第7章 深海に潜む神殿(後編)
セラ
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『タナトス。教えてくれない?貴方はどうやって私の中の存在を知ったの?貴方は言ってたわよね?私の力の存在を初めて知ったのは自分だって。私がメデューサに仕えていた天使だと言う事は良く分かったわ!でもその話とどうやって関わってくるの?』
「確かに。今の話だとセラの言う通り力の事との関連が見つかりませんね」
「そうデスね。じゃあ何でわたしがセラちゃんの力の事を知ったのかその辺りを話しまスか」
ピット君の何気ない優しさの籠もった言葉が、私の冷たくなってしまった心を徐々に温かくさせた。正直ショックだった。ずっとメデューサとは啀み合う存在とばかり思っていた。私の過去の記憶が曖昧なのもあり、まさか私が過去にメデューサと深い関わりがあったなんて思いも寄らなかった。想像を絶する程の現実の厳しさ…もしもこの場所に私独りだけ存在していたのだとしたら、良心の呵責やらで私自身を押し潰し立って居られなかっただろう。私が何とか堪えられるのは、何も言わずに私の隣に居てくれているピット君とパルテナ様のお陰。ピット君があの時言ってくれた言葉が不意に胸を過ぎる。
『貴方は私の力の存在を知ってメデューサの元へ送り届けたわよね?と、言う事は私の力の存在を知ったのはそれよりも前の事?』
「フォッフォッフォ。そうデス。セラちゃんがメデューサ様の元から逃げ出して連れ戻そうとした時に知ったんデスよ」
『私が……逃げ出した?』
「セラちゃんが幽閉される前に一度逃げ出してるんデスよ。メデューサ様の側にいるのが嫌になったのか知りませんがね。わたし達が連れ戻そうとした時に、その力を発動させてるんデス」
『嘘……』
「お陰でわたし以外はみーんな全滅しちゃったんデスから。ホントホント」
“世界を破滅へと導く力”パルテナ様から25年前、そう聞かされた。だからこそ、その力をメデューサ…冥府軍に渡してはならないと、私の力が冥府軍の手に落ちてしまったら世界はきっと終わってしまう。私はずっとずっとそう思っていた、思い込んでいた。そんな私の意思を覆すタナトスの言葉。“私の中に眠る力は一度発動されている。”余りの事に驚愕を隠せない。タナトスの言葉が本当ならばエンジェランドは25年前滅亡していなければ今迄聞かされていた話と誤差が生じてしまう。まさかとは思うけど“世界を破滅へと導く力”は飽く迄仮説の話で実際はそこ迄害を成す訳ではないのかもしれない。私の中に眠るこの力はどうして私の身を守る様な真似をしたのだろう?連れ戻そうとした冥府軍に攻撃して、企みを阻もうとした意図は…もしかして私自身の意志?戻りたくなかったのかな?…タナトスの話を少し整理してみると、私は元々メデューサに仕える天使だったけれど、人間に迫害するメデューサの側に居るのに堪えられなくなったのかメデューサの元から私は脱走を試みる。無論連れ戻そうとした冥府軍。だが、私は連れ戻そうとした冥府軍を一瞬にして浄化してしまう…タナトス以外は。
「力を使ったセラちゃんは、疲れたのかそのまま眠ってしまったんデス。その隙を見て馬に変身してセラちゃんを連れて帰ったんデス」
『私が力を使って浄化してもエンジェランドは無事だった。もしかして私の中に眠る力は、言う程害はないんじゃない?』
「そうデスね」
「セラ、言いにくいのですが、貴女の中にある力は以前よりも強くなっています。25年前は、冥府軍が浄化されるだけに留まっていますが、今後その力を使ってしまうと……」
「使ってしまうとどうなるんですか!」
「……恐らく世界は破滅してしまうでしょう。セラの命も危険に晒されてしまいますし、私達もどうなるか分かりません」
『やっぱりその事実は動かないんですね…』
