〈序章 壱〉プロローグ~平安~
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晴明との話し合いから数日後、雪菜の姿は産屋敷家に在った。
ー産屋敷邱・大広間にてー
「皆、日頃の任務に警邏にと忙しい中、急な呼び出しですまない。 良く集まってくれたね。」
「いえ、御館様。 此処に居る我等全員、御館様の御呼び出しと有らば、馳せ参じるのは当然の事。 故に、謝り下さらぬ様御願い申します。」
「そうです! 我等は、御館様足る貴方様に付き従う事を決意し、産屋敷家に忠誠を誓った者達ばかりです!」
「皆、有り難う。」
産屋敷家の大広間に集まった鬼狩りの者達。 彼等への産屋敷家・現当主の耀李からの第一声。 其れに対する皆の反応は様々だった。
「して、御館様。 我等を集めた訳とは、如何なる御用件でしょうか?」
「うん。今回、皆を招集したのはとある理由が有っての事なんだ。」
「とある理由……ですか?」
「そうだよ、〝或る方〟を皆に紹介して置きたくてね。」
「御館様っ! その〝或る方〟とは、一体誰なのでしょうかっ?!」
「うん。皆も気になって居るだろうから、その方に関するある程度の情報をこの場で伝えるので、聞き逃さない様にね?」
聞き逃しは、有ってはなら無いと云う事で……皆、直ぐに了承の意を伝えるのだった。
「ハッ! 承知致しました。」(×9)
集まった者達の了承の意を聞き、話を続ける耀李だった。
「有り難う。早速、その方についての情報だけど……その〝或る方〟は、大内裏の中務省内・陰陽寮に所属する陰陽師の方でね? 帝より、賜って居る官位の位も陰陽寮の中でも上の位だそうで、御多忙な方なんだ。何と云っても、我が鬼狩りの組織にも御助力下さってくれて居る方なんだよ。」
「……其れ程に、我々に力を御貸し下さって居る方なのですか?」
「うん。御助力以外にも、助言等を行なう相談役にも就いて下さって居るんだ。」
「成る程! では、我々にとっても“掛け替えの無い方”と、云う認識で宜しいのでしょうかっ!?」
「うん、鬼狩りの組織内でも此れから先……とても大切な方になって行くと思う。此れ以後、皆にもその方の意見も尊重する様に配慮して欲しいんだ。」
「御意」(×9)
「あぁ、其れとね? その〝或る方〟は、此の鬼狩りの組織を創設する切っ掛けを下さった方でも有るんだ。組織の創設に関する事柄で云うならば、組織全体での事柄については、神主の方からの助言を受けてだけど……細々とした事柄についてはほぼ、その〝或る方〟の助言に寄る物なんだ。」
「成る程……。故に先程、御館様が仰った、“とても大切な方”に繋がると、云う事ですね?」
「うん、その通りだよ。 でも、其れだけでは無い事も又、事実だよ。」
「………? “其れだけでは無い”とは一体、どう云う事でしょうか?」
「そのままの意味だよ。その〝或る方〟は、此の鬼狩りの組織が創設される前に一度……我々の宿敵足る〝鬼の始祖・鬼舞辻無惨〟と直接、闘っても居られる。」
その際に、耀李から発せられた言葉は、皆が皆……言葉を失くすには十分だった。
「っ!!?」(×9)
「更には、闘って生き延びて居られる上に、奴の〝鬼舞辻無惨〟と云う名の判明以外にも、鬼舞辻に関するある程度の情報や奴の強さがどの程度なのか……滅殺する迄には至らず共、奴が這々の体で逃亡する程の深手を奴に与えて居るんだよ。」
「そっ、其れ程迄にですかっ!?」
「う、うん……其れ程に驚く事かどうかは、私には判断が付き兼ねる所だけど……。」(苦笑)
