#2 wisdom tooth
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それから2時間程で2人が帰ってきた。
「美織ちゃんお疲れ~。冬馬の奴、迷惑掛けなかった?」
「大丈夫ですよ。思ったより早く終わりましたし。」
冬馬はドサッとソファに座る。
「どうだったよ?初めての歯医者サンは。あ、まだ麻酔切れてないから喋りにくいか。」
「まぁ、ちょっとな。でも余裕?」
なぜか不敵な笑みを浮かべる。
「そりゃあね。麻酔してたら痛みもないし。でも当分、酒とタバコは禁止だぞ。歯に負担かかるから、本気でドラム叩くのも控えた方がいいな。薬もちゃんと飲めよ。」
「そうだ。大人しく言う事聞いた方が治りも早い。」
ガクッと項垂れる冬馬。好きなものが全部禁止になるのは、ちょっと可哀想な気もするけど…。
「疲れた。オレ、もう帰るわ。」
「おぅ、今まで苦しんだ分、ゆっくり休んでこい。」
冬馬はカバンを肩に引っ掛けると、迷わず美織ちゃんのところに行き、笑ってポンポンと頭を優しく撫でるとそのまま帰って行った。
「うわ、なんか今、2人の間に只ならぬ空気が漂わなかったか?」
「もしかして、もしかする…?あのガキっぷりが母性本能をくすぐったとか。」
「…まさか。それはないだろう。」
そう言いながら美織ちゃんの顔を見ると、少し赤くなっていた。
「まさかの冬馬が一歩リードかよ?」
「春が余計なことするから。」
「……。」
ふと、あの捨てゼリフが
『後で後悔すんなよ。』
(はぁー、マジ疲れた。)
タクシーのシートに身を埋める。
まさか今日一日でこんな事になるとは、思ってもみなかった。
でもたった一つ、良いこともあった。
美織ちゃんと交わした約束…
「頑張ったご褒美に…歯が治ったら俺とデートしてくれる?今日のお礼もしたいし。」
彼女は一瞬びっくりした顔をしてフリーズしたけど、俯いてコクンと頷いてくれた。
顔が耳まで赤くなっている。
(ほんっと、可愛いよなぁ。)
その姿に、いつの間にか緊張しまくってた俺の心が緩んだ。
(ほんじゃ覚悟決めて、サクッと抜いて貰いますか。)
こんな俺にも彼女を射止めるチャンスがあるのなら…そりゃ、参戦しない訳にはいかない。
俺らの前に舞い降りた天使。
誰も美織ちゃんが好きだと宣言した訳じゃないけど、春と夏輝に関してはもう見え見え。あの秋羅だって、惹かれてるのは分かる。
相手は強敵揃い…でも、その方が燃えるってもんだろ?
美織ちゃんとのデートのためなら、酒とタバコなんて、いくらでも我慢してやるよ。
待ってろよ、オレの本気見せるから…。
fin.
2015.11.08
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