「セラの力は謎が多くて私も余り分かってはいないのです。ですが、これだけは言えます。冥府軍には絶対に渡してはいけないと言う事。冥府軍がセラの力を手に入れてしまえば、必ず人間達を手に掛けるでしょう」
『……っ』
力は発動され、タナトスが従えていた冥府軍を一瞬で浄化したもののエンジェランドは大した被害を受けていない。私の力は言う程強くはないのかと希望にも似た思いが胸を過ぎったが浅はかだった。パルテナ様は私の力が強くなっていると伝えて来る。25年前、パルテナ様が私に言った言葉の数々は私の中にある力が強くなるとあらかじめ予期した上でのものだった…“貴女の力が冥府軍に渡ってしまったら…きっと世界は…終わってしまう…”悲しそうな表情を浮かべながら伝えられたあの時の情景が鮮明に思い出される。もしかしたら、今この瞬間25年前と同じ様な時間が流れているのかもしれない。あの時と違うと言えば、此処が海底神殿と言う戦いの場である事。そして、今はピット君とタナトスが居る事だ。
「セラちゃんに良いことを教えるデス」
『何?』
「セラちゃんの強い力は、特殊デシてね」
「タナトス?!」
「セラちゃんの力は、セラちゃんの命と繋がってるんデスよ。だから、セラちゃんが次にその力を使えばセラちゃんの命がなくなーっちゃうかもしれないデスね」
『私の…命が……?』
ポセイドンが私の力について指摘したあの会話を思い出す。“私の力が私自身を取り巻いている様に見える”あの言葉の本当の意味は“私の中にある力が私の命と繋がっている”事を示していたんだ。それならば25年前一度だけ発動されているのか…説明出来るかもしれない。冥府軍に追い掛けられ、命の危機を感じた私が自分の身を守る為に力を使った…私の命が力を使う事を望んでしまった。衝撃の事実故に驚きを隠せない私。次第に顔を俯かせる。もしも、私が力を使おうと目論めば代償として私の命は露と消えてしまう。力が失くならない限り私の命は危険と隣り合わせ。どんな真実も受け入れる覚悟は出来ていた。出来ていた筈なのに……25年前、力が発動していて、次に力を使えば私の命が危ないだなんて…そんなのって…そんなのって…ない……
「確かに。今の話だとセラの言う通り力の事との関連が見つかりませんね」
「そうデスね。じゃあ何でわたしがセラちゃんの力の事を知ったのかその辺りを話しまスか」
ピット君の何気ない優しさの籠もった言葉が、私の冷たくなってしまった心を徐々に温かくさせた。正直ショックだった。ずっとメデューサとは啀み合う存在とばかり思っていた。私の過去の記憶が曖昧なのもあり、まさか私が過去にメデューサと深い関わりがあったなんて思いも寄らなかった。想像を絶する程の現実の厳しさ…もしもこの場所に私独りだけ存在していたのだとしたら、良心の呵責やらで私自身を押し潰し立って居られなかっただろう。私が何とか堪えられるのは、何も言わずに私の隣に居てくれているピット君とパルテナ様のお陰。ピット君があの時言ってくれた言葉が不意に胸を過ぎる。
『貴方は私の力の存在を知ってメデューサの元へ送り届けたわよね?と、言う事は私の力の存在を知ったのはそれよりも前の事?』
「フォッフォッフォ。そうデス。セラちゃんがメデューサ様の元から逃げ出して連れ戻そうとした時に知ったんデスよ」
『私が……逃げ出した?』
「セラちゃんが幽閉される前に一度逃げ出してるんデスよ。メデューサ様の側にいるのが嫌になったのか知りませんがね。わたし達が連れ戻そうとした時に、その力を発動させてるんデス」
『嘘……』
「お陰でわたし以外はみーんな全滅しちゃったんデスから。ホントホント」
