第5章 パンドーラの罠(後編)
セラ
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「ん?うわっ!いで!!」
『ピット君、大丈夫?』
「うん。ありがとう」
着地した…は良いものの、ピット君の言った通り地面も騙しだった。飛翔の奇跡を羽根に宿していないピット君は、真っ逆さまから落下。派手な音を立て彼は着地する。無論私は、自由に飛行出来るので無惨にも落とされたりはしない。ゆっくりと舞い降りて彼の身を案ずる…どうやら彼は大丈夫の様だ。体勢を立て直したピット君と私は、災厄の邪神パンドーラの元へ向かう為歩き始めた。
「こんな所にお客だなんて、物好きもいたもンだねェ」
「パンドーラ!」
『!(この声の主がパンドーラ…)』
「お邪魔していますよ」
「あーごゆっくり。ま、なンにもないけどねェ」
『(本当にメデューサの配下なの?何この気怠い口調は)』
“パンドーラ”余りにも気怠そうに話すものだから、思わずメデューサの配下なのか疑ってしまった。今迄メデューサが放った配下達と戦闘を交えて来たけれど、メデューサに敬意を払い、人間界に害を与えたり、エンジェランドに攻めて来たり…と様々な悪行を重ねられて来た。こちらも全力で討伐する為、神器を手中に立ち向かっている。お陰で全て未遂に終わっているが、並々ならない戦いが幾度となく繰り広げられ、私の場合は何度も何度も目を付けられ、冥府へと送り込まれようとされ攻撃を仕掛けられたものだ。思い出したくはない記憶迄思い出してしまい、反射行動として眉間に皺を寄せてしまったが、隣で性懲りもなく攻撃を仕掛けて来る魔物達を返り討ちにしているピット君の視界には入らなかった様だ。
「あたしも災いを呼ぶなンて言われて久しいけどサァ?これでも地道に生きてんのよ?分かる?」
「分からないね」
「あたし自身なンかしてるわけじゃないのにさァ。あンたらの方が災いじゃないよォ。ン?どうなの?そこンとこ」
「えーっと………」
「やってらンないわよォ」
『(仮にも冥府軍が、それを言う?)』
理不尽な御託を並べられ、苦笑いを浮かべる他方法が見つからない。あのパルテナ様さえ言葉を詰まらせ、困っている様子。こんな所を根城にしている時点で只者ではないと思ったが、やはりその読みは当たっていたらしい。苦笑いを浮かべていたが、真剣な表情に切り換え向かって来る魔物達を全て浄化した後、次の間へ進める扉を歩いて行った。
「扉が一杯…」
「罠、ありますよね?」
「まァねェ」
『どの扉が本物なんだろう?』
扉を潜り抜けた瞬間、五つの扉が存在する空間が目に飛び込んで来た。パルテナ様がパンドーラに確認していた通り、明らかに罠がある。差し詰め、五つの扉で正解は一つの扉のみ。後は何かしらのトラップが仕掛けられているのだろう。どの扉が正解で、次へと進めるのか…懸命に考えを過ぎらせる。扉にはこれと言った特徴はない。
『(真ん中の…三番目の扉は多分違うわね。ありきたりだもの)』
魔物を浄化しながら、思考を過ぎらせているとピット君が突然扉に向かって駆け出した。余りにも突拍子な行動に私は両眼を大きくするばかり。我に返り、ピット君に制止の声を上げるも既に手遅れで…彼は三番目の扉に入ろうとする。
「へぶっ?!!」
「古典的なトラップですね」
「くそおおぉ!!」
しかし三番目の扉はトラップが仕掛けられており、不正解と言わんばかりに彼は扉から押し出されてしまう。“だから言ったのに…”溜め息を吐きながら、ピット君の元へ歩み寄る。呆れた表情を浮かべている私に彼は苦笑いを浮かべていた。
「ぐおっ!!あ、アリジゴク?!」
「冥府軍のギリンです!土から飛び出した後の衝撃波はうまく回避なさい」
『土なんてないですけど!』
「弘法場所を選ばず…でしょうか」
「土の中にも三年、とか………」
『……えっ?』
左から四番目の扉が正解だった。その正解に辿り着くのに少々時間を費やしてしまった。と言うのも、ピット君が形振り構わず、扉に突っ込んで行くものだから何度も何度も扉から押し出されてしまったのだ。パルテナ様から“ピット、此処はセラに任せてみては?”と言う助言が無ければ、彼はもっと扉に突っ込んでいたと思う。必ず正解はある筈でも、其処迄扉に突っ込んで行かれては恐らくパンドーラ戦で身が持たずに最悪な場合ヤラレてしまう。それは何としてでも避けたい。私の勘が的中し、四番目の扉を潜り抜けて来た。こんなのがこの先続くと思うと荷が重い。だが、そんな事も言ってられない…神器を強く握り締め、目の前で揺らいでいる冥府軍のギリンに向かって行った。
