第9章 決戦!メデューサ(後編)
セラ
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そうならない為にも私自身がこの力について知る必要がある。パルテナ様が以前言っていた“力がどういうものなのか分かる時が来て、力を引き離す方法が見つかるかもしれない"希望の言葉。私が一歩踏み出さなければきっと見えて来ない答え。緊張感が走る中、メデューサが静かに口を開く。
『25年よりもずっと前からこの力があったのよね?!貴女は何か知ってるんでしょ?!知ってる事全部話して!!』
「確かに私とおまえが出逢った時にはもう既にその力はあった。何故その力がセラの中に秘められているのか、この私ですら分からないのだ。どうやらタナトスはセラの力を目の当たりにした様だが人間を塵にする等造作もないだろう」
『メデューサも分からないの?』
「強大な力だと言う事以外はな」
『…そう』
目を背けずに問い質したのは良いが、返って来た答えは無収穫と言える残念なものだった。メデューサならばもしかしたら…!と期待を抱いたが空振りに終わる。がくっと肩を落とし、落胆する私。檻の中で溜め息を吐いているとメデューサから私にとって朗報を聞く。どうやらピット君が順調にこちらへと接近している様なのだ。喜び故に自身の表情に笑顔が戻る。きっとパルテナ様のサポートの元、向かって来る魔物達を片っ端から浄化しているだろう。瞼を閉じれば、グラインドレールに乗りながら神器を振るっているピット君の勇姿がぼんやりと浮かんだ。
「グラインドレールを引きましたがさすがに妨害が厳しいです。ちょっとややこしいルートになりましたが、頑張って!」
「おまかせください!!」
ぐにゃっとしたルートに乗りながら、向かって来る魔物達を浄化して行く。二本に分かれているグラインドレール、どうやら上手く乗り換えて攻撃を回避しろと言う事らしい。岩間を摺り抜けるレール、落下する危険に細心の注意を払いながら進行して行く。何回転しただろう。
「確実に近づいて来ているな、ピットよ」
「覚悟しろ!メデューサ!!」
「ピット。お前が来るのを待てないよ。我ながら待ち焦がれている乙女のようだ」
「よせッ!キモチ悪い!!」
「おまえはしもべどもの仇だ。嘗て私を打ち砕いたのもおまえだ。しかし、対峙する事が何故か心地よい。かかってこい ピット。その翼をかみ砕き天とのつながりを断ち切ってやる」
「望むところだ、闇の女神!!」『(やっぱり、分かり合うのは…無理なのかな)』
耳に届いたやり取り、一句一句聞く度に私の心は悲愴に支配される。“メデューサ討伐"を胸に秘め、今の今迄戦って来た。どんなピンチもチャンスに変え、立ち向かって、勝利の二文字を掲げて来たのだ。今更趣旨を変えるつもりは毛頭ない。だが、もしもの話が存在するならば或いはと思った。
「セラちゃん!聞こえてる?!これで分かっただろ?!メデューサと和解するなんて無理だ!!君はもしかしたら分かり合えるとか思ってるかもしれないけれど、君を連れ去ってる時点で僕とメデューサが戦うのは決まっていた!!君は許せって言うかもしれない…けど僕はそこまで慈悲深くないし、力尽くでメデューサからセラちゃんを奪い返すつもりでいるから!!!」
『ピット君…』
伏目がちに彼の心情を受け止める。がその叫びは私の思いを覆して行く。最初から心の何処かで分かっていた。分かりきっていた筈なのに、何でこんなに寂しくなるのだろう?彼の言い分も伝わって来るのに、別の結末を望んでしまうのだろう?返す言葉も見つからず押し黙ってしまった私にメデューサが一言呟く。“覚悟しておけ、セラ。必ずおまえをピットから奪ってやる"と。
「これは、先が見えない……」
彼女はきっと思っている、メデューサと分かり合える…その可能性があるのではないか?と。天使に必要な慈悲深さが充分に備わっているからこそ、戦う以外の方法を見出そうとするのだ。時には冷酷な判断も必要なのだと彼女は知らない。自分が危険な目に遭っているにも関わらずだ。彼女がどう思ったか見当も付かないが偽りのない考えだけを真っ直ぐに伝えた。あの日溜まりの様な笑顔を隣で見つめていたいから。少し会えないだけで悲しい気持ちになるなんて思わなかった。彼女の無事な姿を見つめる迄は気は抜けない。目の前に広がる道のないルート。これは引き返せという事なのだろうか?グラインドレールに導かれ此処迄来たから間違っているとは思えない。
「ちゃんと道はある様です。スイッチを入れて、灯火を頼りに進みなさい」
