#9 boys and dream
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スタジオのドアを開けると、先に出ていた冬馬がテレビに釘付けになっていた。
「だーっ、惜しい!オフサイドかよっ!!」
そう言って頭をかかえる。
テレビに目をやると、映っていたのはサッカー日本代表の試合だった。
「あ、今日だったんだ。代表戦。」
俺も自販機でお茶を買い、ソファに座る。
「一回、スタジアムで見てみたいよなぁ。」
「春が『君が代』歌えば呼んでくれんじゃねーの?」
「昔はオペラ歌手とかだったのに、最近どんな試合も誰でもアリ状態だからな。」
そんな話をしながら、全員で試合を見守る。
試合は同点、後半残りわずか。
「そう言えば冬馬ってサッカー好きだよな。」
「こう見えても俺、ガキん時はサッカー少年だったんだぜ?地元のサッカークラブにも入ってたし。将来の夢は『キャプテン翼になる』だったからな!」
「そりゃまた叶わねぇ夢を描いたもんだな。」
「冬馬にもそんな可愛い時があったんだ。」
秋羅と思わず笑う。
「分かんねーぞ?道さえ踏み外さなきゃ、今頃あそこにいたかも。」
冬馬は画面に映るピッチを指差した。
「あぁ、サポーターとしてだろ?」
「そうそう…ってなっちゃんのバカ!サムライブルーとしてに決まってんだろ!!」
「「「絶対ない。」」」
「お前なんか、ものの数分でレッドカード食らって一発退場すんのがオチだろ。」
「うわぁ、簡単に目に浮かぶわ、それ。」
「道を踏み外したお陰でドラマーになれたんだから…それはそれでいいんじゃないのか?」
「まぁな。俺には断然こっちの方が合ってる気はする。何だかんだ言って、ミュージシャンの方が絶対モテるだろ?不摂生できるし。」
あえてそこは全員スルー。
「で、いつまでやってたの?」
「ん~、クラブは小3までだったか?中学も一応サッカー部には入ったんだけどな…1週間くらいしか行ってないかも。」
「なんで?」
「だってよー、年上だからって自分よりヘタな奴に偉そうに言われてよー。蹴ったクソ悪りぃじゃん。」
「そしてその後は放課後ストリートファイターになったと。」
「そう言うこと。ってか、やめろよその恥ずかしい呼び方!」
「放課後ストリートファイター?なにそれ?」
「コイツの当時の異名。放課後ケンカばっかりしてたから。」
「なんか響きだけはカッコいいな。昇龍拳とかやりそうで。狂犬病の馬よりいいじゃん。」
「要は…ただのケンカ好きだろう。」
春は呆れ顔。
「秋羅は?部活何かやってた?」
「俺、バスケ。」
「っぽいなー。お前、絶対ガードだろ?」
「もちろん。ゲーム組み立てんのが面白いんだから。でも、俺も中2の秋くらいから行かなくなったな。」
「なんで?」
「足痛めてな。で、夏休みに先輩からベース貰った所だったんだ。部活できない間ベース弾いて遊んでたらハマっちまって、何となくバスケはそのままフェードアウト。」
「なるほどね。」
それも何だか秋羅らしい。
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