〈序章 壱〉プロローグ~平安~
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晴明と優月は、暫く歩き……数件のあばら家が点在する集落に辿り着いた──。
「ふむ……。 此処は其れ程、淀みが少ない様ですな。」
顎に手を当て、思案する晴明。
そんな晴明に、肩の上から応える者が……。
其の者の正体は、黒猫の姿をした式であり、名を優月と云う。
「はい。 此処に入った瞬間から……若干では有りますが、淀みが薄れてましたからね……。」
「数件程、あばら家が見受けられますので、中を見廻りましょうか。」
「えぇ。 見廻りとしては、其の方が確実でしょう。」
「では……。 (コクリ)」
「(コクリ)」
お互いに頷き合い、あばら家の方へ……歩みを進めたのだった。
ーあばら家・内部ー
「此れは………酷い荒れ様ですな。」
「えぇ、そうですね………。」
あばら家の中は、建物自体の損傷は少ないにも関わらず、酷い有り様なのだった……。
至る所に血が飛び散り、家具等の家財道具は破壊され、原型を留めて居る物はほぼ無いも同然の様だった──。
「優月殿、別の集落へ向かいましょうか。」
「そうですね、他の集落の見廻りも必要ですし。」
クルッ、テクテク。
あばら家を後にして、晴明と優月は別の集落に向かうのだった。
そして──、向かった集落にて………予期せぬ者と遭遇する。
* * * *
あばら家を出た、晴明と優月は……別の集落に着いたのだった。
「此処は……先程の集落より、淀みが進んで居ますな……。」
「えぇ……。 晴明様、油断は禁物です。
何が有るか判りません、慎重に行動すべきかと……。」
「判って居りますよ。 しかし、此の集落の淀みが強い事からも〝鬼〟の存在をヒシヒシ……と感じて居ますよ。」
パキッ………!
「「?!」」
???「何じゃ? 誰か来たのか?」
「っ?! 其の……声は…………まさか、そんな……。」
「晴明様? 此の声の方は、晴明様と知り合いの方なのですか?」(小声)
「え、えぇ……。 確証は無いが………恐らくは……。」(小声)
???「ん? 其の声は、もしや……晴明か?」
「!! やはり……道満…………。」
道満「久しいな、晴明。」
「……っ、道満………。 なっ、何故……お主から〝鬼〟の気配がするのだ………?」
道満「ん? あぁ……成る程なぁ? 〝鬼〟か。 道理で……喉が渇いたり、腹が減った訳か……。 やはり、“彼奴 ”自身が〝鬼の始祖〟で有り、〝鬼〟其の者だったか……。」
「なっ?!」
「?!!」
道満「クククッ……。晴明よ、どうやら儂は……”彼奴“に〝鬼〟にされた様だ。
此の意味……お主なら、判ろう? 」
「……………っ!!」
「晴明様……。」
道満の話を聞き、数秒程目を瞑り……何かを思案した晴明は、瞑って居た目を開き──。
「………やむを得んな。」
そう……呟いた。
「!? 晴明様っ?!」
其の呟きを肩で聞き、優月は驚きの声を上げるのだった。
「優月殿……。 此れは、仕方の無い事なのですよ……。 こう成っては、闘うしか……方法は無いかと。 お互いに、好敵手 同士。 ……儂と道満の問題です。
さっ、優月殿……儂から離れて下さい。」
「ですが……。(〝鬼〟で有る彼の方との闘いは……確実に、晴明様の方が不利に成って仕舞う……。 かと云って、晴明様の闘いを邪魔立て等……する意味も無いし、したくも無い。 為らば、どうすれば良いの……?)」
「もう一度だけ、云います。 儂から……離れて下さい。 優月殿を巻き込みたくは、有りませんので。」
「………晴明様。(なら、私は自身の持つ力を以て、精一杯晴明様を護る……。いえ、護り切る…… 只、其れだけです!)
