#11 Do you speak English?
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ごめんね、美織ちゃん。冬馬が大ウソついて。」
「いえ、そんな。大丈夫ですよ?それにしても、皆さん英語がお上手なんですね。」
「あぁ…ま、それなりに目指す所があるから、このくらいはね。人を介すとさ、ニュアンスとか細かい部分が上手く伝わらない時があるだろ?それでトラブルになる事もあるしね。だから出来れば自分たちで直接話がしたいんだ。」
わぁ…さすがだ。
「でもやっぱり秋羅が一番上手いよなー。なんちゃってバイリンガルだし。」
「なんちゃっては余計だろ。」
「えっ?秋羅さんって海外暮らしされてたんですか?」
「いや、東京生まれの東京育ち。うちの母親がな、英語堪能なんだよ。だから物心つく前から日本語と英語の両方で育った感じ。ガキの頃から、夏休みとか海外旅行もよく行ったしな。」
「えぇ~、スゴイ!羨ましい!」
「出たよ、秋羅おぼっちゃま。でもそれなら、なっちゃんも似たようなもんだよな。」
「うち、そこまで徹底してないから。俺が途中からギターに走ったしね。今となっては痛恨の極みだよ。」
「夏輝さんのお家も似たような感じなんですか?」
「うちはね、父親は外資系企業だし母親は大学の時にイギリスに留学してたんだって。高校の英語の教員免許も持ってるらしい。大学卒業してすぐ結婚しちゃったもんだから教師にはなれなかったんだけど、家で英会話教室してたんだよ。俺も習ってたけど、そのうちギターの方が楽しくなっちゃって。」
「あれだろ?仕事でイギリスに行った夏輝パパが、留学してた夏輝ママに出会って一目惚れしたってやつだろ?」
「げっ!?冬馬、何でお前がそれ知ってんだよ!」
「だって夏輝パパ、昔からまさやんの店たまに来てんだもん。あの2人、勝手に保護者会とか言って俺らの批評して遊んでんだよ。ここがダメだあそこがダメだとかな。なっちゃん知らねーの?」
「クククッ、あの2人も音楽バカだからな。」
「うっそ!?知らなかった…。俺、昌也さんの前で迂闊な事言えないじゃん!」
「気を付けろよ?パパに筒抜けだから。」
冬馬さんは意地悪そうにニヤッと笑う。
「春はいつから勉強し始めたんだ?昔から結構話せたよな。」
「勉強という訳じゃないが、小学生の頃は洋楽の歌詞がどういう意味なのか気になって、辞書見ながらよく調べてたな。後は…家庭教師みたいに教えてくれた人がいたから。」
「家庭教師みたいな人!?何なんだその曖昧な表現は!なんかヤラシイ響きだな。」
「お前と一緒にするな。」
「そうそう、お前の英語は完全に下心から入ってるからなぁ。」
「わーっ、秋羅!美織ちゃんの前でそれ以上言うな!!」
冬馬さんが秋羅さんの口を塞ごうとするけど、スルリとかわされる。
ふふっ、相変わらず皆さん仲がいいなぁ。
「美織ちゃん、コイツは外国人のオネーサンを口説きたくて覚え始めたんだよ。」
秋羅さんは笑いをこらえながら教えてくれる。
「違~う!!俺は使える英会話を習得するためにだなぁ!異文化コミュニケーションだよ!」
「昌也さんの店って演奏する人もお客さんも、結構外国人来るもんね。」
「…動機が恐ろしく不純だな。」
「お前、大して分かりもしねぇのに片っ端から声掛けてたもんな。働きに来てんだかナンパしに来てんだか。」
「でも動機が何であれ、話せるようになってるんだからスゴイよね。方向は間違ってるけど、お前の努力と根性は認めるよ。」
「だろ?早く覚えたいなら外国人と付き合うのがイチバン!っていやいや、美織ちゃん、違うから!」
冬馬さんが慌てて否定する姿が可笑しくって、つい笑ってしまった。