第10章 願いのタネ(前編)
セラ
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
只一つ言えるのはメデューサの時と同様に用心するに越したことはない。と言う事。ハデスに私の中に眠る強大な力を知られてしまってからでは遅いだろう。恐らくまたしても標的の対象になってしまう。
「ただ、火山に集結している冥府軍がいるようです。なので、火山地帯にやってきました」
こちらの手の内が明かされてしまってはあちらの思うツボ。ならばボロを出さず知らぬ存ぜぬで貫き通すのみ。これ以上ピット君とパルテナ様の負担を増大させる訳にはいかない。彼等に心中を悟られない様に胸の内で決意を固めていると空中から進路を変更し、下降して行く。
「こりゃ熱いトコですね!冥府軍はなぜこんなところに?」
景色が変化し、荒々しい山が連なる。冥府軍が活発に動いてくれているお陰で思いの外色んな場所に行けている気がする。街にも行ったし、海にも行った。崩壊した神殿にも行ったし、死神の住処にもトラップダンジョンにも魔王の城にも最近では冥府界にも行った。その中で様々な人達や天使にも出逢った。敵や味方それぞれの役割を担う人達。この先には一体何があるのだろう。
「“願いのタネ"を奪うためです」
この出逢いが確実に私を強くしてくれている。その事実が何より嬉しい。神器を扱う技術的な面だけじゃない。心さえ強くなっている気がするのだ。メデューサの戦いで何かが吹っ切れたのだろうか…?そうだと良い。
「願いのタネ?」
戦闘中なのにも関わらず笑みを浮かべてしまっているだなんて不自然だっただろうか?幸いピット君もパルテナ様も私の不自然な行動には気づいていない模様。向かって来る魔物達を順調に浄化しながら慌てて表情を真剣なものへと戻す。
「なんでもひとつだけ願いがかなえられるそうですよ。あらゆるものにとって羨望の品と言えるでしょうね」
「ハイ!僕は空を自由に飛べるようになりたいです!!」
「はいはい。わかりましたよ。それでですね……」
「キレイに流された!」
『(ピット君のお願い事って何か…可愛い)』
話を傍らで聞いていると“願いのタネ"なるものが存在するらしい。名の通り願い事が叶えられるタネなのだそうだ。現時点では出処は不明。タネなのだから育てれば木となり、やがて実を成すのでは等と考えてしまう私はいけないだろうか?けれどそのタネは何故冥府軍が奪おうとしているのだろう。頭の隅で考えを巡らせてみるけれど、妙案はこれと言って浮かばない。「冥府軍は、願いのタネに興味があるようですよ」
「あんなヤツらの手に渡ったらろくなことがないでしょう」
「なので、先に回収しましょう。急ぎますよ、ピット!セラ!」
『はい!』
「冥府軍に利用されるぐらいなら僕が願いをかなえてやるッ!!」
疑問が残るが取り敢えず願いのタネを冥府軍よりも先に取得する方向に決定した。言わずもがな冥府軍にタネを取られたが最後この世は光を失い、闇が世界を飲み込んでしまうだろう。人々が生き易い世界へ。だからこそ私達は今もこうして戦っている。山間を移動する中、今回の任務を順調に遂行すべく手中に治めていた神器を振るった。
「洞窟に飛び込みます」
パルテナ様の声が聞こえて来たと思えば、山と山との間に洞窟らしき穴が窺え、躊躇なく内側へと入って行く。然すればヒンヤリとした空気が肌に触れる。薄暗い空間が視界に広がっているが火山地帯でありながらもこういう場所が存在するのかと思いきや、洞窟を抜けるとそこはもう既にマグマが半円を描いていた。このマグマに触れれば一溜りもないだろうなと嫌な想像をしてしまった私は思わず生唾を飲み込む。
「うわぁ……。こりゃスゴイ!」『それでいて暑いね』
「このマグマは守護者の力によるものですね」
「『守護者?!』」
「火山に住む不死鳥フェニックスです」
「フェニックス……!」
自然の力とも言える火山を自由自在に操るとはさすがフェニックス。マグマを避けるのに精一杯で正直魔物の相手をしてられないのが現状。言わば厳しい立場にある。ピット君はどうなのかとちらりと盗み見れば余裕綽々の表情でマグマを回避しつつ、魔物をこれ見よがしに浄化していた。フェニックスの力で生み出されているとは言え、神器ではマグマに太刀打ち出来ない。残念ながらマグマを回避する以外方法がないらしい。こんな事なら今回飛翔の奇跡を羽根に宿してもらうべきだった。失敗した。
「まさか、願いのタネもフェニックスが作ったとか?」
「そうかもしれません。そうでないかもしれません」
「どっちですかッ!!」
