#30 卒業
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「卒業式が終わってからさ、俺たち2人
と先生で夕方まで演奏して遊んだんだ。
校門には女の子たちが待ち構えてたし、
帰ってくれるまで時間潰そうかって先生
たち誘って。」
「なにそれ、初耳~。」
「…お前たちと本格的に組んでからは、
先生とあまり演らなくなってたからな。
最後の想い出と復習を兼ねて。」
「1、2時間のつもりがあれもこれもって
なって、気づいたらもう夕方だったんだ
よね。先生たちも楽しんでたし。」
「よっちゃんみっちゃんも寂しかったん
じゃね?俺、自分んとこのセンコーより
よっぽど好きだったぞ、あの2人。」
「お前、こっちでは素直に言う事聞いて
たもんな。まぁ、俺らには先生ってより
いいアニキって感じだったけど。」
「でもその時実感したよ。お前らの方が
断然やりやすいって。しっくりハマるっ
ていうのかな。あぁ、こんなに違うんだ
って思い知った瞬間だった。」
「そりゃそーだろ。お前らを束ねられる
のはこの冬馬サマしかいないっての。」
「まぁ、そういう事にしといてやるよ。
高校生活はとにかく充実してたし、卒業
するのはちょっと寂しかったな。なんか
校門出るのに後ろ髪引かれる感じで。」
「…そうだな。入学した時は何の期待も
持ってなかったから。それなりに楽しい
3年間だった。夏輝、お前には今も感謝
してる。」
「俺は卒業イコール解放って感じだった
けどな。晴れて自由の身。最後まで担任
からは大学受験迫られたけど。」
「行かなくていいから合格だけして来て
くれ~って泣きつかれたやつな。」
「特進コースだもんね。でも秋羅、最後
まで成績落とさなかったんだろ?それも
すごいよ。」
「ま、その辺は意地だ。誰だろうが文句
は言わせない。」
「イヤミなヤツ~!」
「嫌味も何も、お前ら普通科は初めから
成績なんかないようなもんだろ。中1の
レベルで止まってんだから。」
「社会の役に立たない勉強はやったって
ムダなんですぅ。その代わり好きな事を
やって開花させたヤツは多いぞ?俺らは
一芸に秀でた集団だったの!」
「確かに、直樹もそうだもんね。」
「他にも飲食、服飾、美容師、バイクに
車、それぞれ成功してるからなー。類は
友を呼ぶんだよ。」
「クククッ…好きな事にだけ一生懸命に
なれるヤツらだからな。怖いもの無しと
言うか。試験前になるとお前らまとめて
一夜漬けさせてたのが懐かしい。」
「秋羅先生、超絶怖ぇから。でも仲間内
みんなで同じ答え書くもんだから、俺ら
毎回カンニング疑惑出るんだよ。」
「…身から出た錆。」
「とにかく卒業したら家も出なきゃなん
なかったし、引越しだなんだでバタバタ
してた記憶しかねぇな。そのどさくさで
アルバムも捨ててるかも。」
「ま、アルバムなんて早々開く機会ない
し、重いし、この次開ける時はまた何年
も先か引越しの時に開かずの段ボールに
入れられるか…だろうね。」
「繋がっときたいヤツとは繋がってるし、
要らねーっちゃ要らねーわな。」
「…しかし、色褪せない想い出とは案外
あるものだな。」
「アハハッ、春の場合はどうでもいい事
を記憶しない分、印象に残った事はより
鮮明に焼き付いてるんじゃない?」
「お前、つい最近の事でも自分が興味の
ない事は全然覚えてねーだろ。俺の話は
とことん記憶してねーからな。」
「…記憶するだけ無駄な話が多いから。」
「そういうヤツだよ、お前は!」
「正直、高校の時は自分で責任を負って
ない分、一番楽しかったもんね。初めて
の事も多かったし。」
「ハジメテのコトなぁ?」
「その顔やめろ!絶対意味が違う!!」
「まさに青春ってやつだな。」
「そのうち映画にでもしちゃう?JADE
ヒストリー。」
「…お前のエピソードは青少年の教育上
悪いに決まってるだろう。」
「そうそう。やるならかなり事実を捻じ
曲げないと。R18指定にするか。」
「お前のクズっぷり晒した日にゃファン
が減るかも知れねぇぞ?」
「じゃ、やんない。」
「…俺たちの想い出は俺たちの中にだけ
あればいい。あんなに楽しかった日々を
誰かに教えるなんて勿体ないから。」
「あれ?春、そんなに楽しんでたの?」
「…そりゃあ。」
「無表情過ぎて分かりづれー!!」
「ククククッ、楽しいならもっと笑って
くれよ。」
「ま、機嫌が良い時は多少口数が増える
からね。春がそんなに楽しんでたなら、
俺は嬉しいよ。」
「なんだ?その春が良ければ全て良し的
な発言は。」
「そういう事だろ。ボーカルをどれだけ
乗せられるかが俺らの仕事なんだから。」
「…あの頃から今も変わらず気持ち良く
歌わせてもらってる。どうやらお前たち
からは卒業できないらしい。」
『………。』
「…なんだ?」
「それはギャグか?マジ発言か?」
「…ギャグ。」
『やっぱ分かりづらいわ~!!』
fin.
2021.3.31
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