第4章 死神の視線(後編)
セラ
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死神達からの熱い視線を四方八方から受け、その視線のお陰で上空から本拠地へと乗り込む手立てを失い、私とピット君はパルテナ様の指示に寄り死神砦正面へと入り込んだ。スピードが上昇している中で侵入したからか、急には止まれず勢い余って思い切り転んでしまう。
『いったぁ…』
「大丈夫ですか?ピット、セラ」
「問題ナシです!!」
『何とか大丈夫です…』
「では、死神砦の中心を目指しなさい。そこに居る敵を浄化するのです。」
転んだ拍子に付いた塵を手で払いながら、神器を握りしめゆっくりと歩き始める。真っ直ぐへと行こうとするも道は行き止まり、キョロキョロ辺りを見渡すと右側に先へ進む道が繋がっているのが見え、方向転換させた。
「この先、死神がいます。無理に相手をする必要はありません。見つからないで避けると良いでしょう。」
『(相変わらず的確なアドバイス…)』
方向転換させ、少し歩行を進めると所々死角になっている道へと出る。彼女のアドバイスに寄ると、死神が徘徊しているらしい。私達が、今居る場所は死角となっているが直ぐに死神に存在がばれてしまう…全力で回避したい状況に今の所陥っていないが、完全にない可能性は否めない。ピット君の話だと死神に見つかるとワイワイ騒ぎながら子死神を呼ばれ、挙げ句こちらが倒れる迄手中に持つ鎌を振り払い攻撃を止めないらしい…とにかく厄介な敵である。子死神を呼ばれるだけならばまだ勝算はあるが、その上モンスターペアレンツ本人が向かって来るのでは完璧に袋叩きだ。心の底から思う…見つかって欲しくはない。最悪な状況に陥らない様に細心の注意を払い、ピット君が安全を確認してくれている。
「大丈夫みたいだ、行こう。」
『うん。』
彼からOKが出た、勿論話し声も小声。視力は果たして幾らなのか皆目見当も付かないが相当良いだろう、視力が良ければ聴力も悪くない筈がない、標準声音で話せば見つかってしまうのは言う迄もなく…死神が後ろを向いて歩き出したタイミングを見計らい、私達は別の陰となる場所へと移動し、慎重に様子を窺う。
『…………はぁ、息を殺してじっとしているのも楽じゃないね。』
「ふぅ……そうだね。」
死神が通り過ぎたのを確認し、隠れた場所からひょっこり顔を出し、駆け足で先へ進める扉へと向かう。扉を抜けると先程迄私達が飛行していた曇り空が視界に映る。どうやら…砦内の構築が複雑になっている模様だ。行かせまいとしているのか…私達を待ち構えていたと言わんばかりにぞくぞくと魔物が現れ、襲撃して来る。死神じゃなくて良かったと思わず安堵の溜め息を吐く。
「荒野にはみっちり死神が居たのに、砦が手薄ですね。」
『確かに…思ったより居ないよね?……んっ?でもさっき砦に侵入する時、ビーム光線喰らいそうになったけど…あれは死神達の目…だったよね?』
「もしかして…あれは死神の目ではなくて、そう錯覚させる為に取り付けた只のトラップかも。」
『あっそう考えれば合点がいきます。でも何であんまり死神が居ないんでしょう?』
「魂が多く運ばれる用事でもあったのでしょうか。」
「『あぁ、ナルホド。』」
「死神は手にした鎌で魂を奪い、冥府に運ぶ運搬人ですから。」
襲撃して来る魔物達を順調に浄化していく。私とピット君が背中合わせで射撃・打撃を状況に合わせ、繰り出し、会話は進行する。死神砦と呼称されるだけあってわんさか死神が居るのかと想像を浮かべ、身構えていたのだが思ったより死神はうろついていなかった。正直な話安心した…きっと隣に居る彼ならば逃げずにワイワイ騒ぐ死神に有無を言わず立ち向かって行こうとするだろう、目に見えている。今後その状況に立たされたら絶対に回避させようと心に決意した。死神に魂を狩られるのだけは御免だ。
「人間がまた戦争でも起こしたのかもしれませんね。」
『戦争ですか…』
「嘆かわしい。彼等いつも同族で戦ってますね。」
「私も悪いのですけどね。」
「な、何でですか?!」
「世の中から争いが起こらない程度には豊穣を約束出来れば良いのですけど。力不足を感じますね……。」
襲撃して来る魔物達を撃退し、坂になっている道の上を行く。死神が思ったよりも居なかった事実、人々が戦争を起こした為にかけがえのない生命が絶たれてしまった。魂を奪う運搬人ならば此処に留まっていないのも確かに頷ける。だが、内心複雑な思いに駆けられている、出来るのなら戦争など起こさずに助け合って生きてほしい。ガイナスの居城に乗り込む際に見受けた冥府軍と人々が戦い合ってる光景を目の当たりにして本当に酷いと思った。きっと…人と人が剣を搗ち合わせる姿はあの戦い以上に残酷なものだろう。次第に顔を俯かせるそんな中で聞こえた嘆きの声、はっとした表情になる。
