第8章 天かける星賊船(前編)
セラ
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「『いってきます!!』」
つい先程迄パルテナ様と会話を交えながら手入れをしていた神器を手にし、私とピット君はいつもの通りパルテナ様の命に従い、ゲートから飛び立った。一歩飛び出した先は、もう広大な空。日差しが暖かい青い空の中ではなく、夕闇が辺り全体を覆って来ていた。もうじき夜が来る。ピット君の隣で、今日も変わらず向かって来る冥府軍を浄化しながら夕闇に染まる空の中を飛行する。
「メデューサを守護するヤツらを倒し いよいよ決戦の時は近いですね。でも、冥府には向かってないですよね。何処に行くんですか?」
『そう言われればそうだね。冥府じゃなければ何処に?いつもと違うこの時間にしたのも意味があるんですよね?』
「ハズカシイ話なのですが……」
「『ハイ』」
「三種の神器、ありますよね。以前メデューサ戦で使った」
「ミラーシールド、ライトアロー、ペガサスの翼の三つですね」
「有事の際に備えて、隠しておいたんです」
メデューサの右腕と言われる死を司る神タナトスを討伐し、無事に冥府の通行手形も手に入れいよいよメデューサ討伐と言う最中、私達はパルテナ様の趣に寄って明らかに冥府ではない目的地へと進行している。ピット君が何処に向かっているのか問い掛けた所、話の中枢に触れるのかと思いきや前置きと呼ばれる部分を話される。ピット君が以前のメデューサ戦に置いて彼が装備して見事メデューサを討伐出来た噂の“三種の神器”。その神器に関する話だ。私はメデューサの手に落ち幽閉されていたから詳しい事情迄は知らないが、ピット君が私とパルテナ様を助け出してくれた際“三種の神器”を装備していたのもあって私は三種の神器がどういう神器だったのか覚えている。
「あ、それは賢明ですね。さすがパルテナ様!」
「それとは別に星賊船というものがありまして」
「『せいぞくせん?』」
「要は星々の海賊船ですね。銀河の海を渡り、天空にある星座を狩る事を生業とするものです」
「星座を狩る?!そりゃあダイナミックな!!」
『何か嫌だなあ…』
“三種の神器”に関する話をした後、今度は彼女の口から“星賊船”と言うワードが出て来る。私達目掛けて攻撃して来る冥府軍を浄化しながら会話に耳を傾けつつ、会話に参加する。星賊と呼ばれる種族に関して簡単な説明をされる。但し、私にとって“星賊”と言う種族は良い印象を受けなかった。星座を狩るなんて離れ業、前代未聞である。
「……で、それが三種の神器とどう関係が?」
ピット君が核心を衝く質問をする。私もそれは気になっていた、“三種の神器”と“星座を狩る星賊船”とは一体どう関係しているのか。この時点では密接な関係があるとは思えなかったのだ。
「三種の神器を隠したのが とある 星座の中だったのですよ」
「『えっ?!まさか……』」
パルテナ様は言い難そうに私達二人にオブラートに包んだ形で事の状況を打ち明ける。察しの良い私とピット君は、はっとした表情を纏いながら顔と顔を見合わせる。
「『神器が星座ごと狩られてしまっとか?』」
「もう冥府軍は感づいており 早速星賊船を襲っています」
「そりゃぁ タイヘンだ!」
『急がなくっちゃ!』
徐々に夜は近付いて来る。冥府軍の差し金で、攻撃を加えると忽ち爆発し消滅するラジポンが浮遊しているのが視界に入る。爆発に巻き込まれる可能性を考慮し、私達が巻き込まれない絶妙なタイミングを見計らい浄化して行く。パルテナ様から話された内容に苦笑いを浮かべ、星賊船と三種の神器がいかに深く関わっているのか理解する。まさか、身近でそんなアクシデントに見舞われていたなんて思いも寄らなかった。
「そこで今回のミッションです。星賊船を攻略し、三種の神器を取り返して来なさい!!」
「『分かりました!パルテナ様!!』」
「っていつの間にスゴいスピードですね!」
『私もいつの間にか飛翔の奇跡付けてましたね?!』
「はい!ちょっと遠いし、急ぎたいので。飛ばしますよ!!」
『……(久々だなぁ。この感覚)』
ゲートから飛び立つ際に感じたいつもと相違する違和感。それは、自分の力で飛翔する羽根ではなく、誰かの手に操られ飛翔しスピードが変更したり進路が自動的に操作されるものだった。“飛翔の奇跡”私は自分の力で飛翔出来る、だからこそパルテナ様に飛翔の奇跡を付けられると直ぐに分かるのだ。私にとってそれは違和感でしかないから。暫くの間、私の羽根は飛翔の奇跡を宿していなかった。その性か感覚が鈍っていたのだ。お陰で冥府軍を浄化するのも素早い反応が出来ずに居る。ピット君が隣で頑張って浄化してくれていたのでその頑張りに甘える事にした。
「しかし三種の神器 今も使えるんでしょうか?」
「少し、ヒビ入ってましたよ。ホコリかぶってましたし」
「うへぇ。メンテ不足ですか」
『(それってちゃんと神器として扱えるの?)』
空中から雲のトンネルを高速で真っ直ぐ突き抜ける。然すれば視界に飛び込んで来たのは、雲の上。雲に囲まれた空の上、いつも見つめている景色ではあるけれど、いつもと違って見えるのはやはり夜だからだろう。
「でも、今のピットの強さなら使わなくても何とかなるかしら?」
「任せて下さい。メデューサなんて、楽勝ですよ!」
「たくましくなりましたねぇ。ピット」
『成長したよね!ピット君!』
