鬼殺隊、妖怪見聞録!…鬼滅・◇
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ワガママな妖怪
善逸side
俺は、鬼殺隊に所属する隊士で音柱の継子・我妻 善逸って云うんだ、宜しく。
今回は、俺が任務中に体験した事を話そうと思うんだ。 え? 話さ無くて良い?
えっ……御願いだよぉぉ! 少しだけで良いから、俺の話を聞いてってくれよぉぉ!
うぅっ……多分、話を聞けば聞き損には成らないと思うからぁぁ! 御願いぃぃ!
じゃあ、話をしてくぞ? 良いよな? 大丈夫だよな?! よし。
んで、話なんだけど……俺、と云うか俺達五感組って、他の鬼殺隊士と違って……あ、一般の隊士とだからな? 間違っても柱の人達とじゃ無いからな?
其れで、他の鬼殺隊士達よりも幽霊とかを視る事が出来る力・霊感がさ、強いんだよね。 そりゃあもう、五感組全員が極端に。 まぁ、柱の人達も俺達程では無いにしろ、霊感の強弱は有れど、多少視える人は居るんだけどね?
ごめん、話が脱線しちゃった……。 何処まで話したっけ? あ、そうそう……霊感が強いって話だったよね。
その影響で、幽霊とか視え易いんだよ……ホント、マジで。 だから、苦労もしてる訳。
で、此処からが本題。
あれは、とある任務の後の事だったんだ……。
~回想~
ーとある森の中ー
「クソッ! 何で、こんな所に鬼狩りが居るんだよ?! 折角の食事が台無しじゃねーか!
待ちやがれ、鬼狩りィイ!!」
「ヒィィィッ! とある森で行方知れずの人間が多発して居る……って、云う情報を元にチュン太郎の案内通りに来ただけだったのにぃぃ! 鬼の食事中に遭遇するなんて、俺は不運だぁぁ!」
ドドドッ!!
鬼の食事中に遭遇した俺は、遭遇した鬼を討伐しようとしたけど、その鬼の容姿がとても不気味過ぎて……討伐に失敗した挙げ句、隙を着かれて反撃を食らいそうに成ったもんだから……次々と自分に向かって来る鬼の攻撃を躱しながら、ソイツの攻撃から逃げてる途中だったんだ。 その時に……。
ドッ、バタンッ!!
俺は、何か石の様なモノに躓いて転んで仕舞って……転んだ拍子に、気絶したんだと思う。
久し振りに。
「へへっ、やっと追い付いたぜ……。 さっさとこいつの肉を喰って、食事を再k……。」
「シィィィ……。雷の呼吸 壱の型 霹靂一閃っ!」
ドォーンッ!!
「グギャアァァァ!! クソッ、クソォ! この俺が、鬼狩りごときに負けるなんt……。」
サァー……。
鬼自体の討伐に成功したには、したんだけど……。
「……?(あれ? 何か身体が重い……? 何で?)」
クルッ。
何か身体が重いなぁ?って、思って肩越しに後ろを見たら……。
《うぅっ……、やっと……やっと見つけた。 光だ、暗闇の中の光だ……。》
《おい、其処のお前。 俺と友達に成ろうぜ?》
……って云う、二つの声が聞こえたんだ。
「!? ぎ、ギィヤァァァア!! すっ、水蓮姉さぁぁぁん!! たぁすぅけぇてぇぇえ!」(泣)
ピャッ! ドドドッ!!
そりゃあもう……驚きの余り、飛び上がっちゃったし、物凄い速さで叫びながらその場から逃げ出して、鬼殺隊の本部……特に〝陰陽柱〟である水蓮姉さんの屋敷まで、全力疾走したね!
