第7章 深海に潜む神殿(後編)
セラ
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「頑張るデスね。もっと頑張れ」
「タナトス。聞いてみたい事がありました」
「なんデスか?」
ゆっくりと移動装置は私とピット君を乗せながら流れ行く。四方から仕掛けられる攻撃を回避しつつ、絶妙なタイミングでピット君が浄化するのを見守る。そんな中、移動装置が中間地点に差し掛かるとタナトスからやる気のない声援が送られる。頑張っている私達二人を傍観する趣味の悪さに居心地の悪さを感じながらパルテナ様のタナトスに対する質疑に耳を傾ける。冥府軍幹部なのだから、人当たりの良い性格をしている訳ではないのは充分理解しているけれど私の虫の居所は一向に悪くなる一方だ。
「貴方は死を司る神と呼ばれています。死者の国たる冥府では、メデューサよりも格上の様な気がするのですが」
「誰が上とか。誰が下とか。ンなもんどうだって良いじゃないデスか。格差社会なんて冥府にゃ似合わないデスよ」
「答える気はない様ですね」
「あー。あー。聞こえない 聞こえないー」
「読めないなぁ……。無邪気でもあり、不気味でもあり」
「あわわわわわわ」
むすっとしながらパルテナ様の質疑に応答するタナトスとの会話を聞く。パルテナ様の質問に全く以て答える様子のないタナトス。もしかしたら、タナトスは私の中に眠る力についての質問にすら答えてくれない可能性が浮上する。けれど私は手ぶらで帰還する気等毛頭ない。立ち向かい、受け入れると決めたのは何を隠そうこの私。今更考えを変更させる気すらない。例えはぐらかされたとしても絶対に何が何でも聞き出してやるんだからっ!!!
「タナトスは隣の部屋にいるようデス」
「そうデスか!やってやるデスよ!!」
『………………』
そんな事を考えながら、ゆっくりと流れる移動装置に乗って障害物を乗り越えながら漸く動かぬ地に足を着く。そのままピット君の背中に付いて行くと、長階段が続く広間に出る。パルテナ様がタナトスの口癖を真似て、タナトスは隣の部屋に居ると教えてくれた。ピット君もパルテナ様に便乗して悪ノリしている。傍らで二人の会話を聞いていた私は、条件反射に苦笑い。最後の妨害と言わんばかりに次々と襲って来る魔物達。一刻も早くタナトスと対面したい者の主張は既に決まっている。“妨害で私達の動きを阻む此処に存在している魔物達を浄化する。”只、それだけ。
「待ちくたびれて、寝ちゃうとこデシタよ」
「ヒーローは遅れて来るものだ!」
『ヒロインだって遅れて来るものよ!』
最後の妨害を経て、私達はタナトスが待ち受けている広間へと突入する。余裕綽綽に浮遊しているタナトス。初めてタナトスと言う人物に会った筈なのに、そう思えない確かな感覚。神経が私に囁いている…“タナトスとは会った事がある”と。
「タナトスは高度な変身能力を有しています。クモやサソリやゴキブリやダニやガやアブラムシやトカゲやヒルやムカデやコウモリやミミズやヘビやネコになっても驚かない様に」
「い、いや ネコは可愛いんじゃないでしょうか」
『私もネコなら許せるかも』
「いろいろツッコミたいところもあるんデスがね。お見せすればいいんデしょう?へん・しん!!とうっ!!」
『とうっ!!って……』
感覚が胸に過ぎる中で進行して行く会話。25年前、メデューサの頭の蛇になっていたらしいから高度な変身能力を持っていたとしても不思議はない。ピット君はタナトスを相手に戦っていた経歴があるから免疫があるけれど私にはそれがない。一体どんな攻防戦になって行くのか…予想もつかない戦い。けれど、一つ分かっている事がある。“決して負けられない。”
「ここで引きこもっちゃうわけデスよ。なんにも効かないデスよ?」
『タナトスが壺になっちゃった?!』
「攻撃のチャンスはきっとあります。ガイコツを殴ってぶつけるとか……」
神器を強く握りしめて、壺へと変身を遂げたタナトスへと向かっていく。どうやら壺の姿へと変身したタナトスに、打撃射撃攻撃を加えても効果は薄い模様。パルテナ様の助言に寄ると、壺から繰り出されるガイコツを撥ね返すとタナトスにダメージを与えられるらしい。赤色と白色のガイコツが壺から繰り出されるのを見、私達は攻撃を加えようと二手に分かれ、神器を振り払う。ガイコツを撥ね返して分かったけれど、赤色のガイコツは攻撃には適していないみたい。赤色のガイコツに触れると爆発が起きるとは思いも寄らない。ピット君が赤色のガイコツをぶつけようと神器を振り回した所、瞬時にガイコツは爆発を起こして露と消えてしまう。その爆発のお陰でピット君は多少ダメージを受けてしまった。
「これは?!」
「人形の様ですが……」
ダメージを受けても攻撃を止める訳には行かない。ピット君も私もタナトスから仕掛けられた攻撃を回避しながら、攻撃を加える。壺へと変身を遂げていたタナトス。今度は人形と呼称される代物に変化した。人形が一体私達に向かって距離を狭めて行く。距離を詰められない様に後退しながら、人形の中心に存在する赤く光り輝いている貴石に照準を合わせてみる。すると………
「『割れた?!』」
