#9 boys and dream
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「夏輝は?その頃からギタリストなんて目指してたか?」
「まさか!ただ上手くなりたいってだけだったかな。始めた時には押さえられなかったコードが押さえられるようになって、色んな奏法覚えて…。
で、CDをかけながらなりきって弾いてみたり。その頃の夢って言ったら、目先の事ばっかりだったかも。あの曲弾けるようになりたいとか、バンド組みたいとか。」
「なっちゃんは無邪気だね~。」
「秋羅は?」
「俺は…弁護士とか興味あったな。」
「出た!優等生!!」
「冬馬、もし俺が弁護士になってても、お前とは縁があったと思うぞ?」
「どう言う意味だよ?」
「被告人と弁護人として。」
「勝手に人を犯罪者にすんなっ!!」
ないとは言い切れない設定にウケた。
「なっちゃん笑いすぎだって。」
冬馬がムッとしながら言う。
「まさか自分が音楽の道に進むとはな。」
「春以外はみんなそうなんじゃないの?」
「冬馬は?」
「オレ?あん時の俺に夢なんかあったかなぁ。毎日楽しく遊んで暮らしたいとしか考えてなかったんじゃね?」
「「「………。」」」
「アウトローなヤツの夢なんて大体そんなもんだろ!?でも、お前らとバンド組んでからだよなー。遊びのつもりで始めたのに、いつの間にか本気になってて。もしかしてこのまま音楽もアリなんじゃねーかって思ったの。あの頃の俺に会えるなら言ってやりてーよ。遊んでないでもっと練習しろって。」
「「「今もだろ。」」」
「お前らオニか!」
笑っていると、春がポツリと呟いた。
「夢を見させてくれる仲間に出会えたから…。本気にさせてくれたから…夢が夢じゃなくなったんだ。」
「そうだね。」
「だな。」
「運命の出会いってやつ?」
その時、テレビからアナウンサーの絶叫が聞こえた。
『ゴーーーールッ!!』
アディショナルタイムでの逆転ゴール。
選手たちが抱き合って喜ぶ。
「っしゃー!逆転勝利!!」
「目指すはワールドカップか。」
「道のりはかなり険しいけどね。」
「…俺たちだって、似たようなものだろう。」
春の言葉にみんながニヤリと笑う。
「よし!練習再開!ほら、行くぞっ!!」
テレビの電源を切り立ち上がると、耳について離れなくなった日本代表の応援歌『凱旋行進曲』を口ずさみながら、Aスタへと入ったーー。
1人では見る事ができなかった夢。
4人になって初めて見た夢は
無理だって言う人もいたけど
俺たちなら出来るって
信じて疑わなかったんだ。
笑いながら、ケンカしながら
一つずつ叶えては、また夢を描く。
そう。俺たちの夢はまだまだ途中。
でもこの4人でなら、きっと叶う。
目指すは、世界。
『凱旋行進曲』は、オペラ『アイーダ』の
最も有名な場面で流れる。
「勝利者として帰還する」
いつか世界で勝負して
成功を収めて日本に帰る。
その時は
この曲を口ずさむのかな…。
fin.
2016.6.30
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