第5章 パンドーラの罠(後編)
セラ
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「お呼びでないね」
彼はパンドーラを裏拳で殴った後、私達に攻撃を仕掛けるのではなくパンドーラに攻撃をし始めた。神器を構え、再度戦闘モードに入っていた身としては何が起こったのか分からずに拍子抜けしてしまう。今、明らかにパンドーラは不利な状況に在る。
「コラ!お前の相手はあっちの天使達だよォ!」
「俺には関係ないね。好きな事をやるだけだ」
「何だか自分を見ている様で気持ちが悪い」
「ちょっとケンカっ早いみたいですね。でもせっかくだから一緒にパンドーラを倒してみては?」
『それって良いのかなぁ…』
三対一ってルール違反じゃあ…とも思ったが、過去にそんな状況下戦った事がある。無慈悲でパンドーラ討伐に専念しようと心に決め、二人のピット君の援護に回る。数メートル離れた場所から射撃する。時にパンドーラが投入して来る爆弾を打ち返したり…攻撃は様々。黒いピット君は真っ向からパンドーラに攻撃、ピット君は背後に回って打撃・射撃を状況に合わせ繰り出している。
「真実の鏡は、文字通り真実を映し出すものさね。ピット、お前そンな顔して結構攻撃的なんだねェ」
「そんな馬鹿な!」
「(…とは言え、この状態はかなり辛いねェ。…んっ?あれは…セラ?そうだ。あの子を連れてメデューサ様の元へ向かえば…うまく逃げられる!)」
「?!!パンドーラが消えた?!!」
『?!!』
「テレポートか!」
二人のピット君が攻撃を仕掛け、私は援護に回っていた。攻撃を逃れる目的の為か、パンドーラが姿を消失させてしまう。一体何処に行ってしまったのか…耳を澄ませ、パンドーラが何処に行ったのか隈無く探す私達。キョロキョロと辺りを見渡しているが幽体だからか気配すら感じない。
『一体何処に…』
「此処に居るよォ」
『?!』
「あんたもあたしと一緒にメデューサ様の所へ来てもらうよォ!」
「セラ!!」
パンドーラは姿を消失させ、いつの間にか私の背後に回り絶好の機会を狙っていた。やはり簡単には諦めていなかった。私をメデューサの元へ送り届けると言う目的を。パンドーラは私に攻撃を加え、ダメージを与えようと口から火炎弾を出そうとしている。“逃げなくちゃ!”頭では分かっているのに、身体はうまく動いてはくれなくて逃げるタイミングを失ってしまう。
『もう…駄目なのかな…』
「セラちゃああん!!(くっ!駄目だ!間に合わない!!)」
不覚にも今迄過ごして来た…楽しかった日々がまるで走馬灯の様に浮かぶ。パルテナ様やピット君、イカロス達と笑ったり、泣いたり、怒ったり…何気ない筈なのにそれが楽しくて何より幸せだった。こんな事なら皆にもっともっと私の料理食べて貰えば良かった。もっと皆に色んな話をしていれば…良かった。
終わりを悟り、両眼を閉じる。握りしめていた神器は地に落ち、私は無防備な姿になる。その後、何かが激突する音が聞こえた。
『…?』
違和感に直ぐ様見舞われる。両眼を瞑っていても想像を絶する痛みが私に襲って来る事はなかった。何が起こったのか…把握したくて恐る恐る両眼を開く。両眼を開いた瞬間、目を見張る様子が私を待っていた。
『…どうして…』
黒いピット君が私に背を向けて立ち尽くしていた。先程居た筈のパンドーラの姿が見えず、黒い羽根がひらひらと舞う。
「大丈夫か?」
『えっ?!う…うん』
「そうか」
『もしかして…貴方が私を助けてくれたの?パンドーラから』
「………」
『……ありがとう』
彼が私を助けてくれた?信じられないけれど、私が生きている事実が動かない限り自動的に結び付く。意外だったけれど、助けてくれたお礼を彼に言うと私に顔を向けて微かな笑みを浮かべた気がした。でも何処か悲しそうなその表情、彼の深紅色に染まる瞳が悲しく揺れている様に見えた。
「セラちゃああん!!」
『あっピット君!!』
「…ちっ…」
暫く彼から目が離せなかった。何か言いたそうに悲しく揺れる彼の両眼が私を捉えたから…と言うのが最大の理由。【どうしてそんな悲しい目をしているの?】彼に問い掛けようと口を開きかけたが、私の名を呼びながら駆けて来るピット君の姿が見え、彼に自然と笑顔を見せる私。そのお陰で私の口から彼に対する疑問が言葉として出る事はなかった。
「セラちゃん!大丈夫?!」
『私は大丈夫!彼が助けてくれたから』
「えっ?」
『よーし!反撃開始だよ!!』
