第6章 黒いピット(前編)
セラ
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自分に合った神器を手に持ち、ゲートから踏ん切りを付けて大空へと羽ばたいた。…前回、パンドーラ戦において“真実の魔鏡”から黒いピット君が誕生した。パンドーラを討伐し、真実の魔鏡を破壊するのに成功したが、黒いピット君は自身の羽根に飛翔の奇跡を宿し飛び去ってしまった。“直ぐに彼を追い掛ける”一旦神殿に帰還した私達は、パルテナ様に黒いピット君の捜索をお願いし、準備万端にした上で私とピット君は今…大空を飛行している。
『ねぇ?ピット君?』
「んっ?なぁに?セラちゃん」
『さっき、パルテナ様と何話してたの?』
「えっ?」
『話してたでしょ?深刻そうな顔をして…』
「…話してないよ。何も…」
『…?ふぅん…』
何処となくいつもと違う空気が流れているのは気が付いていた。不穏な空気が流れている…ピット君の真剣な横顔を見つめていれば、嫌でも分かってしまう。それに私は出陣前に目撃してしまったのだ。パルテナ様とピット君が深刻そうな顔をして話をしているのを。
「ピット」
「パルテナ様?」
「今回のお勤め、セラから片時も離れないで下さい」
「何でですか?」
「真実の魔鏡から生まれたブラックピットは、ピット…貴方のコピー。貴方がセラを好きなのに、ブラックピットがセラを嫌いな訳がありません。パンドーラに狙われた彼女を助けたのが何よりの証拠です。今回、ブラックピットがセラに何をするか…私でも分からないのです。もしかしたら最悪な事態になるかも…」
「それで僕に?」
「セラを出陣させない方法も考えましたが、何も知らないセラは逆に怪しむでしょう。ピットの気持ちに気付くのも最早時間の問題…そうならない様に彼女は出陣させ、尚且つピットに守らせた方が効率が良いと判断しました。これは、ピットの為を思って言っているんですよ?セラの事、よろしくお願いします」
深刻そうな顔をしていたと記憶している。明らかに二人は何かについて話をしていた。けれど、ピット君は何も話していないと嘘を吐いて来た。私を見つめていた視線が斜めにずれたからだ。だが、これ以上彼に深く追究はしなかった。話せる内容ならば彼はきっと、私に話してくれるだろう…それこそいつもの様に。今回はパターンが違って話をしていないと嘘迄吐かれてしまった…相当言いたくないんだろう。言いたくない内容を無理に自白させる程私は、無慈悲ではない。素っ気無い態度を取って、何事もなかったかの様に見せる事にした。私の興味が逸れたと分かったのか、彼は私の隣で安堵の溜め息を吐いていたのが横目で見えた。
「ブラックピットを見つけました!」
『本当ですか?!』
「何処に?!うわっ!!」
「来たな」
「負けるか!」
ピット君を横目で見つめつつ、飛行していると突如パルテナ様が私達に彼を見つけたと知らせてくれた。黒い翼の彼は一体何処に…?パルテナ様が見つけてくれた様だが、何処に居るのか分からない。きょろきょろと辺りを見渡していると、ピット君がブラックピット君と神器を搗ち合わせているのを目撃する。止まらぬ速さで二人は、戦いを交えて行く…何故かは分からないが、私には一切攻撃を仕掛けられては来なかった。今の状況…私が二人の戦っている様子を見守っている。
「君はどうして攻撃して来るんだ!!冥府軍か!!」
「冥府軍とは関係ない。只、俺と同じ者が居るのが許せないだけだ」
「そちらの方がコピーだろう?!」
「何故俺がコピーだと言える?!今、俺は生きているぞ!どうだ!生きているぞ!!」
飛行しながらも二人の戦いは続く。相変わらず、私は見守る役で二人が激しいバトルを繰り広げているのを只…見守っている。いつもは向かって来る冥府軍を片っ端から浄化している性か、いつもと相違する自分が置かれている立場に不慣れさを感じている。見ているだけじゃなくて、私もピット君を助けたいと思うけれどうまく事は運んではくれない。小さく…溜め息を零しているとパルテナ様に心中を察知されてしまったのか“セラ、もしもの為に体力は温存しておきましょう”とアドバイスを頂いてしまった。雲の上、雲の中を飛行していると、景色が変化し荒れ地の様な風景が視界に飛び込んで来る。ブラックピット君は、一体何処に向かっているんだろう…?頭の隅でそんな疑問を巡らせていると、見覚えのある魔物が突然…私達に襲い掛かって来た。
「冥府軍!こんな時に!」
「早速戦っているな。黒いピットよ」
「俺の事か?」
