〈序章 壱〉プロローグ~平安~
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皆様、こんにちは。
私の名は、安倍 雪菜 と申しますので……以後、お見知り置きを。
早速ですが、この場に於いて少しだけ……私の事や此れ迄の経緯を御説明させて頂きたく、御時間を御取り頂きますが……宜しいでしょうか……?
宜しければ、御説明致しますね?
先ずは、この私……安倍雪菜の事です。
一言で言いますと、神様です。
えぇ、御想像の通りの神様ですよ。
其れも……太陽神で有り、この日本と云う国の帝……基、天皇の祖先神たる天照大御神様の義娘なのです。
驚きでしょう?
更に、驚く事に……何と!
私は、安倍晴明殿の義娘でも有るんです。
あの安倍晴明………ですよ?
母は狐だとか、人では無いとか、様々な噂の有る御方ですが……私にとっては、大切な方です。 家族も居ます。(晴明殿の御家族と安倍の一族の方々ですが……)
父とは呼びませんが……其れでも、親が神様で有り、人間界に住む人々の営み(所謂、生活の事です)と云う物を全く知らなかった私には……大事で大切な宝物の様な家族達なのです。
まぁ……辛気臭い話は、此処迄にしときまして……。
本題に移りましょうか……。
あれは、とある日の事です──。
その日の夜に、自分の部屋で私は「六壬占盤」と言う占いを行う為の道具で式占……所謂、占いです。
其れを行なって居た際、“ある予兆”を占盤の結果に視たのです。
結果については……話の中で。
その結果を視て、晴明殿と相談の上……帝への奏上と相成りました。
奏上の結果、とある一族との繋ぎや今後の事についてを色々と話し合い、この件についての一任をして頂いた次第です。
以上が、今回の経緯です。
今後、展開がどうなって行くのか……私にも分かりません。
神と言えど……判らぬ事の方が多いのですよ?
判る事と言えば、今この時々とほんの少しの……未来のみしか判りません。
神社や仏閣にて、私達……神様や御釈迦様に御自身の強い〝願望〟や〝欲望〟(~にしたい、~が欲しい、~して欲しい等)に関わる“願い”は、聞き届ける事は出来ません。 不可能なのです。
神様も万能では無いのです。
本来、神社や仏閣での参拝は神様や御釈迦様への“感謝”をする為の物です。
平和に暮らせる事への“感謝”、日常と言う日々への祈りを込めた“感謝”を現す為に、参拝するのです。
そして、参拝に於いて……“願い”として聞き届ける事が出来るのは、御自身の〝目標〟に関わる事だけです。
例「自分は、~を頑張るので成功出来る様、〈応援または、祈る〉事をお願いします。」←この様な感じですね。
その他に……、
例「今日も一日平和に過ごせました、有り難う御座いました。 明日も平和に暮らせます様、お願い申します。」と言う風に……です。
その事を呉々も、お忘れ無き様……お願い申し上げます。
* * * *
「……~様? 雪菜様? 何処に居られますかな?」
『! あ、晴明殿が呼んでますので、此れにて失礼致しますね? 其れでは!』
ペコッ、タタッ……!
「あぁ、雪菜様! 今迄、何処に居られたのですか?」
『いいえ? 何処にも行っては居ませんでしたよ?』
「そうですか?」
『えぇ。』
「?」
『フフッ……。』
* * * *
帝との謁見後──。
帝との話し合いは、思った以上の収穫で……奏上の折に話に出た、信用の置ける一族──産屋敷一族と数日後に、相見える運びとなった。
産屋敷家と言うのは……安倍の一族とは違い、平安の世となって以降……中期頃の成り立ちを持つ一族の様だった。
安倍の一族は、階級は中流ながらも……一族の成り立ちを鑑みるに、平安の世の初期頃の中程には貴族の仲間入りをして居る。
その為、階級に差が有るとは言え……成り立ちで言えば、安倍の一族の方が古い家柄となるのである。
ー約束の日、当日ー
さて、そんな産屋敷家との初顔合わせ。
安倍邸では──?