耳に飛び込んで来た先程の激突する様な音は…黒いピット君が私を助ける為パンドーラを吹っ飛ばした際に生じた音だった。衝撃で暫し気絶していたであろうパンドーラ。今、むくりと起き上がり私達に“許さないよォ”だの何だの言っている。神器を強く握りしめ、私は一目散にパンドーラの元へ駆け出す。
「セラ!」
『さっき、私を攻撃しようとしていたその…お・か・え・し!』
「ぐっ!!ギャアアアアア!!」
『ピット君!今よ!』
「セラ…強くなりましたね。怪我は、ありませんか?」
『ふふっはい!何ともないです!』
「よしっ!一気に行くぞ!」
パンドーラを討伐する迄、然程時間を費やさないだろう。なんて考えを頭の隅で巡らせていると、パンドーラがピット君の手に寄って討伐される光景が両眼に映る。
「フィニッシュ!」
「ふん!やっとくたばったか!」
『やったぁ!勝ったぁ!』
ピット君はパンドーラを討伐してくれた。嬉しさ故にピット君の元へ駆け出す。今回も私達、パルテナ軍が勝利を治めた。要約エンジェランド、光の神殿に帰還出来る。神殿に戻ったら、ピット君に抹茶ババロア作ってあげようかな~そんな事を思っていた。けれど状況は著しく悪い方向へ導かれる。黒いピット君が突然ピット君の腹部を……
「ごふぅ!」
蹴って来たのだ。
「ピット!」
『ピット君!』
「似過ぎで気持ち悪いんだよ」
「それは、こっちの台詞だ」
『(また…悲しそうな顔…)』
蹴られたダメージに寄り、ピット君は辛そうに顔を歪めながら黒いピット君を見つめる。直ぐ様辛そうにしているピット君の元へ駆け寄った。むっとした顔をしながら黒いピット君を見つめたが、彼は先程私に見せた悲しそうな顔を浮かべていた…本の一瞬だったけれど。駆け出し、パンドーラ迄距離を詰めると神器を思い切りパンドーラに向けて薙ぎ払う。パンドーラは反動で、気持ちが良い程に吹き飛ばされる。物凄く殴りたかったからスカッとした!何事もなかったかの様に黒いピット君は、パンドーラが倒れている場所へ全身を投じた。
「!あれはまさか!」
「パンドーラの最後の力は貰っておくぜ!」
「飛翔の奇跡?!」
彼はずっと待っていたんだ、パンドーラが討伐される時を。そしてたった今、手に入れた。パンドーラの力…その力を羽根に宿し、彼は遥か空を飛び立った。
「直ぐに追い掛けましょう。一旦回収します」
余りの出来事に何も言えなくなる私達。言葉を失った私達にパルテナ様の冷静な声音が耳に届き、私達は光に包まれ神殿に帰還した。
(To be continued )
彼はパンドーラを裏拳で殴った後、私達に攻撃を仕掛けるのではなくパンドーラに攻撃をし始めた。神器を構え、再度戦闘モードに入っていた身としては何が起こったのか分からずに拍子抜けしてしまう。今、明らかにパンドーラは不利な状況に在る。
「コラ!お前の相手はあっちの天使達だよォ!」
「俺には関係ないね。好きな事をやるだけだ」
「何だか自分を見ている様で気持ちが悪い」
「ちょっとケンカっ早いみたいですね。でもせっかくだから一緒にパンドーラを倒してみては?」
『それって良いのかなぁ…』
三対一ってルール違反じゃあ…とも思ったが、過去にそんな状況下戦った事がある。無慈悲でパンドーラ討伐に専念しようと心に決め、二人のピット君の援護に回る。数メートル離れた場所から射撃する。時にパンドーラが投入して来る爆弾を打ち返したり…攻撃は様々。黒いピット君は真っ向からパンドーラに攻撃、ピット君は背後に回って打撃・射撃を状況に合わせ繰り出している。
「真実の鏡は、文字通り真実を映し出すものさね。ピット、お前そンな顔して結構攻撃的なんだねェ」
「そんな馬鹿な!」
「(…とは言え、この状態はかなり辛いねェ。…んっ?あれは…セラ?そうだ。あの子を連れてメデューサ様の元へ向かえば…うまく逃げられる!)」
「?!!パンドーラが消えた?!!」
『?!!』
「テレポートか!」
二人のピット君が攻撃を仕掛け、私は援護に回っていた。攻撃を逃れる目的の為か、パンドーラが姿を消失させてしまう。一体何処に行ってしまったのか…耳を澄ませ、パンドーラが何処に行ったのか隈無く探す私達。キョロキョロと辺りを見渡しているが幽体だからか気配すら感じない。
『一体何処に…』
「此処に居るよォ」
『?!』
「あんたもあたしと一緒にメデューサ様の所へ来てもらうよォ!」
「セラ!!」
パンドーラは姿を消失させ、いつの間にか私の背後に回り絶好の機会を狙っていた。やはり簡単には諦めていなかった。私をメデューサの元へ送り届けると言う目的を。パンドーラは私に攻撃を加え、ダメージを与えようと口から火炎弾を出そうとしている。“逃げなくちゃ!”頭では分かっているのに、身体はうまく動いてはくれなくて逃げるタイミングを失ってしまう。