然すれば耳に届く助言。どれもこれも一種の仕掛けであるらしい。パルテナ様の言葉通り向かって左側にあるスイッチを押す。灯火が道筋に変化するとは…裏を返せばそこから落ちる可能性も高いという事だ。慎重に歩幅を伸ばす。
『25年よりもずっと前からこの力があったのよね?!貴女は何か知ってるんでしょ?!知ってる事全部話して!!』
「確かに私とおまえが出逢った時にはもう既にその力はあった。何故その力がセラの中に秘められているのか、この私ですら分からないのだ。どうやらタナトスはセラの力を目の当たりにした様だが人間を塵にする等造作もないだろう」
『メデューサも分からないの?』
「強大な力だと言う事以外はな」
『…そう』
目を背けずに問い質したのは良いが、返って来た答えは無収穫と言える残念なものだった。メデューサならばもしかしたら…!と期待を抱いたが空振りに終わる。がくっと肩を落とし、落胆する私。檻の中で溜め息を吐いているとメデューサから私にとって朗報を聞く。どうやらピット君が順調にこちらへと接近している様なのだ。喜び故に自身の表情に笑顔が戻る。きっとパルテナ様のサポートの元、向かって来る魔物達を片っ端から浄化しているだろう。瞼を閉じれば、グラインドレールに乗りながら神器を振るっているピット君の勇姿がぼんやりと浮かんだ。
「グラインドレールを引きましたがさすがに妨害が厳しいです。ちょっとややこしいルートになりましたが、頑張って!」
「おまかせください!!」
ぐにゃっとしたルートに乗りながら、向かって来る魔物達を浄化して行く。二本に分かれているグラインドレール、どうやら上手く乗り換えて攻撃を回避しろと言う事らしい。岩間を摺り抜けるレール、落下する危険に細心の注意を払いながら進行して行く。何回転しただろう。
「確実に近づいて来ているな、ピットよ」
「覚悟しろ!メデューサ!!」
「ピット。お前が来るのを待てないよ。我ながら待ち焦がれている乙女のようだ」
「よせッ!キモチ悪い!!」
「おまえはしもべどもの仇だ。嘗て私を打ち砕いたのもおまえだ。しかし、対峙する事が何故か心地よい。かかってこい ピット。その翼をかみ砕き天とのつながりを断ち切ってやる」
「望むところだ、闇の女神!!」『(やっぱり、分かり合うのは…無理なのかな)』
耳に届いたやり取り、一句一句聞く度に私の心は悲愴に支配される。“メデューサ討伐"を胸に秘め、今の今迄戦って来た。どんなピンチもチャンスに変え、立ち向かって、勝利の二文字を掲げて来たのだ。今更趣旨を変えるつもりは毛頭ない。だが、もしもの話が存在するならば或いはと思った。
「セラちゃん!聞こえてる?!これで分かっただろ?!メデューサと和解するなんて無理だ!!君はもしかしたら分かり合えるとか思ってるかもしれないけれど、君を連れ去ってる時点で僕とメデューサが戦うのは決まっていた!!君は許せって言うかもしれない…けど僕はそこまで慈悲深くないし、力尽くでメデューサからセラちゃんを奪い返すつもりでいるから!!!」
『ピット君…』
伏目がちに彼の心情を受け止める。がその叫びは私の思いを覆して行く。最初から心の何処かで分かっていた。分かりきっていた筈なのに、何でこんなに寂しくなるのだろう?彼の言い分も伝わって来るのに、別の結末を望んでしまうのだろう?返す言葉も見つからず押し黙ってしまった私にメデューサが一言呟く。“覚悟しておけ、セラ。必ずおまえをピットから奪ってやる"と。
「これは、先が見えない……」
彼女はきっと思っている、メデューサと分かり合える…その可能性があるのではないか?と。天使に必要な慈悲深さが充分に備わっているからこそ、戦う以外の方法を見出そうとするのだ。時には冷酷な判断も必要なのだと彼女は知らない。自分が危険な目に遭っているにも関わらずだ。彼女がどう思ったか見当も付かないが偽りのない考えだけを真っ直ぐに伝えた。あの日溜まりの様な笑顔を隣で見つめていたいから。少し会えないだけで悲しい気持ちになるなんて思わなかった。彼女の無事な姿を見つめる迄は気は抜けない。目の前に広がる道のないルート。これは引き返せという事なのだろうか?グラインドレールに導かれ此処迄来たから間違っているとは思えない。
「ちゃんと道はある様です。スイッチを入れて、灯火を頼りに進みなさい」
然すれば耳に届く助言。どれもこれも一種の仕掛けであるらしい。パルテナ様の言葉通り向かって左側にあるスイッチを押す。灯火が道筋に変化するとは…裏を返せばそこから落ちる可能性も高いという事だ。慎重に歩幅を伸ばす。