第5章 パンドーラの罠(後編)
セラ
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『キャッ!ビックリした…今度は動く壁ね』
衝撃波をダッシュで回避しつつギリンを浄化した後、次の扉と足を踏み入れると壁が動いているのに気付く。思わず声を上げる。
「驚異!動く壁!でしょうか」
「なンのひねりもない表現だねェ。やる気なし子なのかい?」
『(んっ?やる気なし子?)』
パンドーラが存在する場所迄は程遠い。それなのにも関わらず、トラップか幾つも仕掛けられている。余程攻略されたくないのか……他に思惑があるのか。
「伸縮する壁には気を付けて」
「挟まれてミックスサンドになっちゃいなよォ」
『(考え過ぎかな…)』
「…これは壁が拡縮しているのでしょうか?壁の動きを良く見て惑わされない様にしなさい」
パルテナ様の助言のお陰で、トラップが幾つも仕掛けられていたとしても淡々と次の扉へ進む事が出来る。動く壁、伸縮する壁、拡縮する壁、全て無事に突破した。拡縮する壁に関しては惑わされそうになったけれど、ピット君が私の手を引いて正しい方向に導いてくれた。
『ありがとう。ピット君』
正しい方向に導かれ、扉を抜けると両眼に広がったのは何処かで見た様な…記憶がある乗り物と練習場。
「これはビートル」
「おお!神界の乗り物ですね!」
「せっかくだから、練習しておきましょう」
ビートルは二台。パルテナ様の言葉に便乗してビートルに乗り込む。そういえば最近、ビートルに乗れていなかったな…なんて考えを過ぎらせながらスピードを加速させて行く。スピードを加速させれば、心地好い風が頬を撫で快感を味わう。
『どんどん行くわよーっ!!』
「あの…セラちゃん?」
「あらあら。どうやらセラの心に火が付いた様ですね」
ビートルで練習場を駆け抜ける。逃げ惑う冥府軍をビートルで体当たりしながら、思い切り練習を楽しんでいる。楽しみながら敵を浄化出来るだなんて一石二鳥。
「しかし、何でこんな所にビートルが」
「免許でも取ろうと思ってさァ。ちゃちゃっと教習所作ってみたンだけどねェ。思えばあたしにゃ手足がなかったわァ。運転出来る訳ないッつーのォ」
「もっと早く気が付かないかなぁー…」
「一本取られたわァ」
ピット君の的確な突っ込みにビートルを走行しつつ、苦笑いを見せる私。他の冥府軍と明らかに相違しているのは、こういった遊び心なのかもしれない。だからと言って、パンドーラを甘く見るつもりは毛頭ない。立ちはだかる敵は浄化するのみ。今迄私達は全力で戦って来た。人々や私達の住む世界が平和になれる様に…メデューサと言う脅威に晒されたとしても。
「そういえば僕達は、此処で何をすれば良いんでしょうか?」
「メデューサの配下であるパンドーラを退け“真実の魔鏡”を破壊する事です」
「『真実の魔鏡?』」
「其処迄知ってるとはねェ。見掛けに寄らず、たいしたもンだわ」
ピット君の問いにパルテナ様は、今回私達は何をすれば良いのか…任務内容を教えてくれた。災厄の邪神パンドーラを討伐するのは決定事項、それだけではなく話の流れからしてパンドーラが所持していると思われる“真実の魔鏡”と呼称される鏡を破壊するのが今回の任務。真実の魔鏡…一体それは何なのだろう?パルテナ様の言葉に耳を傾ける。
「真実の魔鏡は、映ったものの本質を物体化するものです」
『物体化…』
「あ、抹茶ババロアが二つになるとかそういうもんですか?」
「なかなか面白いねェ。キミ」
『(ピット君、抹茶ババロア食べたいのかなぁ?)』
「心の奥底にあるものをコピーして、そっくりな性質なものを作る。要は魔物の工場になれると言う事ですね」
「大旨そンな所かねェ」
『道理で浄化しても浄化しても、数に限りなく襲って来る訳だわ。そんな絡繰りがあったのね!』
真実の魔鏡は、魔物のコピーを生み出す道具と言う用途で使用され冥府軍に重宝されている。その鏡を破壊すれば、私達もこの先戦闘時楽になれるかもしれない。さすがパルテナ様、抜かりはない。
「つまり冥府の魔物の量産を防ぐと言う事ですね。あれ?魂ってどうなるんでしょう。魂も二つになるんですか?」
『性格とか異なったりするのかな?』
「其処は良く分かりませんね?どうなんですか?」
「教える訳ないじゃないよォ!あンたら侵入者でしょォ?自覚持ちなさいよォ」
「ご最っもです……」
真実の魔鏡について色々な考察をする私達。パンドーラに教えて貰おうとするけれど、簡単に一蹴されてしまう。まぁ…当然の反応よね。なんて頭の隅で考えながらビートルから降りて次の間へと進む為に扉を潜る。“心の奥底にあるものをコピーして、そっくりな性質なものを作る。”真実の魔鏡を実際に見た訳じゃないけれど、禍禍しい何かが蠢いている気がした。あの時感じた嫌な予感は…もしかして…真実の魔鏡に寄るものだったの…?