『いったぁ…』
「大丈夫ですか?ピット、セラ」
「問題ナシです!!」
『何とか大丈夫です…』
「では、死神砦の中心を目指しなさい。そこに居る敵を浄化するのです。」
転んだ拍子に付いた塵を手で払いながら、神器を握りしめゆっくりと歩き始める。真っ直ぐへと行こうとするも道は行き止まり、キョロキョロ辺りを見渡すと右側に先へ進む道が繋がっているのが見え、方向転換させた。
「この先、死神がいます。無理に相手をする必要はありません。見つからないで避けると良いでしょう。」
『(相変わらず的確なアドバイス…)』
方向転換させ、少し歩行を進めると所々死角になっている道へと出る。彼女のアドバイスに寄ると、死神が徘徊しているらしい。私達が、今居る場所は死角となっているが直ぐに死神に存在がばれてしまう…全力で回避したい状況に今の所陥っていないが、完全にない可能性は否めない。ピット君の話だと死神に見つかるとワイワイ騒ぎながら子死神を呼ばれ、挙げ句こちらが倒れる迄手中に持つ鎌を振り払い攻撃を止めないらしい…とにかく厄介な敵である。子死神を呼ばれるだけならばまだ勝算はあるが、その上モンスターペアレンツ本人が向かって来るのでは完璧に袋叩きだ。心の底から思う…見つかって欲しくはない。最悪な状況に陥らない様に細心の注意を払い、ピット君が安全を確認してくれている。
「大丈夫みたいだ、行こう。」
『うん。』
彼からOKが出た、勿論話し声も小声。視力は果たして幾らなのか皆目見当も付かないが相当良いだろう、視力が良ければ聴力も悪くない筈がない、標準声音で話せば見つかってしまうのは言う迄もなく…死神が後ろを向いて歩き出したタイミングを見計らい、私達は別の陰となる場所へと移動し、慎重に様子を窺う。
『…………はぁ、息を殺してじっとしているのも楽じゃないね。』
「ふぅ……そうだね。」
死神が通り過ぎたのを確認し、隠れた場所からひょっこり顔を出し、駆け足で先へ進める扉へと向かう。扉を抜けると先程迄私達が飛行していた曇り空が視界に映る。どうやら…砦内の構築が複雑になっている模様だ。行かせまいとしているのか…私達を待ち構えていたと言わんばかりにぞくぞくと魔物が現れ、襲撃して来る。死神じゃなくて良かったと思わず安堵の溜め息を吐く。
「荒野にはみっちり死神が居たのに、砦が手薄ですね。」
『確かに…思ったより居ないよね?……んっ?でもさっき砦に侵入する時、ビーム光線喰らいそうになったけど…あれは死神達の目…だったよね?』
「もしかして…あれは死神の目ではなくて、そう錯覚させる為に取り付けた只のトラップかも。」
『あっそう考えれば合点がいきます。でも何であんまり死神が居ないんでしょう?』
「魂が多く運ばれる用事でもあったのでしょうか。」
「『あぁ、ナルホド。』」
「死神は手にした鎌で魂を奪い、冥府に運ぶ運搬人ですから。」
襲撃して来る魔物達を順調に浄化していく。私とピット君が背中合わせで射撃・打撃を状況に合わせ、繰り出し、会話は進行する。死神砦と呼称されるだけあってわんさか死神が居るのかと想像を浮かべ、身構えていたのだが思ったより死神はうろついていなかった。正直な話安心した…きっと隣に居る彼ならば逃げずにワイワイ騒ぐ死神に有無を言わず立ち向かって行こうとするだろう、目に見えている。今後その状況に立たされたら絶対に回避させようと心に決意した。死神に魂を狩られるのだけは御免だ。
「人間がまた戦争でも起こしたのかもしれませんね。」
『戦争ですか…』
「嘆かわしい。彼等いつも同族で戦ってますね。」
「私も悪いのですけどね。」
「な、何でですか?!」
「世の中から争いが起こらない程度には豊穣を約束出来れば良いのですけど。力不足を感じますね……。」
襲撃して来る魔物達を撃退し、坂になっている道の上を行く。死神が思ったよりも居なかった事実、人々が戦争を起こした為にかけがえのない生命が絶たれてしまった。魂を奪う運搬人ならば此処に留まっていないのも確かに頷ける。だが、内心複雑な思いに駆けられている、出来るのなら戦争など起こさずに助け合って生きてほしい。ガイナスの居城に乗り込む際に見受けた冥府軍と人々が戦い合ってる光景を目の当たりにして本当に酷いと思った。きっと…人と人が剣を搗ち合わせる姿はあの戦い以上に残酷なものだろう。次第に顔を俯かせるそんな中で聞こえた嘆きの声、はっとした表情になる。
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