で、そのまま走り続けて水蓮姉さんの屋敷に行ったんだ……
ー水蓮の屋敷・
「ハァハァ……ゲホッ、ゲホッ! はぁ~、全力疾走したから息が上がっちゃったや……。 ん?……って、あれ? 炭治郎?」
「あっ! 善逸! 息切れして、どうしたんだ?」
「炭治郎こそ……。 此処って、水蓮姉さんの屋敷だろ? 何で、炭治郎が此処に居るんだ?」
水蓮姉さんの屋敷に行ったら、其処に炭治郎が居たんだよ。
ビックリだろ? 其れで、炭治郎に聞いたんだ……「何で、水蓮姉さんの屋敷に居るの?」って。
で、返って来た答えがさ……。
「ん? ……あぁ! 善逸、其れはな……此処で霊力の鍛錬をしてたんだ!」
「えぇっ?! 霊力のぉ?! 鍛錬っ?!」
「あぁ! 俺達って……水蓮姉さん程、霊力の取り扱いに不慣れな部分が多くて、まだまだだろ? だから、水蓮姉さんが直々に鍛錬を見てくれてさ。 どんな鍛錬をすれば良いか……とかのアドバイスを貰ってたんだよ。」
「成る程ねぇ……炭治郎が此処に居る理由、何となくだけど納得したよ。」
「そうか!」(ニカッ)
自身の霊力とかの鍛錬に関してだったんだ。 驚くよなぁ……そりゃあさ。(苦笑)
俺だって、鍛錬を精一杯積んでは居るけど、炭治郎程の努力をするのは苦手だからさ……。
炭治郎と話をしてる最中に、縁側から俺達に近付いて来たのが……屋敷の主で陰陽柱でもある、水蓮姉さんだった。
『いらっしゃい、善逸君。 炭治郎君は? 鍛錬の方は、どんな具合?』
「お、お邪魔してます……。」
「はいっ! 水蓮姉さんに頂いたアドバイスの通りにやって見たら、上手く行きました!」
『そっか、其れは良かった! ……所で、善逸君?』
「はい?」
『君の背中のモノは……どうしたのかな?』
「ア”ッ!! すっかり忘れてた!
水蓮姉さん、実は……かくかくしかじかで、背中のヤツ……どうにかなりませんか?」
「確かに、善逸の背中に良く無いモノが居るのは、俺でも何となく判るけど……。 水蓮姉さん、どうするんですか?」
炭治郎と楽しく談笑をして居る間に、頭からすっぽり抜け落ちて居た事柄を、水蓮姉さんに指摘された事で、俺が此処に来た訳を漸く、思い出したんだ。
で、炭治郎も俺の傍に居てくれたから……そのまま、水蓮姉さんに相談する事にしたんだよ。 相談した結果は、まぁ……ウン。
『うーん、任務後に……かぁ。……とは云え、善逸君の背中に別々のモノが、二体居るんだよねぇ。でも、二体の内一体は浄霊に差程、問題は無いんだけど……もう一体がね? 問題大有り見たい……。』(苦笑)
「え、ウソでしょ?! 任務中に石に躓いて転んで? 挙げ句に、霊に取り憑かれてる訳ぇ?! 俺、どうなるのぉ?! イ”ィィィヤ”ァァァアーー!!」
「五月蝿いぞ、善逸! 恥を晒すんじゃ無い!」
「そう云うお前も充分、酷いわ!!」
『まぁまぁ、二人共。 善逸君の背中のモノに対して、解決策が全く無い訳じゃ無いから、安心して?』
(苦笑)
「グスンッ……。 うぇ? ほ、ホントに大丈夫なのぉ?」
「善逸、水蓮姉さんの事……信じられ無いのか?」
「いやいやっ! 水蓮姉さんの事は、めちゃくちゃ信頼してるし、信じては居るんだけどぉ……不安が勝ると云うか、何と云うか……。」
『此のまま、霊に取り憑かれたままに成ったら、どうしよう……とか、自分自身がどう成って仕舞うかが、判らなくて不安になる……。 今現在、善逸君が不安に思ってるのは……こんな所じゃ無いかな?
……違う?』
「……。(コクン)」
「善逸……。」
俺さ……誰かに、こんな的確に不安に思ってた事をズバッと指摘された事何て……今まで無かったし、水蓮姉さんが初めてだったんだ……。 正に、図星を突かれたって云うのかな? そんな感じだった。
大抵の事は大体、めちゃくちゃ聴こえる上に、聞き取る事が可能な耳で殆どの事を聞いて居たから……。
例えば、自分自身に降り掛かりそうな火の粉とか、関わったら面倒臭そうな問題をその卓越した聴力で敢えて、避けて来てた訳。 でも、水蓮姉さんには敵わなくて、簡単に見抜かれちゃったもんだからさ。 そりゃあもう、自分自身を護る為の殻を、盛大に壊された気分だったね!
