#14 Turn back the time
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
Bメロに入り画面はまた切り替わりる。
監督の希望としては、俺らが思い切り楽しんでいる様子を撮りたいという事だったから、それぞれやりたい事を提案していた。
その中の一つが、このスノーモービル。
これは俺の希望。
4人がスノーモービルで雪を巻き上げながら雪原を走る。
「これも気持ち良かったよね。」
「あぁ、面白かったな。」
「鹿とかコヨーテも見れたしなー。」
「見ていたら…また行きたくなる。」
いつの間にか戻って来ていた春が美織ちゃんの隣りにスッと腰を下ろした。
「これ美織ちゃんの差し入れ。超うめーぞ。」
冬馬がおむすびの入っている箱を指差すと、春は彼女に向かってフッと優しく微笑む。
「ありがとう。ちょうど腹が減ってた…。」
おーおー、お前がそんな笑顔見せんの、未来か美織ちゃんの前だけだろ。
多分、本人は気付いてねぇだろうけどな。
サビは、雪に彩られたカナダの大自然の中での演奏シーンだ。音のない白い世界に、俺たちの音楽を響き渡らせるように。
「カッコいい…」
そう呟く美織ちゃんを横目で見ると、その大きな瞳を輝かせ、食い入るように画面を見つめていた。
流石にそんな顔見たら…このシーン、寒くて死にそうだったなんて誰も言えなくなる。俺たちは顔を見合わせると苦笑いした。
曲は2コーラス目に入る。
陽が傾き、大きな焚き火の炎を囲み、談笑しながらコーヒーを飲む俺たちの姿。
「こうやって見てると実際良さげに見えるけど、話してた内容なんて下らねー事ばっかだったよな。」
「何話してたんですか?」
美織ちゃんは興味津々な顔で聞いてくる。
「翌日の早朝に、ヘリスキーの撮影が入ってたからね。罰ゲームの話をしてたんだよ。一番にコケた奴にスタッフも含めて、全員の夕食を
夏輝がニコッと必殺王子スマイルを見せた。
「なんか賭けるもんがねぇとな。何にしたってただやるだけじゃ、つまんねぇから。」
「そそ。俺ら遊びだろーが何だろーが、いつも真剣勝負してんだよ。」
「それ神堂さんもいつも参加するんですか?」
普段の春を見てたら想像できねぇか?
「下らないと思う事もあるが…勝負は嫌いじゃない。」
不敵に笑って見せる春…。
「俺ら全員、相当な負けず嫌いなんだよ。4人が4人とも、コイツらには負けないって思ってるからな。」
「なんか…オトコの人っていいですよね。いつまでもそういうの。」
そう言って美織ちゃんは微笑んだ。
そして映像は8ミリのように古く加工したものに変わる。
「こっからが問題映像なんだよなー。」
冬馬がニヤニヤしながら言った。
それは…撮影の合間に撮られていた完全なオフショット。
そこには素でふざけて遊んでいる俺たちが映る。まるで10代の頃に戻ったかのように。
パークでボックスの上を滑ったり、犬ぞりを引く大型犬たちと戯れたり、笑いながらメシ食ってたり、いつもの如く夏輝と冬馬がジャレてたり…ランダムに切り取られた、普段は見せる事のない姿。
JADEであってJADEではない、有りのままの俺たち。
「春がこんな優しい顔で犬と遊んでるなんて、ファンにしたら超お宝映像だろー。」
春はどんな撮影でも笑った事ねぇからなぁ。
案の定、ポーッとなる美織ちゃん。
「おかしいと思ってたんだよね。ジンがずっとビデオ撮ってただろう?」
「アイツ、何でビデオ回してんだって聞いたら『立石さんに撮影の様子を撮ってくるよう言われてるんで』とかしらばっくれやがってよ。」
「まさか…MVに使うためだったとはな。」
「でも!…あの、すごくステキです!歌の世界にも合ってるし、ライブ以外でこんなに楽しそうな皆さんを見られる機会なんてないですから…って、すいません。ついファン目線になってしまって……」
恥ずかしそうに俯く彼女。
「いや、美織ちゃんのお墨付きを貰えたら最高だろ?」
上げた顔がパッと華やいだ。
ホントこの