『メデューサ…』
襲い掛かって来た魔物達を浄化していると、聞き覚えのある声が耳を掠める。声の主は分かっている、忘れたくても忘れるなんて簡単に出来ない宿敵、冥府の女王メデューサ。どうやらブラックピット君の情報を既に掴んでいる様で、彼に対し何やら言葉を発しているのが聞こえて来る。
『ねぇ?ピット君?』
「んっ?なぁに?セラちゃん」
『さっき、パルテナ様と何話してたの?』
「えっ?」
『話してたでしょ?深刻そうな顔をして…』
「…話してないよ。何も…」
『…?ふぅん…』
何処となくいつもと違う空気が流れているのは気が付いていた。不穏な空気が流れている…ピット君の真剣な横顔を見つめていれば、嫌でも分かってしまう。それに私は出陣前に目撃してしまったのだ。パルテナ様とピット君が深刻そうな顔をして話をしているのを。
「ピット」
「パルテナ様?」
「今回のお勤め、セラから片時も離れないで下さい」
「何でですか?」
「真実の魔鏡から生まれたブラックピットは、ピット…貴方のコピー。貴方がセラを好きなのに、ブラックピットがセラを嫌いな訳がありません。パンドーラに狙われた彼女を助けたのが何よりの証拠です。今回、ブラックピットがセラに何をするか…私でも分からないのです。もしかしたら最悪な事態になるかも…」
「それで僕に?」
「セラを出陣させない方法も考えましたが、何も知らないセラは逆に怪しむでしょう。ピットの気持ちに気付くのも最早時間の問題…そうならない様に彼女は出陣させ、尚且つピットに守らせた方が効率が良いと判断しました。これは、ピットの為を思って言っているんですよ?セラの事、よろしくお願いします」
深刻そうな顔をしていたと記憶している。明らかに二人は何かについて話をしていた。けれど、ピット君は何も話していないと嘘を吐いて来た。私を見つめていた視線が斜めにずれたからだ。だが、これ以上彼に深く追究はしなかった。話せる内容ならば彼はきっと、私に話してくれるだろう…それこそいつもの様に。今回はパターンが違って話をしていないと嘘迄吐かれてしまった…相当言いたくないんだろう。言いたくない内容を無理に自白させる程私は、無慈悲ではない。素っ気無い態度を取って、何事もなかったかの様に見せる事にした。私の興味が逸れたと分かったのか、彼は私の隣で安堵の溜め息を吐いていたのが横目で見えた。
「ブラックピットを見つけました!」
『本当ですか?!』
「何処に?!うわっ!!」
「来たな」
「負けるか!」
ピット君を横目で見つめつつ、飛行していると突如パルテナ様が私達に彼を見つけたと知らせてくれた。黒い翼の彼は一体何処に…?パルテナ様が見つけてくれた様だが、何処に居るのか分からない。きょろきょろと辺りを見渡していると、ピット君がブラックピット君と神器を搗ち合わせているのを目撃する。止まらぬ速さで二人は、戦いを交えて行く…何故かは分からないが、私には一切攻撃を仕掛けられては来なかった。今の状況…私が二人の戦っている様子を見守っている。
「君はどうして攻撃して来るんだ!!冥府軍か!!」
「冥府軍とは関係ない。只、俺と同じ者が居るのが許せないだけだ」
「そちらの方がコピーだろう?!」
「何故俺がコピーだと言える?!今、俺は生きているぞ!どうだ!生きているぞ!!」
飛行しながらも二人の戦いは続く。相変わらず、私は見守る役で二人が激しいバトルを繰り広げているのを只…見守っている。いつもは向かって来る冥府軍を片っ端から浄化している性か、いつもと相違する自分が置かれている立場に不慣れさを感じている。見ているだけじゃなくて、私もピット君を助けたいと思うけれどうまく事は運んではくれない。小さく…溜め息を零しているとパルテナ様に心中を察知されてしまったのか“セラ、もしもの為に体力は温存しておきましょう”とアドバイスを頂いてしまった。雲の上、雲の中を飛行していると、景色が変化し荒れ地の様な風景が視界に飛び込んで来る。ブラックピット君は、一体何処に向かっているんだろう…?頭の隅でそんな疑問を巡らせていると、見覚えのある魔物が突然…私達に襲い掛かって来た。
「冥府軍!こんな時に!」
「早速戦っているな。黒いピットよ」
「俺の事か?」
『メデューサ…』
襲い掛かって来た魔物達を浄化していると、聞き覚えのある声が耳を掠める。声の主は分かっている、忘れたくても忘れるなんて簡単に出来ない宿敵、冥府の女王メデューサ。どうやらブラックピット君の情報を既に掴んでいる様で、彼に対し何やら言葉を発しているのが聞こえて来る。