「タナトスの中に小タナトスが……。おみやげに欲しくなりますね」
『(それはマトリョーシカですか。パルテナ様)』
「タナトス。聞いてみたい事がありました」
「なんデスか?」
ゆっくりと移動装置は私とピット君を乗せながら流れ行く。四方から仕掛けられる攻撃を回避しつつ、絶妙なタイミングでピット君が浄化するのを見守る。そんな中、移動装置が中間地点に差し掛かるとタナトスからやる気のない声援が送られる。頑張っている私達二人を傍観する趣味の悪さに居心地の悪さを感じながらパルテナ様のタナトスに対する質疑に耳を傾ける。冥府軍幹部なのだから、人当たりの良い性格をしている訳ではないのは充分理解しているけれど私の虫の居所は一向に悪くなる一方だ。
「貴方は死を司る神と呼ばれています。死者の国たる冥府では、メデューサよりも格上の様な気がするのですが」
「誰が上とか。誰が下とか。ンなもんどうだって良いじゃないデスか。格差社会なんて冥府にゃ似合わないデスよ」
「答える気はない様ですね」
「あー。あー。聞こえない 聞こえないー」
「読めないなぁ……。無邪気でもあり、不気味でもあり」
「あわわわわわわ」
むすっとしながらパルテナ様の質疑に応答するタナトスとの会話を聞く。パルテナ様の質問に全く以て答える様子のないタナトス。もしかしたら、タナトスは私の中に眠る力についての質問にすら答えてくれない可能性が浮上する。けれど私は手ぶらで帰還する気等毛頭ない。立ち向かい、受け入れると決めたのは何を隠そうこの私。今更考えを変更させる気すらない。例えはぐらかされたとしても絶対に何が何でも聞き出してやるんだからっ!!!
「タナトスは隣の部屋にいるようデス」
「そうデスか!やってやるデスよ!!」
『………………』
そんな事を考えながら、ゆっくりと流れる移動装置に乗って障害物を乗り越えながら漸く動かぬ地に足を着く。そのままピット君の背中に付いて行くと、長階段が続く広間に出る。パルテナ様がタナトスの口癖を真似て、タナトスは隣の部屋に居ると教えてくれた。ピット君もパルテナ様に便乗して悪ノリしている。傍らで二人の会話を聞いていた私は、条件反射に苦笑い。最後の妨害と言わんばかりに次々と襲って来る魔物達。一刻も早くタナトスと対面したい者の主張は既に決まっている。“妨害で私達の動きを阻む此処に存在している魔物達を浄化する。”只、それだけ。
「待ちくたびれて、寝ちゃうとこデシタよ」
「ヒーローは遅れて来るものだ!」
『ヒロインだって遅れて来るものよ!』
最後の妨害を経て、私達はタナトスが待ち受けている広間へと突入する。余裕綽綽に浮遊しているタナトス。初めてタナトスと言う人物に会った筈なのに、そう思えない確かな感覚。神経が私に囁いている…“タナトスとは会った事がある”と。
「タナトスは高度な変身能力を有しています。クモやサソリやゴキブリやダニやガやアブラムシやトカゲやヒルやムカデやコウモリやミミズやヘビやネコになっても驚かない様に」
「い、いや ネコは可愛いんじゃないでしょうか」
『私もネコなら許せるかも』
「いろいろツッコミたいところもあるんデスがね。お見せすればいいんデしょう?へん・しん!!とうっ!!」
『とうっ!!って……』
感覚が胸に過ぎる中で進行して行く会話。25年前、メデューサの頭の蛇になっていたらしいから高度な変身能力を持っていたとしても不思議はない。ピット君はタナトスを相手に戦っていた経歴があるから免疫があるけれど私にはそれがない。一体どんな攻防戦になって行くのか…予想もつかない戦い。けれど、一つ分かっている事がある。“決して負けられない。”
「ここで引きこもっちゃうわけデスよ。なんにも効かないデスよ?」
『タナトスが壺になっちゃった?!』
「攻撃のチャンスはきっとあります。ガイコツを殴ってぶつけるとか……」
神器を強く握りしめて、壺へと変身を遂げたタナトスへと向かっていく。どうやら壺の姿へと変身したタナトスに、打撃射撃攻撃を加えても効果は薄い模様。パルテナ様の助言に寄ると、壺から繰り出されるガイコツを撥ね返すとタナトスにダメージを与えられるらしい。赤色と白色のガイコツが壺から繰り出されるのを見、私達は攻撃を加えようと二手に分かれ、神器を振り払う。ガイコツを撥ね返して分かったけれど、赤色のガイコツは攻撃には適していないみたい。赤色のガイコツに触れると爆発が起きるとは思いも寄らない。ピット君が赤色のガイコツをぶつけようと神器を振り回した所、瞬時にガイコツは爆発を起こして露と消えてしまう。その爆発のお陰でピット君は多少ダメージを受けてしまった。
「これは?!」
「人形の様ですが……」
ダメージを受けても攻撃を止める訳には行かない。ピット君も私もタナトスから仕掛けられた攻撃を回避しながら、攻撃を加える。壺へと変身を遂げていたタナトス。今度は人形と呼称される代物に変化した。人形が一体私達に向かって距離を狭めて行く。距離を詰められない様に後退しながら、人形の中心に存在する赤く光り輝いている貴石に照準を合わせてみる。すると………
「『割れた?!』」
「タナトスの中に小タナトスが……。おみやげに欲しくなりますね」
『(それはマトリョーシカですか。パルテナ様)』