いえ……。 私も貴方様の傍に居ります、晴明様。」
「?!」
「私が持つ術は、護り重視……。 晴明様の闘い自体には、口を挟みませんが……貴方様を護る為に、傍に居ります!(はっ!? 主……貴女は「こう成る事」を“予感”で感じたのですか……? だから、主は……私を此の見廻りを兼ねた仕事の前に、晴明様の守護として付けた……? 護る事が出来る様に……。)」
「はぁ……。 判りました、優月殿に儂の守護を頼みます。 但し、此れ以降は危険に成るので……決して、肩から降りぬ様……頼みますよ?」
「えぇ、承知致しました。」
道満「話し合いは、済んだかの?」
「あぁ、待たせて済まない。」
道満「いや? 此れ迄の事を振り返るのに、丁度良かったわい。 其れなら……」
「あぁ……。」
其の会話を最後に、お互い……片手で刀印を作るが、呪を晴明が先に唱えた……。
「“ナウマクサンマンダ センダマカロシャダ タラタカンマン”っ!」
ドゥッ……!
道満「ぐぅ……っ!
フッ……、此の程度では儂は倒せんぞ? 晴明。」
「くっ……!(どうすれば、道満を止められる……? どうすれば……。)」
「晴明様! 私の結界で今、貴方様の身体全体を守護して居りますが、掠り傷等で有れば直ぐ様、治癒出来ますので大丈夫ですっ!!
ですが、致命傷に成り兼ねない傷は成るべく、受けぬ様……避けて下さいっ!」
「優月殿……相済まぬ。」
「いえ、晴明様を護り抜くと……決めて居りますから、謝らないで下さい。」
「相判った。」
呪を唱え、道満に術が当たったものの、〝鬼〟で在る故か……傷が直ぐ様治癒される上、放つ術が倒す迄とは至らず、決定打に欠けて居るのだった──。
道満「今度は、此方から行くぞ?
“オン キリリ バザラ バジリ ウンハッタ”っ!」
ドォン……!
ザシュッ!
「ぐっ……!」
「っ! 晴明様、大丈夫ですかっ?!」
「大事有りませぬ、攻撃が掠 っただけですから。」
「其れならば、良いのですが……。」
其の後も道満と晴明の術の応酬は続き、そして……夜明けの刻限に近付き、道満の身体に徐々に異変が生じ始め──?
道満「っ?! ぐっ……うぅ……。」
「?!(な、何だ…? 道満の様子が、可笑しい……?)」
「?!(な、何が…起こって居るの……?)」
ジュッ…、ジュゥゥウ………!!
「「!!」」
闘って居る最中……道満の様子がおかしい事に、晴明と優月は気付いたたものの……原因が判らず、二人は困惑した。
だが、太陽が昇り始めた事で……日光の光が道満の身体に当たり、身体を「ジュッ」と焼く音が驚くのだった……。
道満「ぐっ……せ、晴明……。」
「どっ、道満?! な、何故……太陽の光で、身体が焼かれる……と云う事に成るのだ……?」
道満「せ、晴明……。 儂の話を良く……ハァ……聞いて置け……。 此の現象は、どうやら……ハァ……鬼への“罰”らしい……。」
「道満……。 “罰”……と云うのは……?」
道満「フッ……。 鬼に成った者は、総じて……ハァ……人を襲い、喰う事が多いらしくてな……。 現に、儂も腹の空腹に……ハァ……耐えかねて……人を喰うて居る……。」
「「?!」」
道満「其処で……だ。 儂の好敵手 であり、友でも在る、晴明……御主に、頼みたい事が有る……。」
「「?」」
晴明と優月に対し……鬼について、説明をする道満の身体は、どんどん日光により……焼かれ、息遣いも荒くなって行く……。
道満から告げられた事は、晴明と優月に衝撃を与える程だった──。
そして、道満の頼みたい事とは──?
其処へ……。
タタッ……!
