第6章 黒いピット(後編)
セラ
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ブラックピット君を追撃する為に、私とピット君は彼の後を追って神殿の廃墟へゆっくりと降り立った。その直後、冥府軍が何処からともなく現れ私達目掛けて攻撃して来る。私とピット君は背中合わせになりながら全力で打撃・射撃を繰り出し、片っ端から浄化する。目にも止まらぬ速さで。
「ピット、セラ、ブラピはこの廃墟内の何処かに居ます」
「『…ブラピ?』」
「ブラックピットの事です。何となく可愛いでしょう?」
「えぇ、まぁ……。良いのかな?良いのか」
『ブラピかぁ…ふふっ本当に可愛い!』
「(むかっ)で、そのブラピを見つけて倒せば良いんですね」
「そうです。逃げられても大丈夫。粘り強く探して倒しなさい」
「了解です!!」
神器を強く握りしめ、前に進もうと少々傾斜している道を歩行する。パルテナ様と今回の任務内容について、確認しながら歩みを進める。少し歩くと……噴水広場だった場所が視界に飛び込んで来た。いよいよ、ブラックピット君改めブラピ君を倒す戦いに決着を付ける時が訪れた、勿論私の決意を固める覚悟も。例え、瓜二つだったとしてもブラピ君はピット君ではない。そこは大きな違い。私が戦わない理由にはならない。彼を攻撃するのに躊躇っていたけれど、私も親衛副隊長として任務を全うしよう。
「四方に道が分かれています。冥府軍もブラピを狙っているから、ヒントになるんじゃないかしら?」
パルテナ様のアドバイスに首を縦に頷き、噴水広場から移動しようと一歩前足を踏み出してみたけれど、前に進む事は適わなかった。何故ならば、ピット君が私の腕を掴んで動きを制止させたから。
『…ピット君…?』
「セラちゃん…絶対に、僕から離れないで」
『えっ?』
「今回は、セラちゃんの身に危険が及ぶかもしれない。最悪な事態になるかも分からないんだ…」
『…そんなの、今に始まった事じゃないでしょ?メデューサに狙われる様になってから、私はいつも危険と隣り合わせで……でも、私は独りじゃない。ピット君もパルテナ様も居てくれている。離れないでって事は…守ってくれるんでしょ?』
「う、うん」
『私がピット君から離れる訳ないじゃない?私は、親衛副隊長なんだから』
「(どうやら…セラの方がピットよりもちょっと大人のようですね)」
振り向き様、私の腕を掴んだ彼と目が合った。何時になく真剣な表情を浮かべ、話す彼。痛い程気持ちが伝わって来た…私を心配してくれている…その思いも。きっと私は、彼に心配を掛けてばかりだろう…その度にいつも守って貰っている。ピット君やパルテナ様に助けて貰って私は今、此処に居る。本音で言うのならば、守って貰うばかりではなく私も誰かを守りたい。その為に私は強くなった、何もしないで終わりを告げる天使に成り下がりたくはないから。パルテナ様やピット君が大切にしているものを全力で守るよ、言葉にしないけれど。
『行こう?』
「うん」
今、私とピット君の手と手が静かに重なった。
「ブラピは、高台の上の神殿に降り立ちました」
噴水広場から四方に分かれた道が窺える。私達の目の前を通過して行く魔物達、高台の上の神殿とは一体何処なのか。魔物達が向かっている場所へ私達もゆっくりと歩き出す。
「うーん、ブラピを見て思ったのですけど。自分が沢山居て、仕事が分担出来たら良いな、なんて思いませんか?」
『(ピット君!戦ってる時にそんな事思ってたの?!)ピット君が沢山……』
「確かにピットが沢山居たら、便利なんですけどね」
「あ、やっぱりコキ使われますか?」
「えぇ、まぁ。これもお勤めですし」
「気合い入れますよ、社長!」
『駄目!無理!!』
「セラちゃん、今何を想像したの…?」
ブラピ君を狙っている冥府軍をついでに浄化しながら、ピット君の話に耳を傾け…つい想像してしまった。ピット君が沢山居たらどうなるのか…。私は一体何人分の食事を用意すれば良いの?只でさえイカロスが沢山居て食事を作るのも大変なのに、これ以上増えられたら私が困ってしまう。まぁ、その際当たり前に手伝って貰うけど、色んなピット君が一度に私の名前を呼んだら…?
怖い!!やっぱり無理!!一人で良いです!ピット君!!
