第5章 パンドーラの罠(前編)
セラ
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「この先、道が分かれています。任せますから左右好きな方に進んでみなさい」
『(まさかの任せます?!)』
「えーっと…ドッチだ?!………セラちゃん!ドッチだと思う?!」
『えっ?!…そうねぇ…左、かな?』
パルテナ様の“任せます”発言に驚愕していると、隣でピット君に意見を求められ暫し考えた後、返答する。完全に勘ではあったけれど、私の勘はどうやら…間違ってはいなかったらしく先に進める状況へと変化する。ピット君に“さすがセラちゃん!”と褒めちぎられ、鼻高々になる私。“ピットとは大違いですね。”……パルテナ様、言いますね……あっ!ピット君泣いちゃいましたよ!
「あらまぁ」
「感心している場合じゃないですよ!此処で飛翔の奇跡が切れたらどうなりますか?!」
「手詰まりですね。パンドーラの勢力が失くならなければ回収出来ませんし」
『最早、絶体絶命ですね』
「不吉な事は考えない様にします」
先程のやり取り等まるで存在しなかったかの様に私達の会話も進行して行く。けれど明らかにパルテナ様はピット君に毒吐いていた…私は覚えている。だが、話を掘り起こすとピット君がまた泣いてしまうのでそのまま気付かない振りをする。道の左側に進むと割と大きな空間に出る。そこで何処から湧いて出たのか、冥府軍が私達に攻撃を仕掛けて来た。背中合わせになりながら片っ端から浄化して行く…。
全ての魔物を浄化し、先へ進もうとした刹那、無数の魔物が私達の行く手を阻む。胴体が何故か手の平で一つ目がぎょろりと私達を睨みつけている。
「ハンドラーの待ち伏せです!」
「えっ?!もうパンドーラが?!」
「いえいえ、ハンドラーですよ。お手手の怪物です」
「くっ!!名前でも惑わすとは!!」
『今のはピット君が勝手に聞き間違えただけだからね?』
私の突っ込みに対し、照れるピット君を見た。確かにうっかり聞き間違えてしまいそうね…なんて頭の隅で考えを巡らせながら手の平一つ目魔物の反撃をするりと躱し、立ち所に浄化する。
「『出口が!!』」
「今の内に!!」
とにかく妨害が凄まじい。ハンドラーに攻撃を加えていると、此処から抜け出せる道が開いたのが分かった。今抜け出さないと最悪な状況へ一気に変化してしまうのは目に見えている。ハンドラーを全て浄化した後、出口へ一直線に突き進んだ。
「……って、えっ?!うおおっ!!」
『嘘?!野外?!』
「幻覚……ではないですね」
「幻にしては空気が気持ち良すぎです」
一直線に突き進んだ先に見えたものは、澄み渡る青い空。自分の見間違いかと両眼を両手で擦り、前方を見つめてみる。やはり綺麗な青空が広がっている…と思ったら急に先程見受けた景色に戻る。コロコロ変化する空間、付いていくのが困難である。
「何が起こるか分からない……」
「そんなトラップダンジョン」
「皆様、如何お過ごしでしょうか」
『…ふふっ』
呆気に取られたのは私だけじゃない、パルテナ様もピット君も一緒。余りの反応の良さに笑いが込み上がってきてしまうのは自然な流れで、二人のやり取りを横にくすくす笑う私。さすればピット君もパルテナ様も釣られて笑ってくれた…戦闘の真っ最中、今から災厄の邪神パンドーラの元へ向かう緊迫した雰囲気ではあったけれど一瞬にして和やかになった。嫌な予感は私の中に流れ続けている…だけれど、ピット君とパルテナ様が居れば大丈夫だと安心感が募っていた。
「また左右に分岐していますよ」
「セラちゃん!お願い!」
『えっ…………じゃあ、さっきは左に曲がったから右にしよっか?』