『晴明殿。 産屋敷家へは、私の方で先触れを出して置きましたが……そろそろ向かいませんか?』
「そうですな。 時間に間に合わぬ事は、其れだけで先鋒の方に失礼に当たりますからな。」
『えぇ、 では早急に……彼方(産屋敷家)へ向かいましょうか、晴明殿?』
「えぇ、そうですな。」
そんな会話をした後、雪菜と晴明は二人連れ立って産屋敷家へと……徒歩にて、向かうのだった。
* * * *
一方、産屋敷家でも──?
「すいません、~様。 先程、本日来客の方より先触れが来まして……。」
「分かった。 では、先にその先触れを貰えるかい?」
「承知致しました、どうぞ。」
カサリ……。
「有り難う。」
「いえ……。」
「下がって良いよ。」
「失礼致します。」
ペコッ、スッ……。
「フフッ……。 今日会う方々は、どの様な方々かな? 楽しみだよ。
さて、先触れには何て書いて有るのかな?」
こんな会話が、されて居た。
* * * *
そして───、
漸く、産屋敷・安倍の両者の邂逅となった。
『初めまして、安倍雪菜と申します。 以後、お見知り置きを。
此方に居ります……安倍晴明の右腕で有り、陰陽寮にて陰陽頭の補佐をして居ります。』
「そして、私は安倍晴明と申します。
この雪菜様と共に、宮廷陰陽師をして居りまして、陰陽寮では〝蔵人所陰陽師〟と、呼ばれて居りますので、良しなにお願い致します。」
「此れは、御丁寧に痛み入ります。
私は、産屋敷家第4代目当主の産屋敷耀李 と申します。 宜しくお願い致します。」
『「此方こそ、宜しくお願い致します。」』
お互いの自己紹介が済み……話は、本題へ。
『………?(ん? 何だろ……? 一瞬だけど、屋敷の内部の空気が……淀んだ?様な……感覚になる。
此れは、残滓……? でも……何故、屋敷の内部で感じるの……?)』
「早速ですが、産屋敷様。
私達が、此方に伺った経緯ですが……。」
「はい、主上より話は伺って居ります。
何でも、其方の雪菜殿の占いにて……“良くない結果が出た為……我等、産屋敷家にも助力をして頂けぬか”……と。」
ズズッ……。
『………………………っ!!』
「えぇ、概ねはそうですな。」
「……と、言いますと?」
産屋敷家当主の言葉に……晴明は隣に座し、自己紹介以後……言葉を発して居ない雪菜へと目線を向け、声を掛けつつ……様子を伺った。
チラッ……。
「雪菜様? どうかしたのですか?」
『……っ! すみません、晴明殿。』
ペコッ……。
『産屋敷様も失礼致しました……。』
「いえ。お気に為さらず共、良いのですよ。」
「雪菜様、何か視えたのですか?」
『………はい。一瞬のみですが、視えた物を考慮して居りました。』
「その……視えた物とは、何が……ですか?」
『…………』
「雪菜殿……?」
『産屋敷様、先程視えた物について……少し、御話をさせて頂けますでしょうか?』
「えぇ、構いませんが……。
どうかしたのですか?」
『………私が、先程視えた物は……この産屋敷家を覆う様に、蠢く残滓……の様な物です。
屋敷の外からでは、気配が極々稀薄な為……解り難かったのですが、屋敷の内部……其れも一瞬で有った為、話すに話せ無かったのです。』
「成る程、そうでしたか。」
『帝より伺って居りますが、産屋敷様方一族には……何か不思議な力が有るとか……。』
「えぇ、我等産屋敷家の者には……或る力が宿って居る様なのです。」
『その……或る力とは?』
「はい、〝先見の明〟と呼ばれる予知能力と〝癒しの声〟と呼ばれる声に関する能力です。
只今のこの時間に於いては、必要無いかと思い……声についての力は、使用しては居りません。」
『成る程。声については、御自身で制御可能なのですか?』
「はい。 一応、制御は可能ですよ?
但し、自分自身の身体をある程度鍛えますが……主には、制御する訓練を幼少の頃より行なう必要が有りますが。」
『身体を鍛える程度は?』
「体力が付き、走っても息切れを起こさぬ程度には……鍛えます。」
『成る程、了解致しました。』
「産屋敷家について、徐々に詳しい事が分かって参りましたな? 雪菜様。」
『えぇ。 此れも産屋敷様のお陰……かと、思います。』
「いえ。本来此方は、其方への助力だけの予定でしたが……先程の雪菜殿の話を聞き、考えを改めました。
我等……産屋敷家は此れより、貴殿方にお願いを申し上げます。
我等一族に貴殿方の力を御貸し頂けぬでしょうか!!」
『「ゑっ?!」』
バッ………!