あれってさ、信用とか信頼ってだけじゃ無くて……要は、不安に思ってる相手の心の状態を如何に、素早く把握し、寄り添い、掬い上げれるか……だと思う。
……あー、ごめん。 また、話が脱線しちゃったね……。 話を戻すね?
其れで、その後の俺は水蓮姉さんからの質問には、素直にきちんと答えて行ったんだ。
『善逸君、任務の中で石に躓いて転んだって、云って居たけど……本当?』
「はい。 森の中を走りながらだったんですけど……確かに、石に躓いて転んだのは、事実です。」
『ふむ……。 次に、身体が重く感じて、後ろを振り返った時に、霊が何か云って無かった? 例えば、何かしらの声が聞こえた……とか。』
「はい。 声が聞こえましたし、云ってました。 確か、光がどうとか……友達がどうとか……。」
『ふむ、光と友達か……。 判った。 調べて来るから、少しだけ此の部屋で休んでてくれる? 勿論、炭治郎君も一緒に。』
「判りました!」
「水蓮姉さん、早く調べて来て下さいね……? でないと、狂いそうで怖いっ!!
其れに、自分の背中と身体を一刻も早く軽くしたい……。」
「善逸、もう少しの辛抱だぞ!」
「判ってるよぉ。」
ー水蓮が部屋を退出してから、四半刻後ー
『善逸君、炭治郎君、御待たせ。』
「何か判りましたか?」
『えぇ、善逸君の背中に取り憑いて居るモノの正体がね……。 二体居る内の一体は、普通の霊だったよ。 もう一体は……。』
「も、もう一体は……何ですか?」
「(ゴクリッ)」
『正体を聞いても驚かないでね?』
「「(コクン)」」
『もう一体の正体は──天邪鬼って、云う妖怪だったよ。』
「「?!?!」」
あの時、水蓮姉さんから云われた事はホント、ビックリしたよぉ。 だって、天邪鬼だって云うんだから。 俺の背中に取り憑いて居た正体が、天邪鬼だよ? 天邪鬼っ!! こんな事って、有り得ると思う? 普通は、有り得無いよ? 天邪鬼に取り憑かれる何て、滅多に無い事だと思う! 俺は、そう思ってる! 絶対っ!!
しかも、水蓮姉さんが妖怪を調べるのに、使用する本が此れがまた、凄い本らしくて……。 確か、江戸時代の絵師だったって云う、鳥山石燕って人が描いた妖怪に関する図鑑や本を専ら、使用するらしいんだ……。「どうして、その人の本を使用する事が多いの?」って、水蓮姉さんに理由を聞いたら、妖怪の事が正確に描かれて居る上、解説も詳しいからだ……って云ってたよ。 ホント「マジで……?」って、驚いた位。 じゃあ、続きを話すね?
「えっ? う、ウソでしょ?! あ、天邪鬼だ何て!!」
「ぜ、善逸……、少し落ち着け。」
「はぁあぁぁ?! 此れが、落ち着て居られるかよっ?! お前は、取り憑かれて無いから、そんな事云えるんだよぉ!」
「確かに、そうだけど……対処してくれるのは、水蓮姉さんだからな?! 俺じゃ無いんだからな?!」
「ハッ!! そうだった!」
ギギギ……。×2
炭治郎の云った言葉で気付いて、言い争って居たのを止めて、二人して水蓮姉さんの方を見れば……?
其処には、苦笑して居る水蓮姉さんの顔が有ったんだ。
『えーっと……、話し合いは終わった……のかな?』(苦笑)
「「………ハイ、ご免なさい。」」
『まぁ、別に良いよ? 幾らでも喧嘩して貰って。 困った事に成るのは、どうせ自分自身なのだから、私は一向に構わないよ?』(ニコニコ←黒笑)
「「ホンッ……トに、ご免なさいっ! 申し訳有りませんでしたぁぁぁ!!」」
ガバッ……!! ←THE・土下座☆
うぅっ……、ホントに怖かったんだって! その時の水蓮姉さんの顔っ!!