いつの間に私はナビゲーターになったんだと心中で突っ込みを入れながら、私の言葉通り右へと軌道を変える。目の前に大きな壁が立ち塞がる。
『あれ?』
「行き止まり…?」
「……ではないみたいですよ」
勘に任せ、左右に分岐する道を決定し、右に向かったけれど私の勘が必ずしも的中する確率等何処にも存在しない。ピット君が首を傾げている傍ら、引き返そうとした私にパルテナ様は行き止まりではないと否定した。
「あれ?あれ?今何が?」
『私も…何が何だかさっぱり』
「謎です」
「『謎ですか』」
「でも大事な事を言っておきますね。この辺り弾を反射する壁です。気をつけて」
『(じゃあ、此処は打撃で行くしかない様ね)』
正直、何が起こったのか分からなかったが先に進めている事実は変わらない。私の勘が的中した事に対し、パルテナ様が“セラは本当に凄いですね”と褒めてくれた…両頬が自然と赤くなる。ピット君と目が合って微笑を浮かべると、今度は彼の両頬が赤くなったのが分かった。何故彼の両頬が赤くなったのか…皆目見当も付かないが、此処は敢えて触れずに済ませようと思う。パルテナ様がピット君に何か言っているのが聞こえたが、全く持って意味が分からなかった。
射撃攻撃が出来ない状況下、打撃攻撃で迎え撃つ。反射壁を抜けると広大な宇宙が私達の両眼に映し出される。
「『わあ………』」
「ああ、もう良く分からない!」
「しかし、ゴールは近い様な気がします」
「あと一息!」
『頑張らなくちゃね!』
広大な宇宙を通り抜け、バーチャルな空間を通過する。急激に魔物の数が増加した様に思う。間違いなくゴールに近付いている。
「そろそろ着地します。準備を!」
「地面も騙しじゃないでしょうね?!」
『充分有り得るわね』
今迄散々騙されて来た訳だし…。
語尾に付け加え、ゆっくりと着地する為に飛行スピードをそっと落とした。
災厄の邪神パンドーラ……、一体どういう人物なのだろう……?
(To be continued)
『(まさかの任せます?!)』
「えーっと…ドッチだ?!………セラちゃん!ドッチだと思う?!」
『えっ?!…そうねぇ…左、かな?』
パルテナ様の“任せます”発言に驚愕していると、隣でピット君に意見を求められ暫し考えた後、返答する。完全に勘ではあったけれど、私の勘はどうやら…間違ってはいなかったらしく先に進める状況へと変化する。ピット君に“さすがセラちゃん!”と褒めちぎられ、鼻高々になる私。“ピットとは大違いですね。”……パルテナ様、言いますね……あっ!ピット君泣いちゃいましたよ!
「あらまぁ」
「感心している場合じゃないですよ!此処で飛翔の奇跡が切れたらどうなりますか?!」
「手詰まりですね。パンドーラの勢力が失くならなければ回収出来ませんし」
『最早、絶体絶命ですね』
「不吉な事は考えない様にします」
先程のやり取り等まるで存在しなかったかの様に私達の会話も進行して行く。けれど明らかにパルテナ様はピット君に毒吐いていた…私は覚えている。だが、話を掘り起こすとピット君がまた泣いてしまうのでそのまま気付かない振りをする。道の左側に進むと割と大きな空間に出る。そこで何処から湧いて出たのか、冥府軍が私達に攻撃を仕掛けて来た。背中合わせになりながら片っ端から浄化して行く…。
全ての魔物を浄化し、先へ進もうとした刹那、無数の魔物が私達の行く手を阻む。胴体が何故か手の平で一つ目がぎょろりと私達を睨みつけている。
「ハンドラーの待ち伏せです!」
「えっ?!もうパンドーラが?!」
「いえいえ、ハンドラーですよ。お手手の怪物です」
「くっ!!名前でも惑わすとは!!」
『今のはピット君が勝手に聞き間違えただけだからね?』
