#6 New Year's Day
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「さー、そろそろお開きにすっかー!」
時計は午前5時を指していた。
「今日は正月だからな。みんなとっとと帰って家でのんびりしよーぜ。」
冬馬の一言で、みんなゾロゾロ動き出す。
「お疲れ様でしたーっ!」
「今年もよろしくーっ!」
みんな口々に挨拶を交わし、握手やハイタッチをしながら別れる。
「じゃ、俺らも行くか。」
「まだ早くねぇか。」
「うん。まだ2時間近くある。」
「どうする?」
取り敢えず呼んでいたタクシーに乗り込むと、冬馬が言う。
「まさやんとこで時間潰すかー。」
「もう閉まってんだろ。」
「俺、まだ店の鍵持ってるし。」
「えー、俺ヤダよ、不法侵入。」
冬馬は運転手に店の場所を告げた。
「何で不法侵入なんだよ。メールしとくし、飲んだ分カネ置いてきゃいいだろ。ってか、叔父の店は俺の店? 」
「出たよ、ジャイアニズム…」
「ま、責任は冬馬が持つってことで。」
「俺は知らないぞ。」
店に着くと、冬馬が鍵を開ける。
勝手知ったる身内の店。電気を点け、カウンターへ入る。
「片付けんの面倒だからビンにしてくれー。」
「しょうがねぇなぁ。じゃコロナにしといてやるよ。せめてライムくらい刺してくれよな。」
「春と夏輝は?」
「「コロナでいい。」」
ドンドンドンッと雑にカウンターに置かれるコロナの瓶。冬馬は自分の分を持ってカウンターから出てくると、
「んじゃ、リーダーよろしく。」
「えぇ?またぁ?」
「まぁまぁ、リーダーだし。」
「じゃあ…。みんな去年1年ホントにお疲れ様。今年も楽曲にライブに、更に良いものが創れるように、力を合わせて頑張ろう。乾杯!」
「「「乾杯!」」」
4人ともフッと笑い、コロナの瓶を掲げる。ライムを押し込むと3分の1程飲み干した。
4人だけの打ち上げ。
只々バンドを組みたくて、高1で偶然出会った俺たち。性格もバラバラなのに、なぜか気が合った。それ以上にお互いの「音」にこの上なく惹かれた。
「日本を代表するロックバンド」と言われるようになった今でも、中身はあの頃と何も変わってない。かけがえのない仲間…。
今日のライブの反省点なんかを話しながら飲んでいると、時計は6時を回っていた。
「もう行くか。」
カウンターに飲み代を置き、俺たちは店を後にした。