らされている木々との間に円形の突き抜けた穴を発見する。どうやら此処から進入出来る様だ。何が起こるか分からないから、慎重に用心して木々の間を飛行して行く。木の幹に万が一ぶつかってしまったらダメージを受けてしまうだろうか。但し挑戦しようとは思わない。
「生命の力が暴走している……。」
ピット君が呟いた。木々が四方八方に張り巡らされ、入り組んでいるのが見て取れる。“初期化爆弾”の影響であるのは先ず間違いない。普通の爆弾ならば、周辺を吹き飛ばす威力を備えているが“初期化爆弾”は自然への成長を促している様に見える。まるで月とすっぽんだ。植物に害はないのか、自然王の怒りの矛先は全て人類に向いている印象だ。植物には慈しみを持っている…そう認識出来る。
「人間共は一方的に生物を狩り、木を切り、山を削り、自らだけは食物連鎖から逃れる。これも摂理に仇なすものであろう!!答えよ女神パルテナ!何故人間だけが特別と言えるのじゃ?!」
「人間が最も神に近い生物だからです。神は人類に介入してはなりません。そんな権利はない筈です」
「他の生けるもの全てを蹂躙しておるのじゃぞ!イナゴの様に自然を喰い尽くすサマを指をくわえて見ていろと言うのか?全て破壊され、手遅れにならない内にわらわが人間共を“浄化”してやろう!」
「『は、はい!!』」
パルテナ様は“自然王ナチュレ”と確かに名を呼んだ。パルテナ様の命に寄り、爆心地に接近すべく飛行スピードを上昇させる。乱雲が立ち込めている見るからに悍ましい状態。接近している最中、明らかに冥府の魔物と相違する魔物達が私とピット君の行く手を邪魔立てしようと目論んでいるのかそれ等が攻撃となって表れている。もしかして“自然王ナチュレ”が差し向けている魔物達だろうか。
「そなたが女神パルテナか。ご活躍のようじゃな」
「貴女がナチュレですね。緑や自然、大地を司る神」
徐々に接近している中でパルテナ様と会話を繰り広げている自然王。“自然王”だと名乗るぐらいだから、王族の人間で勝手に同族嫌悪しているのかと思いきやそうではなく、彼女もれっきとした神様らしいのだ。見かけで判断してはいけないと良くパルテナ様に言われていたけれど、正しくこの事を言うのだなと思わず苦笑いを浮かべてしまう。
「ふん。知っておったか。わらわも有名になったものじゃの」
「何故こんな酷いことを!!」
「人間は欲望に忠実で自らのことばかり考えておる。根も葉もないウワサ話で互いに殺し合える。生けるものの筋が通らんじゃろう。だから“初期化爆弾”で自然に還してやるのじゃ!!」
『そんな……』
向かって来る魔物等を浄化しつつ、目的地に接近して行く私とピット君。徐々に接近して行く度、どんどん悍ましさが増して行く。パルテナ様と自然王の会話が繰り広げられているのを聞いていると、最もらしい自然王の理由が空中に飛び交う。正直な心境を述べると、自然王の言い分も通らない訳ではない。人々に危害を加えて良い筈がないけれど、悲しみが悲しみを生む戦争が強制的に終わってくれて内心ホッとしているのも事実だ。天使が抱いて良い感情ではない。頭では分かっている。でも複雑な感情に支配されてしまうのも仕方がなくて、神器を揮ってはその感情を払拭させようとしていた。
「では、その人間を駆逐する貴女も摂理に反することになりませんか?」
「ほぉ、そのクチが言うか。そなたらは冥府の魔物を散々手に掛けておるが、これはよいのかの?」
「それは……。」
「浄化と言ってほしいですね。天に地上に仇なすものたちなのですから」
『(パルテナ様、流石だわ……)』
今回の戦いも何だか考えさせられてしまう。
パルテナ様も自然王も、右といえば左で一歩も引けを取らない。毅然とした態度で他の神様にもしっかり応対しているパルテナ様は本当に尊敬する。話を聞いているだけで自身の気持ちが揺らいでしまいそうになるのに、彼女は一切そんな様子はない。パルテナ様が方向を示して下さるから私もピット君も真っ直ぐ突っ走って行けるのだと改めて感服する。複雑な感情に支配されたりもするし、答えを見出だせない時だってある。現に先程も迷いが生じ、流されていた。だが、パルテナ様のお言葉を耳に留めているとうじうじ悩んでいても仕方がないのでは?と不思議にも思ってしまう。恐るべし、パルテナ様である。神器を揮って魔物等を浄化しつつ、進行していると木々と木々の枝が張り巡らされている状況を目撃する。ある種異様な光景だ。
「中に入りますよ、ピット セラ。」
張り巡らされている木々との間に円形の突き抜けた穴を発見する。どうやら此処から進入出来る様だ。何が起こるか分からないから、慎重に用心して木々の間を飛行して行く。木の幹に万が一ぶつかってしまったらダメージを受けてしまうだろうか。但し挑戦しようとは思わない。
「生命の力が暴走している……。」
ピット君が呟いた。木々が四方八方に張り巡らされ、入り組んでいるのが見て取れる。“初期化爆弾”の影響であるのは先ず間違いない。普通の爆弾ならば、周辺を吹き飛ばす威力を備えているが“初期化爆弾”は自然への成長を促している様に見える。まるで月とすっぽんだ。植物に害はないのか、自然王の怒りの矛先は全て人類に向いている印象だ。植物には慈しみを持っている…そう認識出来る。
「人間共は一方的に生物を狩り、木を切り、山を削り、自らだけは食物連鎖から逃れる。これも摂理に仇なすものであろう!!答えよ女神パルテナ!何故人間だけが特別と言えるのじゃ?!」
「人間が最も神に近い生物だからです。神は人類に介入してはなりません。そんな権利はない筈です」
「他の生けるもの全てを蹂躙しておるのじゃぞ!イナゴの様に自然を喰い尽くすサマを指をくわえて見ていろと言うのか?全て破壊され、手遅れにならない内にわらわが人間共を“浄化”してやろう!」