#11 Do you speak English?
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「ふふっ、分からなくても話しかける勇気ってすごいと思いますよ?それにやっぱり皆さん耳がいいんですね。」
「ただの女好きだろう?」
「勇気って言うよりバカさだな、あれは。」
「始めは会話にかなり偏りがあった。」
「うるせーな!恋愛トークの何が悪い!!」
皆さん呆れ顔。
「美織ちゃんも今からでも遅くないよ。話せるに越した事ないし。」
「昔はよくやったよな。日本語禁止とか。」
「それなら…これから美織を鍛えるか。ここでは日本語禁止にして。」
「えっ!?ちょ、ちょっと待って下さい、神堂さん!!私、教科書英語しか…。」
「話さざるを得ない状況にした方が、身につくのも早いぞ?」
そう言って神堂さんはフッと笑う。
「でも、そんな突然言われても…。」
「始めは片言でいいんだよ。それでも伝わるからね。何でもチャレンジしてみる事が大切。」
オロオロする私に夏輝さんはニッコリ笑いかけてくれた。
「じゃあ俺、美織ちゃんに早速質問しちゃおうかなー。」
冬馬さんはその悪戯っぽい笑顔を私に向ける。
「な、何ですか?」
身構える私…。
「Are you seeing someone? 」
その瞬間、また冬馬さんにライターやタバコの箱が投げられる。
「何すんだよっ!」
「お前はイキナリ何を聞いてんだよ!」
「それ…お前が昔、乱発したフレーズだろ。」
「…デリカシーが無さ過ぎる。」
「お前らだって気になってんだろーが!それを俺が代表して聞いてやったの!」
ワイワイ騒ぐ皆さんを横目に、私は必死で考えた。seeing…? someone …?
見る…? 誰か…?
「どうやら本人は全く分かってねぇみたいだけどな。」
「美織ちゃん、真剣に考えなくていいから!」
「美織、放っとけ。ボイトレ始めるぞ。」
神堂さんはソファから立ち上がると、スタジオへ向かう。
「あ、はい!」
慌ててその背中を追い掛けると、冬馬さんの声がした。
「答えは次、会った時に聞かせてね~。」
そう言って、笑いながらヒラヒラと手を振る。
「はい、分かりました!」
夏輝さんも秋羅さんも苦笑い。
「美織ちゃん、頑張ってね!」
「春に怒られた時は慰めてやるから。」
「それは俺の役目だろー!」
「ふふっ、ありがとうございます!」
(あなたは誰かを…見ている?)
スタジオに入ると、神堂さんはピアノの前に座り譜面を準備していた。
「あの…神堂さん。」
「どうした?」
その真っ直ぐな瞳が私を捉える。
「さっきの質問…皆さんが気になってるって…。神堂さんもですか?」
その瞳が大きく見開いたかと思えば、神堂さんはフィッと目を逸らした。気のせいか、少し顔が…赤い?
「…それは…その…。」
照れ隠しのように、ゴホンと咳払いを一つ。
「その話はもういいから、準備が出来てるなら始めるぞ。」
「はい、すいません!」
私も慌てて気持ちを切り替えると、レッスンが始まったーー。
家に帰ると、早速あの質問の意味を調べる。
そして唖然とする私。
…そんな意味だったなんて!
あの時の冬馬さんの顔が脳裏に
「Are you seeing someone? 」
(誰かと付き合ってんの?)
うゎ…どうしよう!
私ってば、神堂さんに何てこと聞いちゃったんだろう!恥ずかしくて顔が一気に熱くなる。
でも皆さん、何でそんな事が…
付き合ってる人なんていない。
でも…気になる人はいる。
気になると言うか、憧れと言うか…
私には手の届かない人。
今は話せるだけで幸せなの。
でもいつか…隣にいられたらいいな。
私はその優しい笑顔を思い浮かべた。
そう、いつの日かそんな時がくれば…
fin.
2016.11.25
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