そう言い放ち、頭を下げた産屋敷家当主。
その彼に対し……雪菜と晴明は驚き、困惑するのだった──。
* * * *
『あっ、頭を御上げ下さい、産屋敷様!!』
「そっ、そうですよ! 我々は、助力云々よりもお互いが絆を深め、双方が助け合う関係を望んでの事。
ですので、産屋敷様が頭を下げる必要は無いのです!」
「………本当に、我等産屋敷家との関係を望んでの事……ですか?」
コクッ……。
『「勿論。 そう願って……今回の繋ぎを切っ掛けに、お互いの関係を……貴殿方と結ぶ心積りです。」』
「あ、有り難う御座いますっ……!!」
『フフッ……。』
「さて、お互いに和んだ所で……ですが。」
『えぇ、この先訪れるであろう〝脅威〟をどう対処するか……ですね。』
「我等、産屋敷一族も微力ながら……尽力させて頂きます。」
『此方こそ、お願い申し上げます。』
「承知致しました。」
「では、今の段階で判って居る範囲の事をお伝えしましょうか。」
「判明している事や細かい事を重点的にお願いします。」
「分かりました。 では、──。」
その後も色々な意見や話がされ、後の恐ろしい〝脅威〟に対抗すべく、産屋敷家での時間は過ぎて行った──。
雪菜は、知る良しも無かった……。
産屋敷家で感じた、残滓の正体と産屋敷家に降り掛かる悲劇を──。
この時の雪菜も晴明もそして、産屋敷家当主も……知る者は誰も居ないのだった──。
* * * *
???「何故だ……? 私は、完璧な人間に成れたのでは無いのか?
馬鹿なっ……! 太陽の光を浴びる事の出来ぬ身体等……。 忌々しい……っ!!」
とある貴族の邸で、男が一人……。
そう、呟いて居た──。
私の名は、
早速ですが、この場に於いて少しだけ……私の事や此れ迄の経緯を御説明させて頂きたく、御時間を御取り頂きますが……宜しいでしょうか……?
宜しければ、御説明致しますね?
先ずは、この私……安倍雪菜の事です。
一言で言いますと、神様です。
えぇ、御想像の通りの神様ですよ。
其れも……太陽神で有り、この日本と云う国の帝……基、天皇の祖先神たる天照大御神様の義娘なのです。
驚きでしょう?
更に、驚く事に……何と!
私は、安倍晴明殿の義娘でも有るんです。
あの安倍晴明………ですよ?
母は狐だとか、人では無いとか、様々な噂の有る御方ですが……私にとっては、大切な方です。 家族も居ます。(晴明殿の御家族と安倍の一族の方々ですが……)
父とは呼びませんが……其れでも、親が神様で有り、人間界に住む人々の営み(所謂、生活の事です)と云う物を全く知らなかった私には……大事で大切な宝物の様な家族達なのです。
まぁ……辛気臭い話は、此処迄にしときまして……。
本題に移りましょうか……。
あれは、とある日の事です──。
その日の夜に、自分の部屋で私は「六壬占盤」と言う占いを行う為の道具で式占……所謂、占いです。
其れを行なって居た際、“ある予兆”を占盤の結果に視たのです。
結果については……話の中で。
その結果を視て、晴明殿と相談の上……帝への奏上と相成りました。
奏上の結果、とある一族との繋ぎや今後の事についてを色々と話し合い、この件についての一任をして頂いた次第です。
以上が、今回の経緯です。
今後、展開がどうなって行くのか……私にも分かりません。
神と言えど……判らぬ事の方が多いのですよ?