私の突っ込みに対し、照れるピット君を見た。確かにうっかり聞き間違えてしまいそうね…なんて頭の隅で考えを巡らせながら手の平一つ目魔物の反撃をするりと躱し、立ち所に浄化する。
「『出口が!!』」
「今の内に!!」
とにかく妨害が凄まじい。ハンドラーに攻撃を加えていると、此処から抜け出せる道が開いたのが分かった。今抜け出さないと最悪な状況へ一気に変化してしまうのは目に見えている。ハンドラーを全て浄化した後、出口へ一直線に突き進んだ。
「……って、えっ?!うおおっ!!」
『嘘?!野外?!』
「幻覚……ではないですね」
「幻にしては空気が気持ち良すぎです」
一直線に突き進んだ先に見えたものは、澄み渡る青い空。自分の見間違いかと両眼を両手で擦り、前方を見つめてみる。やはり綺麗な青空が広がっている…と思ったら急に先程見受けた景色に戻る。コロコロ変化する空間、付いていくのが困難である。
「何が起こるか分からない……」
「そんなトラップダンジョン」
「皆様、如何お過ごしでしょうか」
『…ふふっ』
呆気に取られたのは私だけじゃない、パルテナ様もピット君も一緒。余りの反応の良さに笑いが込み上がってきてしまうのは自然な流れで、二人のやり取りを横にくすくす笑う私。さすればピット君もパルテナ様も釣られて笑ってくれた…戦闘の真っ最中、今から災厄の邪神パンドーラの元へ向かう緊迫した雰囲気ではあったけれど一瞬にして和やかになった。嫌な予感は私の中に流れ続けている…だけれど、ピット君とパルテナ様が居れば大丈夫だと安心感が募っていた。
「また左右に分岐していますよ」
「セラちゃん!お願い!」
『えっ…………じゃあ、さっきは左に曲がったから右にしよっか?』
いつの間に私はナビゲーターになったんだと心中で突っ込みを入れながら、私の言葉通り右へと軌道を変える。目の前に大きな壁が立ち塞がる。
『あれ?』
「行き止まり…?」
「……ではないみたいですよ」
勘に任せ、左右に分岐する道を決定し、右に向かったけれど私の勘が必ずしも的中する確率等何処にも存在しない。ピット君が首を傾げている傍ら、引き返そうとした私にパルテナ様は行き止まりではないと否定した。
「あれ?あれ?今何が?」
『私も…何が何だかさっぱり』
「謎です」
「『謎ですか』」
「でも大事な事を言っておきますね。この辺り弾を反射する壁です。気をつけて」
『(じゃあ、此処は打撃で行くしかない様ね)』
正直、何が起こったのか分からなかったが先に進めている事実は変わらない。私の勘が的中した事に対し、パルテナ様が“セラは本当に凄いですね”と褒めてくれた…両頬が自然と赤くなる。ピット君と目が合って微笑を浮かべると、今度は彼の両頬が赤くなったのが分かった。何故彼の両頬が赤くなったのか…皆目見当も付かないが、此処は敢えて触れずに済ませようと思う。パルテナ様がピット君に何か言っているのが聞こえたが、全く持って意味が分からなかった。
射撃攻撃が出来ない状況下、打撃攻撃で迎え撃つ。反射壁を抜けると広大な宇宙が私達の両眼に映し出される。
「『わあ………』」
「ああ、もう良く分からない!」
「しかし、ゴールは近い様な気がします」
「あと一息!」
『頑張らなくちゃね!』
広大な宇宙を通り抜け、バーチャルな空間を通過する。急激に魔物の数が増加した様に思う。間違いなくゴールに近付いている。
「そろそろ着地します。準備を!」
「地面も騙しじゃないでしょうね?!」
『充分有り得るわね』
今迄散々騙されて来た訳だし…。
語尾に付け加え、ゆっくりと着地する為に飛行スピードをそっと落とした。
災厄の邪神パンドーラ……、一体どういう人物なのだろう……?
(To be continued)
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