第7章 深海に潜む神殿(後編)
セラ
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海の神ポセイドンが手を貸してくれたお陰で、私とピット君の二人はタナトスが居を構える“海底神殿”に辿り着いた。何故パルテナ様が今回のターゲットをタナトスにしたのか未だに真意は不明だが、後にその目的を話すのが彼女なので敢えて言葉にはしない。極偶にあっさりと目的やミッション内容を話されたりはするけれど、それは恐らく状況に合わせて…と言う事だろう。
「海が閉じられました」
「じゃ、ワシの出番はここまで。頑張れよ!!」
「『ありがとうございました!!』」
半ば急かされながらも、海底神殿内に無事侵入成功。ポセイドンが手を貸してくれなかったら、私達は海底神殿にすら辿り着けなかった。それにポセイドンのお陰で私の内に眠る力の事を少しでも知る事が出来て、パルテナ様との約束も交わせた。良い方向に流れを変えてくれたポセイドンに感謝の意を込めて礼を述べる。只のせっかちな神様かと思っていたけれど、そういう訳でもないみたい。
「フォッフォッフォッ」
「タナトス!」
『(この声の主が…タナトス…)』
私達は今、エントランスから移動して左右に分岐している階段を昇っている。勿論、階段の上で私達に攻撃を仕掛けようとゆらゆら揺れていたザンザを浄化した上で。そんな折、私達の耳に不思議な笑い声が届く。パルテナ様は笑い声の主の名を呼んだ。“タナトス”と。
「鉄壁の守りだと思ったのに、お客さんとは驚きデス」
「タナトス?!」
「ふたりで呼ばなくても良いデスよ。覚えてないかもしれないけれど久し振りデスね。ピット君」
「覚えてなかった事、バレてる……」
左右に分岐している階段を昇り切り、次の間へと進む為大きく構える扉を抜ける。扉を抜けた途端、魔物達が私達を待ち構えていたと言わんばかりに突進して攻撃を仕掛けて来た。直進で突っ込んで来たので回避し易かった。私達が回避したアーモスは、突然の事に対処出来ず無様にも壁に激突。伸びている所を背後から攻撃を加える私とピット君。いつもより早いペースで進んで行っている様に思う。私達が順調に魔物達を浄化している中で、タナトスとの会話は進行して行く。どうやら、タナトスはピット君がタナトスを覚えていなかった事実を既に知っていた模様。会話を聞いていた私は、条件反射として苦笑いを浮かべる。
「セラちゃんも久し振りデスね」
『!!やっぱり、私達は初対面ではない様ね』
「…セラ、貴女はタナトスを知っているのですか?」
『はい。25年前に…私は…多分タナトスに会っています』
「!それ本当なの?!」
『記憶はまだ少し曖昧なんだけどね』
私とタナトスは、初対面ではない……ピット君は私を見て驚愕の表情を纏う。そりゃそうだ、私は25年前メデューサの手に寄って幽閉されていたのだから冥府軍の幹部とは顔見知りである筈がない。ピット君だって、その事実を知っている…驚くのも無理はないと思う。パルテナ様も冷静さを保ってはいるが、意外でも言うかの様なトーンで会話をしている。本当の所、私だって気持ちの整理がついていない。自分の記憶が間違っていた事実に繋がるのだから、当然と言えば当然。焦燥感と複雑な感情が私の中に流れているのも分かっている…頭の中はぐちゃぐちゃで判断力でさえ鈍ってしまいそうになる。けれど、そんな姿敵の戦地に赴いている中で見せられる訳がなかった。私だって、パルテナ軍親衛副隊長としてのプライドがある。今から討伐しようとしている相手に弱みを握られたくはない。戦闘に隙を作らない為に、私は敢えてポーカーフェースを装った。
「でも何でセラちゃんがタナトスを知っているの?メデューサに幽閉されていたのに!」
『そ、それは…』
「何でも何も…わたしがセラちゃんを連れ去ったからデスよ」
『やっぱり…そうなんだ…』
「君に、もの凄い力が隠されているのを初めに気づいたのもこのわたしなんデスから」
タナトスのお陰で、私の記憶の曖昧な部分が少し補修されて行くのが自分の中で分かった。下唇をきゅっと噛み締める。タナトスは25年前、私の力の存在に気付き、メデューサの元へ私を送り届けた。私が…メデューサに狙われる様になってしまった元凶。変な口調の割に抜け目がない。一筋縄では行かないかもしれない。
「タナトス。素直にメデューサの居場所を教えてくれませんか?そうすれば、危害は加えません。関心も薄い様ですし」
「フォッフォッフォ。そうデスねぇ。でもせっかく来てもらったんだし。ちょこっと楽しんでいかない?ダメデスか?」
「やっぱり、メデューサを守りたいのですね」
「ヤボなことをおっしゃる。わたしを倒せば、冥府行きの切符は手に入れたも同然デス。カモンカモン、デスよ」
次々と浮上する驚くべき事実、それ等がいとも簡単に語られているタナトスの口に寄って。驚く反面、怒りや苛立ちさえ湧き起こっている。その性か口を固く閉ざしてしまった私…そんな私を気遣ってくれたのかパルテナ様はタナトスに淡々と忠告している。効果は皆無の様だけど。
「ここに来たのはメデューサの居城へ行く為だったんですね」
「ええ。メデューサにとって右腕とも言えるタナトスですから。彼は冥府といつでも結べる方法を持っている筈です」
『それでタナトスを…』
「そんなもん、持ってないデスよ。ゼンゼン持ってない。ホントホント」