「ヤラレチャッタ、なんて言ってた時代が懐かしいです」
「あ、それは今でも言いますけど」
『言うんだね……』
つい先程迄パルテナ様と会話を交えながら手入れをしていた神器を手にし、私とピット君はいつもの通りパルテナ様の命に従い、ゲートから飛び立った。一歩飛び出した先は、もう広大な空。日差しが暖かい青い空の中ではなく、夕闇が辺り全体を覆って来ていた。もうじき夜が来る。ピット君の隣で、今日も変わらず向かって来る冥府軍を浄化しながら夕闇に染まる空の中を飛行する。
「メデューサを守護するヤツらを倒し いよいよ決戦の時は近いですね。でも、冥府には向かってないですよね。何処に行くんですか?」
『そう言われればそうだね。冥府じゃなければ何処に?いつもと違うこの時間にしたのも意味があるんですよね?』
「ハズカシイ話なのですが……」
「『ハイ』」
「三種の神器、ありますよね。以前メデューサ戦で使った」
「ミラーシールド、ライトアロー、ペガサスの翼の三つですね」
「有事の際に備えて、隠しておいたんです」
メデューサの右腕と言われる死を司る神タナトスを討伐し、無事に冥府の通行手形も手に入れいよいよメデューサ討伐と言う最中、私達はパルテナ様の趣に寄って明らかに冥府ではない目的地へと進行している。ピット君が何処に向かっているのか問い掛けた所、話の中枢に触れるのかと思いきや前置きと呼ばれる部分を話される。ピット君が以前のメデューサ戦に置いて彼が装備して見事メデューサを討伐出来た噂の“三種の神器”。その神器に関する話だ。私はメデューサの手に落ち幽閉されていたから詳しい事情迄は知らないが、ピット君が私とパルテナ様を助け出してくれた際“三種の神器”を装備していたのもあって私は三種の神器がどういう神器だったのか覚えている。
「あ、それは賢明ですね。さすがパルテナ様!」
「それとは別に星賊船というものがありまして」
「『せいぞくせん?』」
「要は星々の海賊船ですね。銀河の海を渡り、天空にある星座を狩る事を生業とするものです」
「星座を狩る?!そりゃあダイナミックな!!」
『何か嫌だなあ…』
“三種の神器”に関する話をした後、今度は彼女の口から“星賊船”と言うワードが出て来る。私達目掛けて攻撃して来る冥府軍を浄化しながら会話に耳を傾けつつ、会話に参加する。星賊と呼ばれる種族に関して簡単な説明をされる。但し、私にとって“星賊”と言う種族は良い印象を受けなかった。星座を狩るなんて離れ業、前代未聞である。
「……で、それが三種の神器とどう関係が?」
ピット君が核心を衝く質問をする。私もそれは気になっていた、“三種の神器”と“星座を狩る星賊船”とは一体どう関係しているのか。この時点では密接な関係があるとは思えなかったのだ。
「三種の神器を隠したのが とある 星座の中だったのですよ」
「『えっ?!まさか……』」
パルテナ様は言い難そうに私達二人にオブラートに包んだ形で事の状況を打ち明ける。察しの良い私とピット君は、はっとした表情を纏いながら顔と顔を見合わせる。
「『神器が星座ごと狩られてしまっとか?』」
「もう冥府軍は感づいており 早速星賊船を襲っています」
「そりゃぁ タイヘンだ!」
『急がなくっちゃ!』
徐々に夜は近付いて来る。冥府軍の差し金で、攻撃を加えると忽ち爆発し消滅するラジポンが浮遊しているのが視界に入る。爆発に巻き込まれる可能性を考慮し、私達が巻き込まれない絶妙なタイミングを見計らい浄化して行く。パルテナ様から話された内容に苦笑いを浮かべ、星賊船と三種の神器がいかに深く関わっているのか理解する。まさか、身近でそんなアクシデントに見舞われていたなんて思いも寄らなかった。
「そこで今回のミッションです。星賊船を攻略し、三種の神器を取り返して来なさい!!」
「『分かりました!パルテナ様!!』」
「っていつの間にスゴいスピードですね!」
『私もいつの間にか飛翔の奇跡付けてましたね?!』
「はい!ちょっと遠いし、急ぎたいので。飛ばしますよ!!」
『……(久々だなぁ。この感覚)』
ゲートから飛び立つ際に感じたいつもと相違する違和感。それは、自分の力で飛翔する羽根ではなく、誰かの手に操られ飛翔しスピードが変更したり進路が自動的に操作されるものだった。“飛翔の奇跡”私は自分の力で飛翔出来る、だからこそパルテナ様に飛翔の奇跡を付けられると直ぐに分かるのだ。私にとってそれは違和感でしかないから。暫くの間、私の羽根は飛翔の奇跡を宿していなかった。その性か感覚が鈍っていたのだ。お陰で冥府軍を浄化するのも素早い反応が出来ずに居る。ピット君が隣で頑張って浄化してくれていたのでその頑張りに甘える事にした。
「しかし三種の神器 今も使えるんでしょうか?」
「少し、ヒビ入ってましたよ。ホコリかぶってましたし」
「うへぇ。メンテ不足ですか」
『(それってちゃんと神器として扱えるの?)』
空中から雲のトンネルを高速で真っ直ぐ突き抜ける。然すれば視界に飛び込んで来たのは、雲の上。雲に囲まれた空の上、いつも見つめている景色ではあるけれど、いつもと違って見えるのはやはり夜だからだろう。
「でも、今のピットの強さなら使わなくても何とかなるかしら?」
「任せて下さい。メデューサなんて、楽勝ですよ!」
「たくましくなりましたねぇ。ピット」
『成長したよね!ピット君!』
「ヤラレチャッタ、なんて言ってた時代が懐かしいです」
「あ、それは今でも言いますけど」
『言うんだね……』