“世界を破滅へと導く力”パルテナ様から25年前、そう聞かされた。だからこそ、その力をメデューサ…冥府軍に渡してはならないと、私の力が冥府軍の手に落ちてしまったら世界はきっと終わってしまう。私はずっとずっとそう思っていた、思い込んでいた。そんな私の意思を覆すタナトスの言葉。“私の中に眠る力は一度発動されている。”余りの事に驚愕を隠せない。タナトスの言葉が本当ならばエンジェランドは25年前滅亡していなければ今迄聞かされていた話と誤差が生じてしまう。まさかとは思うけど“世界を破滅へと導く力”は飽く迄仮説の話で実際はそこ迄害を成す訳ではないのかもしれない。私の中に眠るこの力はどうして私の身を守る様な真似をしたのだろう?連れ戻そうとした冥府軍に攻撃して、企みを阻もうとした意図は…もしかして私自身の意志?戻りたくなかったのかな?…タナトスの話を少し整理してみると、私は元々メデューサに仕える天使だったけれど、人間に迫害するメデューサの側に居るのに堪えられなくなったのかメデューサの元から私は脱走を試みる。無論連れ戻そうとした冥府軍。だが、私は連れ戻そうとした冥府軍を一瞬にして浄化してしまう…タナトス以外は。
「力を使ったセラちゃんは、疲れたのかそのまま眠ってしまったんデス。その隙を見て馬に変身してセラちゃんを連れて帰ったんデス」
『私が力を使って浄化してもエンジェランドは無事だった。もしかして私の中に眠る力は、言う程害はないんじゃない?』
「そうデスね」
「セラ、言いにくいのですが、貴女の中にある力は以前よりも強くなっています。25年前は、冥府軍が浄化されるだけに留まっていますが、今後その力を使ってしまうと……」
「使ってしまうとどうなるんですか!」
「……恐らく世界は破滅してしまうでしょう。セラの命も危険に晒されてしまいますし、私達もどうなるか分かりません」
『やっぱりその事実は動かないんですね…』
「セラの力は謎が多くて私も余り分かってはいないのです。ですが、これだけは言えます。冥府軍には絶対に渡してはいけないと言う事。冥府軍がセラの力を手に入れてしまえば、必ず人間達を手に掛けるでしょう」
『……っ』
力は発動され、タナトスが従えていた冥府軍を一瞬で浄化したもののエンジェランドは大した被害を受けていない。私の力は言う程強くはないのかと希望にも似た思いが胸を過ぎったが浅はかだった。パルテナ様は私の力が強くなっていると伝えて来る。25年前、パルテナ様が私に言った言葉の数々は私の中にある力が強くなるとあらかじめ予期した上でのものだった…“貴女の力が冥府軍に渡ってしまったら…きっと世界は…終わってしまう…”悲しそうな表情を浮かべながら伝えられたあの時の情景が鮮明に思い出される。もしかしたら、今この瞬間25年前と同じ様な時間が流れているのかもしれない。あの時と違うと言えば、此処が海底神殿と言う戦いの場である事。そして、今はピット君とタナトスが居る事だ。
「セラちゃんに良いことを教えるデス」
『何?』
「セラちゃんの強い力は、特殊デシてね」
「タナトス?!」
「セラちゃんの力は、セラちゃんの命と繋がってるんデスよ。だから、セラちゃんが次にその力を使えばセラちゃんの命がなくなーっちゃうかもしれないデスね」
『私の…命が……?』
ポセイドンが私の力について指摘したあの会話を思い出す。“私の力が私自身を取り巻いている様に見える”あの言葉の本当の意味は“私の中にある力が私の命と繋がっている”事を示していたんだ。それならば25年前一度だけ発動されているのか…説明出来るかもしれない。冥府軍に追い掛けられ、命の危機を感じた私が自分の身を守る為に力を使った…私の命が力を使う事を望んでしまった。衝撃の事実故に驚きを隠せない私。次第に顔を俯かせる。もしも、私が力を使おうと目論めば代償として私の命は露と消えてしまう。力が失くならない限り私の命は危険と隣り合わせ。どんな真実も受け入れる覚悟は出来ていた。出来ていた筈なのに……25年前、力が発動していて、次に力を使えば私の命が危ないだなんて…そんなのって…そんなのって…ない……