「驚いて居るのも、確かですが……其れ所では有りませんっ! 〝鬼〟に対する有効的な手段が中々見付からぬ上、手探り状態での戦闘を余儀無くして居る今の現状では、先程の話は ”鬼„に対抗する為の明らかな前進ですよっ?!」
「で、或るならば……その方に師事して頂く方が、我々にとっても価値が多きいかと……。」
「此れで、我等も化け物並みの強さを有するあの〝鬼〟共と対等に近い戦闘が叶うやも知れませぬぞ?! 奴等に此れ以上殺られでもすれば、鬼狩りとしての名が廃て仕舞い兼ねませぬ!」
「確かに我等全員、殆どその方の〝名前〟しか伺って居ませんでしたので、先程の話しに驚くのは無理無いかと……。」
「(゜-゜)(。_。)(うんうん)」(コクコク)
そんな彼等の反応を見て、驚く耀李の返答に彼等の反応はまちまちで、素直に驚いた事を云う者、驚くのは当然と諭す者、意見を述べる者達に賛同して頷く者等々……様々だった。
* * * *
ー暫くして……皆が、落ち着きを取り戻した頃……ー
「皆、落ち着いたかい?」
「え、えぇ……。」
「やはり、御館様が仰っられるその方は、途轍もない力を御持ちの様ですが……?」
「御館様、先刻より仰っられて居るその方を、我等にも早く紹介して下さい!」
「うん、そうだったね。その為に此の場を設けたのに、紹介をしないのは失礼に中たるしね。 では、そろそろ入って来て下さいますか? 水蓮様。」
スッ……。
耀李からのその声掛けに反応してか……隣の座敷に繋がる襖が静かに開き、入って来た人物が居た。
銀色の髪は背中の中程迄の長さで、更に首の後ろ辺りで一括りに纏めて居り、瞳は蒼く澄んだ色をして居る人物だった。
その人物こそ──、「安倍 雪菜」その人だった。
「………。(こっ、此の方が……!?)(鬼の始祖足る〝鬼舞辻無惨〟に深手を負わせ、尚且つ逃亡する程に追い詰めたとはっ……!!)(きっ、綺麗な方だが……其れ程迄の御力を秘められて居られるのか……。)」(×9)
……等と、云う上記の感想を雪菜の姿を眼にした鬼狩りの面々が皆、驚愕と共に心の中で叫んで居たのだった。
『其れより、産屋敷殿……。』
「何でしょうか?」
『少々、前置きが長かったのでは無いですか? 何時、皆に御紹介して頂けるのかと……少しばかり焦りましたよ、産屋敷殿?』(苦笑)
「其れは……御待たせして、済みませぬ。」
『いえ。責めて居る訳では有りませんので、御気に為さらずとも結構です。』
「そうですか? 承知致しました。 では……。」
「(ハッ……!)!!!」(×9)
雪菜と御館様との遣り取りを呆けたかの様に、眺めて居た鬼狩りの面々は御館様の「では……」の一言にビクッと、反応したのだった。
「では、改めて皆に紹介するよ。此方に居られる方が……〝安倍 水蓮〟様だよ。
水蓮様、此処に集結して居る彼等が鬼舞辻無惨打倒の為に、集った鬼狩り達の代表的な立ち位置に居る面々です。」
片手を其々へと向けながら、双方を紹介する産屋敷家現当主足る耀李。
『皆さん、御初に御目に掛かります。産屋敷殿より、御紹介に預かりました……安倍 水蓮と申します。此れから先、良しなに宜しくお願い致します。』(m(_ _)mペコリ)
そして、雪菜自身は耀李からの紹介を受け、目の前に座する鬼狩りの面々へと御辞儀をしつつ、自己紹介をするのだった。
「此方こそ、我等鬼狩りの組織に助力の他、助言をして頂き誠に、有り難う御座います!」(バッ!)
「有り難う御座います!!」(×8)(バッ!)
鬼狩りの面々から一斉に御礼を云われ、困惑したのは雪菜だった。
『えっ!? い、いえっ!