『「晴明(殿)っ!! 優月っ!」』
「! 雪菜様に、結斗殿……。何故、此処に……? 」
「主……其れに、結斗……。」
晴明と道満が闘って居た場所に、焦った様子で現れたのは……別の場所を見廻りして居た筈の雪菜と結斗だった──。
* * * *
今現在の時刻より遡る事、数刻前……。
ー晴明達とは、別の集落ー
『やっぱり、此処 も空気が淀んでる……。』
「あぁ、どの集落も似た様な感じばかりだがな……。」
『その様だね……。 其れより、鬼の気配は? 感じる?』
「其れ成りに感じるが……此処には、もう居ない様だな。」
『そう……。 何処か別の場所へ移動した後って事?』
「その線が、有力だろうな。」
そんな会話をしつつ、集落の見廻りをして居ると……。
ドォォォンッ!!
何処からか、大きな音が聞こえて来たのだった。
『「∑?!」』
『なっ……何? 今の大きな音……。』
「俺にも判らない……。 だが、誰かが闘って居る様にも聞こえるが……?」
『(誰かが闘って居る……? まさかっ!!)……結斗っ! 今すぐ、優月に連絡が取れるかどうか確認して!』
「駄目元でやっては見るが……連絡が取れ無ければ、晴明達が危険だって事だぞっ?!」
『判ってる。 其れでも、晴明殿と優月の二人を護りたいの。』
「………。 ハァ~、一度心に決めた事はホントに曲げないよな? お前は……。 ………判った、少しだけ時間を貰うが、良いか?」
『えぇ、構わないよ。』
「じゃあ、連絡を取って見る。」
『御願い……。』
「(コクッ)(頼むから連絡が取れてくれよ……優月っ!)《優月っ! 俺だっ!! 返事しろっ!!》」
「《………》」
「《優月っ!!》」
「《………》」
闘いと思ぼしきし音が響いて早、半刻……。
もう一匹の式である優月に結斗は、何度も連絡を取ろうと試みて居た──。
しかし、一向に優月からの返事が返っては来ないのだった……。
『結斗……どう? 優月とは、連絡取れた?』
「いや……全くの反応が無い。 こうも優月と連絡が取れないと成ると……先程の闘いと思ぼしき音の中心に居ると見て、先ず間違い無いだろう。」
『そう……。』
「少々危険だが、音のした場所へ向かって見るか?」
『えぇ。 どんな状況なのか、確認しなきゃだし……闘って居るなら、助太刀をしに。』
「判った。 なら、今すぐ向かうぞ!」
『えぇ!』
ダッ……!
講して、雪菜と結斗は闘いの音がした場所へ向かったのだった。
* * * *
そして、現在──。
『──と云う事で、此方に向かって来た訳です。 でも、まさか……鬼と成った道満殿と闘って居たとは、思いませんでしたが。』
「そうでしたか……。 我々の闘いの音が、其処へも響いて居たとは……。」(苦笑)
「結斗から連絡が何度も有っただなんて、気付きませんでした……。」
「晴明と優月……二人共、道満との激しい闘いで、気付いて無かっただけだろ? 仕方ないんじゃねーのか?」
「フフッ、そうですね。」
『二人に、大きな怪我が無くて本当に良かったです。』
「御心配を掛けた様で……。」
『フフッ、“終わり良ければすべて良し”ですよ。』
「フッ……そうですな。……で、道満。
先程云って居た、儂に〝頼みたい事〟とは何だ……?」
道満「あぁ、そうだったなぁ。 此処に“水蓮の姫君”である雪菜も居るのだから、一緒に聞いて貰うとしようか……。」
『道満殿、貴方の最期と思われる願い……可能な限り、私達で良ければ……叶えますよ?』
道満「フッ、儂はもう……鬼と成った事で、人の括りには入れぬ……。〝鬼の始祖〟足る彼奴と同じ存在に成ったのだから、当然だがな……。 其処で、御主等に頼みたい事は二つ……。〝儂を永久的に封印して欲しい〟そして〝何れ、御主等…どちらかの手で、葬って貰いたい〟此の二つの事を頼みたい。」