顔はニコニコ笑っては居るのに、雰囲気と云うか……気配がね……もう物凄っく怖かったんだよぉ。(泣) 炭治郎と二人して、土下座しちゃった位だもん。 アレは、怒らせたらダメな奴だった……絶対に怒らせたらホント、アウトだよ。 君達も気を付けた方が良いよ? 俺からの忠告ね?
じゃ、話の続きするね。
『はぁ……もう良いよ、先程のも本気で怒ってた訳では無いし。 但し、次は無いからね?』
「「ハイッ! 判りましたっ!!((えっ?! アレで本気で怒って無いって……? ウソ(だろっ/でしょっ)?!))(°Д°)」」
『さっ! 敷地内の神社に移動して、除霊を始めるよ?』
「あ、あのっ! 水蓮姉さんっ!」
『何? 炭治郎君。』
「除霊って、どんな風に行なうんですか?」
「あっ、確かに!! 水蓮姉さん、どんな事するの?」
『其れは、神社に着いたら詳しく説明するから、もう少し待って。 霊に依っては、様々な準備が必要に成る時も有るんだから……ね?』(苦笑)
「「えぇー……そんなぁ~。」」
『ほら、早く来ないと善逸君の背が、どんどん悪くなる一方だよ?』
「(確かに、さっきよりも身体が重苦しい感じが、徐々に増してる気がするけどぉ……。)」
「「…………。(コクッ)」」
ダッ……!
そう……水蓮姉さんに促されて、炭治郎と二人して水蓮姉さんの後を追って行ったんだ。
そりゃ、水蓮姉さんに〝どんどん悪くなる一方だ〟何て、あんな事云われたら怖く成るじゃんっ?! 誰だって怖いモノは、怖いんだよぉ!! うぅっ……。
……で、水蓮姉さんの後に着いて行った場所は、神社だった。 水蓮姉さんが云ってた通りの神社。 多分、普通の神社なんだと思うよ? 水蓮姉さん、敷地内の神社を市井の人達……まぁ、周辺の地域の人達に解放してるって、云ってたから。 地域の人達に何か有った時の為の……謂わば、駆け込み寺の様な役割が有るんじゃないかな?
ー神社in陰陽屋敷(at敷地内)ー
「えっと、神社で除霊を行なうんですよね……?」
「えっ、除霊の準備とかは? もう、良いの?」
『先ず炭治郎君、基本的に浄霊や除霊等の霊関連、若しくは霊関係についての案件は全て、敷地内の神社で行なう決まりにして居るんだよ。 鬼殺隊に関係無しに…ね。 其れと善逸君、神社での準備はもう済んでるよ。 調べ物の際、
「はぁ~、流石は水蓮姉さんっ!! 仕事が早いなぁ。」
「仕事が早いのも確かだけど、陰陽師としての腕も超一流っ! 善逸の云う通り、流石ですね!!」
『ふふっ、二人共……私の事を褒めてくれるのは嬉しいけど、何も出ないよ?
出るのは、霊とか妖怪等の類いだけ。』
「ヒィッ! そ、其れを云わ無いでよぉ……水蓮姉さんっ! 折角、忘れようとしてたのに、思い出しちゃったよぉ!!」(泣)
『あー……ご免ね? 善逸君。(苦笑)
でもまぁ、霊関係の案件は殆どが時間との闘いだから、早めの対処が望ましいのは事実だよ?』
そう云いながら水蓮姉さんは、辿り着いた神社の本殿にあたる建物の観音開きに成ってる扉を片側だけ開いて、本殿の中を俺達にも見え易い様にしてくれた。
本殿の中は、やや薄暗い感じだったんだけど、四方の壁に有る窓は閉め切ってあって、四隅と本殿の中央に有る燭台に蝋燭を立てて火が灯して有ったから、其れ程暗いって訳でも無かった。 普段との違いと云えば、本殿の中央の床に燭台を囲う様に何やら描かれて有り、その傍にもう一人の水蓮姉さんが立って居た事位だった。
式『主、御待ちして居りました。 陣は描き済みに御座います。』
『ん、有り難う。 もう戻って貰って、構わないよ。』
式『判りました。 では、また何か有れば御呼び下さい。』
『えぇ、その時はまた御願いね。』
式『承知致しました。』(ペコリ)
フッ……。
「「∑?!」」
「えっ?! さっきまで居たもう一人の水蓮姉さんは?! 何処に行ったのぉ?!」
「ぜ、善逸……。 め、目の前で……水蓮姉さんが消えたんだが……?」
「ね、ねぇ……炭治郎? 此れって、どう云う事かな……?」
『あー……炭治郎君?善逸君? 大丈夫?』
「「((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル」」
『(あちゃー……式が突然、目の前で消えたものだから二人共、怖がって震えちゃってるや……。 仕方ないな。)』
パンッ!!