「なるほど。ではもしもここを攻略出来たら!」
「いよいよ、メデューサの居城に攻め込もうと思っています」
『(漸く、メデューサをこの手で…浄化出来る日が近付いて来たのね)』
「海が閉じられました」
「じゃ、ワシの出番はここまで。頑張れよ!!」
「『ありがとうございました!!』」
半ば急かされながらも、海底神殿内に無事侵入成功。ポセイドンが手を貸してくれなかったら、私達は海底神殿にすら辿り着けなかった。それにポセイドンのお陰で私の内に眠る力の事を少しでも知る事が出来て、パルテナ様との約束も交わせた。良い方向に流れを変えてくれたポセイドンに感謝の意を込めて礼を述べる。只のせっかちな神様かと思っていたけれど、そういう訳でもないみたい。
「フォッフォッフォッ」
「タナトス!」
『(この声の主が…タナトス…)』
私達は今、エントランスから移動して左右に分岐している階段を昇っている。勿論、階段の上で私達に攻撃を仕掛けようとゆらゆら揺れていたザンザを浄化した上で。そんな折、私達の耳に不思議な笑い声が届く。パルテナ様は笑い声の主の名を呼んだ。“タナトス”と。
「鉄壁の守りだと思ったのに、お客さんとは驚きデス」
「タナトス?!」
「ふたりで呼ばなくても良いデスよ。覚えてないかもしれないけれど久し振りデスね。ピット君」
「覚えてなかった事、バレてる……」
左右に分岐している階段を昇り切り、次の間へと進む為大きく構える扉を抜ける。扉を抜けた途端、魔物達が私達を待ち構えていたと言わんばかりに突進して攻撃を仕掛けて来た。直進で突っ込んで来たので回避し易かった。私達が回避したアーモスは、突然の事に対処出来ず無様にも壁に激突。伸びている所を背後から攻撃を加える私とピット君。いつもより早いペースで進んで行っている様に思う。私達が順調に魔物達を浄化している中で、タナトスとの会話は進行して行く。どうやら、タナトスはピット君がタナトスを覚えていなかった事実を既に知っていた模様。会話を聞いていた私は、条件反射として苦笑いを浮かべる。
「セラちゃんも久し振りデスね」
『!!やっぱり、私達は初対面ではない様ね』
「…セラ、貴女はタナトスを知っているのですか?」
『はい。25年前に…私は…多分タナトスに会っています』
「!それ本当なの?!」
『記憶はまだ少し曖昧なんだけどね』
私とタナトスは、初対面ではない……ピット君は私を見て驚愕の表情を纏う。そりゃそうだ、私は25年前メデューサの手に寄って幽閉されていたのだから冥府軍の幹部とは顔見知りである筈がない。ピット君だって、その事実を知っている…驚くのも無理はないと思う。パルテナ様も冷静さを保ってはいるが、意外でも言うかの様なトーンで会話をしている。本当の所、私だって気持ちの整理がついていない。自分の記憶が間違っていた事実に繋がるのだから、当然と言えば当然。焦燥感と複雑な感情が私の中に流れているのも分かっている…頭の中はぐちゃぐちゃで判断力でさえ鈍ってしまいそうになる。けれど、そんな姿敵の戦地に赴いている中で見せられる訳がなかった。私だって、パルテナ軍親衛副隊長としてのプライドがある。今から討伐しようとしている相手に弱みを握られたくはない。戦闘に隙を作らない為に、私は敢えてポーカーフェースを装った。
「でも何でセラちゃんがタナトスを知っているの?メデューサに幽閉されていたのに!」
『そ、それは…』
「何でも何も…わたしがセラちゃんを連れ去ったからデスよ」
『やっぱり…そうなんだ…』
「君に、もの凄い力が隠されているのを初めに気づいたのもこのわたしなんデスから」
タナトスのお陰で、私の記憶の曖昧な部分が少し補修されて行くのが自分の中で分かった。下唇をきゅっと噛み締める。タナトスは25年前、私の力の存在に気付き、メデューサの元へ私を送り届けた。私が…メデューサに狙われる様になってしまった元凶。変な口調の割に抜け目がない。一筋縄では行かないかもしれない。
「タナトス。素直にメデューサの居場所を教えてくれませんか?そうすれば、危害は加えません。関心も薄い様ですし」
「フォッフォッフォ。そうデスねぇ。でもせっかく来てもらったんだし。ちょこっと楽しんでいかない?ダメデスか?」
「やっぱり、メデューサを守りたいのですね」
「ヤボなことをおっしゃる。わたしを倒せば、冥府行きの切符は手に入れたも同然デス。カモンカモン、デスよ」
次々と浮上する驚くべき事実、それ等がいとも簡単に語られているタナトスの口に寄って。驚く反面、怒りや苛立ちさえ湧き起こっている。その性か口を固く閉ざしてしまった私…そんな私を気遣ってくれたのかパルテナ様はタナトスに淡々と忠告している。効果は皆無の様だけど。
「ここに来たのはメデューサの居城へ行く為だったんですね」
「ええ。メデューサにとって右腕とも言えるタナトスですから。彼は冥府といつでも結べる方法を持っている筈です」
『それでタナトスを…』
「そんなもん、持ってないデスよ。ゼンゼン持ってない。ホントホント」
「なるほど。ではもしもここを攻略出来たら!」
「いよいよ、メデューサの居城に攻め込もうと思っています」
『(漸く、メデューサをこの手で…浄化出来る日が近付いて来たのね)』
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