判る事と言えば、今この時々とほんの少しの……未来のみしか判りません。
神社や仏閣にて、私達……神様や御釈迦様に御自身の強い〝願望〟や〝欲望〟(~にしたい、~が欲しい、~して欲しい等)に関わる“願い”は、聞き届ける事は出来ません。 不可能なのです。
神様も万能では無いのです。
本来、神社や仏閣での参拝は神様や御釈迦様への“感謝”をする為の物です。
平和に暮らせる事への“感謝”、日常と言う日々への祈りを込めた“感謝”を現す為に、参拝するのです。
そして、参拝に於いて……“願い”として聞き届ける事が出来るのは、御自身の〝目標〟に関わる事だけです。
例「自分は、~を頑張るので成功出来る様、〈応援または、祈る〉事をお願いします。」←この様な感じですね。
その他に……、
例「今日も一日平和に過ごせました、有り難う御座いました。 明日も平和に暮らせます様、お願い申します。」と言う風に……です。
その事を呉々も、お忘れ無き様……お願い申し上げます。
* * * *
「……~様? 雪菜様? 何処に居られますかな?」
『! あ、晴明殿が呼んでますので、此れにて失礼致しますね? 其れでは!』
ペコッ、タタッ……!
「あぁ、雪菜様! 今迄、何処に居られたのですか?」
『いいえ? 何処にも行っては居ませんでしたよ?』
「そうですか?」
『えぇ。』
「?」
『フフッ……。』
* * * *
帝との謁見後──。
帝との話し合いは、思った以上の収穫で……奏上の折に話に出た、信用の置ける一族──産屋敷一族と数日後に、相見える運びとなった。
産屋敷家と言うのは……安倍の一族とは違い、平安の世となって以降……中期頃の成り立ちを持つ一族の様だった。
安倍の一族は、階級は中流ながらも……一族の成り立ちを鑑みるに、平安の世の初期頃の中程には貴族の仲間入りをして居る。
その為、階級に差が有るとは言え……成り立ちで言えば、安倍の一族の方が古い家柄となるのである。
ー約束の日、当日ー
さて、そんな産屋敷家との初顔合わせ。
安倍邸では──?
『晴明殿。 産屋敷家へは、私の方で先触れを出して置きましたが……そろそろ向かいませんか?』
「そうですな。 時間に間に合わぬ事は、其れだけで先鋒の方に失礼に当たりますからな。」
『えぇ、 では早急に……彼方(産屋敷家)へ向かいましょうか、晴明殿?』
「えぇ、そうですな。」
そんな会話をした後、雪菜と晴明は二人連れ立って産屋敷家へと……徒歩にて、向かうのだった。
* * * *
一方、産屋敷家でも──?
「すいません、~様。 先程、本日来客の方より先触れが来まして……。」
「分かった。 では、先にその先触れを貰えるかい?」
「承知致しました、どうぞ。」
カサリ……。
「有り難う。」
「いえ……。」
「下がって良いよ。」
「失礼致します。」
ペコッ、スッ……。
「フフッ……。 今日会う方々は、どの様な方々かな? 楽しみだよ。
さて、先触れには何て書いて有るのかな?」
こんな会話が、されて居た。
* * * *
そして───、
漸く、産屋敷・安倍の両者の邂逅となった。
『初めまして、安倍雪菜と申します。 以後、お見知り置きを。
此方に居ります……安倍晴明の右腕で有り、陰陽寮にて陰陽頭の補佐をして居ります。』
「そして、私は安倍晴明と申します。
この雪菜様と共に、宮廷陰陽師をして居りまして、陰陽寮では〝蔵人所陰陽師〟と、呼ばれて居りますので、良しなにお願い致します。」
「此れは、御丁寧に痛み入ります。
私は、産屋敷家第4代目当主の産屋敷
『「此方こそ、宜しくお願い致します。」』
お互いの自己紹介が済み……話は、本題へ。
『………?(ん? 何だろ……? 一瞬だけど、屋敷の内部の空気が……淀んだ?様な……感覚になる。
此れは、残滓……? でも……何故、屋敷の内部で感じるの……?)』
「早速ですが、産屋敷様。
私達が、此方に伺った経緯ですが……。」
「はい、主上より話は伺って居ります。
何でも、其方の雪菜殿の占いにて……“良くない結果が出た為……我等、産屋敷家にも助力をして頂けぬか”……と。」