恐ろしい想像を忘れ、任務に集中しようと思う。首を左右に振り、気持ちを切り替えて傾斜している道を抜ける。高台と言うだけあって見渡しが良い。
「この先、祭壇がありますね」
「行っときましょう!」
『ピット君はブラピ君に集中して!私は魔物達を引き受けるから!』
「ありがとう、セラちゃん!でも無理はしないで!」
『ピット君もね!』
祭壇と呼称される場所に辿り着いた。辺りは薄暗く視界は悪い。軽くハイタッチを交わし、私達は目的の為…動き出す。ピット君はブラピ君を…私は一緒に付いて来た冥府軍を相手に。
「ピット、セラ、ブラピはこの廃墟内の何処かに居ます」
「『…ブラピ?』」
「ブラックピットの事です。何となく可愛いでしょう?」
「えぇ、まぁ……。良いのかな?良いのか」
『ブラピかぁ…ふふっ本当に可愛い!』
「(むかっ)で、そのブラピを見つけて倒せば良いんですね」
「そうです。逃げられても大丈夫。粘り強く探して倒しなさい」
「了解です!!」
神器を強く握りしめ、前に進もうと少々傾斜している道を歩行する。パルテナ様と今回の任務内容について、確認しながら歩みを進める。少し歩くと……噴水広場だった場所が視界に飛び込んで来た。いよいよ、ブラックピット君改めブラピ君を倒す戦いに決着を付ける時が訪れた、勿論私の決意を固める覚悟も。例え、瓜二つだったとしてもブラピ君はピット君ではない。そこは大きな違い。私が戦わない理由にはならない。彼を攻撃するのに躊躇っていたけれど、私も親衛副隊長として任務を全うしよう。
「四方に道が分かれています。冥府軍もブラピを狙っているから、ヒントになるんじゃないかしら?」
パルテナ様のアドバイスに首を縦に頷き、噴水広場から移動しようと一歩前足を踏み出してみたけれど、前に進む事は適わなかった。何故ならば、ピット君が私の腕を掴んで動きを制止させたから。
『…ピット君…?』
「セラちゃん…絶対に、僕から離れないで」
『えっ?』
「今回は、セラちゃんの身に危険が及ぶかもしれない。最悪な事態になるかも分からないんだ…」
『…そんなの、今に始まった事じゃないでしょ?メデューサに狙われる様になってから、私はいつも危険と隣り合わせで……でも、私は独りじゃない。ピット君もパルテナ様も居てくれている。離れないでって事は…守ってくれるんでしょ?』
「う、うん」
『私がピット君から離れる訳ないじゃない?私は、親衛副隊長なんだから』
「(どうやら…セラの方がピットよりもちょっと大人のようですね)」
振り向き様、私の腕を掴んだ彼と目が合った。何時になく真剣な表情を浮かべ、話す彼。痛い程気持ちが伝わって来た…私を心配してくれている…その思いも。きっと私は、彼に心配を掛けてばかりだろう…その度にいつも守って貰っている。ピット君やパルテナ様に助けて貰って私は今、此処に居る。本音で言うのならば、守って貰うばかりではなく私も誰かを守りたい。その為に私は強くなった、何もしないで終わりを告げる天使に成り下がりたくはないから。パルテナ様やピット君が大切にしているものを全力で守るよ、言葉にしないけれど。
『行こう?』
「うん」
今、私とピット君の手と手が静かに重なった。
「ブラピは、高台の上の神殿に降り立ちました」
噴水広場から四方に分かれた道が窺える。私達の目の前を通過して行く魔物達、高台の上の神殿とは一体何処なのか。魔物達が向かっている場所へ私達もゆっくりと歩き出す。
「うーん、ブラピを見て思ったのですけど。自分が沢山居て、仕事が分担出来たら良いな、なんて思いませんか?」
『(ピット君!戦ってる時にそんな事思ってたの?!)ピット君が沢山……』
「確かにピットが沢山居たら、便利なんですけどね」
「あ、やっぱりコキ使われますか?」
「えぇ、まぁ。これもお勤めですし」
「気合い入れますよ、社長!」
『駄目!無理!!』
「セラちゃん、今何を想像したの…?」
ブラピ君を狙っている冥府軍をついでに浄化しながら、ピット君の話に耳を傾け…つい想像してしまった。ピット君が沢山居たらどうなるのか…。私は一体何人分の食事を用意すれば良いの?只でさえイカロスが沢山居て食事を作るのも大変なのに、これ以上増えられたら私が困ってしまう。まぁ、その際当たり前に手伝って貰うけど、色んなピット君が一度に私の名前を呼んだら…?
怖い!!やっぱり無理!!一人で良いです!ピット君!!
恐ろしい想像を忘れ、任務に集中しようと思う。首を左右に振り、気持ちを切り替えて傾斜している道を抜ける。高台と言うだけあって見渡しが良い。
「この先、祭壇がありますね」
「行っときましょう!」
『ピット君はブラピ君に集中して!私は魔物達を引き受けるから!』
「ありがとう、セラちゃん!でも無理はしないで!」
『ピット君もね!』
祭壇と呼称される場所に辿り着いた。辺りは薄暗く視界は悪い。軽くハイタッチを交わし、私達は目的の為…動き出す。ピット君はブラピ君を…私は一緒に付いて来た冥府軍を相手に。