#5 束の間の休息
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夏輝の車に乗り込み向かった先は。
下町にある銭湯…それはカズヤの実家でもあった。
元々サウナ好きだった俺らだが、今となっては目立ち過ぎて、どこにも行けない状態になっていた。
そこに救世主、カズヤの出現ーー。
「準備中」の札が掛かった入り口の引き戸を開けると、オヤジさんが待ってくれていた。
「おじさん、いつも遅くにごめんね。」
夏輝が謝ると、オヤジさんは屈託のない笑顔を見せる。
「何言ってんだぃ。うちのバカ息子が世話になってんだ。これくらい何てこたねぇよ。ゆっくりして行きな!」
「よっ!江戸っ子!」
冬馬が合いの手を入れると、オヤジさんは少し照れたように笑う。
そう。カズヤのオヤジさんは、営業が終わった後に、俺らにこの銭湯を貸し切りで使わせてくれるのだ。
きちんと入浴料とタオル代を払って脱衣所に向かう。
「これ持って行きな!水分補給忘れんなよ。」
スポーツドリンクを投げて寄こすと、奥へと消えて行った。
「オヤジさん相変わらずきっぷがいいねぇ。」
「その内ちゃんとお礼しないとな。」
なんて話しながらパパッと服を脱ぎ捨てると、ゾロゾロと中に入った。
洗い場でイスに座り、身体を洗う。
「あれ?冬馬は?」
「また鏡の前で肉体美チェックしてんだろ。何でドラマーって、ああもナルシストが多いんだろうな。」
「やたらすぐ脱ぎたがるし?」
とか言ってる間に、冬馬が入ってくる。
「俺の腹筋の割れ方って最高だと思わねぇ?」
「あぁ、キレイキレイ。お前の筋肉には誰も勝てねぇよ。何ならご褒美にデコに〈肉〉って書いてやろうか?あ、お前ロン毛だから〈中〉か。」
隣で夏輝がケタケタ笑う。
「俺はキン肉マンでもラーメンマンでもねぇよ!秋羅、お前バカにしてんだろ!」
ワーワー騒ぐ声が浴室内に反響する。
春は我関せずといった顔で、とっとと浴槽に浸かってしまった。まぁ、それもいつもの光景。
身体を洗い終え、浴槽にゆっくり身を沈めた。思い切り手足を伸ばし、天井を見上げる。
「はぁー、いつ来ても落ち着くよな。この古き良き昭和の佇まい…。」
「この富士山の絵も、いかにもだしね。」
しばし、4人ともボーッと浸かる。
「こういう時間も…たまには必要だな。」
ボソッと呟いた春のことばに、誰ともなく相槌をうつ。
「俺らちょっと働きすぎじゃね?」
「デビュー以来、走りっぱなしだもんな。」
「リーダー、そろそろ休憩入れようぜ!2,3ヶ月のオフくれよ~。」
「俺に言われてもなぁ。」
「立石に全員で直談判でもするか。」
「働きすぎて、力が出ないよ~。」
「アンパンマンみたいに言うなって。」
すると、ザバーッと春が立ち上がる。