願いのタネは、フェニックスが作った説。確かにそうであるならフェニックスの元にタネが在っても謎は残らない。だが彼女の返答が何方付かずだ。もしかしたら願いのタネに関しての情報が充分に得られていないのかもしれない。パルテナ様が答えをはぐらかすなんて余りなかったケースだ。
「ただ、火山に集結している冥府軍がいるようです。なので、火山地帯にやってきました」
こちらの手の内が明かされてしまってはあちらの思うツボ。ならばボロを出さず知らぬ存ぜぬで貫き通すのみ。これ以上ピット君とパルテナ様の負担を増大させる訳にはいかない。彼等に心中を悟られない様に胸の内で決意を固めていると空中から進路を変更し、下降して行く。
「こりゃ熱いトコですね!冥府軍はなぜこんなところに?」
景色が変化し、荒々しい山が連なる。冥府軍が活発に動いてくれているお陰で思いの外色んな場所に行けている気がする。街にも行ったし、海にも行った。崩壊した神殿にも行ったし、死神の住処にもトラップダンジョンにも魔王の城にも最近では冥府界にも行った。その中で様々な人達や天使にも出逢った。敵や味方それぞれの役割を担う人達。この先には一体何があるのだろう。
「“願いのタネ"を奪うためです」
この出逢いが確実に私を強くしてくれている。その事実が何より嬉しい。神器を扱う技術的な面だけじゃない。心さえ強くなっている気がするのだ。メデューサの戦いで何かが吹っ切れたのだろうか…?そうだと良い。
「願いのタネ?」
戦闘中なのにも関わらず笑みを浮かべてしまっているだなんて不自然だっただろうか?幸いピット君もパルテナ様も私の不自然な行動には気づいていない模様。向かって来る魔物達を順調に浄化しながら慌てて表情を真剣なものへと戻す。
「なんでもひとつだけ願いがかなえられるそうですよ。あらゆるものにとって羨望の品と言えるでしょうね」
「ハイ!僕は空を自由に飛べるようになりたいです!!」
「はいはい。わかりましたよ。それでですね……」
「キレイに流された!」
『(ピット君のお願い事って何か…可愛い)』
話を傍らで聞いていると“願いのタネ"なるものが存在するらしい。名の通り願い事が叶えられるタネなのだそうだ。現時点では出処は不明。タネなのだから育てれば木となり、やがて実を成すのでは等と考えてしまう私はいけないだろうか?けれどそのタネは何故冥府軍が奪おうとしているのだろう。頭の隅で考えを巡らせてみるけれど、妙案はこれと言って浮かばない。「冥府軍は、願いのタネに興味があるようですよ」
「あんなヤツらの手に渡ったらろくなことがないでしょう」
「なので、先に回収しましょう。急ぎますよ、ピット!セラ!」
『はい!』
「冥府軍に利用されるぐらいなら僕が願いをかなえてやるッ!!」
疑問が残るが取り敢えず願いのタネを冥府軍よりも先に取得する方向に決定した。言わずもがな冥府軍にタネを取られたが最後この世は光を失い、闇が世界を飲み込んでしまうだろう。人々が生き易い世界へ。だからこそ私達は今もこうして戦っている。山間を移動する中、今回の任務を順調に遂行すべく手中に治めていた神器を振るった。
「洞窟に飛び込みます」
パルテナ様の声が聞こえて来たと思えば、山と山との間に洞窟らしき穴が窺え、躊躇なく内側へと入って行く。然すればヒンヤリとした空気が肌に触れる。薄暗い空間が視界に広がっているが火山地帯でありながらもこういう場所が存在するのかと思いきや、洞窟を抜けるとそこはもう既にマグマが半円を描いていた。このマグマに触れれば一溜りもないだろうなと嫌な想像をしてしまった私は思わず生唾を飲み込む。
「うわぁ……。こりゃスゴイ!」『それでいて暑いね』
「このマグマは守護者の力によるものですね」
「『守護者?!』」
「火山に住む不死鳥フェニックスです」
「フェニックス……!」
自然の力とも言える火山を自由自在に操るとはさすがフェニックス。マグマを避けるのに精一杯で正直魔物の相手をしてられないのが現状。言わば厳しい立場にある。ピット君はどうなのかとちらりと盗み見れば余裕綽々の表情でマグマを回避しつつ、魔物をこれ見よがしに浄化していた。フェニックスの力で生み出されているとは言え、神器ではマグマに太刀打ち出来ない。残念ながらマグマを回避する以外方法がないらしい。こんな事なら今回飛翔の奇跡を羽根に宿してもらうべきだった。失敗した。
「まさか、願いのタネもフェニックスが作ったとか?」
「そうかもしれません。そうでないかもしれません」
「どっちですかッ!!」
願いのタネは、フェニックスが作った説。確かにそうであるならフェニックスの元にタネが在っても謎は残らない。だが彼女の返答が何方付かずだ。もしかしたら願いのタネに関しての情報が充分に得られていないのかもしれない。パルテナ様が答えをはぐらかすなんて余りなかったケースだ。