私の方こそ、陰陽師と云う立場で在りながら、鬼狩りとして日々活動する皆さんへ御大層な助言等したつもりは一切、御座いません。況してや、私の助言等ただの
「水蓮様……。」
雪菜から発せられた其の言葉に、耀李は雪菜の名を呼び掛けるも……どの様な言葉を掛けるべきか悩み、続ける言葉を失くすのだった。
そんな空気が大広間内を漂う中──、
「いいえっ! 決して、貴女様が御自身を卑下する必要等有りませんっ!」
「そうですっ! 水蓮様が居られたからこそ、鬼に対抗する為に鬼狩りの組織をこうして、起ち上げる事が出来たのですっ! 更には、貴重な鬼舞辻の情報も水蓮様の御尽力により、得られる事が叶いましたっ! ですから……貴女様が己自身を御否定為さっては、元も子も有りませぬっ!」
「我等だけでは、不甲斐無いですが……普通の一般的な鬼の討伐任務ですら、満足に果たす事が儘なら無いのが現状です。唯の鬼にさえ……対抗出来ぬまま、死に逝く者が生き延びる者よりも多い状態なのです。此れでは……今現在の状態が長続きした場合、果たすべき〝鬼舞辻無惨の討伐〟と、云う果て無き目標が……到底叶わぬ夢と成り果てて仕舞う可能性が、大いに有り得るでしょう……。 是非、貴女様に……水蓮様に我等と共に鬼の……〝鬼舞辻無惨の討伐〟に尽力して頂けませんでしょうかっ!!」
(バッ!)←ザ・土下座☆
「我等からもお願い致しますっ!! どうか……我等に力を御貸し下さいっ!」(バッ!)←同様☆(×8)
彼等の悲痛な叫び……胸の内を聞いた耀李と雪菜は言葉を失くし、顔を見合わせるも双方共、鬼狩りの面々に掛ける言葉を見付けられずに居たのだった……。
『「皆(さん)……。」』
そして、雪菜は〝何か〟の思案をする為なのか、静かに目を瞑るのだった。
* * * *
其れから、四半刻程過ぎた頃──。
『判りました、皆さんの御気持ち……十分に伝わりました。』
目を瞑って居た雪菜が、徐ろにスッと目を開き、思案して居た〝何か〟を意を決した表情で、目の前に座する鬼狩りの面々を見据えながら、そう言葉を発した。
其の表情を見た、鬼狩りの面々も息を飲む程に緊張が奔るのだった。
「で、ではっ……!!」
『(コクリ)はい、微力ながら私も尽力させて頂きます。其れに……』
「其れに? 何でしょうか?」
頷きを返しながら、鬼狩りの面々へ了承の意を伝えると共に……安倍晴明からの言伝てを伝えるべく、役目を果たそうと言葉を続けるのだった。
『其れに、此処へは来られて居ませんが……安倍晴明殿から言伝てを預かりましたので、御伝え致します。』
「晴明様からですか?」
『はい。晴明殿から産屋敷家……いえ、鬼狩りの方々へ伝えて欲しいと、言伝かりました。』
「ならば早速、晴明様からの言伝てを我等、鬼狩りの者達に御聞かせ頂けますか? 水蓮様。」
晴明からの言伝てと云う事で、頭に「?」を浮かべつつ、聞き返した耀李だが……言伝かった雪菜から聞くのが早いと頭を切り換え、言伝ての内容を直に伝える様……雪菜へ促すのだった。
『承知致しました。では、晴明殿からの言伝ての内容ですが……』
そうして、雪菜から鬼狩りの面々へ伝えられた内容は「何かしら相談には乗れるかと思うので、何時でも御相談して下さって構わない」と云う事だった。
「そうですか、晴明様に御礼を云わなくては成りませぬな。」(苦笑)
「えぇ。藤原一門専属とは云え、我等の事も気に掛けて下さって居るのですからね。」
『フフッ。晴明殿ならば、御礼等不要だと云いそうですが。』
「其れでも……ですよ。」
『晴明殿へは、私の方で“手紙や口頭での報告”を行なう旨を伝えて有りますので、連絡手段については心配為さらず共、大丈夫です。』(ニコッ)
「そうなのですか!? ならば……此れで一安心出来ますね、御館様!」
「そうだね。晴明様とも連絡を取りたい時は、水蓮様に御願いするとしようか。皆も其れで良いかい?」
「はい、異論有りません!」(×9)
雪菜から伝えられた内容に、当主足る耀李を含む鬼狩りの面々は驚きはしたが……「何時でも相談をしても構わない」事や「晴明と雪菜、両者間での連絡手段の確立」の事が盛り込まれて居た為、雪菜と晴明に対して大いに感激したのだった。
「水蓮様も其れで宜しいでしょうか?」
『えぇ。此方としても、お互い連絡を取り合う事については、必須事項でしたので助かります。』(コクリ)
頷きを耀李へと返しながら、「願っても無い事」と云う様に雪菜も返答を返しすのだった。
* * * *
ー講して、鬼狩りの面々と雪菜の初顔合せ及び紹介は、無事終了したのだった。ー
此れから、鬼狩りの面々と雪菜を待ち受けるのは一体、どの様な出来事が起こるのかは……今の段階では、雪菜を含め誰も知らぬ事である──。