『「「「……∑?!」」」』
そう道満に云われ、頼まれた事は……「自分を永久的に封印し、尚且つ晴明と雪菜……どちらかの手で滅して欲しい」と云う依頼だった……。
日の光により……身体の崩壊が進みつつ有った、そんな道満からの依頼に対し……雪菜と晴明を始め、式の結斗と優月にも衝撃を与えたのだった。
「ふむ……。 此処は其れ程、淀みが少ない様ですな。」
顎に手を当て、思案する晴明。
そんな晴明に、肩の上から応える者が……。
其の者の正体は、黒猫の姿をした式であり、名を優月と云う。
「はい。 此処に入った瞬間から……若干では有りますが、淀みが薄れてましたからね……。」
「数件程、あばら家が見受けられますので、中を見廻りましょうか。」
「えぇ。 見廻りとしては、其の方が確実でしょう。」
「では……。 (コクリ)」
「(コクリ)」
お互いに頷き合い、あばら家の方へ……歩みを進めたのだった。
ーあばら家・内部ー
「此れは………酷い荒れ様ですな。」
「えぇ、そうですね………。」
あばら家の中は、建物自体の損傷は少ないにも関わらず、酷い有り様なのだった……。
至る所に血が飛び散り、家具等の家財道具は破壊され、原型を留めて居る物はほぼ無いも同然の様だった──。
「優月殿、別の集落へ向かいましょうか。」
「そうですね、他の集落の見廻りも必要ですし。」
クルッ、テクテク。
あばら家を後にして、晴明と優月は別の集落に向かうのだった。
そして──、向かった集落にて………予期せぬ者と遭遇する。
* * * *
あばら家を出た、晴明と優月は……別の集落に着いたのだった。
「此処は……先程の集落より、淀みが進んで居ますな……。」
「えぇ……。 晴明様、油断は禁物です。
何が有るか判りません、慎重に行動すべきかと……。」
「判って居りますよ。 しかし、此の集落の淀みが強い事からも〝鬼〟の存在をヒシヒシ……と感じて居ますよ。」
パキッ………!
「「?!」」
???「何じゃ? 誰か来たのか?」
「っ?! 其の……声は…………まさか、そんな……。」
「晴明様? 此の声の方は、晴明様と知り合いの方なのですか?」(小声)
「え、えぇ……。 確証は無いが………恐らくは……。」(小声)
???「ん? 其の声は、もしや……晴明か?」
「!! やはり……道満…………。」
道満「久しいな、晴明。」
「……っ、道満………。 なっ、何故……お主から〝鬼〟の気配がするのだ………?」
道満「ん? あぁ……成る程なぁ? 〝鬼〟か。 道理で……喉が渇いたり、腹が減った訳か……。 やはり、“
「なっ?!」
「?!!」
道満「クククッ……。晴明よ、どうやら儂は……”彼奴“に〝鬼〟にされた様だ。
此の意味……お主なら、判ろう? 」
「……………っ!!」
「晴明様……。」
道満の話を聞き、数秒程目を瞑り……何かを思案した晴明は、瞑って居た目を開き──。
「………やむを得んな。」
そう……呟いた。
「!? 晴明様っ?!」
其の呟きを肩で聞き、優月は驚きの声を上げるのだった。
「優月殿……。 此れは、仕方の無い事なのですよ……。 こう成っては、闘うしか……方法は無いかと。 お互いに、
さっ、優月殿……儂から離れて下さい。」
「ですが……。(〝鬼〟で有る彼の方との闘いは……確実に、晴明様の方が不利に成って仕舞う……。 かと云って、晴明様の闘いを邪魔立て等……する意味も無いし、したくも無い。 為らば、どうすれば良いの……?)」
「もう一度だけ、云います。 儂から……離れて下さい。 優月殿を巻き込みたくは、有りませんので。」
「………晴明様。(なら、私は自身の持つ力を以て、精一杯晴明様を護る……。いえ、護り切る…… 只、其れだけです!)
