第6章 黒いピット(後編)
セラ
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「「勝負だ!!」」
ピット君とブラピ君の最終決戦が今、始まりを告げた。
「来いよ!女神のフンめ!!」
「何だって?」
「いつまでも女神の言い成りになって、何の疑問も持たずに戦う。そんな日々に不満はないのか?ン?」
「断じてそんなものはないね!絶対だ!」
『(言いたい事言っちゃって~!!)』
凄まじい戦いが勃発している。ピット君もブラピ君も、一歩も譲らずに神器同士が幾度となく搗ち合い、その度に衝撃波が起こる。先程迄身体は言う事を聞いてくれず、身動きが取れずにいたが飛行出来る力は取り戻した。私は今、二人の戦いの邪魔にならない様に飛行しながら二人の戦いを見つめている。神器なしでは、反撃しようにも適わない。もどかしい気持ちを引きずる。やっぱりさっき一発ぐらい引っ叩いていれば良かったかな。会話の流れからして、パルテナ様の悪口言っちゃってるし!
「真実の魔鏡は、本当の事を見せるって言うぜ。で、あれば、この俺の存在自体がお前の本心の表れだろうよ」
「お前には分からないよ。一生分からない!!僕はパルテナ様の慈愛を尊敬するし、少しでも力になりたいんだ!真実を見せるなんて嘘だ!名前から来る暗示に過ぎない!!そう簡単に騙されるか!!」
「ムキになるのは、図星だったからって言うぜ」
「また理屈を!!」
射撃攻撃を繰り出すブラピ君に対し、うまく回避し、ピット君は彼に打撃を加えようとダッシュで接近しようと試みるが上空に逃げられてしまう。同フィールドに存在するのならば、彼の動きぐらいは止められるかもしれない。そうと決まれば善は急げ!空中にて浮遊する彼に向かって飛行するスピードを加速させる。
『ブラピ君!覚悟!!』
「?!セラ?!うわああ!!」
「セラちゃん!」
『忘れないで。例え神器が失くても、私だって戦える事を』
「ぐっ…そのようだな…さすが俺が見込んだ女だ」
私から攻撃されると思っていなかったのか、私から見てブラピ君は隙だらけだった。神器を喪失している為、多大なダメージを与えるのは適わなかったが、彼の動きを封じるのに成功した様に思う。察しの通り、私はブラピ君に攻撃を加えた…背中から蹴り倒したのだ、思い切り力を込めて。私が蹴り倒した事に寄ってブラピ君が怯んだ。彼に向かって射撃しながら、再度接近して来るピット君。隙を与えず、接近したと思えば彼はすかさず打撃を連続で繰り出している。ダメージを受け、自分の身を庇い距離を取るブラピ君。
「良いよ。好きにすれば良い。俺は誰かに仕えるなんてまっぴらだ。この翼で自由に生きる!」
「羨ましいけど、羨ましくないッ!!」
痛みで表情を歪めたブラピ君を、私は見逃さなかった。それを言うのならピット君もダメージを受け、それを庇いながらブラピ君に向かって行っている。
「セラ」
『!パルテナ様!』
「大丈夫でしたか?何も変な事はされていませんか?」
『?…はい!大丈夫です!何ともありません!』
「セラに何かあったら…と不安で不安で仕方がありませんでした。間に合って良かった」
『パルテナ様…』
「ピットのサポート、引き続きお願いしますね!」
『はい!任せて下さい!あ…言い忘れた事が…。私もパルテナ様の慈愛を尊敬しています。貴女の元で任務を全う出来る事を誇りに思っています。貴女の力になりたいと思っているのはピット君だけじゃありません…私も同じです!』
「セラ…」
ピット君同様、パルテナ様もまた私を心配してくれた。嬉しさ故に笑顔になる私。私達は本当に互いが互いを信頼し、支え合い、助け合っている。今迄色んな出来事を経て、培って来た私達の絆は上辺だけじゃないって事…今、この瞬間思い知っている。心の中が温かくなるのを感じながら、上空からピット君をサポートする為配置につく。ピット君とブラピ君は、自分が持ち合わせている力を全て尽力している。神器同士は未だに搗ち合い、激しい衝撃を生んでいる。思わずごくりと生唾を飲み、勝負の行く末を見守る私。
