第9章 決戦!メデューサ(前編)
セラ
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冥府の女王メデューサを討伐するべく、メデューサの配下であるタナトスが所持している“冥府の通行手形"を力尽で奪い、星賊から無理矢理“三種の神器"を取り返し準備万端にした上で私とピット君は今、ゲートから大空へと飛び立とうとしていた。
「装着!!」
三種の神器が収納されている不自然にも縦長の箱がゲート付近に設置されているのが窺える。噂の縦長の箱をピット君はあろう事かキックで箱を開け、何事もなかったかの様にその身に三種の神器を装備してゲートから勢い良く飛び出して行ってしまった。“こういう扱いで良いのかなぁ"と思いつつ、私も彼の後に続き自身が愛用している神器を持ち、ゆっくりとゲートから大空へと飛び立つ。空はまるでメデューサに味方してくれている様なそんな暗雲に覆われていた。
「来るべき時が来ました」
「いよいよ最後の戦いですね!」
『(とうとうこの時が来たのね。メデューサを討伐して、過去と決別する時が)』
「ゆえに、三種の神器を装備してもらいました」
例え天気が悪くても冥府の魔物に出会い頭襲撃されて返り討ちにしたとしても私達は前に進む。未だに冥府界に突入してさえいないと言うのに妨害は既に凄まじい。ピット君の隣でなるべく離れぬ様に注意を払いながら、向かって来る魔物を浄化する。注意を払って迄ピット君の隣で戦う必要もないのにと思われた方もいるだろう。率直に言うと私も心底思っている。寧ろ不本意な話だ。けれど、これは何を隠そうパルテナ様から懇願されたものだった。今回はメデューサの本拠地に乗り込む為当然リスクも伴う…と。メデューサが私の中に眠る力を狙っている以上強行手段に及ぶ可能性は非常に高い、だからこそ警戒も兼ねてなるべくピット君の傍から離れず戦ってほしい………それが出来ないのならば私の意志関係なく神殿で留守番させると半ば脅迫じみた言動をされてしまったのだ。納得は出来なかったけれど留守番させられるぐらいならばと渋々承諾したのは記憶に新しい。ピット君は地上界や天界に平和を齎す為に自分の生命を顧みず戦って来るのに私だけ戦わずに只、黙って傍観しているだけなんて卑劣な真似は出来なかった。優しいピット君の事だ、きっと彼は私を思って無茶をしてしまうだろう。それすら我慢ならなかった。私の問題だ。私が抱えている問題にピット君が胸を痛める必要はないのだ。これ以上彼の背中に重荷を背負わせたくはなかった。
「ペガサスの翼は、飛翔の奇跡が効きにくいのでは?」
「えぇ。だから機能は閉じています。まずは飛翔の奇跡で行きましょう」
「了解です!」
『(やっぱり凄いのね、三種の神器って!確かライトアロー、ペガサスの翼、ミラーシールドの三点だったっけ?)』
自身の思いが胸中を駆け巡る中、パルテナ様とピット君との会話は進行して行く。置いていかれない様に慌てて二人の会話に耳を傾ける。どうやら三種の神器について話し合っている様だ。改めて三種の神器がどんな役割を担うのか記憶を思い起こしてみる。25年前、メデューサを討伐して幽閉されていた私とパルテナ様を助け出してくれた時に装備していたのもこの神器だった。魔物浄化に徹底しながらも三種の神器で戦う彼をちらりと盗み見ると浄化する度にきらきらと光るライトアローのディディールが眩しく見えた。まるで漆黒に塗れた闇を照らしてくれているかの様。
「冥府軍のヤツらが多いですね」
『本当。いつもの倍はいるみたい』
「ライトアローは威力が高いけど過信しないで」
