#10 そもそも。
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「何あれ?一体どういう事だよ?」
夏輝の表情が曇る。
ここで夏輝に話してしまった方がいいんだろうか。ショックはかなりデカイはずだ。
取り敢えず、春と秋羅が来るのを待つか。
「なっちゃん、ちょっと落ち着こうか。車まで行かね?」
夏輝の車に乗り込むも、どう話せばいいのやら。俺自身、まさかの展開に混乱してるし。流れる曲も耳には入っても頭には入って来ない。
間が持たず、お互い窓を開けてタバコを吸う。
しばらくすると秋羅の車が入って来た。
その直ぐ後に春の車。
俺は窓から2人に向かって手招きをした。
車を降りると、
「何やってんだ?お前ら。」
「…朝から何なんだ。」
「いーから乗れよ。緊急会議だ。」
2人が後部座席に座った所で、俺はさっき耳にした話をそのまま3人に聞かせた。いつもなら面白おかしく話をいくらか盛るけど…これっぽっちも笑えるネタではない。
「どうやらあの2人、いつの間にかデキてたらしい。ついでに子供もデキたらしい。」
呆然とする夏輝。
何か考え込む秋羅。
春に至っては外を見ている。
お前…俺の話聞いてたか?
「今日、新手のエイプリルフールか何か?」
「夏輝、そう思いたいのは分かるがそれはない。ってか、俺はイマイチ信用できねぇけどな、その話。」
「信用もクソもあの2人がそう話してたんだから。とにかく俺らが行ったら説明してくれるらしいから…心の準備だけはしとけよ。」
「そんな話なら、俺聞きたくないよ…。」
早くも逃げ腰の夏輝。
「…どっちにしても、こんな所でグダグダ言ってても仕方がないだろう。さっさと行くぞ。」
春は無表情ながら少しイラついたように言うと、とっとと車を降りてしまった。
4人無言で歩く。
(夏輝)
カズヤと美織ちゃんが…何かの間違いであって欲しいけど…。でも2人が想いあってるのなら、それはちゃんと祝福してあげないといけない。悔しいけど、美織ちゃんの気持ちが一番だし。でも俺、上手く笑えんのかな…心からおめでとうって言えんのかな…。
(秋羅)
どうも信じらんねぇな。ローディーの忙しさはハンパねぇし、ツアーや音楽番組の収録以外でもカズヤは常にスタジオの専属スタッフとして詰めている。いつ会うヒマがあるっていうんだ?それにいくら隠してみても、何かしらボロは出るもんだ。この俺が気付かない訳がない…
(春)
美織は何でもすぐ感情が表に出てしまうが…今見ている限りでは誰かと想いあっているような、浮かれたり悩んだりする様子は見られない。もしそれが本当だとしても、俺たちに口を出す権利はない。美織がカズヤを選んだと言うなら…受け入れるしかないじゃないか…。
2階に上がるとカズヤと美織ちゃんがソファから立ち上がり、神妙な面持ちで俺たちを見る。
「2人ともおはよ。どうしたの?深刻な顔して。何かあった?」
夏輝の精一杯の演技に泣けてきそうだ。
「…おはようございます。あの…皆さんに謝らなくてはいけない事が…。」
カズヤが言いにくそうに口を開いた。