第11章 自然王ナチュレ(前編)
セラ
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時にふと思う。彼女の長い髪や綺麗な羽翼に隠れてしまうその小さな背中を見つめては「どのくらいその小さな背中に背負い込んでいるのだろう」って。
実を言うと……以前にも語った気がするけれど、何度何度も僕の脳裏を駆け巡るくらい彼女に対する悩みは尽きない。今日もまた彼女に関する悩み事が急増してしまった。不死鳥フェニックス戦に於いて冥府神ハデスがセラちゃんを冥府軍に引き入れると宣言する。理由はセラちゃんを気に入ったからだそうだ。あの言葉を耳にした途端、とてつもない怒りが沸々と込み上がったものだ。確かにセラちゃんは、愛くるしい存在であり彼女こそ名の通りの“天使”だ。そこに異論を唱えるつもりは毛頭ない。しかし、狙う者が多過ぎる。お陰で僕の苦労は絶えず、セラちゃんを守るべくフェニックス戦後だと言うのも忘れ射撃場で鍛錬を積んでいる。如何なる場合にも彼女を守り通せる様に……手中に治めた神器を強く握り締めて。
そんな折、彼女から僕を呼ぶ声が両耳に届く。
『ピット君〜?あっ!やっぱり此処に居た!ご飯出来たよ!食べましょ?』
鈴を転がす可愛いらしい声。声がした方向を振り返ると、セラちゃんが微笑みを浮かべ僕が鍛錬する様子を見守ってくれていた。彼女の微笑みを視界に入れ、微笑みを返しつつ、彼女と共に射撃場を出る。フェニックス戦も終え、我も忘れ鍛錬に励んでいたからか今更空腹であると気付く。空腹を知らせる腹の虫が周辺に響き、自身は疎か彼女の耳にもばっちり聞こえてしまう。
『今日のメニューはコロッケだよ!早く行きましょ!』
羞恥が舞い降りる中、僕の手を引き走り出すセラちゃん。その手から伝わる手の温もりがとても優しくて何だか妙にくすぐったくて、彼女に向けて微かな笑みを浮かべていた。
「ピット、セラ。今日はお疲れ様でした。まだ予断は許しませんが、食べないことには次に何かが起こっても対処出来ません。一先ず腹ごしらえを致しましょう。今日も食事が出来る事実に感謝して……」
「「『いただきます!!!』」」
彼女と共に食堂へ向かえば、既にパルテナ様が悠然と席に着いていた。イカロス達は……と言うと、セラちゃんの手伝いをしてくれているのかテーブルに皿を配布したり、料理を盛り付けられている皿を並べてくれているのが見て取れる。いつでも食べる準備は万端と言う事か。中央に着席しているパルテナ様から見て右側に着席し、その向かい側にセラちゃんが座る。準備を終えたイカロスから次々に着席して行く。そろそろ食事出来るかと思いきや、パルテナ様から今日のフェニックス戦を振り返るお言葉を頂戴する。パルテナ様の言う通りだ。まだまだ予断は許さない、何せハデスが人間達に願いのタネに関する情報、要は駄法螺を吹き混沌を招く作戦を練り、行動に移したのだ。そんな簡単に騙されないと思うが緊迫とした雰囲気が流れている。目の前に着席しているセラちゃんが下を俯かせたのが見えた。
手と手を合わせ、セラちゃんお手製コロッケに有り付くが彼女の悲しそうな表情が脳裏にこびり付いて離れなかった。
「セラちゃん!後で星でも観に行かない?」
『えっ?星?』
「そう!気分転換に……どうかな?」
『うん。良いよ』
後片付けをしている宛ら、彼女の顔に笑顔が戻ってほしいと星でも観に行かないか誘ってみた。食器洗いをしている彼女は、突然の僕の申し出に驚いたのかきょとんとしていたが直ぐに首を縦に頷き、承諾の返事を返してくれる。『食器洗いが終わったら、直ぐに行くね?』と言う彼女の言葉に相槌を打つと、星が良く見える野原へと足を運ぶ。エンジェランドでは星が綺麗に見える言わば天体スポットなのである。星が綺麗に見える天体スポット=ロマンチックなムードが約束されている場面でもあり、『ピット君、私……私ね……?ピット君に言わなくちゃいけないことがあるの』「セラちゃん……」なあんて感じの会話が成立するニヤける場面でもある。まぁ、セラちゃんに何か言われたとしてもポーカーフェイスを忘れては駄目だけれど。等と考えを巡らせながら、野原に到着する。僕の思った通り、空を見上げれば満天の星達が両目に飛び込んでくるかの様にきらきら瞬いていた。言わずもがな絶景だ。
『ピット君、お待たせ!』
「セラちゃん」
野原の上に座り込み、セラちゃんが来るのを今か今かと待ち侘びていると背後から彼女の声が聞こえて来る。後ろを振り返れば彼女が立ち尽くしており、微かな笑みに自身の心は安らぐ。笑みを浮かべつつ、彼女は満天の星達を見つめながら一言『綺麗だね』と呟く。
