#30 卒業
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ふぁ~ぁぁぁ…」
「なんだ?寝不足か?」
「昨日、帰ってから探しものしてたんだ
けど、ついでに断捨離したくなってさ。
何回か引越ししてるからその度に捨ては
するけど、いつの間にかまた増えてるん
だよね。」
「忙しいとつい放り込みがちだよな。」
「そうそう、それで同じ物とか買ってる
し。ホント無駄だよ。」
「…で、探し物は見つかったのか?」
「途中で諦めたらまた最初から掘り起こ
さなきゃだろ?意地になって探したよ。
お陰で寝たの4時過ぎになった。」
「バッカじゃねーの?俺なら買うね。」
「だからお前は汚部屋になるんだ!絶対
引越し手伝わないからな!!」
「まぁ、コイツの場合は逆に全部捨てて
やればいいんじゃねぇの?」
「…引越すたびに何もなくなれば、それ
こそ心機一転になるだろう。」
「お前は他人事だと思って適当に言うな。
毎回全部買い直したらどんだけ金掛かる
んだよ。」
「でさぁ、これ見つけたんだ。懐かしく
なって持って来ちゃった。卒アル。」
「…余計なものを。」
「クククッ…そう嫌そうな顔すんなって。
どうせ俺らは昔の春を知ってるだろ。」
「考えたらさ、貰った日に見てから一度
も開いてないなぁと思って。春ちゃんと
持ってる?」
「…実家のどこかにあるとは思う。けど、
見返した事はないな。」
「俺もどこやったかな…もう実家はねぇ
から持ってるとすれば俺のはずだけど、
一度も見た覚えがない。」
「玲子さんが持ってんじゃないの?」
「あんな重いもんを海外にか?しかも、
クラス写真しか写ってねぇし。」
「あ、春と一緒だね。イベントでカメラ
向けられたら背を向けるタイプ。」
「…写真は昔から好きじゃない。」
「どうした、冬馬。真顔になって。」
「俺…卒アル貰った記憶すらねんだけど。
あれ?俺、卒業証書貰った?」
「知るか、俺に聞くな。」
「…実は卒業できてないとか。」
「春!お前、今密かに笑ったな!!」
「いや、でもホントに卒業してんの?
まだダブり中だったりして。」
「30過ぎてまだ高3でしたって?コイツ
ならやりかねねぇけどな。」
「俺、不安になって来た…ちょっと直樹
に電話して来る。」
冬馬はスマホを手に喫煙ルームへ。
「冬馬と直樹、同じクラスだったんだ?」
「そうだったっけな。俺は校舎も違った
からその辺はよく知らねぇけど。なんせ
昼は仲間内全員が溜まってたから、誰が
どこのクラスとか分かんねんだよ。」
「今でもその仲間って連絡取り合ってる
んだろう?仲良いよね。」
「まぁ、それぞれ商売してるからな。
持ちつ持たれつってとこか?」
「俺たち同級生には卒業してから一度も
会ってないもんね。」
「…ないな。」
「ってか、春。お前夏輝以外に友達いた
のかよ?」
「…失礼な。夏輝を通してなら何人か。」
「春は放ってたらすぐ1人になるからさ。
春と話したがってるヤツは結構いるのに、
相手をよく知らずにシャットアウトする
のは良くないと思って。友達っていない
よりはいた方が絶対いいじゃん。」
「お前の面倒見の良さは筋金入りだな。」
「…お陰で思ったよりも学校生活はそれ
なりに楽しめた。」
「俺も人の事は言えねぇわ。結局冬馬に
振り回されながら、アイツの仲間に引き
入れられたから。自分のクラスには話が
合うヤツなんかいなかったし、行事とか
全部アイツのクラスに混じってた。」
「アハハッ、それでよく3年間頑張った
よね。特進クラスのはみ出し者。」
「ま、授業だけはちゃんと受けてたから。
担任も途中から何も言わなくなったし。」
「俺、卒業してたみてー!!」
バンッと乱暴にドアが開く音と共に冬馬
が叫ぶ。
「…なんだ、つまらないな。」
「春ー!今なんか言ったか!?」
「そりゃしてるだろ。卒業式以来、学校
から何も連絡来ねぇんだから。」
「でも、なんでそんなに記憶がないんだ
よ。普通、卒業式くらい覚えてない?」
「…普通じゃないから覚えていないんだ
ろう。冬馬だぞ?」
「春クン、それはどういう意味かな?」
「いや、春の言ってる事は間違ってない。
コイツ卒業式で酔っ払ってたから。正確
には前日から飲みまくってた。」
「ヤダ~、うそ?ホント?」
「「…………。」」
「お前、学校でコーラのペットボトルに
コークハイ入れて飲んでたからな。」
「それ、完全に危ないヤツじゃん。」
「…神経を疑う。」
「え~、全然覚えてねーし。」
「前日はクラブでオール。卒業式の日も
朝まで打ち上げ。そりゃ記憶もねぇわ。」
「そんなひどいヤツいんの?」
『お前だ。』
「って言うか、秋羅も一緒にいたんだ?」
「俺はお目付け役だから。ケンカだけは
させらんねぇだろ。」
「「お疲れ様です…」」
「全くだ。」
1/4ページ