『ピット君!頑張って!』
「セラちゃん!」
「セラ…」
「今だ!」
いつの間にか、ピット君を声援していた。互角に渡り合っていたと思っていたが、ブラピ君に素早い動きで攻撃され回避に専念していたピット君。明らかにピット君が押されていた、我慢出来ずにお腹の底から声を張り上げていた。嬉々とするピット君とは裏腹に、悲しそうな淋しそうな表情を纏うブラピ君。またしても隙が出来るブラピ君。ピット君は、ブラピ君に隙が出来たのを見逃さなかった。ブラピ君の攻撃する手が止まると回避していた足でダッシュを計り、勢いを付けてブラピ君の懐に渾身の打撃攻撃を加える。スローモーションの様に、ブラピ君が倒れる光景を目撃した。「勝った!」
「まだ終わらんぞ!」
『ピット君!!』
地に倒れるブラピ君、だが彼は直ぐ様体勢を整えた。跪き、辛そうな彼の表情。飛行して勝負の行く末を空から見守っていた私は、ピット君が勝利したと分かった途端、ピット君の傍へ静かに着地する。
「このぐらいで許してやるよ…!!」
「待てっ!!」
ピット君から受けたダメージが思ったよりも大きかったらしく、彼は捨て台詞を吐いてそのまま遥か上空へと飛び去ってしまった。ターゲットが飛び去ってしまっては、今回の任務を達成するのは不可能。悔しそうに拳を握りしめるピット君と、ブラピ君が浄化されずに内心少し安堵している私に…パルテナ様の優しい声が耳に届く。
「もう追い掛けられませんね。ピット…セラ…。色々ありがとう」
天から光が降り注いで、私達二人は静かに光の神殿に帰還した。今はまだ無理かもしれないけれど、いずれ彼と分かり合える日が来ると良いな…彼と笑い合える日が来ると良いな…そんな思いを抱きながら。
(To be continued)
----此処迄読んで下さり、ありがとうございました!漸く、彼を完全に登場させる事が出来ました!更新遅めで本当にすみません(汗)今回彼とヒロインをどう絡ませるべきか正直迷いました。破壊衝動が暴走している彼にヒロインの言葉は届くのか…イメージが湧かなかったものですから。ピット君の悪い心が具現化された人物ならば、普段彼が言えないような言動や行動に現れるのではないかと思い、あのような場面が出来上がりました。ピット君は内心ヒロインに対し思っているわけですよ。(何故自分に頼ってくれないのか。それだけではなく、別の人物たちにまで笑顔を向けるだなんて…どうしてそんなに危なっかしいのか。いっそ自分の隣から離れなければいいのに。)とか思っているに違いない!と勝手に解釈してしまいました。それでいて少し過激なシーンとなってしまい、書いている張本人がドキドキしてしまう始末。辻褄が合っていたら良いなぁ。
by虹
ピット君とブラピ君の最終決戦が今、始まりを告げた。
「来いよ!女神のフンめ!!」
「何だって?」
「いつまでも女神の言い成りになって、何の疑問も持たずに戦う。そんな日々に不満はないのか?ン?」
「断じてそんなものはないね!絶対だ!」
『(言いたい事言っちゃって~!!)』
凄まじい戦いが勃発している。ピット君もブラピ君も、一歩も譲らずに神器同士が幾度となく搗ち合い、その度に衝撃波が起こる。先程迄身体は言う事を聞いてくれず、身動きが取れずにいたが飛行出来る力は取り戻した。私は今、二人の戦いの邪魔にならない様に飛行しながら二人の戦いを見つめている。神器なしでは、反撃しようにも適わない。もどかしい気持ちを引きずる。やっぱりさっき一発ぐらい引っ叩いていれば良かったかな。会話の流れからして、パルテナ様の悪口言っちゃってるし!