実を言うと……以前にも語った気がするけれど、何度何度も僕の脳裏を駆け巡るくらい彼女に対する悩みは尽きない。今日もまた彼女に関する悩み事が急増してしまった。不死鳥フェニックス戦に於いて冥府神ハデスがセラちゃんを冥府軍に引き入れると宣言する。理由はセラちゃんを気に入ったからだそうだ。あの言葉を耳にした途端、とてつもない怒りが沸々と込み上がったものだ。確かにセラちゃんは、愛くるしい存在であり彼女こそ名の通りの“天使”だ。そこに異論を唱えるつもりは毛頭ない。しかし、狙う者が多過ぎる。お陰で僕の苦労は絶えず、セラちゃんを守るべくフェニックス戦後だと言うのも忘れ射撃場で鍛錬を積んでいる。如何なる場合にも彼女を守り通せる様に……手中に治めた神器を強く握り締めて。
そんな折、彼女から僕を呼ぶ声が両耳に届く。
『ピット君〜?あっ!やっぱり此処に居た!ご飯出来たよ!食べましょ?』
鈴を転がす可愛いらしい声。声がした方向を振り返ると、セラちゃんが微笑みを浮かべ僕が鍛錬する様子を見守ってくれていた。彼女の微笑みを視界に入れ、微笑みを返しつつ、彼女と共に射撃場を出る。フェニックス戦も終え、我も忘れ鍛錬に励んでいたからか今更空腹であると気付く。空腹を知らせる腹の虫が周辺に響き、自身は疎か彼女の耳にもばっちり聞こえてしまう。
『今日のメニューはコロッケだよ!早く行きましょ!』
羞恥が舞い降りる中、僕の手を引き走り出すセラちゃん。その手から伝わる手の温もりがとても優しくて何だか妙にくすぐったくて、彼女に向けて微かな笑みを浮かべていた。
「ピット、セラ。今日はお疲れ様でした。まだ予断は許しませんが、食べないことには次に何かが起こっても対処出来ません。一先ず腹ごしらえを致しましょう。今日も食事が出来る事実に感謝して……」
「「『いただきます!!!』」」
彼女と共に食堂へ向かえば、既にパルテナ様が悠然と席に着いていた。イカロス達は……と言うと、セラちゃんの手伝いをしてくれているのかテーブルに皿を配布したり、料理を盛り付けられている皿を並べてくれているのが見て取れる。いつでも食べる準備は万端と言う事か。中央に着席しているパルテナ様から見て右側に着席し、その向かい側にセラちゃんが座る。準備を終えたイカロスから次々に着席して行く。そろそろ食事出来るかと思いきや、パルテナ様から今日のフェニックス戦を振り返るお言葉を頂戴する。パルテナ様の言う通りだ。まだまだ予断は許さない、何せハデスが人間達に願いのタネに関する情報、要は駄法螺を吹き混沌を招く作戦を練り、行動に移したのだ。そんな簡単に騙されないと思うが緊迫とした雰囲気が流れている。目の前に着席しているセラちゃんが下を俯かせたのが見えた。
手と手を合わせ、セラちゃんお手製コロッケに有り付くが彼女の悲しそうな表情が脳裏にこびり付いて離れなかった。
「セラちゃん!後で星でも観に行かない?」
『えっ?星?』
「そう!気分転換に……どうかな?」
『うん。良いよ』
後片付けをしている宛ら、彼女の顔に笑顔が戻ってほしいと星でも観に行かないか誘ってみた。食器洗いをしている彼女は、突然の僕の申し出に驚いたのかきょとんとしていたが直ぐに首を縦に頷き、承諾の返事を返してくれる。『食器洗いが終わったら、直ぐに行くね?』と言う彼女の言葉に相槌を打つと、星が良く見える野原へと足を運ぶ。エンジェランドでは星が綺麗に見える言わば天体スポットなのである。星が綺麗に見える天体スポット=ロマンチックなムードが約束されている場面でもあり、『ピット君、私……私ね……?ピット君に言わなくちゃいけないことがあるの』「セラちゃん……」なあんて感じの会話が成立するニヤける場面でもある。まぁ、セラちゃんに何か言われたとしてもポーカーフェイスを忘れては駄目だけれど。等と考えを巡らせながら、野原に到着する。僕の思った通り、空を見上げれば満天の星達が両目に飛び込んでくるかの様にきらきら瞬いていた。言わずもがな絶景だ。
『ピット君、お待たせ!』
「セラちゃん」
野原の上に座り込み、セラちゃんが来るのを今か今かと待ち侘びていると背後から彼女の声が聞こえて来る。後ろを振り返れば彼女が立ち尽くしており、微かな笑みに自身の心は安らぐ。笑みを浮かべつつ、彼女は満天の星達を見つめながら一言『綺麗だね』と呟く。
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