ズズッ……。
『………………………っ!!』
「えぇ、概ねはそうですな。」
「……と、言いますと?」
産屋敷家当主の言葉に……晴明は隣に座し、自己紹介以後……言葉を発して居ない雪菜へと目線を向け、声を掛けつつ……様子を伺った。
チラッ……。
「雪菜様? どうかしたのですか?」
『……っ! すみません、晴明殿。』
ペコッ……。
『産屋敷様も失礼致しました……。』
「いえ。お気に為さらず共、良いのですよ。」
「雪菜様、何か視えたのですか?」
『………はい。一瞬のみですが、視えた物を考慮して居りました。』
「その……視えた物とは、何が……ですか?」
『…………』
「雪菜殿……?」
『産屋敷様、先程視えた物について……少し、御話をさせて頂けますでしょうか?』
「えぇ、構いませんが……。
どうかしたのですか?」
『………私が、先程視えた物は……この産屋敷家を覆う様に、蠢く残滓……の様な物です。
屋敷の外からでは、気配が極々稀薄な為……解り難かったのですが、屋敷の内部……其れも一瞬で有った為、話すに話せ無かったのです。』
「成る程、そうでしたか。」
『帝より伺って居りますが、産屋敷様方一族には……何か不思議な力が有るとか……。』
「えぇ、我等産屋敷家の者には……或る力が宿って居る様なのです。」
『その……或る力とは?』
「はい、〝先見の明〟と呼ばれる予知能力と〝癒しの声〟と呼ばれる声に関する能力です。
只今のこの時間に於いては、必要無いかと思い……声についての力は、使用しては居りません。」
『成る程。声については、御自身で制御可能なのですか?』
「はい。 一応、制御は可能ですよ?
但し、自分自身の身体をある程度鍛えますが……主には、制御する訓練を幼少の頃より行なう必要が有りますが。」
『身体を鍛える程度は?』
「体力が付き、走っても息切れを起こさぬ程度には……鍛えます。」
『成る程、了解致しました。』
「産屋敷家について、徐々に詳しい事が分かって参りましたな? 雪菜様。」
『えぇ。 此れも産屋敷様のお陰……かと、思います。』
「いえ。本来此方は、其方への助力だけの予定でしたが……先程の雪菜殿の話を聞き、考えを改めました。
我等……産屋敷家は此れより、貴殿方にお願いを申し上げます。
我等一族に貴殿方の力を御貸し頂けぬでしょうか!!」
『「ゑっ?!」』
バッ………!
そう言い放ち、頭を下げた産屋敷家当主。
その彼に対し……雪菜と晴明は驚き、困惑するのだった──。
* * * *
『あっ、頭を御上げ下さい、産屋敷様!!』
「そっ、そうですよ! 我々は、助力云々よりもお互いが絆を深め、双方が助け合う関係を望んでの事。
ですので、産屋敷様が頭を下げる必要は無いのです!」
「………本当に、我等産屋敷家との関係を望んでの事……ですか?」
コクッ……。
『「勿論。 そう願って……今回の繋ぎを切っ掛けに、お互いの関係を……貴殿方と結ぶ心積りです。」』
「あ、有り難う御座いますっ……!!」
『フフッ……。』
「さて、お互いに和んだ所で……ですが。」
『えぇ、この先訪れるであろう〝脅威〟をどう対処するか……ですね。』
「我等、産屋敷一族も微力ながら……尽力させて頂きます。」
『此方こそ、お願い申し上げます。』
「承知致しました。」
「では、今の段階で判って居る範囲の事をお伝えしましょうか。」
「判明している事や細かい事を重点的にお願いします。」
「分かりました。 では、──。」
その後も色々な意見や話がされ、後の恐ろしい〝脅威〟に対抗すべく、産屋敷家での時間は過ぎて行った──。
雪菜は、知る良しも無かった……。
産屋敷家で感じた、残滓の正体と産屋敷家に降り掛かる悲劇を──。
この時の雪菜も晴明もそして、産屋敷家当主も……知る者は誰も居ないのだった──。
* * * *
???「何故だ……? 私は、完璧な人間に成れたのでは無いのか?
馬鹿なっ……! 太陽の光を浴びる事の出来ぬ身体等……。 忌々しい……っ!!」
とある貴族の邸で、男が一人……。
そう、呟いて居た──。