#2 wisdom tooth
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ここ最近、どうも冬馬の様子がおかしい。
やけに大人しい上に、顔色が悪い。
今は、次にリリース予定のアルバムに向けて準備段階。まぁ、スケジュール的にも割と落ち着いている時期だった。
それでも雑誌の取材や、イベント、テレビの収録と、何だかんだ仕事はある。
今日はスタジオでの練習日だった。
いつも通り、遅刻ギリギリにやって来る冬馬だが、明らかに、どんよりとしたオーラを
いつもなら秋羅とバカ言って騒ぎ、俺をイジり、春に怒られるといったルーティーンをこなしているけど…。
「ォハヨ…。」
ボソッと言って荷物を置くと、そのままドラムセットに向い調整を始めた。
「冬馬何かあったの?」
「さぁ…?ここんとこアイツと飲みにも行ってねぇからな。珍しく仕事が終わったらとっとと帰りやがる。」
「……。」
流石にみんな、この異常事態が気になっていた。
「まぁいい。取り敢えず始めるぞ。」
春の一声で練習を始めた…が、冬馬のドラムが余りに
「…冬馬、お前…いい加減にしろよ?一体どうした?」
春の低い声が響く。3人でドラムセットの前に詰め寄ると、観念したように冬馬が呟いた。
「イタイ…。」
「「「はぁ?」」」
「歯が…イタイ。」
本人の話によると、こうだった。
1ヶ月程前から、奥歯に
それでも鎮痛剤で誤魔化してきた。が…、鎮痛剤を飲み過ぎて今度は胃がやられ、この数日は頭痛まで始まり眠れないのだという…。
「お前はバカか?」
「早く歯医者行けよ。」
「呆れたな…。」
矢継ぎ早に3人からツッコまれる。そのまま黙ってしまった冬馬を見下ろし、春がまさかの一声を放った。
「お前…歯医者に行くのが怖いのか?」
「ちがっ…!別に怖かねーよ!ただ今まで一度も歯医者に行ったことがないだけで!」
「マジかよ?この年で、そんな奴いんのか?」
「俺は、お前らと違って健康優良児なの!ガキの頃から虫歯になんか、なったことねーんだよ!」
そう言って、必死に反論する冬馬。もはや歯医者にビビっているのは決定的だった。そうなると、可笑しくてしょうがない。
あの春ですら、笑いを
「でも冬馬、そこまで来たら、もう抜くしかないと思うよ?多分、親知らずが生えてるんだろうけど。それだけ痛いってことは、横向きに生えて隣の歯押してんだよ。」
「あぁ、俺もやったなぁ。そん時、歯茎切って抜かれたもんなぁ~。」
秋羅は完全に面白がっている。
「抜く?歯茎切る?そんな大事なのかよ!」
ますます余裕のなくなる冬馬に、春の命令が下った。
「冬馬、今日の練習はもういい。今から歯医者に行け。」
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