『ピット君、大丈夫?』
「うん。ありがとう」
着地した…は良いものの、ピット君の言った通り地面も騙しだった。飛翔の奇跡を羽根に宿していないピット君は、真っ逆さまから落下。派手な音を立て彼は着地する。無論私は、自由に飛行出来るので無惨にも落とされたりはしない。ゆっくりと舞い降りて彼の身を案ずる…どうやら彼は大丈夫の様だ。体勢を立て直したピット君と私は、災厄の邪神パンドーラの元へ向かう為歩き始めた。
「こんな所にお客だなんて、物好きもいたもンだねェ」
「パンドーラ!」
『!(この声の主がパンドーラ…)』
「お邪魔していますよ」
「あーごゆっくり。ま、なンにもないけどねェ」
『(本当にメデューサの配下なの?何この気怠い口調は)』
“パンドーラ”余りにも気怠そうに話すものだから、思わずメデューサの配下なのか疑ってしまった。今迄メデューサが放った配下達と戦闘を交えて来たけれど、メデューサに敬意を払い、人間界に害を与えたり、エンジェランドに攻めて来たり…と様々な悪行を重ねられて来た。こちらも全力で討伐する為、神器を手中に立ち向かっている。お陰で全て未遂に終わっているが、並々ならない戦いが幾度となく繰り広げられ、私の場合は何度も何度も目を付けられ、冥府へと送り込まれようとされ攻撃を仕掛けられたものだ。思い出したくはない記憶迄思い出してしまい、反射行動として眉間に皺を寄せてしまったが、隣で性懲りもなく攻撃を仕掛けて来る魔物達を返り討ちにしているピット君の視界には入らなかった様だ。
「あたしも災いを呼ぶなンて言われて久しいけどサァ?これでも地道に生きてんのよ?分かる?」
「分からないね」
「あたし自身なンかしてるわけじゃないのにさァ。あンたらの方が災いじゃないよォ。ン?どうなの?そこンとこ」
「えーっと………」
「やってらンないわよォ」
『(仮にも冥府軍が、それを言う?)』
理不尽な御託を並べられ、苦笑いを浮かべる他方法が見つからない。あのパルテナ様さえ言葉を詰まらせ、困っている様子。こんな所を根城にしている時点で只者ではないと思ったが、やはりその読みは当たっていたらしい。苦笑いを浮かべていたが、真剣な表情に切り換え向かって来る魔物達を全て浄化した後、次の間へ進める扉を歩いて行った。
「扉が一杯…」
「罠、ありますよね?」
「まァねェ」
『どの扉が本物なんだろう?』
扉を潜り抜けた瞬間、五つの扉が存在する空間が目に飛び込んで来た。パルテナ様がパンドーラに確認していた通り、明らかに罠がある。差し詰め、五つの扉で正解は一つの扉のみ。後は何かしらのトラップが仕掛けられているのだろう。どの扉が正解で、次へと進めるのか…懸命に考えを過ぎらせる。扉にはこれと言った特徴はない。
『(真ん中の…三番目の扉は多分違うわね。ありきたりだもの)』
魔物を浄化しながら、思考を過ぎらせているとピット君が突然扉に向かって駆け出した。余りにも突拍子な行動に私は両眼を大きくするばかり。我に返り、ピット君に制止の声を上げるも既に手遅れで…彼は三番目の扉に入ろうとする。
「へぶっ?!!」
「古典的なトラップですね」
「くそおおぉ!!」
しかし三番目の扉はトラップが仕掛けられており、不正解と言わんばかりに彼は扉から押し出されてしまう。“だから言ったのに…”溜め息を吐きながら、ピット君の元へ歩み寄る。呆れた表情を浮かべている私に彼は苦笑いを浮かべていた。
「ぐおっ!!あ、アリジゴク?!」
「冥府軍のギリンです!土から飛び出した後の衝撃波はうまく回避なさい」
『土なんてないですけど!』
「弘法場所を選ばず…でしょうか」
「土の中にも三年、とか………」
『……えっ?』
左から四番目の扉が正解だった。その正解に辿り着くのに少々時間を費やしてしまった。と言うのも、ピット君が形振り構わず、扉に突っ込んで行くものだから何度も何度も扉から押し出されてしまったのだ。パルテナ様から“ピット、此処はセラに任せてみては?”と言う助言が無ければ、彼はもっと扉に突っ込んでいたと思う。必ず正解はある筈でも、其処迄扉に突っ込んで行かれては恐らくパンドーラ戦で身が持たずに最悪な場合ヤラレてしまう。それは何としてでも避けたい。私の勘が的中し、四番目の扉を潜り抜けて来た。こんなのがこの先続くと思うと荷が重い。だが、そんな事も言ってられない…神器を強く握り締め、目の前で揺らいでいる冥府軍のギリンに向かって行った。
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