「「?!」」(音がした方へ、顔をクルリ)
『炭治郎君も善逸君も、気が付いた?』
「「え、水蓮姉さん……? え? え?」」(周囲をキョロキョロ)
『あー……ご免。 さっきのは、此処に飛ばしてた“式”が、消えただけだから大丈夫。
其れに……ほら、私の掌を見てみて?』
そう云いって、俺達に水蓮姉さんが見せたのは、掌の上に乗せられた一枚の紙。 その紙を良く良く見ると、人形の型をした紙だったんだ。 はぁ~……あの時、“式”が消えた瞬時を炭治郎と見て、ビックリした所じゃ無かったよ……。
アレは、心臓が口からまろび出るかと思った程だったね!! 其れ位、俺達二人共驚いたんだからね!?
じゃ、続きの話ね。
『どう? 此れで、さっき話てた“式”だって、判ったでしょ?』
「「(コクコク)」」
『ならば……早速、除霊を始めるよ?』
「判りました! 其れで、俺はどうしたら良いですか?」
「そうですよぉ! 俺は実際、霊に取り憑かれてるから、陣の中だってのは判るけど……。」
『善逸君は、そのまま陣の中……成るべく中央に座っててくれる? で、炭治郎君は善逸君の近くに居て、善逸君の体調や周囲に異常が無いかの確認や此れから行なう除霊の補助を御願い。』
「判りました! 水蓮姉さん!!」
「炭治郎ぉ~、俺を支えるんなら、しっかり頼むよぉ~。」(半泣)
「善逸……判った! 俺、頑張って善逸をしっかり支えるからな!」
「うぅっ……少し不安は有るけど、炭治郎も水蓮姉さんも俺の背中の除霊ホント、頼みますから絶対に成功させて下さいよ?!」
「善逸……。」
『善逸君、君が不安に感じるのは、凄く良く判るよ。私が、君に〝安心して〟と云った所で 、其れ程効果が無いのも事実だしね。安易な言葉では、不安の払拭にも成らない事もね? だから、私は君が少しでも安心出来る様に〝心配せず共、大丈夫〟とだけ、君に伝えとく。』
「水蓮姉さん……?」
「其れって、どう云う意味何ですか?」
『善逸君に云った〝心配せず共、大丈夫〟と云う言葉は、まぁ……一種の”自己暗示“見たいな物だよ。』
「「”自己暗示“……?」」
『そう…。 己の心を霊や妖怪から、護る為の”言霊“だよ。』
「「”言霊“……。」」
『さて! 其れじゃあ、話は此れ位にして……背中に居る二体の内の一体から除霊を始めるよ? 準備は、良い?』
「「(ゴクリ……。)」」
水蓮姉さんは、そう云って俺の不安が少しでも払拭される様に、配慮してくれた。 そして、いよいよ……緊張感漂う中、俺の背中に取り憑いて居る霊の除霊が始まったんだ……。
『”彼の者に取り憑きし霊よ……此の場にて、姿を現せ“っ!!』
ズズッ……。
「「∑?!!」」
水蓮姉さんが、言葉を紡いだ瞬間……俺の背中から嫌な気配が少しして〝ナニか〟が現れる感じがしたんだ。其れも……二つの気配が。 でも、俺は怖くて震えながら
《光……私から光を離さないでくれッ!!》
《チッ……折角、友達が出来ると思ったんだがなぁ?》
『取り敢えず、天邪鬼。 貴殿は、少しばかり其処で動くな。“縛“っ! ” 桔”っ!!』
《っ?! くそっ! 貴様……やはり、陰陽師かっ!!》
『だから? 私を陰陽師だと見破ったのは、まぁ良いとしよう。 貴殿が野放し状態のままだと少々、厄介なんでね……。 一時的にでは有るが、結界を張らせて貰った。 少し、其処で大人しくしててくれない?』