彼を盗み見ていた視線を真っ直ぐへと戻し、向かって来る魔物達を次々と浄化して行く。ピット君の言った通り浄化しても絶えず奇襲をかけている所を見るとメデューサが私達を警戒しているのが分かる。そんな如きで引き返す私達ではないけれど正直な気持ちを言うと、メデューサと戦う状況事態プレッシャーだったりする。人々を虐げるメデューサを討伐しなければ明日に光はない。人々を脅かすメデューサをこの手で止めなければならない。自分が望んでここ迄来たのだ、今更後悔はない。なのにも関わらず余計な考えがたった今この瞬間胸を過ぎってしまう。“メデューサと和解出来るのならばその打開策に縋りたい"と。
『戦う以外に方法はないのかな?』
「セラちゃん?」
『あっ!ううん!何でもないの!』
「………」
思考を巡らせるだけに留めていたのだがどうやら思い切り声に出ていたらしい。私の独り言が聞こえたのか否か訝し気な表情を浮かべつつ、私の名を呼ぶピット君。平然を装い、何事もないかの様に振る舞ってみたけれど彼の両目には異様な所作にしか映らなかっただろう。それを証拠に彼からの威圧とも取れる視線を感じる。非常に居た堪れない。会話もなく沈黙が守られている最中での強烈な視線、何て気まずいのだろう。
「冥府に通ずる谷間に突入します」
会話もない、強烈な視線を隣からびしびし感じる誰がどう見ても冷や汗ものの場面。どうすれば良いものかと謀ってみるが妙案は思い浮かばない。状況は次第に悪化するばかり。だったのだけれど、タイミング良くパルテナ様からのナビゲーションが耳に届く。辺りを見渡してみると確かに亀裂が入った谷間が存在していた。私に訝し気な表情を浮かべ黙って視線を向けていたピット君も納得はいかなかったものの興味自体逸れたのか冥府の魔物浄化に専念する形となる。居た堪れなかった私にとっては心の底から安堵していた。今から倒さんとしている相手に対して“和解出来たら…"なんて考えているって知られてしまったら絶対にピット君もパルテナ様も悲しむだろう。私の身勝手な思いで二人の悲しむ顔は見たくはなかった。“でももし、叶うのならば………"僅かな可能性にも寄り添いたい。過去の話だがメデューサの側近だったから同情の余地で言っている訳じゃない。もうこれ以上無益な戦いはしてほしくはなかった、誰も傷ついてほしくはなかった。
「装着!!」
三種の神器が収納されている不自然にも縦長の箱がゲート付近に設置されているのが窺える。噂の縦長の箱をピット君はあろう事かキックで箱を開け、何事もなかったかの様にその身に三種の神器を装備してゲートから勢い良く飛び出して行ってしまった。“こういう扱いで良いのかなぁ"と思いつつ、私も彼の後に続き自身が愛用している神器を持ち、ゆっくりとゲートから大空へと飛び立つ。空はまるでメデューサに味方してくれている様なそんな暗雲に覆われていた。
「来るべき時が来ました」
「いよいよ最後の戦いですね!」
『(とうとうこの時が来たのね。メデューサを討伐して、過去と決別する時が)』
「ゆえに、三種の神器を装備してもらいました」
例え天気が悪くても冥府の魔物に出会い頭襲撃されて返り討ちにしたとしても私達は前に進む。未だに冥府界に突入してさえいないと言うのに妨害は既に凄まじい。ピット君の隣でなるべく離れぬ様に注意を払いながら、向かって来る魔物を浄化する。注意を払って迄ピット君の隣で戦う必要もないのにと思われた方もいるだろう。率直に言うと私も心底思っている。寧ろ不本意な話だ。けれど、これは何を隠そうパルテナ様から懇願されたものだった。今回はメデューサの本拠地に乗り込む為当然リスクも伴う…と。メデューサが私の中に眠る力を狙っている以上強行手段に及ぶ可能性は非常に高い、だからこそ警戒も兼ねてなるべくピット君の傍から離れず戦ってほしい………それが出来ないのならば私の意志関係なく神殿で留守番させると半ば脅迫じみた言動をされてしまったのだ。納得は出来なかったけれど留守番させられるぐらいならばと渋々承諾したのは記憶に新しい。ピット君は地上界や天界に平和を齎す為に自分の生命を顧みず戦って来るのに私だけ戦わずに只、黙って傍観しているだけなんて卑劣な真似は出来なかった。優しいピット君の事だ、きっと彼は私を思って無茶をしてしまうだろう。それすら我慢ならなかった。私の問題だ。私が抱えている問題にピット君が胸を痛める必要はないのだ。これ以上彼の背中に重荷を背負わせたくはなかった。
