第5章 パンドーラの罠(後編)
セラ
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「来ちゃったねェ」
「あっいた!虚空に潜む悪共よ!音にも聞け!頭を洗え!光の女神パルテナが使いピット!此処に見参!!」
「……何それ?」
様々なトラップが仕掛けられている空間を抜けて、漸くパンドーラの元へ辿り着いた。私にとってはパンドーラとは初対面となる。一体どういう身形をしているのか少しばかり気になっていたのは嘘ではなくて、パンドーラと思われる幽体を発見し真っ直ぐと見据えた。ピット君が突然何を思ったのか、パンドーラに向けて名乗り始めた。名乗りを聞いたパルテナ様の一言…正直な所、私もパルテナ様と同意見だ。引き攣った笑みを浮かべてしまう私…パルテナ様に“セラも名乗ったらどうですか?”と提案されたが、丁重にお断りしておいた。
「まぁ、いいや。相手してやンよォ」
「何でそんなにアンニュイなんだよ!!」
「はいはい。やられりゃいーんでしょォ。やられりゃァ」
「ある意味達観してますね。ボス敵として」
『(そんなので…良いの?)』
“倒される前提で話を進めるボス敵、初めて見たわ”神器を強く握りしめながら、そんな事を思う。普通ならば私達に討伐される思考は働かない…おしゃべり三ッ首龍も魔王ガイナスも全力で私達に向かって来ていた。パンドーラは他の冥府軍と比較すると異端者なのだろう。そんな敵に情け等必要ない。全力で通常通り討伐して、真実の魔鏡を破壊する任務を全うするのみ。
『ピット君!行くよ!』
「うん!」
「幽体であるパンドーラに攻撃が余り効きません。パンドーラの爆弾を打撃で打ち返したら効果的かもしれませんよ」
パルテナ様から助言を受け、私とピット君は四方八方に散る。パンドーラは火炎弾を発射したり、地中に潜りながら私達に攻撃を加えようと向かって来る。挙げ句の果てには、ドロップをして衝撃波で私達にダメージを与えようとして来たり。ギリギリの所で回避し、パンドーラに攻撃を加える。パンドーラから発射される爆弾を、打撃で打ち返す。
『くっ…!凄い吸引力!』
「セラちゃん!」
『ピット君!』
爆弾を打撃で打ち返し、パンドーラにダメージを与えていたけれど、凄い力で吸い寄せられ反撃される。このまま行けば、私は明らかにパンドーラからダメージを喰らってしまう。頑張って踏み止まっていたが、段々と両足が吸引に堪えられなくなっているのが分かった。
「これでセラをメデューサ様の元へ送り届けられるよォ」
『…もう…駄目!』
「させるか!」
懸命に耐えている私の横からピット君はわざとパンドーラに突っ込んで行く。突然の出来事に対処しきれないパンドーラ。慌てふためく声が耳を掠る。慌てふためきながらも彼に攻撃を加えようとするが数秒遅く、彼に攻撃が届く前に神器で薙ぎ払われ、パンドーラは数メートル飛ばされてしまう。そのお陰で私は危機的状況を回避した。
「セラ!大丈夫ですか?!」
『大丈夫です。パルテナ様』
「…良かった。危ない所でしたね」
「…セラちゃん!大丈夫?!」
『ピット君…。うん、大丈夫。助けてくれてありがとう』
「うん。本当に良かった」
もう少しで私はパンドーラの手に寄り、メデューサの元へ送り届けられる所だった。例え、今迄の冥府軍と相違していたとしてもパンドーラもメデューサの配下、その事実は揺るがない。あいつも私を狙っている。
【絶対に冥府軍なんて行かない!私は…パルテナ軍親衛副隊長だもの!!】
神器を強く握りしめ、構える。反撃を開始しようとした瞬間、パンドーラはむくりと起き上がって口を開いた。
「分かった。分かった。お望みのものを見せてやンよ。これが真実の魔鏡だよォ」
『(何、あの鏡…。嫌な感じがする…)』
「いけない。ピット!鏡を破壊して!!」
パンドーラはやけにあっさり真実の魔鏡を私達に見せびらかす。鏡を見た瞬間、嫌な感覚が身体を襲う。パルテナ様の叫ぶ声が脳裏を過ぎり、ピット君が鏡に向かって駆け出すのが見えた。確かに…あの鏡は破壊しなければならない代物だ。
「たあーーーーーっ!!……えっ?」
ピット君は飛び蹴りで鏡を破壊するのに成功。
「な・な…」
『嘘…』
だが、真実の魔鏡はピット君を映していた。彼が鏡を破壊した際に黒装束に身を包み、黒き翼を背に生えている男の子が姿を現す。
「よお」
「差し詰めブラックピットと言った所かねェ」
『黒い…ピット君…?』
容姿はピット君なのに、瞳の色、髪の色が全て異なっている。彼は一体何者なの…?真実の魔鏡は、ピット君の心の奥底を映し出し、彼を生み出したとでも言うの…?
