第8章 天かける星賊船(後編)
セラ
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『言えないのなら無理に言う必要はないけれど言える時はちゃんと言ってね!私達は昨日今日知り合った仲じゃないんだからさ!』
「セラちゃん」
『よーし!次行ってみよー!!』
「(本当は君が言い寄られてるのを見てムッとしたんだよ。君の事が好きだから!なんて言えないけどね)」
結局ピット君は本心を私に話してはくれず、私が先に折れる形で会話は終了してしまった。一体ピット君が何に対して怒っていたのか分からず仕舞いだけれど、いずれピット君が私に打ち明けてくれる時が来るかもしれない。その時迄気長に待っていよう。今は何より三種の神器を星賊から奪取するのが最優先な訳で他の事情に気を取られてしまう暇等ないのだ。でも本心を言えば、ピット君にもパルテナ様にも私に隠し事をしてほしくはなかった。例え長い年月ずっと一緒に居たとしてもその中で秘密は生まれるもの。言いにくい事柄の一つや二つ、必ず心中に芽生えてくるのも仕方がないと頭では理解しているのだれど理解していたとしても欲が生まれて来てしまうのもまた事実で……この現状を悲しく思ったりもする。秘密を持っているのは悪い行いじゃない筈なのに、話してもらえないって何でこんなに悲しくなるんだろう。
『(本当は話してほしいんだよ?話したがらない君は私の些細な心境すら気付いてくれていないと思うけれど)』
その思いを言わない私もまた、心に秘密を抱えている。
…
「船体の外にグラインドレールを引きました」
「それはありがたい!」
『時間短縮出来ますね!』
「グラインドレールを引ける場所はとても限られています。冥府軍によって統制が崩れていたのはラッキーでした」
様々な思いが胸の内を交差していく中で、パルテナ様が星賊の目を盗んで引いてくれたグラインドレールに乗り込む。広間から引かれたグラインドレールは私達を着実に目的の場所へと運んでくれている。船体の外へと出ても冥府軍は変わらず活発に攻撃を仕掛けて来たのでレールの上に乗って移動している私達はうまく攻撃を躱し反撃する。船体の外に引かれたグラインドレールは、かなり大きく移動している。一体何処に向かっているのだろうか?
「大きく移動してますねぇ。どこを目指しているのでしょうか?」
「ブリッジです」
『ブリッジ?』
「三種の神器がありそうなのはそこぐらいですから」
「了解です。探索していきます!」
なんて思っているとピット君も同じ様な事を感じたのか、パルテナ様に問い掛けているのが聞こえて来る。会話の内容からして、どうやらパルテナ様は何処に“三種の神器”があるのか既に目処が立っているみたい。恐らく“三種の神器”を所持していると思われる“星賊のリーダー”がブリッジで私達を待ち構えているのだろう。どんなに強いのか、その力は未知数だが星賊達が強い分リーダーだけに苦戦に追い込まれるかもしれない。気を引き締めていこう!ピット君に気付かれない様に影ながら気合いを入れる為に両頬を両手でぱしぱし叩いていた。
「冥府軍も、かなり入り込んでいます!」
「かまわず先に進みましょう」
グラインドレールで大きく移動した先に辿り着いた場所は、大きな広間だった。直感が私に囁く、私達の最終目的地は近いと。私の直感が正しければ直ぐそこにもう星賊のリーダーが待ち構えている。先に進もうと駆け出した刹那、物凄い激突音が耳に届く。何が起こったのか視線を激突音がした位置へと向ければ…先程もちょこっと会話に登場したホエーラが冥府軍の魔物達を投入しているのが見えた。思わず苦笑い。とことん私達の邪魔をしたいらしい。相当“三種の神器”をピット君の手に渡らせたくないメデューサの魂胆が見え見えなのが伝わって来て何とも言えない気持ちになった。どうやら力ずくでも私達を通す気はないらしい。ならばこちらも問答無用で押し通す迄、強行突破を決め込んだ。
「最後のエレベーターです」
「星賊船長とかいるのでしょうか?」
『いそうだね』
…
エレベーターに乗り込み上昇し、向かった先は私達の最終目的地である“ブリッジ”。大きく開けたその場所がブリッジだとは思えない程面積が広い。戦闘の地にはもってこいの場である。三種の神器は一体何処にあるのか、きょろきょろと見渡していると星賊船長と思わしき人物がこちらに向かって何か言っているのを見受ける。大声で何か言っている星賊船長。けれど風習が異なるのか私達が理解の出来る語源を話してはいなかった。
「なに言ってるのか分かりませんね」
「うぇっふぇっふぇ!お前らをギタギタにしてやる!ってところではないでしょうか」
「『パルテナさまぁ……』」
星賊船長が何を言っているのか理解出来ずに首を傾げていると、遊び心半分にアテレコをするパルテナ様。星賊船長が言っているであろう言葉を勝手に代弁している。本当にそう言っているのかは謎だけれどそれらしき発音だと私も思う。パルテナ様のお茶目さに困った様な表情を浮かべていたのだけれど………