《俺は、天邪鬼だ! 貴様の云う事等、誰が聞くかっ!!》
『ほぅ……? 〝我〟に対し、逆らうとは良い度胸だな……。まだ、その様な態度を取り続ける気か? 天邪鬼。』(クルリ)
《∑?! ぐっ……。》
そう云いつつ、天邪鬼の方へ顔を向けた水蓮の瞳は……〝天之御中主神〟と呼ばれる際の瞳の色──“紫色の瞳”をして居た。
其れを直に見た天邪鬼は、押し黙る他無いのだった……。
「「???」」
その瞳を見る事すら出来て居ない炭治郎と善逸は、自分達の背後で何が起こって居るのかさっぱり判らず、困惑して居た。
そんな中──、彷徨う霊の戸惑った声が。
《私の光は、何処なのだ……?》(辺りをキョロキョロ)
『彷徨える霊よ、我が声が聴こえるか?』
《はい……聴こえます。》(コクリ)
『ならば……貴方の目指すべき、本来の光足る“慈悲の光”を私が照らした上で、貴方へ指し示す。その光を目指せば良い。』
《判りました。 道標を示して頂き、感謝致します……。》(ペコリ)
『では……“南無大慈 救苦救難 広大慈悲 広大霊感 急々如律令……。 彷徨える魂へ〝慈悲の光〟を差し示し給え”。』
パァァァアッ!!
「「∑うわっ!!?(な、何が起こって(居るんだっ/るのぉ)?!)」」
眩い光の筋が無数に彷徨って居た霊へと降り注ぎ、その眩しさから炭治郎と善逸の二人は、其々顔へと片腕を翳しつつ、何が起きて居るのか分からないながらも、その眩い光が霊を導いて行く様子を視て居たのだった。
その時、善逸に取り憑いて居た二体の内の一体だった霊が発した言葉が聴こえ、炭治郎も善逸も何故か不思議に思い、俯いて居た顔を上げ、後ろを振り向いて霊の姿を視上げるのだった……。
《貴女方に逢えて良かった……。》
「「……えっ?(其れって、どう云う事(何だろう/なの)……?)」」
《この御恩は決して忘れぬ様……いつか必ず、還させて頂きます。》
『いいえ、御礼を云われる程の事では無いよ。 只単に、当たり前の事をしただけの事。
だから……御礼等、不要だよ。』(苦笑)
《其れでも……貴女方に逢えたからこそ、心穏やかに
『そう……なら、良かった。』
《はい……。 特に、金髪の子には多大な迷惑を掛けてしまった……本当に済まない。》(ペコリ)
霊から突然謝られた善逸だったが、視上げたままの顔を緩く左右に振りながら、霊に言葉を掛けた。そして、炭治郎も……。
「ううん、最初に視た時は凄く驚いちゃったけど……今は怖いとも思って無いし、迷惑を掛けられたとも思って無いよ。 」
「俺も、善逸と同じです。 貴方の事が、怖いだなんて思わ無いです。 むしろ、優しい霊だって事が……善逸に掛けた言葉からも良く判ります。」
《……ッ!! そうか……本当に、有り難う……。》(ニコリ)
スゥ――。
そんな言葉を最期に、光に導かれる様に天へと昇って逝ったのだった。
漸く、善逸に取り憑いて居た霊の内一体を浄霊し終え、天へ昇って逝くのを見届けた雪菜達。 しかし、残る最大の問題が有った……。
『さてと……取り憑いて居た霊の内一体は此れで無事、浄霊出来た訳だが……。』
「「だが……?」」
『やはりというか……残りの一体の方だな、問題なのは……。』
口ではそう云いつつも、天邪鬼の周囲に張った結界を維持した状態のままで、天邪鬼の様子を「チラリ」と善逸の背中越しに伺う雪菜。
「其れって、やっぱり〝天邪鬼〟の事……ですよね?」