「さぁ!あの天使達をやっちまいなよォ!」
様々な考えを巡らせていると、パンドーラが黒いピット君に私達に攻撃を仕掛ける様に命令しているのが聞こえ、神器を構える。問題が一気に山積みになってしまったけれど、一先ずそれは置いといてパンドーラを討伐するのが先決だろう。今回の任務はまさしくパンドーラを討伐し、真実の魔鏡を破壊する事なのだから。パンドーラを討伐する迄は、私達も光の神殿に帰還すら出来ない。パンドーラの命令に従うと思っていた私は、彼の起こした行動に対し驚愕する。
「あっいた!虚空に潜む悪共よ!音にも聞け!頭を洗え!光の女神パルテナが使いピット!此処に見参!!」
「……何それ?」
様々なトラップが仕掛けられている空間を抜けて、漸くパンドーラの元へ辿り着いた。私にとってはパンドーラとは初対面となる。一体どういう身形をしているのか少しばかり気になっていたのは嘘ではなくて、パンドーラと思われる幽体を発見し真っ直ぐと見据えた。ピット君が突然何を思ったのか、パンドーラに向けて名乗り始めた。名乗りを聞いたパルテナ様の一言…正直な所、私もパルテナ様と同意見だ。引き攣った笑みを浮かべてしまう私…パルテナ様に“セラも名乗ったらどうですか?”と提案されたが、丁重にお断りしておいた。
「まぁ、いいや。相手してやンよォ」
「何でそんなにアンニュイなんだよ!!」
「はいはい。やられりゃいーんでしょォ。やられりゃァ」
「ある意味達観してますね。ボス敵として」
『(そんなので…良いの?)』
“倒される前提で話を進めるボス敵、初めて見たわ”神器を強く握りしめながら、そんな事を思う。普通ならば私達に討伐される思考は働かない…おしゃべり三ッ首龍も魔王ガイナスも全力で私達に向かって来ていた。パンドーラは他の冥府軍と比較すると異端者なのだろう。そんな敵に情け等必要ない。全力で通常通り討伐して、真実の魔鏡を破壊する任務を全うするのみ。
『ピット君!行くよ!』
「うん!」
「幽体であるパンドーラに攻撃が余り効きません。パンドーラの爆弾を打撃で打ち返したら効果的かもしれませんよ」
パルテナ様から助言を受け、私とピット君は四方八方に散る。パンドーラは火炎弾を発射したり、地中に潜りながら私達に攻撃を加えようと向かって来る。挙げ句の果てには、ドロップをして衝撃波で私達にダメージを与えようとして来たり。ギリギリの所で回避し、パンドーラに攻撃を加える。パンドーラから発射される爆弾を、打撃で打ち返す。
『くっ…!凄い吸引力!』
「セラちゃん!」
『ピット君!』
爆弾を打撃で打ち返し、パンドーラにダメージを与えていたけれど、凄い力で吸い寄せられ反撃される。このまま行けば、私は明らかにパンドーラからダメージを喰らってしまう。頑張って踏み止まっていたが、段々と両足が吸引に堪えられなくなっているのが分かった。
「これでセラをメデューサ様の元へ送り届けられるよォ」
『…もう…駄目!』
「させるか!」
懸命に耐えている私の横からピット君はわざとパンドーラに突っ込んで行く。突然の出来事に対処しきれないパンドーラ。慌てふためく声が耳を掠る。慌てふためきながらも彼に攻撃を加えようとするが数秒遅く、彼に攻撃が届く前に神器で薙ぎ払われ、パンドーラは数メートル飛ばされてしまう。そのお陰で私は危機的状況を回避した。
「セラ!大丈夫ですか?!」
『大丈夫です。パルテナ様』
「…良かった。危ない所でしたね」
「…セラちゃん!大丈夫?!」
『ピット君…。うん、大丈夫。助けてくれてありがとう』
「うん。本当に良かった」
もう少しで私はパンドーラの手に寄り、メデューサの元へ送り届けられる所だった。例え、今迄の冥府軍と相違していたとしてもパンドーラもメデューサの配下、その事実は揺るがない。あいつも私を狙っている。
【絶対に冥府軍なんて行かない!私は…パルテナ軍親衛副隊長だもの!!】
神器を強く握りしめ、構える。反撃を開始しようとした瞬間、パンドーラはむくりと起き上がって口を開いた。
「分かった。分かった。お望みのものを見せてやンよ。これが真実の魔鏡だよォ」
『(何、あの鏡…。嫌な感じがする…)』
「いけない。ピット!鏡を破壊して!!」
パンドーラはやけにあっさり真実の魔鏡を私達に見せびらかす。鏡を見た瞬間、嫌な感覚が身体を襲う。パルテナ様の叫ぶ声が脳裏を過ぎり、ピット君が鏡に向かって駆け出すのが見えた。確かに…あの鏡は破壊しなければならない代物だ。
「たあーーーーーっ!!……えっ?」
ピット君は飛び蹴りで鏡を破壊するのに成功。
「な・な…」
『嘘…』
だが、真実の魔鏡はピット君を映していた。彼が鏡を破壊した際に黒装束に身を包み、黒き翼を背に生えている男の子が姿を現す。
「よお」
「差し詰めブラックピットと言った所かねェ」
『黒い…ピット君…?』
容姿はピット君なのに、瞳の色、髪の色が全て異なっている。彼は一体何者なの…?真実の魔鏡は、ピット君の心の奥底を映し出し、彼を生み出したとでも言うの…?
「さぁ!あの天使達をやっちまいなよォ!」
様々な考えを巡らせていると、パンドーラが黒いピット君に私達に攻撃を仕掛ける様に命令しているのが聞こえ、神器を構える。問題が一気に山積みになってしまったけれど、一先ずそれは置いといてパンドーラを討伐するのが先決だろう。今回の任務はまさしくパンドーラを討伐し、真実の魔鏡を破壊する事なのだから。パンドーラを討伐する迄は、私達も光の神殿に帰還すら出来ない。パンドーラの命令に従うと思っていた私は、彼の起こした行動に対し驚愕する。