『もう…駄目なのかな…』
「セラちゃああん!!(くっ!駄目だ!間に合わない!!)」
不覚にも今迄過ごして来た…楽しかった日々がまるで走馬灯の様に浮かぶ。パルテナ様やピット君、イカロス達と笑ったり、泣いたり、怒ったり…何気ない筈なのにそれが楽しくて何より幸せだった。こんな事なら皆にもっともっと私の料理食べて貰えば良かった。もっと皆に色んな話をしていれば…良かった。
終わりを悟り、両眼を閉じる。握りしめていた神器は地に落ち、私は無防備な姿になる。その後、何かが激突する音が聞こえた。
『…?』
違和感に直ぐ様見舞われる。両眼を瞑っていても想像を絶する痛みが私に襲って来る事はなかった。何が起こったのか…把握したくて恐る恐る両眼を開く。両眼を開いた瞬間、目を見張る様子が私を待っていた。
『…どうして…』
黒いピット君が私に背を向けて立ち尽くしていた。先程居た筈のパンドーラの姿が見えず、黒い羽根がひらひらと舞う。
「大丈夫か?」
『えっ?!う…うん』
「そうか」
『もしかして…貴方が私を助けてくれたの?パンドーラから』
「………」
『……ありがとう』
彼が私を助けてくれた?信じられないけれど、私が生きている事実が動かない限り自動的に結び付く。意外だったけれど、助けてくれたお礼を彼に言うと私に顔を向けて微かな笑みを浮かべた気がした。でも何処か悲しそうなその表情、彼の深紅色に染まる瞳が悲しく揺れている様に見えた。
「セラちゃああん!!」
『あっピット君!!』
「…ちっ…」
暫く彼から目が離せなかった。何か言いたそうに悲しく揺れる彼の両眼が私を捉えたから…と言うのが最大の理由。【どうしてそんな悲しい目をしているの?】彼に問い掛けようと口を開きかけたが、私の名を呼びながら駆けて来るピット君の姿が見え、彼に自然と笑顔を見せる私。そのお陰で私の口から彼に対する疑問が言葉として出る事はなかった。
「セラちゃん!大丈夫?!」
『私は大丈夫!彼が助けてくれたから』
「えっ?」
『よーし!反撃開始だよ!!』
耳に飛び込んで来た先程の激突する様な音は…黒いピット君が私を助ける為パンドーラを吹っ飛ばした際に生じた音だった。衝撃で暫し気絶していたであろうパンドーラ。今、むくりと起き上がり私達に“許さないよォ”だの何だの言っている。神器を強く握りしめ、私は一目散にパンドーラの元へ駆け出す。
「セラ!」
『さっき、私を攻撃しようとしていたその…お・か・え・し!』
「ぐっ!!ギャアアアアア!!」
『ピット君!今よ!』
「セラ…強くなりましたね。怪我は、ありませんか?」
『ふふっはい!何ともないです!』
「よしっ!一気に行くぞ!」
パンドーラを討伐する迄、然程時間を費やさないだろう。なんて考えを頭の隅で巡らせていると、パンドーラがピット君の手に寄って討伐される光景が両眼に映る。
「フィニッシュ!」
「ふん!やっとくたばったか!」
『やったぁ!勝ったぁ!』
ピット君はパンドーラを討伐してくれた。嬉しさ故にピット君の元へ駆け出す。今回も私達、パルテナ軍が勝利を治めた。要約エンジェランド、光の神殿に帰還出来る。神殿に戻ったら、ピット君に抹茶ババロア作ってあげようかな~そんな事を思っていた。けれど状況は著しく悪い方向へ導かれる。黒いピット君が突然ピット君の腹部を……
「ごふぅ!」
蹴って来たのだ。
「ピット!」
『ピット君!』
「似過ぎで気持ち悪いんだよ」
「それは、こっちの台詞だ」
『(また…悲しそうな顔…)』
蹴られたダメージに寄り、ピット君は辛そうに顔を歪めながら黒いピット君を見つめる。直ぐ様辛そうにしているピット君の元へ駆け寄った。むっとした顔をしながら黒いピット君を見つめたが、彼は先程私に見せた悲しそうな顔を浮かべていた…本の一瞬だったけれど。駆け出し、パンドーラ迄距離を詰めると神器を思い切りパンドーラに向けて薙ぎ払う。パンドーラは反動で、気持ちが良い程に吹き飛ばされる。物凄く殴りたかったからスカッとした!何事もなかったかの様に黒いピット君は、パンドーラが倒れている場所へ全身を投じた。
「!あれはまさか!」
「パンドーラの最後の力は貰っておくぜ!」
「飛翔の奇跡?!」
彼はずっと待っていたんだ、パンドーラが討伐される時を。そしてたった今、手に入れた。パンドーラの力…その力を羽根に宿し、彼は遥か空を飛び立った。
「直ぐに追い掛けましょう。一旦回収します」
余りの出来事に何も言えなくなる私達。言葉を失った私達にパルテナ様の冷静な声音が耳に届き、私達は光に包まれ神殿に帰還した。
(To be continued )