「ひぃぃぃいっ! はっ、早く、除霊を始めてよぉ、水蓮姉さんっ!!」(半べそ)
俺に、取り憑いて居た二体の内、一体の浄霊は問題無く無事、終える事は出来たんだ。
でも……霊や妖怪の浄霊・除霊に於いて、問題大有りだったのが〝天邪鬼„だった……。
『さて、天邪鬼。 今度は貴殿の番だが……大人しく封印されてくれない?』
《ふんっ! 先程も云ったが、貴様の云う事等誰が聞くかっ! 俺様は、俺様のやりたい様にやるっ!》
『へぇ、そう? なら、封印よりも調伏の方が良い……とでも?』
《っ!? チィッ! だが、俺様に脅しが通用すると、そう思っているのか?》
「「(えっ?! 割りと(脅しが)通じるのかと思ってた!!)」」
天邪鬼に脅しが通用するかどうかって、通じる云々よりも……割りとそう信じてた節が有った見たいで、炭治郎と一緒に驚きながら心の中で突っ込んじゃったよ。 タハハ……。(苦笑)
そんな中。水蓮姉さんは……。
『フッ、貴殿に脅し? いいや? 貴殿に云い放った言葉は、脅しでは無いぞ?……貴殿への〝神〟(として)の勅命だ、 天邪鬼っ!!』
天邪鬼に対して「〝神〟の勅命だっ!」って、云ったんだ。 水蓮姉さん自身が陰陽師って云う特殊な存在だからか、神様の〝声〟が本当に聴こえてるのかもね? 話の続きを話すね。
そんな緊迫した空気の中で、水蓮姉さんと天邪鬼との睨み合いの最中、水蓮姉さんがふと俺等の方を「チラリ」と、見下ろした気がしたんだ。でも直ぐに、視線は天邪鬼に戻ってたけど……。
そしたらさ……。
『炭治郎君、善逸君。 其のままで良いから、此れから話す事に耳を傾けて欲しい。 今から、天邪鬼に対抗する為の〝
……って云いながら、狩衣の懐から水蓮姉さんが取り出したのは、掌に収まる大きさの小瓶だったんだ。小瓶の正面には「⛩」のマークが書かれた紙が貼られて有った。
『「コレ」に天邪鬼を封印するから、善逸君……両方の手でしっかりと握ってて。炭治郎君も善逸君をしっかり支えて欲しい。其れと……二人共、身体の向きを変えれるかな? あ、顔は伏せたままで大丈夫。でも、善逸君が持つ小瓶を奴の方へ向けて置かないと封印するのに少々、厳しいんだよ。』(小声)
「わっ、判りました……。」(小声)
「善逸、ゆっくり動けば良いぞ! 俺も一緒に身体を向けるから!」(小声)
「有り難うねぇ、炭治郎ぉ。」(小声)
クルリ。
身体の向きを変える……其れはつまり、天邪鬼と向き合うって事。
そんなの、本当は嫌だったんだ。此のままの姿勢で居たかったのが、俺の本音だったよ。でも、炭治郎も一緒に居てくれたし、水蓮姉さんたっての御願いだったから、渋々身体の向きを変えたんだ。
『有り難う、善逸君。 さてと、肝心の呪だけど……〝邪 邪 眠れ〟と、唱えて。良い?』(小声)
「「〝邪 邪 眠れ〟で良いん(です/だ)ね?」」(小声)
『そう。 其の呪を何度も繰り返しながら、小瓶の口を奴に向けて封印。最後の一押しは、私が担うからもう少しだけ、耐えて。』(小声)
「「(コクリ)」」
『よし、其れじゃあ……封印を始めるから小瓶を構えて。』(小声)
スッ……。
水蓮姉さんの其の言葉を切っ掛けに、俺と炭治郎は教えて貰ったばかりの呪を唱えつつ、小瓶を天邪鬼に向けて構えたんだ。
「「〝邪 邪 眠れ〟〝邪 邪 眠れ〟〝邪 邪 眠れ〟〝邪 邪 眠れ〟……」」
《うっ……がぁぁぁあっ!!》
ドンッ…! ドガッ…!