「ペガサスの翼は、飛翔の奇跡が効きにくいのでは?」
「えぇ。だから機能は閉じています。まずは飛翔の奇跡で行きましょう」
「了解です!」
『(やっぱり凄いのね、三種の神器って!確かライトアロー、ペガサスの翼、ミラーシールドの三点だったっけ?)』
自身の思いが胸中を駆け巡る中、パルテナ様とピット君との会話は進行して行く。置いていかれない様に慌てて二人の会話に耳を傾ける。どうやら三種の神器について話し合っている様だ。改めて三種の神器がどんな役割を担うのか記憶を思い起こしてみる。25年前、メデューサを討伐して幽閉されていた私とパルテナ様を助け出してくれた時に装備していたのもこの神器だった。魔物浄化に徹底しながらも三種の神器で戦う彼をちらりと盗み見ると浄化する度にきらきらと光るライトアローのディディールが眩しく見えた。まるで漆黒に塗れた闇を照らしてくれているかの様。
「冥府軍のヤツらが多いですね」
『本当。いつもの倍はいるみたい』
「ライトアローは威力が高いけど過信しないで」
彼を盗み見ていた視線を真っ直ぐへと戻し、向かって来る魔物達を次々と浄化して行く。ピット君の言った通り浄化しても絶えず奇襲をかけている所を見るとメデューサが私達を警戒しているのが分かる。そんな如きで引き返す私達ではないけれど正直な気持ちを言うと、メデューサと戦う状況事態プレッシャーだったりする。人々を虐げるメデューサを討伐しなければ明日に光はない。人々を脅かすメデューサをこの手で止めなければならない。自分が望んでここ迄来たのだ、今更後悔はない。なのにも関わらず余計な考えがたった今この瞬間胸を過ぎってしまう。“メデューサと和解出来るのならばその打開策に縋りたい"と。
『戦う以外に方法はないのかな?』
「セラちゃん?」
『あっ!ううん!何でもないの!』
「………」
思考を巡らせるだけに留めていたのだがどうやら思い切り声に出ていたらしい。私の独り言が聞こえたのか否か訝し気な表情を浮かべつつ、私の名を呼ぶピット君。平然を装い、何事もないかの様に振る舞ってみたけれど彼の両目には異様な所作にしか映らなかっただろう。それを証拠に彼からの威圧とも取れる視線を感じる。非常に居た堪れない。会話もなく沈黙が守られている最中での強烈な視線、何て気まずいのだろう。
「冥府に通ずる谷間に突入します」
会話もない、強烈な視線を隣からびしびし感じる誰がどう見ても冷や汗ものの場面。どうすれば良いものかと謀ってみるが妙案は思い浮かばない。状況は次第に悪化するばかり。だったのだけれど、タイミング良くパルテナ様からのナビゲーションが耳に届く。辺りを見渡してみると確かに亀裂が入った谷間が存在していた。私に訝し気な表情を浮かべ黙って視線を向けていたピット君も納得はいかなかったものの興味自体逸れたのか冥府の魔物浄化に専念する形となる。居た堪れなかった私にとっては心の底から安堵していた。今から倒さんとしている相手に対して“和解出来たら…"なんて考えているって知られてしまったら絶対にピット君もパルテナ様も悲しむだろう。私の身勝手な思いで二人の悲しむ顔は見たくはなかった。“でももし、叶うのならば………"僅かな可能性にも寄り添いたい。過去の話だがメデューサの側近だったから同情の余地で言っている訳じゃない。もうこれ以上無益な戦いはしてほしくはなかった、誰も傷ついてほしくはなかった。
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