いえ……。 私も貴方様の傍に居ります、晴明様。」
「?!」
「私が持つ術は、護り重視……。 晴明様の闘い自体には、口を挟みませんが……貴方様を護る為に、傍に居ります!(はっ!? 主……貴女は「こう成る事」を“予感”で感じたのですか……? だから、主は……私を此の見廻りを兼ねた仕事の前に、晴明様の守護として付けた……? 護る事が出来る様に……。)」
「はぁ……。 判りました、優月殿に儂の守護を頼みます。 但し、此れ以降は危険に成るので……決して、肩から降りぬ様……頼みますよ?」
「えぇ、承知致しました。」
道満「話し合いは、済んだかの?」
「あぁ、待たせて済まない。」
道満「いや? 此れ迄の事を振り返るのに、丁度良かったわい。 其れなら……」
「あぁ……。」
其の会話を最後に、お互い……片手で刀印を作るが、呪を晴明が先に唱えた……。
「“ナウマクサンマンダ センダマカロシャダ タラタカンマン”っ!」
ドゥッ……!
道満「ぐぅ……っ!
フッ……、此の程度では儂は倒せんぞ? 晴明。」
「くっ……!(どうすれば、道満を止められる……? どうすれば……。)」
「晴明様! 私の結界で今、貴方様の身体全体を守護して居りますが、掠り傷等で有れば直ぐ様、治癒出来ますので大丈夫ですっ!!
ですが、致命傷に成り兼ねない傷は成るべく、受けぬ様……避けて下さいっ!」
「優月殿……相済まぬ。」
「いえ、晴明様を護り抜くと……決めて居りますから、謝らないで下さい。」
「相判った。」
呪を唱え、道満に術が当たったものの、〝鬼〟で在る故か……傷が直ぐ様治癒される上、放つ術が倒す迄とは至らず、決定打に欠けて居るのだった──。
道満「今度は、此方から行くぞ?
“オン キリリ バザラ バジリ ウンハッタ”っ!」
ドォン……!
ザシュッ!
「ぐっ……!」
「っ! 晴明様、大丈夫ですかっ?!」
「大事有りませぬ、攻撃が
「其れならば、良いのですが……。」
其の後も道満と晴明の術の応酬は続き、そして……夜明けの刻限に近付き、道満の身体に徐々に異変が生じ始め──?
道満「っ?! ぐっ……うぅ……。」
「?!(な、何だ…? 道満の様子が、可笑しい……?)」
「?!(な、何が…起こって居るの……?)」
ジュッ…、ジュゥゥウ………!!
「「!!」」
闘って居る最中……道満の様子がおかしい事に、晴明と優月は気付いたたものの……原因が判らず、二人は困惑した。
だが、太陽が昇り始めた事で……日光の光が道満の身体に当たり、身体を「ジュッ」と焼く音が驚くのだった……。
道満「ぐっ……せ、晴明……。」
「どっ、道満?! な、何故……太陽の光で、身体が焼かれる……と云う事に成るのだ……?」
道満「せ、晴明……。 儂の話を良く……ハァ……聞いて置け……。 此の現象は、どうやら……ハァ……鬼への“罰”らしい……。」
「道満……。 “罰”……と云うのは……?」
道満「フッ……。 鬼に成った者は、総じて……ハァ……人を襲い、喰う事が多いらしくてな……。 現に、儂も腹の空腹に……ハァ……耐えかねて……人を喰うて居る……。」
「「?!」」
道満「其処で……だ。 儂の
「「?」」
晴明と優月に対し……鬼について、説明をする道満の身体は、どんどん日光により……焼かれ、息遣いも荒くなって行く……。
道満から告げられた事は、晴明と優月に衝撃を与える程だった──。
そして、道満の頼みたい事とは──?
其処へ……。
タタッ……!
『「晴明(殿)っ!! 優月っ!」』
「! 雪菜様に、結斗殿……。何故、此処に……? 」
「主……其れに、結斗……。」
晴明と道満が闘って居た場所に、焦った様子で現れたのは……別の場所を見廻りして居た筈の雪菜と結斗だった──。
* * * *
今現在の時刻より遡る事、数刻前……。
ー晴明達とは、別の集落ー
『やっぱり、
「あぁ、どの集落も似た様な感じばかりだがな……。」
『その様だね……。 其れより、鬼の気配は? 感じる?』
「其れ成りに感じるが……此処には、もう居ない様だな。」
『そう……。 何処か別の場所へ移動した後って事?』
「その線が、有力だろうな。」
そんな会話をしつつ、集落の見廻りをして居ると……。
ドォォォンッ!!