「セラちゃん」
『よーし!次行ってみよー!!』
「(本当は君が言い寄られてるのを見てムッとしたんだよ。君の事が好きだから!なんて言えないけどね)」
結局ピット君は本心を私に話してはくれず、私が先に折れる形で会話は終了してしまった。一体ピット君が何に対して怒っていたのか分からず仕舞いだけれど、いずれピット君が私に打ち明けてくれる時が来るかもしれない。その時迄気長に待っていよう。今は何より三種の神器を星賊から奪取するのが最優先な訳で他の事情に気を取られてしまう暇等ないのだ。でも本心を言えば、ピット君にもパルテナ様にも私に隠し事をしてほしくはなかった。例え長い年月ずっと一緒に居たとしてもその中で秘密は生まれるもの。言いにくい事柄の一つや二つ、必ず心中に芽生えてくるのも仕方がないと頭では理解しているのだれど理解していたとしても欲が生まれて来てしまうのもまた事実で……この現状を悲しく思ったりもする。秘密を持っているのは悪い行いじゃない筈なのに、話してもらえないって何でこんなに悲しくなるんだろう。
『(本当は話してほしいんだよ?話したがらない君は私の些細な心境すら気付いてくれていないと思うけれど)』
その思いを言わない私もまた、心に秘密を抱えている。
…
「船体の外にグラインドレールを引きました」
「それはありがたい!」
『時間短縮出来ますね!』
「グラインドレールを引ける場所はとても限られています。冥府軍によって統制が崩れていたのはラッキーでした」
様々な思いが胸の内を交差していく中で、パルテナ様が星賊の目を盗んで引いてくれたグラインドレールに乗り込む。広間から引かれたグラインドレールは私達を着実に目的の場所へと運んでくれている。船体の外へと出ても冥府軍は変わらず活発に攻撃を仕掛けて来たのでレールの上に乗って移動している私達はうまく攻撃を躱し反撃する。船体の外に引かれたグラインドレールは、かなり大きく移動している。一体何処に向かっているのだろうか?
「大きく移動してますねぇ。どこを目指しているのでしょうか?」
「ブリッジです」
『ブリッジ?』
「三種の神器がありそうなのはそこぐらいですから」
「了解です。探索していきます!」
なんて思っているとピット君も同じ様な事を感じたのか、パルテナ様に問い掛けているのが聞こえて来る。会話の内容からして、どうやらパルテナ様は何処に“三種の神器”があるのか既に目処が立っているみたい。恐らく“三種の神器”を所持していると思われる“星賊のリーダー”がブリッジで私達を待ち構えているのだろう。どんなに強いのか、その力は未知数だが星賊達が強い分リーダーだけに苦戦に追い込まれるかもしれない。気を引き締めていこう!ピット君に気付かれない様に影ながら気合いを入れる為に両頬を両手でぱしぱし叩いていた。
「冥府軍も、かなり入り込んでいます!」
「かまわず先に進みましょう」
グラインドレールで大きく移動した先に辿り着いた場所は、大きな広間だった。直感が私に囁く、私達の最終目的地は近いと。私の直感が正しければ直ぐそこにもう星賊のリーダーが待ち構えている。先に進もうと駆け出した刹那、物凄い激突音が耳に届く。何が起こったのか視線を激突音がした位置へと向ければ…先程もちょこっと会話に登場したホエーラが冥府軍の魔物達を投入しているのが見えた。思わず苦笑い。とことん私達の邪魔をしたいらしい。相当“三種の神器”をピット君の手に渡らせたくないメデューサの魂胆が見え見えなのが伝わって来て何とも言えない気持ちになった。どうやら力ずくでも私達を通す気はないらしい。ならばこちらも問答無用で押し通す迄、強行突破を決め込んだ。
「最後のエレベーターです」
「星賊船長とかいるのでしょうか?」
『いそうだね』
…
エレベーターに乗り込み上昇し、向かった先は私達の最終目的地である“ブリッジ”。大きく開けたその場所がブリッジだとは思えない程面積が広い。戦闘の地にはもってこいの場である。三種の神器は一体何処にあるのか、きょろきょろと見渡していると星賊船長と思わしき人物がこちらに向かって何か言っているのを見受ける。大声で何か言っている星賊船長。けれど風習が異なるのか私達が理解の出来る語源を話してはいなかった。
「なに言ってるのか分かりませんね」
「うぇっふぇっふぇ!お前らをギタギタにしてやる!ってところではないでしょうか」
「『パルテナさまぁ……』」
星賊船長が何を言っているのか理解出来ずに首を傾げていると、遊び心半分にアテレコをするパルテナ様。星賊船長が言っているであろう言葉を勝手に代弁している。本当にそう言っているのかは謎だけれどそれらしき発音だと私も思う。パルテナ様のお茶目さに困った様な表情を浮かべていたのだけれど………