#6 New Year's Day
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鳴り止まない拍手と歓声…
ステージの俺たちに向かって振られる、数え切れない程の手。そして数え切れない笑顔…
最後の曲が終わり、ギターを下ろす。
ステージの前に出てメンバー達と手を振り返し残ったピックを全て投げた。
やり切った達成感とともに、最高に楽しい時間が終わってしまう寂しさ…。
「みんな、ありがとーっ!」
「今年も1年ヨロシクなーっ!」
「また会おう。」
「もう真夜中だからなー!気を付けて帰れよーっ!」
もう一度大きく客席に向かって手を振り、歓声を聞きながら俺たちはステージを降りた。
深夜1時半、カウントダウンライブ終了。
控室に戻るや否や、俺たちは床に倒れ込んだ。
「終わったーっ!やっと休めるーっ!!」
冬馬が吠えるように叫ぶ。
このライブが終われば2週間の正月休みに入る。俺たちが唯一貰える長期休暇。
心地いい疲労感に支配されながら、誰の顔も満足気だ。こうして俺たちの1年が終わると同時に1年が始まった。
この後は新年会を兼ねた打ち上げが待っているから、さっさとシャワーを浴びて着替える。
「あ、そうだ。春、今日はそのまま実家に帰るんだろう?」
「あぁ、そのつもりだ。」
「忘れないうちに渡しとくよ、チビたちのお年玉。」
そう言って鞄を開けると、秋羅と冬馬もゴソゴソと鞄をあさる。出てきたのは計12枚のポチ袋。これも恒例になっている。
「毎年悪いな。」
弟たちの事になると、流石の春も顔が緩む。
「俺たちにとっても可愛い兄弟だから。」
「冬馬はよく遊んでもらってたもんなぁ。」
「そうそうそう、って逆だろーが!」
ワイワイ騒ぎながら控室を出て、俺たちは迎えの車に乗り込み、打ち上げをする店に向かったーー。
「みんな、カウントダウンライブお疲れ様でした!毎回だけど、ライブの成功はみんなの支えがあってこそだから、ホントに感謝してます。今年もこのチームで最高のステージを創って行けたらと思ってるんで、よろしくお願いします!それじゃ、カンパーイッ!!」
リーダーである俺の音頭で、打ち上げが始まった。あちこちでグラスを合わせる音が響く。
どの顔も、大イベントが成功した安堵感からか笑顔が溢れる。どれだけ入念なチェックをしても、本番では何が起こるか分からないから。
「どうした、夏輝。」
横にいた春に声をかけられて我に帰る。
「うん。俺たちって、何をするにも沢山の人に支えられてるんだなって、改めて思ってさ。」
「そうだな…。俺たちだけでは、ここまで来れなかった。」
2人で座敷の壁にもたれて、騒ぐ冬馬や秋羅、スタッフを見ながら酒を飲み交わした。
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