#8 伝説の男
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レコーディングの合間の休憩。
2階のソファで寛いでいると、ふと気になる。
「…冬馬。その貧乏ゆすり…鬱陶しい。」
「あっ?貧乏ゆすり?!」
「自分で気付いてないのかよ。」
「ちげーよ!これは、バスドラをキックしてんの!もうクセだクセ。頭ん中に音楽流れると、無意識に足が動いちまうんだよな。」
「クククッ、思い出した。高1ん時、C組の水城の貧乏ゆすりが超早いって話題になった事があったな。」
「ハタから見たら、貧乏ゆすりにしか見えないもんなぁ。」
「失礼な。俺は常にリズム刻んでんだよ!」
「まぁ、お前は昔っから何かと話題には事欠かなかったからな。入学早々、生意気だってシメに来た3年全員を返り討ちにして?学校行きゃ、毎日違う女子とイチャこいて?」
「売られたケンカ買っただけだろー。ちゃんと手加減はしたぞ?それにモテるのはしょうがない。なんせ俺とのデートは順番待ちだったからな~♪って、そう言うお前こそ、よく中庭で3年のお姉様方をはべらしてただろーが!この年上キラーめ!」
「知らねぇよ。座ってたら勝手にワラワラ寄って来んだから。」
「お前らって…。一体どういう学校生活送ってたんだよ。」
「「至ってフツー。」」
「いやいや、普通じゃないから!」
「大体、あの高校は遊びたいヤツが来る所だからな。こんなんばっかりだぞ?俺ら別に浮いてなかったし。」
「お前は充分浮いてたぞ。冬馬は俺らの地域じゃ中学ん時から有名だったからな。狂犬病の馬がいるって。」
「あーっ!俺、その噂なんか薄っすら聞いた事ある!東京に馬がいる牧場あったっけって普通に思った覚えが…お前の事だったのかよ。」
「……動物扱いか…。」
「俺ってそんな言われ方してたの?冬馬くん大ショック…。」
冬馬がガクッと項垂れた。
中学生の頃、冬馬が相当荒れていたと言うのは後から知った話だ。とは言っても、秋羅と冬馬に初めて出会ったのは、夏輝とたまたま見に行ったライブハウスでのケンカ騒ぎだったんだが…。
「乱闘が起こる所に水城冬馬アリ。まさか同じ高校になるとはな。あちこちの組からスカウトマンが来てるだの、噂は絶えなかったから。」
秋羅が可笑しそうに笑う。
「アホ!んなモン来るか!それに、まさやんの店で小遣い稼ぎし出してからそんなケンカしてねーよ。ドラムにも出会っちまったし。」
「噂って怖いよな…。」
「秋羅だって三者面談で親じゃなくて女連れて来たって、校内を騒然とさせただろーが!3年の教室から悲鳴が聞こえたぞ。」
「玲子は親だろ。」
「そうだけど!あんな若くて綺麗な母ちゃん、反則だっつーの。俺、秋羅ん家で初めて玲ちゃん見た時、鼻血出るかと思ったもんな。」
「アハハッ!確かに玲子さん、すっごい美人だもんね。秋羅と並んだら充分カップルに見えるよ。」
「お前のその隠し切れない滲み出る色気は、玲ちゃん譲りだろ?この親にしてこの子ありってやつだな。」
「ま、否定はしない。」
秋羅がニヤッと笑った。
玲子さんというのは秋羅の母親で、若くして秋羅を産んだからか、小さい頃から「お母さん」ではなく、名前で呼ばせていたらしい。
その為、秋羅は「玲子」と呼んでいて、俺たちも自然に「玲子さん」、冬馬に至っては「玲ちゃん」と呼んでいた。
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