『(真実の魔鏡か…)』
ならば完全に消し去るしかない、その鏡を。
衝撃波をダッシュで回避しつつギリンを浄化した後、次の扉と足を踏み入れると壁が動いているのに気付く。思わず声を上げる。
「驚異!動く壁!でしょうか」
「なンのひねりもない表現だねェ。やる気なし子なのかい?」
『(んっ?やる気なし子?)』
パンドーラが存在する場所迄は程遠い。それなのにも関わらず、トラップか幾つも仕掛けられている。余程攻略されたくないのか……他に思惑があるのか。
「伸縮する壁には気を付けて」
「挟まれてミックスサンドになっちゃいなよォ」
『(考え過ぎかな…)』
「…これは壁が拡縮しているのでしょうか?壁の動きを良く見て惑わされない様にしなさい」
パルテナ様の助言のお陰で、トラップが幾つも仕掛けられていたとしても淡々と次の扉へ進む事が出来る。動く壁、伸縮する壁、拡縮する壁、全て無事に突破した。拡縮する壁に関しては惑わされそうになったけれど、ピット君が私の手を引いて正しい方向に導いてくれた。
『ありがとう。ピット君』
正しい方向に導かれ、扉を抜けると両眼に広がったのは何処かで見た様な…記憶がある乗り物と練習場。
「これはビートル」
「おお!神界の乗り物ですね!」
「せっかくだから、練習しておきましょう」
ビートルは二台。パルテナ様の言葉に便乗してビートルに乗り込む。そういえば最近、ビートルに乗れていなかったな…なんて考えを過ぎらせながらスピードを加速させて行く。スピードを加速させれば、心地好い風が頬を撫で快感を味わう。
『どんどん行くわよーっ!!』
「あの…セラちゃん?」
「あらあら。どうやらセラの心に火が付いた様ですね」
ビートルで練習場を駆け抜ける。逃げ惑う冥府軍をビートルで体当たりしながら、思い切り練習を楽しんでいる。楽しみながら敵を浄化出来るだなんて一石二鳥。
「しかし、何でこんな所にビートルが」
「免許でも取ろうと思ってさァ。ちゃちゃっと教習所作ってみたンだけどねェ。思えばあたしにゃ手足がなかったわァ。運転出来る訳ないッつーのォ」
「もっと早く気が付かないかなぁー…」
「一本取られたわァ」
ピット君の的確な突っ込みにビートルを走行しつつ、苦笑いを見せる私。他の冥府軍と明らかに相違しているのは、こういった遊び心なのかもしれない。だからと言って、パンドーラを甘く見るつもりは毛頭ない。立ちはだかる敵は浄化するのみ。今迄私達は全力で戦って来た。人々や私達の住む世界が平和になれる様に…メデューサと言う脅威に晒されたとしても。
「そういえば僕達は、此処で何をすれば良いんでしょうか?」
「メデューサの配下であるパンドーラを退け“真実の魔鏡”を破壊する事です」
「『真実の魔鏡?』」
「其処迄知ってるとはねェ。見掛けに寄らず、たいしたもンだわ」
ピット君の問いにパルテナ様は、今回私達は何をすれば良いのか…任務内容を教えてくれた。災厄の邪神パンドーラを討伐するのは決定事項、それだけではなく話の流れからしてパンドーラが所持していると思われる“真実の魔鏡”と呼称される鏡を破壊するのが今回の任務。真実の魔鏡…一体それは何なのだろう?パルテナ様の言葉に耳を傾ける。
「真実の魔鏡は、映ったものの本質を物体化するものです」
『物体化…』
「あ、抹茶ババロアが二つになるとかそういうもんですか?」
「なかなか面白いねェ。キミ」
『(ピット君、抹茶ババロア食べたいのかなぁ?)』
「心の奥底にあるものをコピーして、そっくりな性質なものを作る。要は魔物の工場になれると言う事ですね」
「大旨そンな所かねェ」
『道理で浄化しても浄化しても、数に限りなく襲って来る訳だわ。そんな絡繰りがあったのね!』
真実の魔鏡は、魔物のコピーを生み出す道具と言う用途で使用され冥府軍に重宝されている。その鏡を破壊すれば、私達もこの先戦闘時楽になれるかもしれない。さすがパルテナ様、抜かりはない。
「つまり冥府の魔物の量産を防ぐと言う事ですね。あれ?魂ってどうなるんでしょう。魂も二つになるんですか?」
『性格とか異なったりするのかな?』
「其処は良く分かりませんね?どうなんですか?」
「教える訳ないじゃないよォ!あンたら侵入者でしょォ?自覚持ちなさいよォ」
「ご最っもです……」
真実の魔鏡について色々な考察をする私達。パンドーラに教えて貰おうとするけれど、簡単に一蹴されてしまう。まぁ…当然の反応よね。なんて頭の隅で考えながらビートルから降りて次の間へと進む為に扉を潜る。“心の奥底にあるものをコピーして、そっくりな性質なものを作る。”真実の魔鏡を実際に見た訳じゃないけれど、禍禍しい何かが蠢いている気がした。あの時感じた嫌な予感は…もしかして…真実の魔鏡に寄るものだったの…?
『(真実の魔鏡か…)』
ならば完全に消し去るしかない、その鏡を。