#17 星に願いを
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ん~、身体が重い…
あれ?なんか話し声が聞こえるような…
私…今、何の仕事中だったっけ…
…………あぁっっ!!
目を開けると、私を見下ろす顔が4つ。
「うわっ、ビックリした!」
「なんでお前がビックリすんだよ。」
「なんかやましい事でも考えてたんだろ?」
「…美織、大丈夫か?」
…そうだ!私あのまま寝ちゃったんだ!
ガバッと起き上がると時計を見た。
あれから1時間以上経っている。
「すみません!私、すっかり寝てしまって!」
どうしよう、恥ずかしい!慌てて髪を整える。
いつの間にか、身体の上にブランケットが掛けられていた。
「あぁ、そんなの別に気にする必要ねぇよ。」
「そうだよ、美織ちゃんだって忙しいんだし。休める時はちょっとでも休まないと。」
「…こっちの方こそ、待たせて悪かったな。」
「ってか、美織ちゃんの寝顔見てたらすんげー癒されたんだけど。渋滞ハマって逆にラッキーって感じ?」
うぅ~、寝顔見られるなんて恥ずかしすぎる…
「なんか楽しい夢でも見てた?」
夏輝さんが優しく微笑む。
「私…もしかしてなんか口走ってましたか?」
「いや、百面相してただけ。」
秋羅さんが意地悪く笑う。
「ニコッとしたり、眉間にシワ寄ったり、美織ちゃん超カワイイの!」
あぁ…冬馬さん、完全に面白がってる…
「…お前たち、美織をあまり揶揄うな。」
そう言う神堂さんも、表情はとても穏やかで。
「実は、幼稚園の先生になった夢を見ていて…。もう子供たちに振り回されっぱなしで。」
「アハハ、なんかその姿、そのまま簡単に想像できるよね。」
夏輝さんの言葉に、皆さんも笑って頷く。
「それにしても腹減んねー?みんなで飯食いに行こうぜ?美織ちゃんの打ち合わせっつっても、そんな大した話じゃねんだろ?」
「…まぁ、食事をしながらでも出来るが。美織、どうする?」
「あの…お邪魔では…。」
「そんな訳ないよ。散々待たせちゃったお詫びも兼ねて、ね?」
「よし、決定。んじゃ今日は冬馬サンのおごりと言う事で。」
「はぁ?秋羅、勝手に決めんな!」
「お前が言い出したんだろ?はい、ゴチになりまーす!」
「ま、いっか。美織ちゃんいるし。その代わり俺が美織ちゃんの隣りに座るからなー。」
「…却下。お前は一番離れとけ。」
ふふっ、相変わらず仲が良いなぁ。
ふと、懐かしい気持ちになる。
あれ?何だろう、これ…
不思議に思いながら帰る準備をしている皆さんを見ていると、私の前に差し出される手。
「美織先生、行こうか。」
えっ…、なん…
夢の記憶が、わっと押し寄せるように蘇る。
私に向かって優しく微笑みかける顔が、あの時の男の子と重なった。
『おおきくなったらせんせいのことむかえにいくから、それまでまってて。』
あぁ、そうだ。
私の好きな人は…この人だった…。
まだ夢の中にいるみたい。
ボーッと考えていると、顔を覗き込まれた。
「夢の中で先生になってたんだろう?」
その手にそっと自分の手を重ねると、手を引いて立たせてくれる。
「ふふっ、ちょっと思い出しちゃって。クラスに可愛くて生意気な男の子4人組がいて…私、困らされてばかりだったんです。」
『俺たちみたいだ』そう言って笑うと、彼は頭を撫でてくれた。
皆さんが幼稚園児になった夢を見ていたなんて、口が裂けても言えない。
あの可愛い4人組は、私だけの秘密…。
外に出ると、空を見上げた。
「そう言えば、今日、七夕だったよね。」
「天の川って見えんのー?」
「都会じゃ明る過ぎて見えねぇよ。」
「…せっかく晴れてるのに残念だな。」
皆さんも空を見上げる。
「さ、美織先生、大人の遠足に連れてって♡」
「お前、何プレイだよ…。恥ずかしいな。」
「冬馬って、頭ん中が幼稚園から変わってないだろ。」
「…幼稚園じゃなくて動物園にいたんじゃないのか?」
「はぁ!?クソ~ッ、お前ら絶対おごってやんねーからな!行こうぜ、美織ちゃん。」
「って、ドサクサに紛れて手ぇ繋ぐなよ!」
「いんだよ!どーせ俺は幼稚園児並みだからな。手ぇ繋がなきゃ迷子になんの!」
「あー言えばこー言うスキルはスゴイよね。」
「へんなとこで頭の回転いいからな。」
「…バカすぎて手に負えない。」
「ふふふふっ!」
思わず笑ってしまった。
だってあの小さな4人が、そのまま大きくなって私の前にいるんだもん。
ずっと歳上なのに、憧れの人たちなのに、あの夢のせいか今日は可愛く見える。
そして、大好きな人の笑顔もそこにある。
私を迎えに来てくれたのかは分からないけど…
でも、今度こそ本当に星に願おう。
私の想いが、彼に伝わりますように…
fin.
2017.7.7
→おまけ