#3 なっちゃんの憂鬱
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ある日のレコーディングの休憩時間。
「なぁ、何で俺、なっちゃんなワケ?」
「「「はっ?」」」
「なっちゃんてば、とうとう病んじゃった?」
「リーダーは激務だからなぁ。」
「ちょっと仕事分担するか。」
「いや、そうじゃなくて。何でなっちゃんって呼ばれてんだって話。」
「そりゃまた、えらい話が遡るな。最初に呼び出したの、冬馬だろ。」
「そうだっけ?」
「初めて会った日から、そう呼んでた気がするが?」
「あっ、そうそう、思い出した。第一印象がかわいかったからだ。春と一緒にいただろう?春はどう見ても高校生かそれ以上、でも夏輝は中学生?って感じだったからな。ほら、幼馴染みとか親戚の子呼ぶ感覚っての?まぁ、それだけ心開いてたってことだよ。」
「秋羅も?」
「まぁ、確かに幼さはあったな。ってか、俺らが逆に年より老けてたって見方もあるけど。」
「秋羅も俺も、おませさんだったからな!」
「春もそう思ってた?」
「…すまん。」
「やっぱり童顔が原因か…。」
「そんなこと気にすんなよ。いつまでも若く見られていいじゃん。俺ら老け込む一方だっつーの。」
「でも、さすがにアラサーになって《なっちゃん》はどうかと思って。女の子みたいだし。男の威厳ってもんが…。」
「ファンも愛着を持って呼んでるんだから、いいんじゃないのか?」
「そうそう。それに見た目や呼ばれ方がどうであれ、お前が一番しっかりしててバンドを引っ張ってるってのは、紛れも無い事実だしな。
…そう言えば、お互いの第一印象って覚えてるか?」
「あー、春はね、何か怖い」
「恐ろしいほど無愛想」
「本当に同い年か?」
「王道だな。」
「俺は?」
「雰囲気がエロい」
「ホストみたい」
「キザ」
「今でもよく言われる。」
「じゃあ、俺は?」
「うるさい」
「チャラい」
「スケコマシ」
「何だよ!俺、最悪じゃん!」
「残念ながら、お前を表すのに他の表現が見つからねぇな。まぁ、夏輝の《かわいい》が一番マシってこと。」
「うーん、フォローになってんだか、なってないんだか…。」
「皆さん、お疲れ様でーす!」
「あ、美織ちゃんお疲れ。今日はコーラス頼むね。」
「はい、よろしくお願いします!」
「で、何?そんな大きな本抱えて。」
「あ、これ犬の図鑑なんです。今度、動物番組の特番で犬のコーナーを担当するんで、犬種の予習をしようと思って。」
「さっすが美織ちゃん!勉強熱心だね~。で、俺らって犬に例えるとナニ?」
「うーん、冬馬さんは大きくて長い髪がキレイだから、アフガンハウンドかな?」
「お前にあんな上品さはねぇけどな。俺は?」
「秋羅さんは頭のいいドーベルマン!」
「ケケッ!黒光りしてるとこ、お前にそっくり!春は?」
「神堂さんは、クールなところがシベリアンハスキーみたいです。」
「なるほどね。じゃあ、夏輝は?」
「夏輝さんは…ポメラニアン!」
「「「ぷっ!」」」
「…俺、タバコ吸ってくるわ…。」
「あの…、もしかして私、夏輝さんの気に触ること言っちゃいましたか…?」
「いんや、大丈夫だよ。なっちゃん今ね、二度目の思春期が来てるみたいだから。」
「美織が気にする必要は何もない。」
「そうなんですか?私、ポメラニアン大好きなんだけどな…。」
「それ、本人に言ってやんな。多分復活するから。」
「本当ですか?じゃあ、ちょっと行ってきます!」
「…しかし、夏輝の言う男の威厳って何だ?」
「好きな女の前で、男らしくいたいって事なんじゃねぇの?」
「なるほどね~。でも男らしいっても、色々あんだろ?春みたいに無骨でクールなのもアリ、秋羅の大人のお色気ムンムンもアリ、俺みたいな抱擁力満開もあり。」
「お前のは、ただの抱きつき魔だろ。その内セクハラで訴えられるぞ。」
「でも夏輝は、あの優しくてかわいい笑顔が魅力なのにな。俺、今だにかわいいって思う時あるし。」
「……。」
「…お前、女食い飽きたっつって、そっちに走るなよ?」
「走るか、バカ!俺が言いたいのは、なっちゃんはいくつになっても、なっちゃんだってことだよ!」
「自分の魅力は、自分では気付かないものだからな…。」
「お、あいつら戻ってくるぞ。夏輝のヤツ、ニコニコしちゃって。」
「うしっ。リーダーの機嫌も直ったことだし、もうひと頑張りすっかー!」
fin.
2015.11.18
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