#12 プロローグ
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初めて4人が出会ったのは、たまたま見に行った下北沢のライブハウスだった。高2になって初めてライブをしたのもその場所。
全てはそのライブハウスから始まった。
「なぁ、初めてライブした時の事覚えてる?」
「なっちゃん、すげー緊張してたよな~。手ぇ震えるとか言って。」
「そう言うお前だって、やたらタバコ吸ってただろ。」
「秋羅だってベース離さなかっただろーが!」
「そりゃ少しくらいは緊張すんだろ。人前で
「…でも、春だけは嬉しそうだったよね。」
「「確かに。」」
そう。普段はほぼ無表情と言っていいほど感情を表に出さない春が、嬉しそうに笑ってたんだ。
「それは…やっとスタートラインに立てたって言うか…。これから始まるんだと思って。」
普通なら、友達なんかにチケットをばら撒いて観に来てもらうところだけど…俺たちは
冷やかしナシの完全アウェー。
それは正に「力試し」。
今の自分たちはどの程度なのか、果たして自分たちの音で、人の心を動かせるのか?
もちろん高校生という事で、チケットノルマを課されていなかったお陰もあるけど、それでも試さずにはいられなかったんだ。
4バンド対バンのトップ。
俺たち以外は常連バンド。トリのバンドは結構人気があり、割と多くのファンを抱えていた。
他のバンドからは完全にヒヨッコ扱い。
「お前ら初めてなんだって?」
「ま、頑張れよ!」
「何事も経験、経験!」
「間違えたって気にすんな。どうせ誰も聴いてねーから。」
そんな言葉が逆に俺たちに火を点けた。
リハなんてまともにしてくれない。ちょっと音を出してPAの確認をするだけだ。
でもそれでいい。手の内を見せる必要はない。
「アイツらの度肝抜いてやる。せいぜい今の内にナメとけ。」
冬馬の言葉にみんな頷いた。
出会って、バンドを組んで1年…とにかく俺たちは練習し続けた。人前で演るからには中途半端な演奏はしたくない。完璧にモノにするまではライブはしないと決めていた。
もちろん曲は全部、春が作ったオリジナル。
春は中学の時から曲を書き溜めていた。
それにまた、みんなで手を加えて行く。
どんどん曲として完成して行くのが、楽しくて嬉しくて…俺たちは夢中だった。
狭いステージ、フロアとの段差もそんなにない。トップな事もあって、客もまだ少なかった。
俺たちはステージの袖で向かい合う。
「よし、一泡ふかせてやろうぜ。」
「トップが一番上手かったりして。」
「やるからには楽しまねぇとな。」
「今日が…俺たちのスタートだ。」
誰ともなくフッと笑い、コツコツと拳を突き合わせるとステージへ足を踏み出した。
セッティングを終えると、合図を送る。
パッと点いた照明に目がくらみそうになった。
誰も俺たちの事なんて知らない。
見向きもしない。
ステージすら見ないで、酒を飲んで喋って。
その中で、どれだけの人を一瞬でも振り向かせる事が出来るのか。
春がマイクを握った。
「俺たちJADEっていいます。聴いて下さい。」
低いけどよく通る声が響いた瞬間、俺はギターの弦を