天邪鬼に対して「邪 邪 眠れ」と、炭治郎と一緒に唱え始めてから数分後……天邪鬼自身から凄い音と声が聞こえて来たんだ。
其の聞こえて来た音や声は、天邪鬼が結界の中で暴れまわる音だったんだよ!?
もう怖くて、必死に小瓶を握り締めてたよ……。呪を炭治郎と繰り返し唱えて居たら、後ろから水蓮姉さんが……。
『天邪鬼っ! “我が神名に於いて、汝を此処に封印せん”っ!』
《ぐっ……ぎゃあぁぁぁあー!!》
ピカッ! ズッ……ズズズッ……。
──って、云ってたんだ。
そしたら、握り締めてた小瓶に貼られて有った「⛩」マークの紙がね? 突然、光を放ち始めたんだ。其れも眩しい位の眩い光だった。其の光に導かれたかの様に、天邪鬼の身体が小瓶へと吸い寄せられてたんだよ!? びっくりしてる間に、どんどん天邪鬼が迫って来てて……俺、内心びっくりすると同時に焦ったよぉ。
其れに、天邪鬼の叫びも同様に聞こえたから、びびり捲ってた!
「もう早く、終わってくれっ!」って。何分だったか……何時間過ぎたのかさえ、判らない位に時間の経過が遅く感じてた頃──、神社の中が静まり返ったんだ。
そしたら……。
『ふぅ……此れで漸く、天邪鬼の封印を無事に終えれたよ。』(苦笑)
……って、水蓮姉さんが、そう云ってくれたんだけどね? 俺自身、俄には信じれなくてさ……。
「本当に……? 本当に、封印出来たの……?」
「善逸、大丈夫か?」
「う、うん……。炭治郎……俺は大丈夫だけど、封印ってどう成ったのかな?」
「うーん、俺も善逸の横で目を瞑ってたから……良く判らないんだ。」
「そっかぁ……」
本当に封印が出来たのか、炭治郎に確認したら……自分も「目を瞑ってたから、判らない」ってさ。そうだよなぁ……目を瞑ってたのなら、判らなくて当然だよな。何となく、勝手に期待して勝手に落胆した気分だった。其処へ──。
『善逸君。』
「水蓮姉さん?」
『天邪鬼の封印は、きちんと出来たから大丈夫。其れに、善逸君に持って居て貰った小瓶を見てみて? 封印出来てる筈だから。』(ニコッ)
「小瓶……? あっ……!!」
「善逸っ!! 良かったな!!」
「うんっ、うんっ……!!」
水蓮姉さんに声掛けされて、云われた通り握り締めてた小瓶を見たら……。
貼って有った紙が、小瓶の口を塞ぐ役割をしてて、小瓶を横から見れば封印された天邪鬼が居たんだ。
其れを見たら、込み上げて来るモノが有って……炭治郎や水蓮姉さんの助力も有るけど「やっと、封印出来たんだ」って云う実感が沸いて来て、泣きながら頷いてたよ。(苦笑)
〜回想・終〜
そう云う訳で、俺の背中に取り憑いて居た、霊と天邪鬼を無事に封印出来たんだ!
どう? 話しを聞いて見て。聞き損には、成らなかったでしょ? こう云う話しを聞くのも、良い経験に成ると思うよ?
「善逸ーっ! 先程、鎹鴉から任務の司令が、伝えられたから行くぞっ!!」
「あっ、直ぐ行くっ! 炭治郎が呼んでるから、もう行くね? じゃあね!!
炭治郎〜、待ってくれよぉ〜!」
ダッ……!
* * * *
此れにて、妖怪見聞録は以上です。
今回の話し……皆さんは、如何でしたか?
妖怪の存在や視えざるモノについて、どう思いましたか? どう感じましたか?
皆さんが、何かを感じ取って頂ければ……幸いです。m(_ _)m