「真実の魔鏡は、本当の事を見せるって言うぜ。で、あれば、この俺の存在自体がお前の本心の表れだろうよ」
「お前には分からないよ。一生分からない!!僕はパルテナ様の慈愛を尊敬するし、少しでも力になりたいんだ!真実を見せるなんて嘘だ!名前から来る暗示に過ぎない!!そう簡単に騙されるか!!」
「ムキになるのは、図星だったからって言うぜ」
「また理屈を!!」
射撃攻撃を繰り出すブラピ君に対し、うまく回避し、ピット君は彼に打撃を加えようとダッシュで接近しようと試みるが上空に逃げられてしまう。同フィールドに存在するのならば、彼の動きぐらいは止められるかもしれない。そうと決まれば善は急げ!空中にて浮遊する彼に向かって飛行するスピードを加速させる。
『ブラピ君!覚悟!!』
「?!セラ?!うわああ!!」
「セラちゃん!」
『忘れないで。例え神器が失くても、私だって戦える事を』
「ぐっ…そのようだな…さすが俺が見込んだ女だ」
私から攻撃されると思っていなかったのか、私から見てブラピ君は隙だらけだった。神器を喪失している為、多大なダメージを与えるのは適わなかったが、彼の動きを封じるのに成功した様に思う。察しの通り、私はブラピ君に攻撃を加えた…背中から蹴り倒したのだ、思い切り力を込めて。私が蹴り倒した事に寄ってブラピ君が怯んだ。彼に向かって射撃しながら、再度接近して来るピット君。隙を与えず、接近したと思えば彼はすかさず打撃を連続で繰り出している。ダメージを受け、自分の身を庇い距離を取るブラピ君。
「良いよ。好きにすれば良い。俺は誰かに仕えるなんてまっぴらだ。この翼で自由に生きる!」
「羨ましいけど、羨ましくないッ!!」
痛みで表情を歪めたブラピ君を、私は見逃さなかった。それを言うのならピット君もダメージを受け、それを庇いながらブラピ君に向かって行っている。
「セラ」
『!パルテナ様!』
「大丈夫でしたか?何も変な事はされていませんか?」
『?…はい!大丈夫です!何ともありません!』
「セラに何かあったら…と不安で不安で仕方がありませんでした。間に合って良かった」
『パルテナ様…』
「ピットのサポート、引き続きお願いしますね!」
『はい!任せて下さい!あ…言い忘れた事が…。私もパルテナ様の慈愛を尊敬しています。貴女の元で任務を全う出来る事を誇りに思っています。貴女の力になりたいと思っているのはピット君だけじゃありません…私も同じです!』
「セラ…」
ピット君同様、パルテナ様もまた私を心配してくれた。嬉しさ故に笑顔になる私。私達は本当に互いが互いを信頼し、支え合い、助け合っている。今迄色んな出来事を経て、培って来た私達の絆は上辺だけじゃないって事…今、この瞬間思い知っている。心の中が温かくなるのを感じながら、上空からピット君をサポートする為配置につく。ピット君とブラピ君は、自分が持ち合わせている力を全て尽力している。神器同士は未だに搗ち合い、激しい衝撃を生んでいる。思わずごくりと生唾を飲み、勝負の行く末を見守る私。
『ピット君!頑張って!』
「セラちゃん!」
「セラ…」
「今だ!」
いつの間にか、ピット君を声援していた。互角に渡り合っていたと思っていたが、ブラピ君に素早い動きで攻撃され回避に専念していたピット君。明らかにピット君が押されていた、我慢出来ずにお腹の底から声を張り上げていた。嬉々とするピット君とは裏腹に、悲しそうな淋しそうな表情を纏うブラピ君。またしても隙が出来るブラピ君。ピット君は、ブラピ君に隙が出来たのを見逃さなかった。ブラピ君の攻撃する手が止まると回避していた足でダッシュを計り、勢いを付けてブラピ君の懐に渾身の打撃攻撃を加える。スローモーションの様に、ブラピ君が倒れる光景を目撃した。「勝った!」
「まだ終わらんぞ!」
『ピット君!!』
地に倒れるブラピ君、だが彼は直ぐ様体勢を整えた。跪き、辛そうな彼の表情。飛行して勝負の行く末を空から見守っていた私は、ピット君が勝利したと分かった途端、ピット君の傍へ静かに着地する。
「このぐらいで許してやるよ…!!」
「待てっ!!」
ピット君から受けたダメージが思ったよりも大きかったらしく、彼は捨て台詞を吐いてそのまま遥か上空へと飛び去ってしまった。ターゲットが飛び去ってしまっては、今回の任務を達成するのは不可能。悔しそうに拳を握りしめるピット君と、ブラピ君が浄化されずに内心少し安堵している私に…パルテナ様の優しい声が耳に届く。
「もう追い掛けられませんね。ピット…セラ…。色々ありがとう」
天から光が降り注いで、私達二人は静かに光の神殿に帰還した。今はまだ無理かもしれないけれど、いずれ彼と分かり合える日が来ると良いな…彼と笑い合える日が来ると良いな…そんな思いを抱きながら。
(To be continued)
----此処迄読んで下さり、ありがとうございました!漸く、彼を完全に登場させる事が出来ました!更新遅めで本当にすみません(汗)今回彼とヒロインをどう絡ませるべきか正直迷いました。破壊衝動が暴走している彼にヒロインの言葉は届くのか…イメージが湧かなかったものですから。ピット君の悪い心が具現化された人物ならば、普段彼が言えないような言動や行動に現れるのではないかと思い、あのような場面が出来上がりました。ピット君は内心ヒロインに対し思っているわけですよ。(何故自分に頼ってくれないのか。それだけではなく、別の人物たちにまで笑顔を向けるだなんて…どうしてそんなに危なっかしいのか。いっそ自分の隣から離れなければいいのに。)とか思っているに違いない!と勝手に解釈してしまいました。それでいて少し過激なシーンとなってしまい、書いている張本人がドキドキしてしまう始末。辻褄が合っていたら良いなぁ。
by虹
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