何処からか、大きな音が聞こえて来たのだった。
『「∑?!」』
『なっ……何? 今の大きな音……。』
「俺にも判らない……。 だが、誰かが闘って居る様にも聞こえるが……?」
『(誰かが闘って居る……? まさかっ!!)……結斗っ! 今すぐ、優月に連絡が取れるかどうか確認して!』
「駄目元でやっては見るが……連絡が取れ無ければ、晴明達が危険だって事だぞっ?!」
『判ってる。 其れでも、晴明殿と優月の二人を護りたいの。』
「………。 ハァ~、一度心に決めた事はホントに曲げないよな? お前は……。 ………判った、少しだけ時間を貰うが、良いか?」
『えぇ、構わないよ。』
「じゃあ、連絡を取って見る。」
『御願い……。』
「(コクッ)(頼むから連絡が取れてくれよ……優月っ!)《優月っ! 俺だっ!! 返事しろっ!!》」
「《………》」
「《優月っ!!》」
「《………》」
闘いと思ぼしきし音が響いて早、半刻……。
もう一匹の式である優月に結斗は、何度も連絡を取ろうと試みて居た──。
しかし、一向に優月からの返事が返っては来ないのだった……。
『結斗……どう? 優月とは、連絡取れた?』
「いや……全くの反応が無い。 こうも優月と連絡が取れないと成ると……先程の闘いと思ぼしき音の中心に居ると見て、先ず間違い無いだろう。」
『そう……。』
「少々危険だが、音のした場所へ向かって見るか?」
『えぇ。 どんな状況なのか、確認しなきゃだし……闘って居るなら、助太刀をしに。』
「判った。 なら、今すぐ向かうぞ!」
『えぇ!』
ダッ……!
講して、雪菜と結斗は闘いの音がした場所へ向かったのだった。
* * * *
そして、現在──。
『──と云う事で、此方に向かって来た訳です。 でも、まさか……鬼と成った道満殿と闘って居たとは、思いませんでしたが。』
「そうでしたか……。 我々の闘いの音が、其処へも響いて居たとは……。」(苦笑)
「結斗から連絡が何度も有っただなんて、気付きませんでした……。」
「晴明と優月……二人共、道満との激しい闘いで、気付いて無かっただけだろ? 仕方ないんじゃねーのか?」
「フフッ、そうですね。」
『二人に、大きな怪我が無くて本当に良かったです。』
「御心配を掛けた様で……。」
『フフッ、“終わり良ければすべて良し”ですよ。』
「フッ……そうですな。……で、道満。
先程云って居た、儂に〝頼みたい事〟とは何だ……?」
道満「あぁ、そうだったなぁ。 此処に“水蓮の姫君”である雪菜も居るのだから、一緒に聞いて貰うとしようか……。」
『道満殿、貴方の最期と思われる願い……可能な限り、私達で良ければ……叶えますよ?』
道満「フッ、儂はもう……鬼と成った事で、人の括りには入れぬ……。〝鬼の始祖〟足る彼奴と同じ存在に成ったのだから、当然だがな……。 其処で、御主等に頼みたい事は二つ……。〝儂を永久的に封印して欲しい〟そして〝何れ、御主等…どちらかの手で、葬って貰いたい〟此の二つの事を頼みたい。」
『「「「……∑?!」」」』
そう道満に云われ、頼まれた事は……「自分を永久的に封印し、尚且つ晴明と雪菜……どちらかの手で滅して欲しい」と云う依頼だった……。
日の光により……身体の崩壊が進みつつ有った、そんな道満からの依頼に対し……雪菜と晴明を始め、式の結斗と優月にも衝撃を与えたのだった。